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なかしゅー世界一周
なかしゅー世界一周2011・第12回:ウィーン、ブダペスト
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.06.16
なかしゅー世界一周2011・第12回:ウィーン、ブダペスト
By 中村 修平
ブロック構築の練習にグランプリ・シンガポール、そしてプロツアー・名古屋。
あのチェコ旅行から気がつけば1ヶ月少々も経過しているという事実に驚愕していますが、それ以上に愕然としたのはチェコ編が見込みのまだ1/3程度。
ここのところ毎週のようにあるプレミアイベントと、順調に積まれていく写真とネタの前に、果たしてお題目通り、先週の私にまで戻すのにあと何回くらい必要なのかちょっと予測が立てられない状況ですが、
今週のグランプリ・カンザスシティが終われば、シーズン前半戦が終了。
日本選手権まで1ヶ月少々の空白期間と、8月中旬に開催されるグランプリ・上海までの更に1ヶ月の中休みがあるので、その間に連載を追いつかせるという形になりそうです。
さて、前回はジュザの家があるチェコ西部の街ピルゼンでの自堕落生活とジュザの生態についてのレポートが主でしたが、1週間もこんな生活をしていると、流石にこのままではマズいと気づくのには充分です。
何せ酒量は増える、基本食っちゃ寝、マジックしてない、むしろ仕事と名のつくものをやっていないという完全に駄目人間ライフそのものの生活。
せっかくのヨーロッパ滞在をこんな快適な、いや勿体無いことに費やしていて良いはずがありません。
もともと、この週はフランスとスイスの国境沿いで開催されるヨーロッパ最大のヴィンテージトーナメントにでも行こうかと思っていたのですが、以外と遠いことが判明して頓挫。
それに代わる自分内企画として、突発的にオーストリアのウィーン、そしてハンガリーのブダペストに行ってみようということになりました。
ちなみに思いついたのはピルゼンのメインストリート、アメリカ通りをジュザと二人で歩いていた月曜日の深夜12時過ぎあたり、何故か警官に呼び止められてパスポートの提示を求められた時のこと。
初めは真剣だったジュザの受け答えが途中から半笑いになったあたりで警官の悪ふざけだったのが解ったのですが、そういえば飛行機以外で国境を超える経験ってあまりしたことがなかったな、ハンガリーってここから近いけど行ったことないな、そろそろ風呂が恋しいけどそういえばハンガリーといえば温泉の国らしいじゃないか、なんて感じの物凄く軽いものでしたが、その夜の内にルート調べをしたり、ジュザにバスや電車のダイヤを調べてもらったりしているうちに、たちまち具体的なプランができてしまいました。
ということで3泊4日の小旅行に出発です。
一応、前夜に作成した日程表では今日はピルゼンから電車でプラハに、そこから乗り継ぎでお隣りの国オーストリアの首都ウィーンで現地在住のレベル3ジャッジ、クリスティアン・ガリロウィッチさんの家に泊めてもらってそこから日帰りでブダペストに向かうというプランです。
懸念だったプラハでの乗り換えもなんとか消化して電話で待ち合わせ場所を確認。
この生活を始めたての頃には無かった渡航先でもインターネットに接続できる環境に加え、コミュニケーションとして抜群の手軽さがあるフェイスブックに海外でも通話可能な携帯電話。十年一昔とはまさにその通り。たぶん次の10年でも私は今はまだ考えつかないようなことが当たり前として通用する社会を振り返ることがあるんでしょうね。
でも、今はどちらかというと2年前の思い出を辿る作業です。
無事、ガリロウィッチさんと駅のプラットフォームで合流、近くのカードゲームショップでドラフトをした後で、街を横断する形でお宅まで。
前回のグランプリ・ウィーンで訪れた場所で記憶にある場所、建て替え工事中のウィーン南駅、前回連れて行ってもらったお勧めのホットドッグスタンド。オーストリア名物の炭酸飲料アルムドゥーラーにホットドッグ。
こういうことで変化を楽しめるようになる日が来るということも10年前からは想定外でしたが、たぶん幸せなことなのでしょう。
想定外ついでに、この夜のドラフトは新たなるファイレクシア環境2回目のドラフトでドイツ語版に戸惑いつつも《大修道士、エリシュ・ノーン》が初手取りできたこともあり3-0だったのですが、そこから先は長い長い谷に落ちてしまうことになります。
その話は次回に取っておくとして翌早朝、ウィーン北駅からブダペストまで出発です。所要時間は更に短く3時間程度。
前後しますが、チェコからオーストリアに向かう時には、ある地点を境に車内のアナウンスが切り替わり、直後に訪れた車掌の切符確認でも『チャオ』から『グーテンターク』へと変化したのに驚きました。
ただ今回は、早朝だったというのもあるかもしれませんがそういうこともなく、至るところに見える巨大な風車とドナウ川を眺めていると、気がつけば到着といった感じでした。
特に改札はないが常に監視員にチェックされるから切符は絶対に買っておけ、というガイドブックの指示に従い、いちいち買い直すのが面倒だからと24時間通用の切符を買ってみると、改札で待ち構えている監視員が24時間切符の存在自体を知らずに押し問答という自動改札機の素晴らしさを再認識するような経験をしつつも、それ以外はつつがなく市街まで到着。
