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2ブロック世界からの教訓
2ブロック世界からの教訓
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2016年2月26日
約18ヶ月前、「変身」というマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterの記事が発表され、新しいブロック構造の詳細と、なぜ我々がそうしたかについて書かれました。その記事が発表された時には遥かな未来に見えましたが、『タルキール覇王譚』と『運命再編』がスタンダード落ちし、初めての春のローテーションが起こる日は急速に近づいています。私個人としてはとても興奮しています。
これが皆さんにとって初めての新ローテーションの経験であったとしても、内部ではすでに2回のローテーションを経験しています。これが現実世界でどのように機能するかについての確かな見通しは私には立てられませんが、我々が内部でそれをどのように見てきたか、そして新しいブロック計画とローテーションから何を学んだかについて伝えることはできます。
変更は大変だ
皆さんが取り組んでいる様々な試みと同じように、我々も自分たちのやり方にとらわれがちだ、と言っても驚かれないかもしれません。物事が上手くいっているとき、マジックのためだと言ってそれをただ続けて、全てが上手くいっている証拠として使うのは簡単です。確かに我々はマジックを作っている間ずっと第3セットに苦労していましたが、『ローウィン』と『シャドウムーア』ブロックの(様々な結果の混じった)いくつかの実験を除けば、ここに至るまで何の変更も行ってきませんでした。
これの最大の課題は最初の一歩とそれを実際に踏み出すことでした。この変更により、ストーリーとアートのチーム(現在1年に2つの世界を担当しています)およびデザイン・チーム(先行デザインの過程のスピードアップと7ヶ年計画の見直しを迫られました)が直ちに多くの仕事を要求されました。デベロップの役目が始まったのも似たような時ですが、実現を見るまでにより長い時間がかかります。新しいローテーション計画において全てを機能させるために、それぞれの分野で多くの理論構築が必要とされたのは、そのフォーマットを絶えずプレイテストするようになる1年以上前のことでした。
幸運にも、我々は『戦乱のゼンディカー』ではなくこの形に基づいて計画されていない『タルキール覇王譚』を18ヶ月でローテーションする最初のセットに入れ替えるなどの重要な決定をしていました。元々の計画では『戦乱のゼンディカー』は3セットのブロックで、1年間かけてフェッチランドを収録する予定でした。そのような重なりを我々がやりたいのは分かっていましたが、次にイニストラードに行くことを意図しているのであれば、おそらく我々は1年丸々そうすることを望まないだろうということも分かっていました。これら全ての要素が、最近の記憶で恐らく最もエキサイティングな秋のエキスパンションにつながりました――個人的にはとても興奮したことです。
2ブロックの世界をデベロップすればするほど、我々は全ての過程の方法を再評価し、そしてそれらの多くをアップデートしなければならないことに気づきました。ローテーション速度の増大は、適正な時間が足りない時に、スタンダードでの2枚コンボやメカニズム的な重なりが起こるいくつかの本当に興味深い可能性を加えました。我々はバトルランドとフェッチランドの時期が被ることが丸1年ある古いローテーションの型では決して許さなかったでしょう。
さて、この実験は少なくとも私がスタンダードに望んでいるものよりはよくない結果になると思いますが、しかし私は我々がこのことからいくつかのことを学び、そしてそれが将来のスタンダードをより良いものにすると信じています。私は我々が今後20年のマジックを可能な限り良いものにする方法から見ればそれに気づくことが重要であると考えていて、それはつまりこのような実験は時々行われるということです。データは大事なのです。
《比較分析》 アート:Willian Murai |
知らないことを知る
あと1か月余りで『イニストラードを覆う影』が発売され、それは我々にとっていろいろなことを意味しています。まず最初に、これは本当に素敵なマジックのセットです。すごくて、大好きです――しかし我々はそのようなものを今までにたくさん発売しています。またこれは我々の計画が現実世界でどのようにうまくいくかを見ることができるということでもあります。これは2ブロック形式の本当に最初のテストであり、秋のセットと同じレベルの衝撃を持った春のセットを発売しようという試みです。これの意味することの1つは、我々はスタンダードをローテーションさせているということです――今年のこの時点では実際に行っていないことです。
