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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第45回:『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフト攻略

行弘 賢

 皆さんこんにちは! 猛暑が続く中、皆さんいかがお過ごしですか?

 僕はスポーツ観戦が好きなのでこの夏もガッツリ楽しんでます! マジックも『フォーゴトン・レルム探訪』が発売されたばかりで夏に負けないくらい熱い時期ですね!

 さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『フォーゴトン・レルム探訪』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!

 

 

1.『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフト環境のポイント

mtgafr_draftbooster_3packs.png

 『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフトは、『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフト・ブースターパック3つを使用します。

環境のポイント1:基本が大事

 この環境はカード間のシナジーが少なく、普段よりもマジックの基礎が大事になります。これさえやれば勝てる!という明確な指針が少ないため、いつも以上に基本に忠実にドラフトすることが大事になります。

 では基本とは何か?というと、「マナ・カーブ」「除去」「飛行」です。カード間のシナジーが少ないため、ドラフトやる際にまず押さえておきたいこの3つの要素が何よりも重要になってきます。

 低いマナ域から滑り台のようにカードの採用枚数を減らしていくとデッキのバランスがよくなることを「マナ・カーブ」と呼びますが、これは今回だけでなくどの環境でも大事です。

 例えば2マナ域6枚・3マナ域4枚・4マナ域3枚……といった感じで重いマナ域を少しずつ減らして行くイメージです。これにより初手の安定感が増し、序盤何もできなくなることが少なくなります。

 これに加え広い局面で対応力のある除去と飛行を優先することにより、安定感のあるデッキを作りやすくなります。

環境のポイント2:緑はキケン

 先ほどの項目で飛行と除去が強いと説明しましたが、そのどちらも苦手な色が緑です。飛行がほとんどいないため膠着状態に弱く、かつ除去が少ないので相手の重要なクリーチャーに触りにくい、扱うのが難しい色です。

 緑も決して戦えないわけではないのですが、他の色と比べるとどうしてもデッキを組むのが難しいため、なるべくなら避けた方が無難な色ですね。

環境のポイント3:マナフラッドに注意

 この環境はアドバンテージを稼ぐ手段や、序盤から一気に攻めて何もさせずに勝つようなゲーム展開は少なく、比較的のんびりしたゲーム展開が多いです。

 そのため、戦場が膠着したり土地を多く引いたりしまった際に何もできずにターンを終えてしまうケースが多々発生します。

 こういった何もできない不利になっていくターンを減らすために、マナフラッドに強い、マナを支払って使う起動型能力を持つカードを何枚かデッキに採用することを意識しましょう。

環境のポイント4:2マナ域は「パワー2」推奨

 この環境は攻撃を通すことでボーナスを得られるクリーチャーがいくつか存在します。その中でも特によく見かけるのが《魂刀のスパイ》と《ユアンティの毒牙刃》で、これらを受けるために2マナ域はパワー2以上を持つクリーチャーを採用することをオススメします。

 例えば2マナ1/3のようなスタッツを持つクリーチャーを多く採用すると、先ほどの2種のクリーチャーの攻撃を受け切ることができず、後手の際に一方的な展開にされてしまうリスクがあるので注意しましょう。

 また、攻撃を通すことでボーナスを得るカードが一定数いるため序盤は重要です。最初の項目でも説明しましたが、序盤に何もできない状態にならないようマナ・カーブを意識するようにしましょう。

 

 以上の4つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。

 

2.収録メカニズムについて

クラス

(次のレベルになることはソーサリーとして行う。そのレベルの能力を得る。)

 クラスとは、3段階のレベルを持つエンチャントで、指定されたマナを支払うことで元のレベルに加えて次のレベルの能力を得ることができます。何回も同じレベルのマナを支払うことはできないため注意しましょう。

ダンジョン探索をする

(ダンジョン探索をするとは、最初の部屋へ入るか、次の部屋へ進むことである。)

 ダンジョン探索とは、初回は「ファンデルヴァーの失われた鉱山」「魂を食らう墓」「狂える魔導士の迷宮」のうちいずれかのダンジョンを選んで最初の部屋に入り、以降ダンジョン探索を行うたび次の部屋を選んでそこに書いてある効果を発揮することができます。

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 最後の部屋までたどり着いてダンジョンを踏破するまで、他のダンジョンに移ることはできないので注意しましょう。また、ルートは先にしか進めず戻ることもできません。

 ダンジョンを踏破した際にボーナスがあるカードもいくつか存在するため、基本的には踏破しやすく安定した効果が多い「ファンデルヴァーの失われた鉱山」に入るのがオススメです。

d20を振る

 d20を振るとは、20面体のダイスを振り、その結果で効果が変わる能力です。安定しない能力ではありますが、《ピクシーの案内人》や《バーバリアン・クラス》でダイスを振る回数を増やせるので、安定した効果を望みたい場合はこれらと組み合わせるようにしましょう。

 また、デジタル以外で遊ぶ際はあらかじめダイスを用意するか、スマートフォンの公式アプリ「Magic: The Gathering Companion」を用意しておくと良いですね。

集団戦術

集団戦術 — ~が攻撃するたび、あなたがこの戦闘フェイズに攻撃させたクリーチャーのパワーの合計が6以上である場合、~

 集団戦術は、クリーチャーで攻撃する際攻撃したクリーチャーのパワーの合計が6以上ある場合に誘発する能力です。何らかの効果でパワーが0より少ないマイナスになっている場合、その値も合計値に計算されてしまうので注意しましょう。

 

 さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!

