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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第28回:『ドミナリア』ドラフト 答え合わせ編

行弘 賢

 皆さんこんにちは! 今回は前回から続いての後編ということで、いつも同様に「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」をしていきましょう。

 今回もプロツアーに参戦してきたので、プロツアー後の振り返り、しっかりやらせていただきます。

 

1.プロツアーを終えて環境のまとめ

 前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこちら。

  • 除去が強い反面、低コストのクリーチャーのスペックが低いため勝負は中盤戦以降になりそう。
  • ミッドレンジ以降のアーキタイプではカードアドバンテージの獲得、除去、高レアリティの3つが重要となるためそれらを意識したい。
  • 地上は低コストのキッカー持ちクリーチャーなどで膠着しやすいため、ビートダウンを組む際は装備品か飛行クリーチャーが必須になりそう。

 そして、その後の実際の練習過程やプロツアー『ドミナリア』で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。

80点:除去が強い反面、低コストのクリーチャーのスペックが低いため勝負は中盤戦以降になりそう。

 1~2マナ域のクリーチャーは各色で攻めに向いたものが少なく、低マナ域からマウントポジションで決まるゲームは多くありません。

 ですが、赤は《血石のゴブリン》や《ギトゥの溶岩走り》など、多少工夫は必要なものの序盤からプレッシャーを与えるクリーチャーが存在するので、他の色と違い赤だけは序盤からしっかり攻めることができます。

 また、白も《ペガサスの駿馬》という2マナのクリーチャーを肯定するカードが存在するため、しっかり攻めることができる色です。

80点:ミッドレンジ以降のアーキタイプではカードアドバンテージの獲得、除去、高レアリティの3つが重要となるためそれらを意識したい。

 ビートダウンが環境に多くない前提ならば、ミッドレンジ以上のレンジでの勝負になりやすく、そうなると《予言》などのドロースペルによるアドバンテージソースや、《臓腑抜き》などの相手の脅威に触れる除去、ゲームを決定づけるフィニッシャーの枚数によるゲームになりやすく、これら3種を意識することは非常に重要です。

 ですが、赤緑や赤青のようなテンポのみを意識したしっかりとしたビートダウンも環境に存在するため、勝ち切るためにはビートダウンもしっかり意識する必要があります。

50点:地上は低コストのキッカー持ちクリーチャーなどで膠着しやすいため、ビートダウンを組む際は装備品か飛行クリーチャーが必須になりそう。

 地上は2マナに1/3サイズが多く、盤面を膠着させやすい環境ではあるのですが、膠着を打破しやすいコンバットトリックを多く使える赤緑と、ウィザード・シナジーで盤面をこじ開けていく赤青の2つのアーキタイプは装備品も飛行もなくても十分戦えるため、装備品と飛行クリーチャーが必須とは言えなさそうです。

 とはいえ青白や赤白などの、白が絡むビートダウンは装備と飛行クリーチャーが重要なので、白をやる際は意識する必要があります。

 

2.新・環境のまとめ

 以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。

  • ビートダウンをするなら白か赤を中心にピックしましょう。
  • それ以外の色を中心にピックしていく際はアドバンテージソース、除去、フィニッシャーを意識してピックしましょう。
  • 赤をピックする時は地上戦をこじ開けるコンバットトリックやウィザード・シナジーを意識しましょう。
  • 白をピックする時は盤面が膠着しないように回避と装備品を意識しましょう。
 

 さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。

3.各種注目アーキタイプ

注目のアーキタイプ・その1:赤緑ジャイグロ

 赤緑ジャイグロは、《血石のゴブリン》と《炎矢師、ハラー》をキッカー持ちの呪文でバックアップして攻め続けるアーキタイプです。

 キッカー呪文で重要なものは《シヴの火》、《成長の資質》の2種。また、《猛り狂い》はキッカーこそないものの、戦線を突破しつつダメージを追加できる強力なコンバットトリックなので、これらを意識してピックしましょう。

 緑は低マナのクリーチャーが攻めに向いたものが少ないため、低マナをジャンプアップできる《ラノワールのエルフ》は貴重な存在です。優先してピックしましょう。

 
注目のアーキタイプ・その2:赤白装備

 赤白装備は、《炎のチャンピオン》と《炎の番人、ヴァルダーク》を装備品やオーラでサポートしていく、コンボ要素が強いビートダウンです。

 どちらもアンコモンであるため揃いにくいものの、流れで合わせて2枚以上ピックできたら意識してピックし始めましょう。

 装備品としては《小剣》と《馬上槍》の2種類が重要で、攻めの継続率と使いやすさが魅力的です。

 また、オーラは《叙爵》が攻めやすく、《メサ・ユニコーン》などにつけてもお手軽フィニッシャーとなるためオススメです。

 
注目のアーキタイプ・その3:緑白トークン

 緑白トークンは《騎兵呼集》や《苗木の移牧》などのトークン生成カードを《突撃》や《フレイアリーズの歌》、《野生の猛攻》などの全体強化カードでバックアップしていくアーキタイプです。

