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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第46回:『イニストラード:真夜中の狩り』ドラフト攻略

行弘 賢

 皆さんこんにちは! 最近めっきり涼しくなってきて秋の到来を感じさせますね。マジックも『イニストラード:真夜中の狩り』が発売されスタンダードもローテーションしたことですし、マジックと日本のどちらも季節の変わり目といったところでしょうか。

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 さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『イニストラード:真夜中の狩り』でブースタードラフトを行ってきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 それでは、さっそくその内容に進んでいきましょう!

 

 

1.『イニストラード:真夜中の狩り』ドラフト環境のポイント

 『イニストラード:真夜中の狩り』ブースタードラフトでは、本セットのドラフト・ブースターを3パック使用します。

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環境のポイント1:アーキタイプを意識する

 この環境は2色の組み合わせにしっかりとテーマを与えられています。例えば青黒ならばゾンビや腐乱、緑白なら集会など、色ごとに進むべき指針があります。これらの指針となるカードを中心にカードを集めていくドラフトを「アーキタイプドラフト」と言います。

 今回はこれらアーキタイプの中心になるカードを集め、しっかりとシナジーを形成していくことが重要になります。なので、まずは各色の特徴を知ることが重要になります。まだこの環境を始めたばかりの方はぜひ後の項目の注目のアーキタイプを見て色の特徴を覚えてみましょう。

環境のポイント2:クリーチャーのマナレシオを重要視する

 この環境はクリーチャーのサイズがマナ総量から大きく乖離したものがなく、大体パワー/タフネスの合計値がマナ総量の2倍か、2倍から1を引いたものになります。例えばマナ総量3なら2/3か3/2か3/3です。もちろん3/3がこの中だと一番強いので、3/3のクリーチャーはマナ総量に応じたサイズを持ち、マナレシオに優れているということになります。


 このマナレシオに優れたクリーチャーというのはクリーチャーを出し合った場合、相手よりも一方的に盤面を有利にすることができる可能性が高いため、マナレシオに優れたクリーチャーを出し続けるだけでどんどん有利になっていきます。また環境の除去がタフネスを参照するものが多いため、タフネスが3~4以上になると除去も当たりにくくなるのでいつも以上にクリーチャーの基本サイズは重要になります。

 逆にマナレシオに優れていないクリーチャーを採用する場合は、飛行や威迫などの回避能力を持っているか、アーキタイプに貢献するシステムクリーチャーなどの重要な役割を持っているかどうかを考えて採用しましょう。ただマナカーブを埋めるために採用してしまうと、マナレシオの差で何も盤面に影響を与えないことがあるので注意しましょう。

環境のポイント3:赤にご注意を

 赤はクリーチャーのマナレシオも良くなく、除去は黒より弱く、インスタントとソーサリーが重要な色なのにコモンの除去にエンチャントの《炎の供犠》があるなど、今回明らかに不遇となる色です。


 メインカラーにしてしまうとこれらのデメリットを多く抱えてしまうことになるので、一部の除去やアーキタイプに貢献するものをしっかりと見極めて、赤の良いところだけをできるだけ採用するようにしましょう。

環境のポイント4:「夜」を警戒

 今回もイニストラードでは毎度おなじみの狼男がいるため、対峙した時に無償で「夜」にしてしまう……即ち変身させてしまうと一気に不利になってしまう場面も少なくありません。

 この環境は降霊とフラッシュバックによりマナフラッドしづらいようになっているため、5マナ以上のカードを多く採用し空白のターンを作るより、できるだけデッキをシャープにして空白のターンを作らないようにし、後半のリソースはフラッシュバックや降霊に頼る構成を目指すようにしましょう。

 

 以上の4つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう!

 

2.『イニストラード:真夜中の狩り』の収録メカニズムについて

変身

回転

 「変身する」とは、特定の条件を達成したときに第1面から第2面(あるいはその逆)に裏返すことです。基本的に第1面より第2面の方が強力になるように設定されているため、第2面があるカードは第2面になれるよう、条件を達成しやすいデッキ構築を意識しましょう。

日暮・夜明

回転

 「日暮」とは、これを持つクリーチャーが戦場に出た時に対戦相手と自分どちらにも影響する「昼」という状況になるキーワード能力です。また何枚かのカードについては、例外的に戦場に出た際に昼で夜でもない場合、昼にする能力を持っています。


 昼の状況でアクティブプレイヤー(ターンを進行するプレイヤー)が呪文を1回も唱えずに相手にターンを渡した場合、昼が「夜」になります。夜の状況でアクティブ・プレイヤーがターン中に呪文を2枚以上プレイした場合夜が昼になります。

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 このように昼が夜に、夜が昼に切り替わった時にカードによってはボーナスがあったり、狼男は日暮・夜明というキーワードで第1面と第2面が入れ替わったりします。さらに、夜だけ強力な呪文なども存在します。

 昼と夜が入れ替わるのはターンの開始時なので、その間に何かカードをプレイすることはできません。したがって狼男の第1面、第2面が変わる際にも対応して何かすることはできず、ターンが切り替わった時点で変身していることになります。変身した後や昼・夜が切り替わって能力が誘発するものは、すべてアップキープにスタックに置かれます。

