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木曜マジック・バラエティ
射場本正巳の「カジュアルマジックのススメ」 第3回:新しい遊び方を探そう!
読み物
木曜マジック・バラエティ
2011.12.08
射場本正巳の「カジュアルマジックのススメ」 第3回:新しい遊び方を探そう!
著者紹介:射場本 正巳
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さて、今回のカジュアルマジックのススメは、ちょっと趣向を変えてカジュアルな遊び方の発見をテーマにお送りします。
まずご紹介するのは、10月ごろ同僚のスティーブやジェームスとよく遊んでいた「ウィンチェスタードラフト」という遊び方。
これはウィンストンドラフトとロチェスタードラフトの融合で、2人プレイ用のルールです。
~ルール概要~
- それぞれのプレイヤーは3パックを見ないで開封し、よくシャッフルする。
- お互いに2枚ずつをオープンして場に出す。
- 先攻のプレイヤーは公開されたカードのうちの1枚をピックし、今取った空のパイルと取らなかったパイルすべてに1枚ずつカードを追加する。
- これをパイルがなくなるまで交互に繰り返す。
このルールのいいところは、自分と相手の山が一緒にならないのでお互いに3枚ずつのレアを取るチャンスがあることですね。
逆にウィンストンのように相手が何を取ってるかわからないドキドキ感はないので、より戦略的なゲームといえるかもしれません。
僕達はこれを3人用のルールにアレンジして遊んでいました。
3人プレイの場合は最初のセットアップが少し異なります。
~3人プレイ用バリアント~
- 先攻のプレイヤーの左隣のプレイヤーが6枚のカードを5つのパイルに配る。(1つのパイルだけカードが2枚ある。)
- プレイヤーは1つのパイルをピックし、今取った空のパイルに2枚、他のパイルに1枚ずつカードを追加する。
後は通常のウィンチェスターと同じです。
ドラフト後は3人マルチプレイヤーで戦い、最初に2本先取した人が勝ちと言うことになります。マルチプレイヤーですので2本目は先に勝ったプレイヤーが他の2人に共同攻撃され、3本目は勝っている2人がつぶしあうので3人目が勝つという流れになることが多いです。
大体4本目までもつれ込みますが、その分長く遊べるのがいいですね。
3人バリアントはどのドラフトフォーマットでも遊べるので、ちょっと時間があったら試してみるとおもしろいかもしれませんよ。
■ホード・モード!
さて、では今日の本題「大群マジック」についてご紹介しましょう。
(大群マジックについては先々週の塚本君のデッキ構築劇場でも紹介されていましたので、そちらも参考にどうぞ。)
開発部ではあいもかわらずコマンダーが大流行なわけですが、先月ケンが「ホード・モードで遊んでみようぜ!」と言ってきたのがきっかけで何度かプレイしてみました。
そのときはケンもルールがよくわかってなかったみたいだったので、記事(『上上下下左右左右シャッフル!』)を読みながら僕も対コマンダー用のホードデッキ作りに挑戦することになったのです。
○ルールの明確化
ルールを読んでまず思ったのが、このままでは曖昧な部分が多すぎて一般化はできないということでした。これはそもそもがゾンビの大群でホードを作ることを前提にしているからにほかなりませんが、極端な話、トークン96枚と4枚の《明日の標》があれば無敵ホードが出来上がるようなことが容易に想像できたからです。
マーク・ローズウォーターが言うように、ゲームには制限が必要です。そこでホードを一般的なフォーマットにするためにいくつかの条件を付け足すことにしました。
まずは上記のような問題を解決するため、トークンの上限は50体ということからスタートします。
○ホードのコンセプト
フォーマットを構築する上でコンセプトを明確にすることは必要不可欠です。
理想とするホードとは大群であり、プレイヤーを押し潰すことだけしか頭にない、判断能力を持たない集団です。できることなら同一の種族で構成され、関わりのない呪文は極力排除されるべきでしょう。
そこで、トークン以外にクリーチャーを40体以上、クリーチャー以外の呪文は10枚までとすることにします。
また、プレイヤーによってプレイされないため、徹底的なオートメーション化が必要になります。
○マナの取り扱い
ホードはマナによる制限を受けないという部分は、ホードが押し寄せるさまをよく表しています。しかしマナによる制限を受けなかった場合、X呪文や起動型能力は大変なことになってしまうでしょう。
そこでマナによる制限を受けないのは呪文を本来のコストで唱えるとき、およびクリーチャーの維持や攻撃の制限を解除する目的でのみ使用可能とします。X呪文はもちろんキッカーコストを支払うこともありません。