 緑白はマルチカラーの《シッセイの後裔、シャナ》もトークンと相性が良く、《シッセイの後裔、シャナ》が遅く流れてきた時や、緑をやっていて白の流れが良い時は積極的に狙っていきましょう。

 全体強化が無い時は攻めを継続するのが難しく、地上戦を突破できないため、《突撃》などの全体強化は優先的にピックしましょう。

 

 以上、3つの注目のアーキタイプでした。

 他にも「緑多色」や「赤黒除去コントロール」など、まだまだたくさんのアーキタイプがありますので、ぜひ皆さんで新たなるアーキタイプを見つけてみてください。

 

4.『ドミナリア』のトップコモン&アンコモン

 前回も『ドミナリア』の各色トップ3を挙げましたが、今回はその改訂版です。

 前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。

白・アンコモン
トップ3(変更なし)
セラの天使
模範となる者、ダニサ・キャパシェン
封じ込め
白・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
ペガサスの駿馬 ペガサスの駿馬
アヴナントの罠師 エイヴンの歩哨
祝福の光 祝福の光

in

アヴナントの罠師》:攻めを継続しやすくする、強力なシステムクリーチャーです。

out

エイヴンの歩哨》:白の4マナは混みやすいマナ域なので評価を下げました。

青・アンコモン
トップ3(変更なし)
ボーラスの手中
氷河期
逃亡者、梅澤哲子
青・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
一瞬 一瞬
アカデミーの修士魔道士 中略
雲読みスフィンクス 雲読みスフィンクス

in

アカデミーの修士魔道士》:バウンス内蔵クリーチャーかつウィザード・シナジーも期待できる強力なクリーチャーとして評価を上げました。

out

中略》:相手に干渉できる呪文としては裏目が少なく依然強力な打ち消し呪文ですが、相対的に評価を下げました。

黒・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
最古再誕 最古再誕
喪心 喪心
意趣返し サリッドの予言者

in

意趣返し》:ダブルシンボルがネックではあるものの、確定除去はやはり強力です。

out

サリッドの予言者》:システムクリーチャーとして強力ではあるものの、黒緑以外では少し使いにくいので評価を下げました。

黒・コモン
トップ3(変更なし)
死花のサリッド
臓腑抜き
不純な捧げ物
赤・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
火による戦い 火による戦い
魔術師の稲妻 魔術師の稲妻
スキジック 炎の番人、ヴァルダーク

in

スキジック》:ダメージレースを一気にひっくり返すだけでなく、キッカーシナジーも見込める、赤系ビートダウン必須のクリーチャーです。

out

炎の番人、ヴァルダーク》:はまった時の爆発力はあるもの、デッキを選びすぎるので評価を下げました。

赤・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
シヴの火 シヴの火
ギトゥの年代記編者 ギトゥの年代記編者
血石のゴブリン ケルドの軍監

in

血石のゴブリン》:赤の貴重な、攻められる2マナクリーチャーとして評価を上げました。

out

ケルドの軍監》:攻めるデッキでは依然として強力ではありますが、相対的に評価を下げました。

緑・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
孤独な王、グラン 菌類の勢力範囲
胞子冠サリッド 胞子冠サリッド
荒々しいカヴー 荒々しいカヴー

in

孤独な王、グラン》:緑ならばどの色の組み合わせで使っても文句が無い、強力なフィニッシャーです。

out

菌類の勢力範囲》:他に苗木を生み出す手段が無い場合はデッキに入らないことも多いため、評価を下げました。

緑・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
ラノワールのエルフ ラノワールのエルフ
苗木の移牧 マンモスグモ
ヤヴィマヤの苗飼い 灰からの成長

in

苗木の移牧》:赤系のキッカーが必要なアーキタイプ、黒緑などの苗木が必要なアーキタイプ、白系のトークン系の全体強化するアーキタイプ、どれでも必要なカードであるため、評価を上げました。

ヤヴィマヤの苗飼い》:地上を膠着させたり、全体強化の土台を作ったりと安定感ある3マナクリーチャーとして評価を上げました。

out

マンモスグモ》:飛行をガッチリ止めるナイスブロッカーとして強力なクリーチャーではありますが、相対的に評価を下げました。

灰からの成長》:多色をする際は重宝しますが、逆に多色以外ではあまり使わないので評価を下げました。

 

 以上、各色トップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。

5.最後に

 『イクサランの相克』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。

 今回のプロツアーは初日3-0で2日目2-1で合計5-1とドラフトの調子が良く、プロポイント10点を獲得して来シーズンのプラチナ・レベルも確定させることができ、充実したプロツアーとなりました。

 プロツアーで活躍するにはドラフトは非常に重要となるので、ぜひ皆様もプロツアーの活躍を目指すなら、もしくは目指さなくてもドラフト自体が非常に楽しいので、たくさん遊んでみてください!

 では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!

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