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モダンの脈動
モダンの脈動
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2014年2月21日
モダン・フォーマットが発表されて2年半が経ちました。その期間に、モダンは机上の存在から、我々が提示するスタンダードに続く2番目に一般的な構築フォーマットへと成長しました。我々はこれまでに3つのプロツアー(そのうち1つはプロツアー『神々の軍勢』です)と15のグランプリをモダンで開催しました。モダンはフライデー・ナイト・マジックのフォーマットにもなり、このフォーマットを支援するためのブースターも発売され、そして来たる5月にはイベントデッキも発売されます。このフォーマットは凄まじい比率の成長を遂げ、これより誇らしいことはそうは無いでしょう。
モダンの生い立ち
スタンダードを新しくエキサイティングなものに保つ主要な方法は、新しいセットを発売することと、年1回のローテーションです。これは新しいカードが輝くチャンスを与える素晴らしい仕事をしますが、その代償としてプレイヤーが楽しんでいるフォーマットからカードが削除されることになります。我々は過去のセットからプレイヤーのお気に入りのカードをいくつか基本セットに再録しますが、我々が再録したい数には限りがあります。つまり多くの素晴らしいカードが毎年ローテーションで姿を消していくことになるわけです。
モダンの目標の1つは、スタンダード落ちしたカードを使う場所を提供することです。その点からすれば、《瞬唱の魔道士》、《聖トラフトの霊》《ヴェールのリリアナ》《高原の狩りの達人》、《魂の洞窟》、そして《修復の天使》のような『イニストラード』ブロックの主要カードはスタンダードでは使用不可能ながら、全てモダンにおいて健在です。今年の秋『ラヴニカへの回帰』ブロックがスタンダード落ちするとき、プレイヤーは彼らの持っているショックランドや、《至高の評決》、《スフィンクスの啓示》、《炎樹族の使者》、《ドムリ・ラーデ》、そして《突然の衰微》などをプレイし続けたがる人々がいると予想されます。それらのカードをプレイする場所を存在させることは我々にとって重要です。
我々はスタンダードのデッキをそっくりそのままモダンに持って行ってプレイすることを想定していませんが、スタンダードデッキをモダン仕様にするような改良の道筋が明らかにあるべきです。トップメタになる必要はありませんが、少なくともモダンで競技レベルになる必要があります。例えば、スタンダードで現在ある黒単には《マラキールの門番》や《ゲラルフの伝書使》、《ファイレクシアの抹消者》、そして《復讐の亜神》などのカードが入っていることがあります。もしくは《滅び》でコントロール寄りにしたり、《地下世界の人脈》のカード・アドバンテージに頼ることもできます。
ブロックを越えて越えて越えて越えたシナジー
デベロッパーとして、我々は起こりうる事態をかなり正確に想定するという方法でスタンダードのバランスを取りたいと思っています。我々は各デッキがこのフォーマットでどれぐらい強いかを正確には測りませんが、ブロックのメカニズムがどのように機能するか、そしてブロックを越えたシナジーの支援をどれだけ受けるかを定めようとします。我々は前年のバランス補正の助けとなるカードだけでなく、翌年にもっと良くなるようなカードの種を蒔きます。
私にとってモダンの最もエキサイティングな部分は、我々がそのレベルでこのフォーマットをコントロールしようとしていない部分だと思います――それはこのフォーマットが生み出すいくつかのデッキは予測をはるかに越えたものだということです。我々がスタンダードで《天上の鎧》のようなカードを印刷したとき、次の年のエンチャント・デッキを加速させるために作りましたが、6年前に印刷したカードや戦略がこれと合致するかもしれないことについてはあまり考えていません。
禁止リストの管理の一部は、セットが発売されたときに新しい戦略が浮かび上がれるようにするレベルにフォーマットを維持するために行われていました。トップレベルのデッキの観点からある程度の安定性を持っているのはいいのですが、それによって新たなデッキが時間とともに現れるのを妨げるものであってはいけません。《精神を刻む者、ジェイス》のようなカードは強力すぎて、他の明るみに出るであろう興味深いシナジーを圧倒してしまいます。最近の《苦花》と《野生のナカティル》で見せたように、我々は積極的に以前の決定を見直そうとしますが、見直しはいくつかのカードのためだけではなく、フォーマット全体にとって最良になるように進めていきます。
いくらか時間がかかってしまいましたが、モダンはフォーマットとして進化し、我々はますます多くの突飛で多様性のある戦略の出現を目にしています。最近の「Magic Online」のイベントのデッキリストを見渡して、現在のモダンの楽しさと多様性を表しているデッキリストをいくつか引っ張ってきました。