 

3.『フォーゴトン・レルム探訪』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン

クレリック・クラス》:レベル2から盤面に大きな影響を与える優秀なクラスです。

板金鎧》:赤白装備品など多数の装備を用いたデッキで強いだけでなく、修整値の高さからあらゆるデッキで活躍できる優秀な装備品です。

ホワイト・ドラゴン》:ダメージレースに大きな影響を与える、優秀な飛行クリーチャーです。

白・コモン

幽閉》:幅広い範囲を除去できる優秀な除去です。

不動のパラディン》:ダメージレースに強く、ライフを回復するとボーナスのあるカードや、装備品などと相性が良い優秀な2マナクリーチャーです。

古代の伝承の僧侶》:アドバンテージを稼ぎつつ、ライフを回復するとボーナスのあるカードとも相性が良い優秀なクリーチャーです。

青・アンコモン

ウィザード・クラス》:レベル2でアドバンテージを稼ぎつつ、レベル3からは盤面にも大きな影響を与えることができる、優秀なクラスです。

精神異常のソーサラー》:インスタント・ソーサリーを使いまわすことができる唯一無二のクリーチャーです。ダイスの結果次第で強さが大きく変わるので、《ピクシーの案内人》か《バーバリアン・クラス》と合わせて使いたいですね。

ペテン師のタリスマン》:戦闘面で活躍できるだけでなく、攻撃を通した時に自分の盤面の一番強いクリーチャーを追加で戦場に出すことができる優秀な装備品です。

青・コモン

ジンの風予見者》:マナレシオに優れた飛行クリーチャーかつ、占術により後のドローを安定も安定する環境屈指のトップコモンです。

魔法の眠り》:ダブルシンボルなのが玉に瑕ですが、除去が少ない青にとっての貴重な除去です。

魂刀のスパイ》:戦闘ダメージを通すだけでドローができ、かつパワーの数値も優秀なクリーチャーです。

黒・アンコモン

パワー・ワード・キル》:2マナかつインスタントで広い範囲を除去できる優秀な除去呪文です。

死神のタリスマン》:ダメージレースを大きく狂わせ、どのクリーチャーでも攻めることができるようになる優秀な装備品です。

スカルポートの商人》:宝物によりマナ加速しつつ、残った本体はアドバンテージを稼ぐ優秀なシステムクリーチャーです。

黒・コモン

不気味な報奨》:4マナの完全除去かつ、宝物によりマナ加速や色マナサポートも兼ねる環境屈指のコモンです。

急な落下》:除去かつダンジョン探索もできる優秀な除去です。ダンジョンを踏破すると除去できる範囲も広くなるので使う際は踏破をできるように他にダンジョンを探索するカードも採用するようにしたいですね。

ユアンティの毒牙刃》:攻撃が通るたびにダンジョン探索する能力と自身の接死の能力がかみ合っており、対戦相手側に回ると非常に厄介なクリーチャーです。

赤・アンコモン

雄叫ぶゴブリン》:序盤から終盤まで、いつでも大きなプレッシャーをかけることができる優秀なクリーチャーです。

バーニング・ハンズ》:インスタントかつ、赤の苦手なサイズの大きなクリーチャーを多く有する緑に対してほぼ確定除去になる優秀な除去です。

マジック・ミサイル》:複数のクリーチャーを除去できる可能性のある優秀な除去です。

赤・コモン

ドラゴンの火》:2マナインスタントかつ、3点と広い範囲のクリーチャーを除去できる環境屈指の強力な除去です。ドラゴンと組み合わせてさらに大きな範囲も除去できるおまけ能力も強力ですね。

武勇の歌い手》:戦場に出た時から盤面をサポートでき、集団戦術とも相性が良い優秀なクリーチャーです。

ホブゴブリンの隊長》:2マナ3/1と攻撃能力が高く、集団戦術が達成できれば容易にブロックすることも難しくなる、優秀な2マナクリーチャーです。

緑・アンコモン

ドルイド・クラス》:ライフを回復するとボーナスのあるカードと相性が良く、マナ加速しつつ最終的にはフィニッシャーも作れる優秀なクラス・エンチャントです。

ハンターズ・マーク》:インスタントなのでコンバットトリックにもなり、2対1交換も狙える優秀な除去です。

放浪する吟遊詩人》:生き残りさえすれば大体毎ターンなんらかのアドバンテージを稼ぐことができる優秀なシステムクリーチャーです。

緑・コモン

ノールの狩人》:2マナ域ながら、3/3以上のサイズアップも見込める緑必須級のクリーチャーです。

アウルベア》:戦場に出ただけでアドバンテージを稼ぎつつ、本体は4/4トランプルと強力なマナレシオを持つ緑最高峰のクリーチャーです。

狩りの戦利品》:緑に宝物を出すカードが少ないため宝物の能力を活かすのは難しいですが、それでもインスタントかつ一方的にダメージを与えることができる優秀な除去です。

 