それまでに、我々は過去20年のセットの作成から思い浮かべることがたくさんあると分かっていました。我々は紙の上で、我々を上回る大きな課題に取り組むことができます――基本セット以外の世界の再調整、3つのブロック全ての間でテーマを重ねる方法の考案、そしてリミテッドをより面白くする方法の発見などです。
また私たちはいくつかの事柄においてミスをすることも分かっていました。幸運にも、我々はそれらが問題になる前にそのうちの多くをなんとか掴むことができました。例えば、我々はブロックのテーマを適応させるために7ヶ年計画のいくつかをシャッフルしなければならず、そしてそれぞれのブロックが成功する可能性を最大限にしなければなりませんでした。我々がいくつか個別の物事を掴んだとしても見逃す事柄はあるということ、そしてそれらに対して可能な限り最良の手段で可能な限り早く対応することが我々の義務であるということを、我々は知っています。
デベロップが2ブロック制に移行するにあたり、おそらく最も難しい部分は我々が以前の世界で持っていた全ての手段なしにスタンダードを形作らなければならないことです。「来年はエンチャントのブロックなので『ラヴニカへの回帰』ブロックには《平穏》効果を入れないようにしよう」や「来年はアーティファクトのブロックなので『ゼンディカー』ブロックに対策を入れすぎないようにしよう」というのはとても簡単でした。
境界線を見つける
『戦乱のゼンディカー』と『ゲートウォッチの誓い』は、我々が最初にメカニズム的に2つのセットを分けたときからはかけ離れていますが、これは最も激しい差異の1つです。これの背後にあった理由は、『戦乱のゼンディカー』はウラモグのセットであり、『ゲートウォッチの誓い』はコジレックのセットであるからです。
私はそれがいくつかの本当にクールなカードやリミテッドでとても面白いカードを可能にした一方で、最終的にそれが最初のセットからとても多くのテーマを取り残してしまったと考えています。もしあなたが嚥下や上陸が好きなら、『ゲートウォッチの誓い』はあまりあなた向けではなかったでしょう。これの利点は、第2セットで出てこないメカニズムを第1セットで強く推すことができる点です。そして欠点は、我々が基本的にこの方法で完全には展開できないという点です。古い型ではこれから大きく逸脱していたり、『エルドラージ覚醒』や『アヴァシンの帰還』のような単体でドラフトする第3セットがありましたが、我々は第2セットでこのようなことは行わないでしょう。
『ゲートウォッチの誓い』に取り組んだ後、我々はブロックの考え方における第1セットと第2セットの作り方に大きな変更が必要であることを知りました。我々はいくつかのメカニズムを変化させることができますが(そしてそうするべきですが)、どれだけのメカニズムの潜在力が第1セット対第2セットに使えるのでしょうか? 十分なものを第1セットに入れていないなら、あなたは最終的にこのメカニズムは駄目で第2セットに入るとは考えないしょう。もし入れすぎたなら、第2セットでは十分な新しさは感じられないでしょう。
2ブロック制において我々の前にある最大の疑問の1つは、どのようにしてセットを分割するかです。『戦乱のゼンディカー』ブロックは最終的にかなり直球でしたが、我々は全てのブロックでこの方法をとることはできません。『イニストラードを覆う影』と『異界月』を展開する方法は、『戦乱のゼンディカー』と『ゲートウォッチの誓い』から得た教訓によりそれら2つとは異なります。「Lock」と「Stock」はおそらく、それ以前の2つのブロックと繰り返しから学んだ多くの物事を取り入れ、「Barrel」と「Laughs」もそうなるでしょう。何回か繰り返すかもしれませんが、私は我々が2ブロック制のさらに下へと進み、それぞれのセットを異なる雰囲気にするための手段に関するあらゆるアイデアを得ると信じています。
ドラフトの構造が『ゲートウォッチの誓い』『戦乱のゼンディカー』『戦乱のゼンディカー』ではなく『ゲートウォッチの誓い』『ゲートウォッチの誓い』『戦乱のゼンディカー』になったのは大きな前進であると言えます。以前の記事で述べたように、我々はこの変更を『運命再編』の時に議論しましたが、そのフォーマットは我々の基準にまで達さなかったので、『運命再編』『タルキール覇王譚』『タルキール覇王譚』のままになりました。
この環境で『ゲートウォッチの誓い』を増やしたことはリミテッドにとって素晴らしいことであったと私は信じています。人々はしばらくの間それを求め、我々は早ければ『神々の軍勢』が発売された時に議論しましたが、3セット1ブロック制ではとても変に見えました。今の新しい構造は完璧な位置にあり、そして完了されてよい働きをし続けると私は考えます。
今週はここまでです。来週は我々がどのようにリミテッドでのトップコモンのパワー・バランスを取っているかについてお話しします。
ではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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