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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第37回:『エルドレインの王権』発売! 新環境ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
今週末はついに『エルドレインの王権』の発売日ですね! 世界観がたくさんのおとぎ話などの有名な物語をリスペクトしたものになっていて、個人的に非常にワクワクするセットなので発売日が待ち遠しくて仕方ありません!
さて、しばらく変則的な記事スケジュールが続きましたが、今回は戻って「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:ミシックチャンピオンシップ後の振り返り」の2本立てで、本記事は前編です。
基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドデッキでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。
それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!
1.新環境~『エルドレインの王権』のドラフト
ファーストインプレッション
今回の『エルドレインの王権』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。
- 単色推奨
- 除去よりもクリーチャー優先
- 出来事を意識する
順番に解説していきます。
単色推奨
今回のメカニズムである「一徹」は、指定された同じ色マナが3つ以上支払われている時にボーナスがある能力なため、普段のドラフトより色マナの要求値が高くなっています。マナサポートも少ないため、今回は単色気味にドラフトすることが多くなりそうです。
除去よりもクリーチャー優先
今回は長期戦に強いシステムカードが多く、除去で長期戦に持ち込むようなコントロール系デッキは対戦相手によって裏目を引きやすい環境です。基本的にはクリーチャー軸できちんと殴り切る形を意識してデッキを組んだ方が勝ちやすそうです。
出来事を意識する
出来事クリーチャーは1枚で2枚分の働きをする非常に優れたカードです。アグロを使う際は息切れしにくくなりますし、コントロールが使う際は長期戦により強くなります。単純に強力なメカニズムなので、ぜひとも意識して出来事クリーチャーを積極的に採用するようにしましょう。
ただし、赤の出来事クリーチャーは種類も少ないうえに強力なものが少ないため、出来事とシナジーを求める際は赤を使わないようにしたいですね。また、赤を使う際は出来事クリーチャーによるアドバンテージ勝負は見込めないので、クリーチャーを軸にして積極的にライフを攻める構成を目指しましょう。
ここまでがカードリストを見た最初の感想です。
基本的には単色のアグロデッキを意識しつつ、単色が難しそうな時は2色のアグロを目指すのが環境の基本になりそうです。コントロールやミッドレンジを目指す際は、長期戦になる動機となるような強力なシステムクリーチャーや、レアから入りたいところです。
さて、次は『エルドレインの王権』の新メカニズムについて見ていきましょう。
2.収録メカニズムについて
出来事
ソーサリー or インスタント ― 出来事
~(その後、このカードを追放する。あなたは後で追放領域からこのクリーチャーを唱えてもよい。)
「出来事」とは、出来事として唱えられるクリーチャー・カード(当事者カードと呼ばれます)をインスタントかソーサリー呪文として唱えられるメカニズムを指します。出来事として唱えた場合、呪文の解決時に呪文を追放し、その後、追放領域からクリーチャー呪文として再度唱えることができます。
注意点として、インスタントかソーサリー呪文として唱えたとき、解決前に相手に打ち消されたり、解決時に対象不適正になったりすると、追放されずに直接墓地に行ってしまいます。気をつけましょう。
一徹
一徹 ― この呪文を唱えるために[ある色]マナが3点以上支払われていたなら、~。
一徹とは、指定された特定の色マナを3点以上支払う場合にボーナスが付与される能力です。能力の性質上2色以上でデッキを組むとうまく機能しにくくなるので、単色かそれに近いマナベースのデッキで使いたいですね。
食物
(それは、「{2}, {T}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:あなたは3点のライフを得る。」を持つアーティファクトである。)
食物とは、2マナとタップと生け贄をコストにライフを3点回復するアーティファクトのことです。『エルドレインの王権』にはこの食物とシナジーを多く発揮するカードがあるため、単純にライフを回復する機能以外にもあらゆる場面で活躍します。
3.『エルドレインの王権』の注目のカード
さて、それではここからは色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
白・アンコモン
《赦免のアルコン》:飛行の優秀なアタッカーとしてだけでなく、相手に攻撃させにくくすることでダメージレースを優位に立つことができる、強力なクリーチャーです。
《獅子の爪、エイリン卿》:攻撃時に全体強化は、さすがにアンコモンとしては破格の性能ですね。
《ガラスの棺》:システムクリーチャーが多い環境なので完全除去は重宝しそうです。
白・コモン
《アーデンベイルの戦術家》:飛行かつ騎士、さらに無理やり盤面をこじ開ける呪文としても使える、正直デッキに何枚あっても嬉しいカードです。
《羽ばたき狐》:ほぼ2/2飛行として機能するので、優秀な2マナクリーチャーですね。《跳ね橋》と一緒に使いたいです。
《フェアリーの導母》:適当にクリーチャーを飛ばして打点を稼いだ後に1/1飛行が残ればそれだけでなかなか厄介なものです。白アグロのダメージレースを大きく助けてくれる1枚ですね。
青・アンコモン
《具眼の主、エレノラ卿》:キャントリップが付いているにしてはハイスペックなクリーチャーですね。除去耐性については忘れがちなので、相手にした場合は注意しましょう。
《フェアリーの荒らし屋》:デッキこそ選ぶものの、どんどん強化されていく2マナの飛行クリーチャーは強力です。