また、判断能力を持たないので起動型能力を使うことはありません。
○手札の概念
現状のルールでは、ホードは1ターンに1枚しか呪文を唱えられないのに、手札に戻された場合は合計2つの呪文を唱えるという部分で矛盾が生じています。
また、ホードから唱えられたカードは手札から唱えたことになるのか、カードを引く効果でカードを引いた場合どうなるのかの明確な回答がありません。
そこで、ホードにとってホードデッキそのものが手札でもあるかのように扱うこととします。
ホードデッキから唱えられたカードは手札から唱えられたものとみなし、手札にカードが戻されるときはホードデッキに加えてシャッフルします。
そして、手札の枚数を増減させる効果の影響を受けません。(手札破壊によってカードを捨てさせられることもありませんし、カードを引くこともありません。)
本来判断能力を持たない集団である以上、ホードが手札をもつ必要はないのです。
ホードデッキはライフの役割を持つことを含めて「ホードデッキ自体が生き物である」特別な存在なので、この変更は特別感を追加することができるでしょう。
○ライフの概念
ホードデッキのライフはデッキそのものといえます。しかし、プレイヤーの持つライフとは異なります。ですのでライフ回復の効果でデッキが回復することはありません。ダメージやライフの損失のみデッキが肩代わりするということになります。
○ランダマイズ処理
「対象をとる効果がある場合は可能な限りランダムに行う」とありますが、いくらランダムでも自分のクリーチャーを破壊したり相手に+修正を与えるのはちょっとおかしな話です。(まあ大群であるので少しくらいおかしなやつがいることもあるでしょうが)
ホード側の目的がプレイヤーを押し潰すことにあるとするなら、第一目標はプレイヤーであるべきです。
そこで、対象の優先順位を以下のようにします。
・負の効果を与える場合(ダメージを与える、パーマネントを破壊するなど)
第1優先:プレイヤー
第2優先:プレイヤーのコントロールするクリーチャー
第3優先:プレイヤーのコントロールするその他のパーマネント
・正の効果を与える場合(ターンを得る、クリーチャーを強化するなど)
この場合は、プレイヤー側が考えるそれにふさわしいホード内の対象の中からランダムに選んでください。
また、従来のルールではプレインズウォーカーがいる場合はホードはランダムに攻撃先を決定するとありますが、この部分は常にプレイヤーを攻撃するものとすることに変更します。
○土地
ホードデッキに土地はなく、呪文を使うときにマナの心配が要りません。
それに対してプレイヤー側のマナは有限です。そこで《ハルマゲドン》のような効果でプレイヤー側が不利になることがないよう、プレイヤーの土地は保護されます。
これは、いかなる効果でも土地が破壊されたり取り除かれることはないということです。
○禁止カード
ホード・モードではホードの撃破が目的となります。その目的を不可能にするエルドラージ3人衆はあってはならないものですので、禁止とします。
これに関しては、「ホードデッキは山札ではない」、「ホードが受けたダメージ分のカードは墓地に置かれるのではなく取り除かれる」などの変更を加えることで回避は可能ですが、できる限り現存のマジックに近い単純さをキープしたほうが整合性が取れますし、そもそも能力が強いので禁止が妥当でしょう。
○初期ライフと準備ターンの変更
現状のルールではプレイヤー人数によって難易度が格段に違っています。
総ライフとホードデッキの枚数減少はおあいこだとしても、戦闘に参加する人数が減ってるのにホード側のデメリットがないのはおかしいでしょう。
そこで、ターンとライフについて以下のような変更を加えます。
- プレイヤーのライフは何人プレイでも100とする。
- ホードデッキの枚数は100枚、プレイヤー数によって枚数が変わることはない。
- プレイヤーは1人でホードと戦うとき、準備ターンとして5ターンを得る。人数が一人増えるごとに得られるターンは1少なくなる。
■デッキ構築
以上のようなルールを独自に追加した上で、ホードデッキをいくつか組んでみました。
ここにサンプルデッキをいくつかあげます。
-土地(0)- 4 《死の門の悪魔》 4 《地獄彫りの悪魔》 4 《黒死病の悪魔》 4 《強奪する悪魔》 4 《深淵からの魂刈り》 4 《束縛の皇子》 4 《うろ穴生まれのバーゲスト》 4 《要塞の監視者》 3 《戦慄の憑依魔》 1 《穢すものラクドス》 1 《マルフェゴール》 1 《夜のスピリット》 1 《真実を捻じ曲げるもの、逝斬》 1 《沼地の王ソルカナー》 -クリーチャー(40)- 50 デーモントークン(5/5、飛行) -トークン・カード(50)- |
3 《疫病風》 4 《火群れのどよめき》 2 《総帥の召集》 1 《明日の標》 -呪文(10)- |