中央市場でちょっと早い昼食を食べつつ、いよいよとりあえずは目標にしていた温泉に行ってみることにします。
市場がある東岸ペスト市からドナウ川を挟んで西岸のブダ市側のゲッレールト温泉へ。
ブダペスト市は元々は2つの市が別々にあったものが発展と共に合併したもの、似たような例だとイェールとサレムのエルサレムなんかもそうらしいですが、ブダペストではドナウ川を挟んで建物の様式すら若干違っていて中々に面白い風景です。
話を温泉に戻しましょう。数ある温泉の中でも、ホテルの付属施設、歴史的に価値アリ、しかも調度品がアール・ヌーヴォー調というのに惹かれて行ってみたは良いのですが・・・
料金が高い、設備が古い、対応が適当など残念な部分が目に付く結果に、しかしそれらよりも遥かにショックだったのが、日本の温泉と違い温度が低いこと。
普通の風呂で36度。一番高いプールの水温でも38度。どうやらこちらの温泉というものは温水プールの延長っといった形の代物のようです。
そう考えるととても合点が行くには行くのですが、日本式温泉を想定していた、というより夢想していた私にとっては完全に期待はずれ、早々に切り上げてブダ城見物に行くことにしました。
ブダ城はドナウ川沿いを上流に1キロほど歩いた場所にあります。地下鉄、バス共通の24時間券があるので適当なところでバスを拾おうと城に向かって歩いている間に目的地まで着いてしまいました。
街全体を見下ろす小高い丘の上に城壁で積まれた、いかにもな西洋の城があるという光景。
丘全体が丸ごと敷地となっていて現在は美術館や教会、博物館などとして使われています。歩いてでも遠回りすれば登れるのですが、せっかく目に付いたしということでロープウェイを使って一気に上まで。
やたらと《戦隊の鷹》に似ている彫像付近から見下ろすペスト市側の風景と、逆のブダ側の風景。
当然景観を意識するなんらかの法規制があるのだとは思いますが、ここからの風景が私のブダ市とペスト市のイメージの大半を作っていますね。
ハンガリーの英雄王、聖イシュトヴァーン像を横目に城の大聖堂、マーチャーシュ聖堂を見物しようとしたのですが、クレジットカードが使えずに所持金不足という情けない理由により断念。
まあ仕方ないかとペスト側の城壁にある漁夫の砦の上で柳絮が舞う市街の風景を眺めていたのですが、気がつけば結構な時間です。
ライオンがトレードマークのセーチェーニ鎖橋からペスト市側に戻って、聖堂を見られなかった代わりに聖イシュトヴァーン大聖堂を帰りがてらに見ることにして、近くのハンガリー料理店で夕食。
何か適当にお勧めのハンガリー料理をお願いします。と頼んでみたら出てきたのはロールキャベツ的なものでした。
昼食もそうだったのですがパプリカがふんだんに使われていて独特な風味がします。チェコ、オーストリア料理でもパプリカを使うには使うのですが、割合が格段に違います。お隣り同士、かつては同じオーストリアという国であったことを考えると中々に興味深いです。
もっとも、てっきり無料だと思っていた付け合せのパンが食べた分だけ後から請求されたのはこのあたり共通の文化らしく、後でガリロウィッチさんにそのことを話すとオーストリアもそうだよと言われて、やっぱり文化的な接点は大きくあるような、ないような。
そうこうするうちに帰りの電車の刻限が近づいてきました。
ある程度余裕を見ての行動だったはずですが、地下鉄で間違えて反対側の路線に乗ってしまったりで到着したのは出発10分前、そこからどの列車がウィーン行きか尋ねている間に時間が過ぎ去っていき、乗車できたのは3分前といったところ、
もしここで乗り遅れて、もう1泊してたとすると・・・
現金の持ち合わせが全く無いという以外、それはそれで楽しかったかもしれません。
まあ、そんな心配もウィーンへと帰る旅路に乗れていればこそ。
睡眠不足気味なところにきて、一日中動きまわったことが重なり気がつけばウィーンに到着。というよりあと一歩でベルギーのブリュッセルまで行ってしまうところでした。
翌日はウィーン市内を観光する予定だったのですが、気がつけば午後2時を廻ったあたり、やはり疲れが相当溜まっていたようです。
ガリロウィッチさんの勤め先、ウィーン工科大学前で合流して近くのカードゲームショップで再びドラフト。ドイツ語の、というより新たなるファイレクシアのカードも理解が進み、イラストを見てだいたいのテキストは思い出せるようになってきました。
デッキの方は試してみようと思っていた黒緑以外の感染デッキ、青赤と白赤で1-2が2回。出来を考えるとこんなものだろうと思ってはいたのですが、ここからが始まりでした・・・
翌朝、ガリロウィッチさんに調べてもらった一番安い手段、長距離バスを使ってプラハまで。
車でかつての国境検問所を通るという、実は初体験なことを経験しつつプラハには昼頃に到着。のちジュザと合流。
新たなるファイレクシアの正式な発売日はこの日です。いよいよグランプリまで1週間、この週末にはトライアルも開催され、プラハで毎日ドラフト練習と、ようやくマジックプレイヤーの生活らしくなってきました。
次回はそんなプラハでの最後の1週間と、お世話になったチェコの人達、そしてグランプリについてとなる予定です。
それではまた世界のどこかでお会いしましょう。
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