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Latest Developments -デベロップ最先端-
変更
変更
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年6月9日
こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 今週は開発部内でのいくつかの種類の変更について、そしてそれらに我々がどのように対処するかについてお話しします。
カードの変更
セットがデベロップに入った日から最後の最後まで、ほぼ全てのカードが何らかの方法で変更されます。多くは小さなものですが、それでもテストする必要があります。あるカードが強すぎると思ってそれを弱体化し、それでもまだ強すぎるのでまた弱体化するということはよくあります。また時には、あるカードが弱すぎてそれにそれなりの強化をして、その後少し戻さなければならないこともあります。開発部に加入した人にとって最も習得が難しいスキルの1つは、セットのプレイテストの初期に素早く連続して起こる変更に対処することです。
セットが完成に近づくにつれて、変更は少なくなります――しかしその変更は我々がそのカードにずっと慣れていて、そしてメタゲームがより成熟しているので、相対的影響がずっと強くなります。現在のスタンダードで《霊気池の驚異》が唱えるのに5マナ必要になったり、《熱烈の神ハゾレト》の起動型能力のコストが{1}{R}に減ったり、《巻きつき蛇》が2/2になったり、《信義の神オケチラ》が全く新しいデザインになったりした場合に何が起こるかをを想像してみてください。おそらくメタゲームは数週間大荒れになるでしょう。これが狂っているように見えたなら、この変更の量が我々の1週間に行う量としては比較的少なめであることを知っておいてください。
我々はスタンダードを、解明するためには多くの時間がかかり、そのフォーマットの最強のデッキが何であるか意見をまとめることができない、そのようなフォーマットにすることを目指しています。1つか2つのデッキが抜きん出てトップレベルであるという全体的な合意があれば、我々は解明できなくなるまで、それらのデッキの何かを弱体化するか、他のデッキの何かを強化します。これはその後現実世界のプレイヤーにそれが解明できなくなるということではありません――彼らの持つリソース(とカードが変わらないことによる恩恵)は、実際に解明までたどり着かないとしても近いところまで行く可能性がかなり高いでしょう。
幸運にも、我々は年4つのセットを発売しているので、現実世界がそのフォーマットを解明するためにかかる時間が、フォーマットが同じままである期間よりも長くなることを期待できます。
ルールの変更
時々、我々は最初からやり直してマジックの基本的なルールに何か変更を加えることを決断します。その変更は小さいことも(分割カードのコストの数え方)、ものすごく大きいことも(『基本セット2010』のルール変更)あります。これらは頻繁にカードの相互作用に関する大きな変更を起こすリスクがあり、物事をぶっ壊すリスクがある難しい行為なので、我々は何も起きないように――少なくともそうしたときに回答があるようにたくさんテストをする必要があります。
私は『基本セット2010』の時には開発部にいませんでしたが、現実世界に出たときの古いルールでプレイテストをしながら新しいルールでの内部のテストを1年かけて行ったと想像せざるを得ず、それは大変だったに違いありません。
たとえば2013年に行われた最新のレジェンド・ルールの改定は、『テーロス』で問題があったために行われました。デザインは神々をクールで顕現させにくく対処しにくいパーマネントにするというアイデアを持っていました。
ただし、それらに対処する主な方法が、ただそれらを自分でプレイして対消滅させるところ以外は、です。悲しくなりました。このことは我々が《最後のトロール、スラーン》を《精神を刻む者、ジェイス》へのとても強力な回答として作ったときに、《幻影の像》が軽くて簡単にそれを殺す方法だったときも我々を少し苦しめました。またまた悲しくなりました。
何度も何度も、我々はこのルールの楽しくない部分を発見してきました。つまり、私は2体の《精神を刻む者、ジェイス》が対消滅しないのは良いことだと思いますが、それはプレインズウォーカーが強すぎるという間違いでもありました。
我々がマジックのルールを変更する理由は、時とともにマジックの一部分に問題があることに気づき、そしてそこには改善するチャンスがあると判断したからです。変更には代償が伴うので、我々は変更のための変更をしようとするのではなく、紙とデジタルの両方の面でマジックの質を向上させるための変更をしようとします。
《幻影の像》 アート:Nils Hamm |
この変更を行うことを決断してから、我々はプレイテストを行いそれが上手くいくと理解しました。さて、我々は過去に定着しなかった他のルール変更に挑んできました。それらの一部が将来機能するかもしれないので詳しくは言いませんが、試してみるとそのスタンダード環境で大きな問題が起こりました。