 続きまして、『フォーゴトン・レルム探訪』の注目アーキタイプを紹介していきます。

 

4.『フォーゴトン・レルム探訪』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:青赤ダイス

 「青赤ダイス」は、《ピクシーの案内人》や《バーバリアン・クラス》でダイスの効果を安定させ、ダイスを振るたびに効果を発揮する《デヴィルに選ばれし者、ファリダ》や《フェイワイルドのペテン師》をサポートするアーキタイプです。

 ダイスを振るカードは安定感に欠けるものの、上振れた時は強力な効果になるものも多いため、シナジーが無くてもダイスを振るカードを多く採用する際は《ピクシーの案内人》や《バーバリアン・クラス》は強力です。特に《バーバリアン・クラス》はレベル2から盤面にも影響を与えることができるため、青赤の核となるカードです。

 毎ターンダイスを振れた方がダイスを振るボーナスを得られやすいため、戦場に出た際にダイスを振るカードだけでなく、《秘儀の調査員》のようなカードも複数採用するようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その2:赤白装備

 「赤白装備」は、《ドワーフホールドの勇者》や《武器庫の古参》などの装備品と相性が良いカードと装備品を合わせて序盤から終盤まで隙無く攻めることができるアーキタイプです。

 装備品と一番相性が良い《ブルーノー・バトルハンマー》と、装備品でありつつ装備品と相性が良い《板金鎧》の2枚は最優先でピックするようにしましょう。

 装備品ばかり盤面に並べる展開にならないように、採用するクリーチャーは16枚以上を目安に、装備品以外の呪文は除去呪文以外はできるだけ採用しないようにしたいですね。コンバットトリックになる《パラディンの盾》なんかはぜひ採用したい装備品です。

注目のアーキタイプ・その3:白黒ダンジョン

 「白黒ダンジョン」は、白と黒に多く採用されているダンジョンを探索するカードと、ダンジョンを踏破しているとボーナスがあるカードを組み合わせ、ダンジョンから得られるアドバンテージ差で勝利を目指すアーキタイプです。

 優先度として、基本的に長期戦になるので脅威を適宜排除できる優秀な除去からピックしていき、その後長期戦で役に立つダンジョン探索するカードをピックしていくことになります。

 継続的にダンジョン探索できる《ダンジョンの地図》や《プレイナー・アライ》は他のダンジョンに探索するカードよりも優先的にピックしたいですね。

 また除去かつダンジョン探索ができる《急な落下》は白黒ダンジョンにおいて最上級の除去なのでこれも優先度高くピックするようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その4:白緑ライフゲイン

 「緑白ライフゲイン」は、《天界のユニコーン》や《月の踊り手、トレラッサーラ》などのライフを得るたびにボーナスがあるカードを、ライフを回復するカードと組み合わせて安定した盤面とライフで戦うことができるアーキタイプです。

 《不動のパラディン》は継続的にライフを回復することができる貴重な2マナ域なので、ぜひ優先してピックするようにしましょう。

 緑白は《ドルイド・クラス》と《クレリック・クラス》どちらも相性が良く、2種のクラスが上手くかみ合う色なので見かけたらどちらのクラスもピックするようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その5:赤黒サクリファイス

 「赤黒サクリファイス」とは、《墓所のグール》や《スカルポートの商人》で《ゾンビ・オーガ》や《よろめく怪異》などのクリーチャーの生け贄と相性が良いカードで攻めるアーキタイプです。

 赤黒サクリファイスといえばどの環境でも一時的にコントロールを奪取するカードと相性が良いのは知っている方もいると思いますが、今回の《忠誠の代価》は宝物を出すカードが多くある黒赤専用ともいってもいいカードです。

 赤黒はサクリファイス以外にも宝物シナジーも多く、除去も強い色のためサクリファイスに寄せなくても強いデッキになりやすいため無理に狙わず、安い巡目でサクリファイス系のカードが取れた時に狙うイメージだと強いデッキになりやすいですね。

注目のアーキタイプ・その6:青黒アンブロッカブル

 「青黒アンブロッカブル」とは、《魂刀のスパイ》や《ユアンティの毒牙刃》などの攻撃を通した際にボーナスがあるカードを《盗人の道具》や《バルダーズ・ゲートのクライドル》でサポートし、継続的にボーナスを得てアドバンテージ差で勝つアーキタイプです。

 上記のカード以外だと、基本的に膠着した状況には強いアーキタイプのため、膠着を打破してくる飛行などの強力なクリーチャーを除去するカードを優先的にピックするようにしましょう。

 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 個人的に今回は緑がダントツで弱く、除去が強い黒は採用しやすく、他の色はどれも戦える印象です。抜けて強いアーキタイプも少ないため、個人のベースの力量が試される難しい環境だと感じてます。やりがいがある環境だと思うので、ぜひ皆さんたくさんドラフトして自分なりの攻略法を見つけてみてください!

 それでは皆さん、また次回の記事でお会いしましょう!

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