《カボチャ変化》:ドロー付きのバウンス呪文なので手札を失わずに相手に干渉することができます。流れで2枚以上引いたら、食物・トークンとシナジーを持つカードと組み合わせるとより強力ですね。
青・コモン
《魔法の眠り》:いつものタップさせる青の除去エンチャント枠。今回はエンチャントをコントロールしていると効果を発揮するカードがあるので、シナジーも見込めていつも以上に評価が高くなりそうです。
《鋼睨みのグリフィン》:多少手間はかかるものの、5マナのパワー4の飛行クリーチャーは強力ですね。
《マーフォークの秘守り》:相手のライブラリーを削り、相手の墓地の枚数を参照にするカードを強力に使うことができる、墓地シナジーの要となるカードです。
黒・アンコモン
《厳格な者、コンラッド卿》:1体で勝つことができる環境最強のフィニッシャーです。下手なレアよりずっと強いです。
《真夜中の騎士団》:支払いを分割できる《グレイブディガー》であるだけでなく、本体が飛行かつ2ターン目から出すこともできる、使い勝手の良い優秀な出来事クリーチャーです。
《沼のいたずら好き》:パワー3の飛行というだけでなく、繰り返し使える除去能力付きはさすがに大盤振る舞い。食物を生成するカードが多い緑と合わせて使いたいですね。
黒・コモン
《パイ包み》:インスタントの完全除去はコモンとしては破格の性能。おまけの食物も嬉しいですね。
《魂裂き》:除去できる範囲は大きくないものの、システムクリーチャーを除去するにはもってこいの除去です。
《恋に落ちた剣士》:出来事とクリーチャー、どちらもライフを回復することができるため、ダメージレースを優位に進めることができる優秀な2マナクリーチャーです。
赤・アンコモン
《殺戮の火》:普通に使っても3マナ3点インスタントなので強力なのですが、一徹となると4点となり、除去できる範囲が一気に広くなるので、できれば単色気味のデッキで使いたいところですね。
《勇敢な騎士、カラ卿》:5マナと重いながら優秀な「ティム」(《放蕩魔術師》)の能力を持っています。膠着状態に持ち込めば本体に撃ち続けてアドバンテージ差を広げることができる、1体でゲームを支配できる強力なクリーチャーです。
《狂ったネズミ飼い》:追加ドロー手段こそ用意する必要があるものの、2体のネズミが毎ターン沸けばそれだけでゲームの勝利に直結する、強力なシステムクリーチャーです。
赤・コモン
《焦熱の竜火》:本体にこそ飛ばないものの、インスタントの優秀な除去です。
《谷の商人》:追加ドローで誘発するデッキのキーパーツ、かつ他のデッキでも潤滑油として申し分のない性能の、優秀なシステムクリーチャーです。
《硫黄投石器》:騎士・クリーチャーが多い赤にピッタリの1枚。白も騎士が多いので赤単か赤白で使いたいですね。
緑・アンコモン
《エッジウォールの亭主》:ただでさえ強い出来事クリーチャーをより強く使えるシステムクリーチャー。マナ・コストが1マナと軽いのがいいですね。
《豆の木の巨人》:土地を伸ばしつつ自身もフィニッシャーとなる、強力な出来事クリーチャーです。
《寓話の守り手》:攻撃が通るたびにドローし続ける強力なシステムクリーチャーというだけではなく、自身も4/5と戦闘力が高い、非常に優秀なクリーチャーです。
緑・コモン
《獰猛な魔女跡追い》:4マナ4/4トランプルだけで大盤振る舞いのスペックなのに、食物まで出しちゃうとんでもないやつです。
《筋骨隆々》:強化しつつ除去できるだけでなく、一徹で使えば格闘で受けたダメージを気にせず戦闘にも加われる、強力な除去です。
(編注:《筋骨隆々》に印刷されたテキストには誤訳があります。詳しくはこちらをご確認ください。)
《ギャレンブリグの木工師》:コンバット・トリックとして使った後にクリーチャーとしてもプレイできる、優秀な出来事クリーチャーです。
4.『エルドレインの王権』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:青白飛行
「青白飛行」は、《羽ばたき狐》や《輝き追い》などのアーティファクトやエンチャントがあると強化されるクリーチャーを軸に飛行で攻めるアーキタイプです。
《跳ね橋》から速攻を付けつつアーティファクト・カウントを稼ぎ飛行で押し切る動きが強力なので、《跳ね橋》は優先してピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その2:赤白騎士
「赤白騎士」は、文字通り赤と白の騎士を、各種騎士をバックアップするカードで押し込むアーキタイプです。
最重要は《鼓舞する古参》で、これが序盤でピックできたらぜひ狙いたいですね。また、白単気味にピックしつつ、赤の騎士や騎士シナジーの赤のバックアップ呪文だけタッチするのもありです。その際は《試合場》が色マナの助けになるので、優先してピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:黒緑食物
「黒緑食物」は、黒と緑の食物・トークンを生成するカードを《限りない食欲》や《誘いの魔女》などで有効活用するミッドレンジのアーキタイプです。
黒緑という色の性質上、どうしても除去と優秀なクリーチャーに頼りゲームを長引かせる感じに組みがちですが、《誘いの魔女》と《限りない食欲》はどちらも攻めに向いたカードなため、基本的には攻める意識を持ってカードの選択をするようにしましょう。
《獰猛な魔女跡追い》は食物を出しつつ《限りない食欲》とも相性が抜群なので、最重要カードとなります。
(編注:《限りない食欲》に印刷されたテキストには誤訳があります。詳しくはこちらをご確認ください。)
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回のドラフトは、一徹メカニズムを持つカードが多く、4マナに混成マナのアンコモンシリーズが多く用意されている都合上、単色が推奨されている環境です。いつもの感覚より色を絞ってピックするように気を付けたいですね。
2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)後には、再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。
それでは皆さん、また次回の連載の記事でお会いしましょう!
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