-土地(0)- 4 《魅力的な執政官》 4 《黄昏の番人》 4 《絶望の天使》 2 《敵対の大天使》 4 《天使の調停者》 4 《銀の熾天使》 4 《別館の大長》 4 《浄火の大天使》 4 《太陽破の天使》 1 《黎明をもたらす者レイヤ》 1 《大天使レイディアント》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《怒りの天使アクローマ》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 -クリーチャー(40)- 50 天使トークン(4/4、飛行) -トークン・カード(50)- |
3 《疫病風》 4 《聖餐式》 2 《総帥の召集》 1 《明日の標》 -呪文(10)- |
-土地(0)- 4 《エーテリウムの達人》 4 《破片撒きのスフィンクス》 4 《ダークスティールの巨大戦車》 4 《ダークスティールの巨像》 3 《太陽のタイタン》 4 《刃の接合者》 4 《練達の接合者》 4 《翼の接合者》 4 《大槌の接合者》 4 《マイアの戦闘球》 1 《覇者、ジョー・カディーン》 -クリーチャー(40)- 50 ゴーレムトークン(3/3) -トークン・カード(50)- |
2 《ダークスティールの溶鉱炉》 4 《鍛えられた鋼》 2 《蔵の開放》 2 《疫病風》 -呪文(10)- |
こうしていくつかのホードデッキを試した結果、新たな問題が生まれました。
当たり前のことですが、強いトークンを使用したホードデッキが強すぎるのです。
また、無制限にカードが使えるが故に、逆にどのデッキにも入ってしまう《疫病風》のようなカードが見られます。カードを使える可能性を広げようとして逆に狭めてしまうという悪い例ですね。
そのため、デッキ構築に関して何らかの制限が必要になると思われます。
いくつか案として考えたものに以下のようなものがあります。
- コマンダー用のホードであるため、単純に全てのカードを1枚制限とする。
- クリーチャー以外の呪文は1枚制限。
- 全てのカードはトークンと同じ色か種族を共有しなければならない。
また、強いトークンばかりを使うことを制限するため、複数のクリーチャートークンを用いると仮定した場合、
- トークン1枚に付き対応した色のカードが使用可能
- 同じ色のトークンが10枚あるごとにその色のカードが使用可能
などが考えられました。
ただ、複雑すぎるルールはフォーマットへの入り口を狭めることになります。
それらを総合して現在仮に採用しているのは以下のルールです。
- ホードに含まれるカードはトークンと同じクリーチャータイプを持つか、そのクリーチャータイプをテキストか名前に含むものとする。これらのカードは4枚までデッキに入れることができる。
- 上記のカードのほかに10枚まで自由にカードを入れることができる。これらのカードはそれぞれ1枚制限とする。
このルール下で作ったデッキが以下のリストです。
-土地(0)- 4 《明けの星、陽星》 4 《潮の星、京河》 4 《若き群れのドラゴン》 4 《ドラゴンの暴君》 4 《ドラコ》 4 《降る星、流星》 4 《災火のドラゴン》 4 《ヘルカイトの首領》 1 《夜の星、黒瘴》 1 《ニコル・ボーラス》 1 《帰ってきた刃の翼》 1 《ウラモグの道滅ぼし》 1 《背くもの》 1 《コジレックの職工》 -クリーチャー(38)- 50 ドラゴントークン(5/5、飛行) -トークン・カード(50)- |
4 《火のるつぼ》 1 《ドラゴン変化》 1 《怒りの反射》 1 《疫病風》 1 《重力の変容》 1 《総帥の召集》 1 《暴動》 1 《獣使いの昇天》 1 《明日の標》 -呪文(12)- |
■さらなる改良
しかし、いくらこのような制限をつけても、同じビーストトークンの中に3/3もあれば《神祖》の8/8トークンもあるとなるとその部分での差別化がやっかいです。(サンプルデッキのゴーレムも3/3/が9/9になるだけで全然違いますからね。)
そうなるとトークンのサイズによる補正がプレイヤー側に必要ではないかと思われます。(準備ターンの増加、ライフの増加などが考えられます)
また、一般的に50枚も同一のトークンは持っていないでしょうから、カジュアルフォーマットにするためには複数のトークンを使用する場合を考慮に入れなければいけません。
しかし、これらの部分はまだつめきれていません。テストプレイをしながら改善点を見つけていこうと思います。
みなさんからもこんなルールはどうかなどのご意見があればどうぞお寄せください。
(ツイートボタン、またはメールアドレス casualmagic@mtg-jp.com まで!)
次回掲載時には改めてある程度固まったルール化でのホードデッキのご紹介などができればと思っています。
それではまた次回!
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