集会

 集会とは、自分の戦場にパワーが異なるクリーチャーを3体用意することでボーナスがあることを示す能力語です。


 集会を達成するためには、意識して同じパワーにならないように気を付けてデッキに採用するクリーチャーを選ばなくてはいけないのはもちろんなのですが、《ガヴォニーの銀鍛冶師》のような盤面のパワーをある程度操作できるようなカードが非常に重要になるため、パワーが可変のクリーチャーはできるだけ優先したいですね。

降霊

 降霊とは、墓地にある降霊能力を持つカードをその降霊コストを支払うことで、すでに変身した状態で墓地から唱えることができるキーワード能力です。

回転

 降霊持ちクリーチャーは一般的な変身系のカードと違い第2面が必ずしも第1面より強力ではないので、あくまで墓地に落ちた際に追加で得られるリソースという感覚でデッキに採用すると良いでしょう。降霊後は飛行クリーチャーになるので、戦場が膠着した場合あえて盤面の降霊持ちクリーチャーを死亡させて降霊させたほうがいい時もあります。

 

 さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう。

 

3.『イニストラード:真夜中の狩り』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン

ガヴォニーの黎明護衛》:3マナ3/3と優秀なマナレシオに加えて護法1という除去耐性もあり、継続的にアドバンテージを稼ぐ可能性も秘めた強力なクリーチャーです。

決闘策の教練者》:そもそも自身が3/3先制攻撃と強力な戦闘能力を持っているにもかかわらず、集会を達成すれば誰にでも二段攻撃を付与することができる非常に強力なクリーチャーです。

仮初めの時間》:幅広い対処範囲が魅力の優秀な除去カードです。

白・コモン

蠟燭林の魔女》:2マナ2/2かつ白の貴重な飛行枠として重宝する、いつ引いても嬉しい優秀な2マナクリーチャーです。

ガヴォニーの銀鍛冶師》:能力により集会を達成しやすくなるのはもちろんのこと、呪文の枠を使わずに盤面を強化できる非常に優秀なクリーチャーです。

捜索隊の隊長》:基本的に3マナ以下として扱える、盤面を増やしつつ手札を消費しない、白の屋台骨を支える優秀なクリーチャーです。

青・アンコモン

回転

圧倒される文書管理人》:第1面も第2面も標準以上のスペックを持ち、デッキを安定させることができる優秀なクリーチャーです。

スカーブの世話人》:腐乱持ちのゾンビを最大限活用できるシステムクリーチャー。マナを使わず複数タップできるのは非常に強力です。

ネベルガストの侵入者》:相手の2マナクリーチャーを概ね一方的に倒し、その後は飛行クリーチャーとして攻めることができる優秀なクリーチャーです。

青・コモン

異形の隼》:3マナ2/2の飛行クリーチャーとして優秀なだけでなく、腐乱持ちのゾンビが出ることで多種のシナジーも形成しやすく、非常に使い勝手が良いクリーチャーです。

臓器の貯め込み屋》:盤面にクリーチャーを追加しつつ、墓地リソースも含め多くのアドバンテージをもたらす環境屈指のコモンです。

溺死者の逆襲》:青の貴重な除去かつ、おまけの腐乱ゾンビ・トークンも嬉しい強力な除去です。

黒・アンコモン

冥府の掌握》:2点のライフ損失こそ痛いものの、2マナかつインスタントでの確定除去はあまりにも強力です。

病的な日和見主義者》:除去や腐乱ソンビ・トークンにより、どんどんカードを引いていくことができる環境屈指のシステムクリーチャーです。

流城の血泥棒》:一度攻撃が通り始めればさらに攻撃を通しやすくなる、攻めを継続するに際し重要な役割を持つ強力なクリーチャーです。最低限、他の吸血鬼がいなくても単体で機能できるのがいいですね。

黒・コモン

窓からの放り投げ》:3マナでインスタントかつ、広い範囲を除去できる優秀な除去です。

オリヴィアの真夜中の待ち伏せ》:夜になることでインスタントかつほぼ確定除去として機能するので、狼男などの夜にできるカードとセットで採用することで真価を発揮する除去です。

踊り食い》:そのままプレイすると5マナ必要なため少々重めですが、腐乱ゾンビ・トークンや降霊を持つクリーチャーと組み合わせることで大きくテンポを取ることができる強力な除去です。

