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2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)
2019ミシックチャンピオンシップⅣ 初日の注目の出来事
2019年7月26日
「2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)」にはおよそ500人のプレイヤーが集った。戦いの舞台は、ここ数か月で大きな変動がいくつも起きており、先の読めないモダンだ。その中で今大会初日には、(レガシーの大会で参加権利を勝ち取った13歳の少年を含む)プレイヤー個人の物語からチーム・シリーズや世界王者の話題まで、注目の出来事に満ちていた。
帰ってきた『モダンホライゾン』
別にどこかへ行ってしまったわけではないが、今週末は『モダンホライゾン』が再び舞台の中央に立つことになった。今大会のドラフト・ラウンドでは、世界最高のプレイヤーたちがこのセットを用いたドラフトで競い合ったのだ。氷雪土地が存分に使われ、この環境ならではの予想外の趣向も見受けられた。
だが『モダンホライゾン』が存在感を見せたのは、リミテッド・ラウンドだけではない。新しいセットが登場するたびに変化を続けてきたモダンのメタゲームは、この週末ついに、極めて強力なデッキを生み出したのだ。
早速それについて語ろう……
モダンのメタゲーム
もはや避けては通れまい――《甦る死滅都市、ホガーク》は猛烈な勢いで勢力を広げている。《黄泉からの橋》の禁止も、大量の《虚空の力線》(今大会最も多く採用されたカード)も、《甦る死滅都市、ホガーク》の進行を食い止めるのに十分でなかった。マジック・プロリーグ選手にして「ジャンド使い」として有名なリード・デューク/Reid Dukeでさえも、この週末は信頼を置く《タルモゴイフ》や新戦力の《レンと六番》ではなく、《甦る死滅都市、ホガーク》や《信仰無き物あさり》を選んだのだ。
ただし、《甦る死滅都市、ホガーク》はかなり警戒されているのも事実だ。2日目はその効果のほどがわかるだろう。
「ホガーク」デッキの下には、(《炎のアリア》を加えた)「イゼット・フェニックス」、「エルドラージ・トロン」、「人間」、「白青コントロール」、「ジャンド」と見慣れたアーキタイプが名を連ねている。どれも使用率8%以上を占めており、そこへさまざまなその他のデッキが続いているという形だ。
だがさすがモダンと言うべきか――最高レベルのプレイヤーの中にも、一風変わったデッキを持ち込む者がいる。今大会ではその傾向が顕著とさえ言えるだろう。例えば、「ゴブリン」デッキを手に今大会に参加したジム・デイヴィス/Jim Davisだ。
4 《冠雪の山》 2 《血の墓所》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《樹木茂る山麓》 1 《乾燥台地》 2 《沸騰する小湖》 4 《婆のあばら家》 4 《魂の洞窟》 4 《廃墟の地》 -土地(23)- 4 《スカークの探鉱者》 1 《節骨の魔女》 4 《モグの戦争司令官》 4 《飛び道具の達人》 3 《ゴブリンの群衆追い》 1 《ゴブリンのクレーター掘り》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 1 《パシャリク・モンス》 4 《ゴブリンの首謀者》 2 《投石攻撃の副官》 -クリーチャー(32)- |
4 《霊気の薬瓶》 1 《タール火》 -呪文(5)- |
1 《ゴブリンの鎖回し》 1 《パシャリク・モンス》 1 《ゴブリンの損壊名手》 1 《ヤスデ団》 3 《思考囲い》 2 《大祖始の遺産》 2 《祖先の象徴》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
このデッキも氷山の一角に過ぎない。《聖なる秘宝の探索》もあれば、「純鋼の聖騎士」コンボも複数人が使用している。2名が「マーフォーク」を選び、そして「風景の変容」デッキに《氷牙のコアトル》などの氷雪カードを詰め込んだ「スノーシフト」なるデッキまで存在しているのだ。
モダンの初代王者が未来の王者と出会う
サミュエル・エストラッティ/Samuele Estrattiの名は、マジックの歴史上の特別な場所に永遠に刻まれるだろう――彼はモダンで行われた史上初のプロツアー(ミシックチャンピオンシップ)の王者なのだ。ときは2011年、アメリカ合衆国・ペンシルベニア州フィラデルフィアでのこと。無限の可能性を秘めたまったく新しいフォーマットでの戦いは、当時の上位デッキを構成する大半のカードが現在ではモダンの禁止カードリストに載るほどの熾烈を極めたものだった。そしてその戦いは(そしてモダンという舞台は)エストラッティの才能を証明したのだった。
モダンは、マジックで最も人気のフォーマットのひとつになった。そしてエストラッティの戴冠は、ネイサン・ホルト/Nathan Holtとショーン・コーンハウザー/Shawn Kornhauserの活動を後押しし、やがて彼らはドキュメンタリー動画「Enter the Battlefield」を完成させた。この作品にはウィル・ウィートン/Wil Wheatonのナレーションが付けられ、Netflixにて放映された。
エストラッティはその後プロの舞台から離れることになったが、この週末は再び最高峰の戦いに挑戦している。そんなエストラッティが今大会初日の途中で出会ったのは、彼が優勝した頃はまだ読み書きを学んでいるところだったという現在13歳の少年、ミラン・バヤーナ/Milan Bhayanaだった。言うまでもなく、今大会の最年少選手だ。この神童は、「マジックフェスト・ナイアガラフォールズ2019」で開催されたレガシーのミシックチャンピオンシップ予選で今大会への参加権利を獲得した(リンク先は英語)。そして彼は信頼できる相棒の「ジャンド」デッキを手にスペインへ向かい、最高峰の舞台を味わった。対峙する相手のことはまったく意識していなかった。
2人の対戦ではエストラッティが勝利を手にし、バヤーナはその後間もなくして今大会から敗退することになった。それでも彼にとって、初めてのミシックチャンピオンシップは大成功だったという。
「楽しくて仕方ありませんでした。それが一番大切なことだと思います」と、バヤーナは言う。「せっかくスペインに来たので、明日からは観光を楽しもうと思います。ここには楽しいところがたくさんありますから。それから、次のミシックチャンピオンシップの権利を取りにリッチモンドで開催されるラストチャンス予選にも行くつもりです!」
世界王者がエンジン全開で進む
スペインは暑く、ミシックチャンピオンシップも熱く盛り上がっている。そこで世界王者ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezが、放送席を涼しくしようと粋な計らいを見せてくれた。初日を6勝2敗で終え(モダン・ラウンドは「イゼット・フェニックス」で5戦全勝)、ドミンゲス自身かなり熱くなっていた。たとえ明日以降どのような結果になっても、彼は故郷で友人や家族の前で戦うことを楽しんでいる。(リンク先は英語)
オクミラーとサントスが先頭を走る
『モダンホライゾン』ドラフト3回戦とモダン5回戦を終え、無敗のプレイヤーは2人になった。フランスのアルノー・オクミラー/Arnaud Hocquemiller(白青コントロール)とベルナルド・サントス/Bernardo Santos(ホガーク)が、それぞれ8戦全勝と7勝1分の成績で先頭を走っている。明日も再び8回戦が行われ、2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)のトップ8が決まるので、お楽しみに!
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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