テストプレイで「これは変な感じがして、好きかどうかよくわからない」と「これは間違ってる」の違いに気づくことは重要です。定期的にプレイテストをする人のほとんどがマジックを15年以上プレイしてきているので、それまでのルールに固定されてしまいがちです。ほぼ毎回我々がルールの変更を提案すると、社内のある程度の人たちは理由もなく急激に白けてしまいます。幸い、我々はしばらくの間それをテストして、その態度が変わるかどうかを見ることができます。
このレジェンド・ルールの変更には多少の問題はありましたが、再び土地に「伝説の」を使えるようになったことは我々にとってとても良いことでした。《ニクスの祭殿、ニクソス》はデベロップのかなり後期に具体的に取り上げられて伝説になり、そして法外に高い起動コストにするのではなく、この変更で行けたことを私はうれしく思っています。
また私は、我々が伝説のカードをまた本当にトップメタのカードにできることにも満足しています。《梅澤の十手》を相殺するために使うプレイ・パターンは、おそらくそのカードのバランスを取るのに良い仕事をしていましたが、あらゆる人が巻き込まれた悪い体験でした。
過程の変更
去年の無視できない問題といえば、セットの作り方に関する多くの変更と、その全てが我々が望むようにはうまくいかなかったことです。私は全体的には3セット制のブロックから変わったことは良かったと思いますが、基本セットの廃止や1年ごとに対処するテーマの増加、スタンダードのローテーションの短縮などで、いくつかまずいところに行ってしまったと思います。
我々は誠意と妥当な物事の取り組み方のアイデアを持ってこれに当たりましたが、既知の未知と未知の未知の間には、確実に我々が少しつまづいた場所があったと私は思います。私は我々がこの経験全体から多くのことを学んだと信じていて、去年は我々が望んだように常に円滑には行きませんでしたが、特にセットとスタンダードの最終的な結果はより強固なものになると思います。
我々にとっての長期的な最大のリスクは、我々が動きを止めてしまって新しいことを何も試さなくなってしまうことです。たとえわれわれの改善しようとする試みがすべて機能しなかったとしても、それは将来の配当への投資をしているのです。つまり、我々が行ったこれらの変更の総量は、あなたがすぐに知ることになる追加の過程と、プレイ・デザイン・チームが作られたことです。
これらの変更は実際に理解するのに最も長い時間がかかり、会社にとって最も影響があるので、大抵我々にとって対処するのが最も困難なものです。我々は年に4回スタンダードで使えるセットを発売し、締め切りを破ることはありません。これはとても大きなことです。それらすべてを起こすためにはかなりの人数を必要とし、準備ができていないからといってセットを6~8週間遅らせることはできません。そして同時に現実世界からの意見には約1年の差があります。我々は現実世界からの意見に反応するためにベストを尽くしますが、それには時間がかかります。人々が我々に求める事柄の多くは進行中です――まだ世に出ていないだけなのです。
衛兵の交代
話は変わって、もう1つお知らせすることがあります。これが私の最後の「Latest Developments -デベロップ最先端-」コラムになります。私がこの会社を辞めたりとかではありません――プレイ・デザイン・チームの追加に伴い、バトンをそのチームの誰かに渡すべきときだと感じただけです。私はこの記事をおよそ4年半書いてきて、それはすべての「Latest Developments -デベロップ最先端-」執筆者の中で最長の期間です。
この仕事は本当に楽しんでやってきましたが、私の職務がよりセットのリードや他の関係した仕事にシフトしていき、多くのバランスを取ることに焦点を当てた仕事から遠ざかるのに際し、私はこの記事が本来の目的からいくらか離れていると感じています。
幸運にも、我々はこの素晴らしいプレイ・デザイン・チームを立ち上げ、そしてバランスを取ることが単なる職務の一部である私と違い、彼らはそれを専門に行うのです。
次回は、プレイ・デザイン・チームのマネージャーであるダン・バーディック/Dan Burdickが彼のチームがやろうとすることを詳しく説明した記事を書く予定です。私は彼らがこれまでにやってきたことと、彼のチームの将来の計画にとても興奮しています。
その後、あなたは「Latest Developments -デベロップ最先端-」の新しいメインライターであるメリッサ・デトラ/Melissa DeToraとプレイ・デザイン・チームの他のメンバーの助けによる記事を読み始めることになるでしょう。私はメリッサがここに来る前からの彼女の記事の大ファンであり、彼女が素晴らしいバランス・チームのメンバーとして実力を発揮するところを見ることを楽しんでいます。私は彼女やプレイ・デザイン・チームの他のメンバーがこれから書いていくこの記事の方向性を見ることがとても楽しみです。
私は時々戻ってきます――たとえば、私がリードした各セットの記事を書いたりしますし、時々記事を書くための他の機会を見つけたりするかもしれません。ここ数年皆さんのために記事を書くことは大きな喜びでしたし、そして皆さんがこれからのこの記事を楽しんでくれることを願っています。
それではまたいつかお会いしましょう。
サムより (@samstod)
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