赤・アンコモン

熱錬金術師》:フラッシュバックがある環境下においては2マナクリーチャーながら毎ターン複数ダメージを期待できる優秀なクリーチャーです。

安堵の火葬》:2マナのインスタント3点除去はいつだって強力です。

回転

牙刃の盗賊》:第1面も戦闘能力が高く、第2面は全体に修整を与える、盤面への影響力が非常に高い優秀なクリーチャーです。

赤・コモン

忌み者の火刑》:除去かつ本体火力も兼ねる、赤をやる理由の一つともいえる除去です。

祭り壊し》:工夫こそ必要なものの、赤のコモンの中で最もマナレシオに優れたクリーチャーです。

月の憤怒獣の切りつけ》:赤の貴重な軽い除去枠です。

緑・アンコモン

直接射撃》:緑の貴重な除去枠かつ、コンバットトリックとしても使える優秀な除去です。

蟻の隆盛》:1枚で4枚分の働きをする凄まじいカード。これだけで盤面を作れるので、クリーチャーよりも除去が多いデッキの方が真価を発揮できます。

曲芸師の一座》:パワーを選んで場に出すことができるので集会の条件を達成しやすく、集会できればさらに盤面も強化できる、集会能力に都合が良すぎるクリーチャーです。

緑・コモン

影野獣の目撃》:4マナ4/4と優秀なマナレシオを持ち、かつフラッシュバックもついている緑屈指のコモンです。

風変わりな農夫》:アドバンテージをとりつつ墓地リソース獲得も狙える、緑の屋台骨を支えるクリーチャーです。

収穫祭の歩哨》:2マナながらパワー3を持ち、集会を達成すればより上のマナ域のクリーチャーとの相打ちも狙える優秀な2マナクリーチャーです。

 

 続きまして、『イニストラード:真夜中の狩り』の注目アーキタイプを紹介していきます。

 

4.『イニストラード:真夜中の狩り』ドラフトの注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:白青降霊

 「白青降霊」は、白と青に多く存在する降霊を持つカードや飛行クリーチャーの組み合わせで地上を固めて飛行で攻める、古き良き勝ちパターンを持つアーキタイプです。

 白青降霊を目指す場合は、降霊持ちクリーチャーをライブラリーから直接墓地に落としてリソースを増やせる《臓器の貯め込み屋》や《意気盛んな墓守り》と降霊を持つカードを意識してピックしていきましょう。地上は降霊持ちの第1面が固めてくれるので、他の飛行クリーチャーも優先してピックしたいですね。

回転

注目のアーキタイプ・その2:青黒ゾンビ

 「青黒ゾンビ」は、《縫込み刃のスカーブ》のような直接ゾンビを強化するカードや、腐乱持ちのゾンビ・トークンを活かす《スカーブの世話人》のようなカードの2軸で戦うアーキタイプです。


 青黒はそもそも多くの除去やカードアドバンテージを獲得することができる色の組み合わせなので、特にシナジーを意識し過ぎなくとも強い色の組み合わせです。なので《縫込み刃のスカーブ》や《スカーブの世話人》などの一部の強力なシナジーの核となるカードを取れた場合にのみ、ゾンビを意識してピックしていくと良いデッキになりやすいです。

注目のアーキタイプ・その3:緑白集会

 「緑白集会」は、緑と白の集会を持つカードと、集会を達成しやすくする《ガヴォニーの銀鍛冶師》や《森林地の先達》などのパワーを可変できるクリーチャーを組み合わせて、盤面で圧倒して戦うアーキタイプです。


 集会持ちクリーチャーの中でも《曲芸師の一座》、《決闘策の教練者》、《ドーンハルトの管理人》の3体は盤面に与える影響が大きいため、ぜひ優先してピックするようにしましょう。

 
注目のアーキタイプ・その4:青赤スペル

 「青赤スペル」は《祭り壊し》や《熱錬金術師》などのインスタントやソーサリーを唱えるたびに誘発するカードを大量に採用し、それらをバックアップしながら戦うアーキタイプです。


 インスタントやソーサリーを唱えるたびに有利になっていく必要があるため、クリーチャーはまずは軽くて相性の良い《祭り壊し》と《熱錬金術師》を優先的にピックしましょう。ライフを攻めるアーキタイプなのでインスタントやソーサリーの枠には除去も兼ねる火力呪文を優先して採用したいですね。

 フラッシュバック持ちのカードは継続してインスタント・ソーサリーを唱えることができるので、比較的安く取れる《鍵の秘密》や《異世界の凝視》などの唱えやすいフラッシュバック持ち呪文も複数採用するようにしましょう。

 
注目のアーキタイプ・その5:赤黒吸血鬼

 「赤黒吸血鬼」とは、対戦相手がこのターンにライフを失っている時に能力を誘発させる吸血鬼クリーチャーたちを軸に戦うアーキタイプです。

 まずライフを失わせないことには話が始まらないので、《熱錬金術師》や《吸血鬼の侵入者》などの2マナ以下で継続してライフを失わせることができるクリーチャーを意識してピックするようにしましょう。


 攻撃を通す体制さえ整えば、《流城の血泥棒》、《ヴォルダーレンの伏兵》、《吸血鬼の社交家》など非常に効果の高いボーナスを得ることができるので、この3種を意識してピックするようにしましょう。

 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 個人的に今回は赤以外の4色どれもバランスが良い環境だと思っています。今回はプレイアブルなカードが多くシナジーも多い青が補色としてベストカラーなので、青を触る機会を増やしてみると安定したデッキができやすくなるのではないでしょうか。

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

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