ターボ・ミル
2 《島》 1 《沼》 1 《平地》 2 《湿った墓》 2 《闇滑りの岸》 1 《神聖なる泉》 1 《神無き祭殿》 3 《殻船着の島》 4 《沸騰する小湖》 3 《湿地の干潟》 2 《幽霊街》 -土地(22)- 4 《面晶体のカニ》 2 《ボーラスの占い師》 -クリーチャー(6)- |
3 《外科的摘出》 4 《思考掃き》 4 《彼方の映像》 4 《不可思の一瞥》 2 《催眠の宝珠》 4 《墓所への乱入》 4 《精神の葬送》 4 《書庫の罠》 3 《強行 // 突入》 -呪文(32)- |
1 《外科的摘出》 3 《コジレックの審問》 2 《根絶》 3 《残響する真実》 3 《安らかなる眠り》 3 《隠匿 // 探求》 -サイドボード(15)- |
上のデッキは「焼き尽くす」戦略に猪突猛進しますが、火力呪文を使う代わりにライブラリーを削って倒します。ライブラリーアウト戦略はスタンダードで時々見かけますが、そのために必要な量が十分にない傾向にあります。《彼方の映像》を印刷したとき、我々はこれが『イニストラード』の自分のライブラリーを削る戦略を支援することを期待していて、《精神の葬送》や《不可思の一瞥》とこのようなアグレッシブなデッキで一緒に使うためではありませんでした。
追加ターン入ります
24 《島》 -土地(24)- 1 《研究室の偏執狂》 -クリーチャー(1)- |
4 《血清の幻視》 3 《手練》 2 《万の眠り》 1 《不死の霊薬》 4 《吠えたける鉱山》 3 《差し戻し》 4 《謎めいた命令》 4 《時間のねじれ》 4 《永劫での歩み》 4 《時間の熟達》 2 《ジェイス・ベレレン》 -呪文(35)- |
2 《急速混成》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 2 《白鳥の歌》 1 《万の眠り》 2 《大祖始の遺産》 2 《残響する真実》 2 《霊気化》 -サイドボード(15)- |
我々はスタンダードでの《Time Walk》効果にとても注意していて、通常2つ以上にしないようにしています。このデッキは10年分のこの効果を同じデッキに入れたら何ができるかを見せてくれて、別の《Time Walk》を毎ターン唱える十分な方法と組み合わせられています。
18 《島》 2 《変わり谷》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《幻影の熊》 4 《瞬唱の魔道士》 4 《深き刻の忍者》 -クリーチャー(16)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《血清の幻視》 4 《蒸気の絡みつき》 4 《差し戻し》 4 《謎めいた命令》 4 《撹乱する群れ》 -呪文(24)- |
3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《残響する真実》 4 《冬眠》 4 《ヴィダルケンの枷》 2 《島》 -サイドボード(15)- |
誰かが《深き刻の忍者》を使っていることに関して興奮を抑え切れません。我々はスタンダードにおいて青をよりアグレッシブな戦略を持つようにしました(《波使い》デッキがその証拠です)が、このデッキは予想外のものを作り出すために、はるかに長い時間枠のカードを使います。《差し戻し》のような軽いテンポ打ち消し呪文やたまにマナ無しで唱える《撹乱する群れ》を組み合わせ、このデッキは我々がスタンダードで見かけるようなものとはかなり異なる方法で機能します。
1 《森》 4 《シミックの成長室》 2 《セレズニアの聖域》 3 《グルールの芝地》 1 《ゴルガリの腐敗農場》 1 《ボロスの駐屯地》 3 《宝石鉱山》 3 《氷の橋、天戸》 1 《魂の洞窟》 3 《トレイリア西部》 1 《カビーラの交差路》 1 《カルニの庭》 1 《ケッシグの狼の地》 1 《処刑者の要塞》 1 《墨蛾の生息地》 1 《軍の要塞、サンホーム》 1 《ヴェズーヴァ》 -土地(29)- 3 《迷える探求者、梓》 1 《ムル・ダヤの巫女》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー(8)- |
4 《召喚士の契約》 2 《否定の契約》 2 《殺戮の契約》 4 《精力の護符》 4 《血清の幻視》 4 《花盛りの夏》 3 《集団意識》 -呪文(23)- |
1 《調和スリヴァー》 1 《粗石の魔道士》 1 《酸のスライム》 1 《スラーグ牙》 1 《仲裁の契約》 4 《紅蓮地獄》 2 《原基の印章》 1 《虚空の杯》 1 《忍び寄る腐食》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《ボジューカの沼》 -サイドボード(15)- |
今日ご紹介するデッキの中で恐らく最もエキサイティングなのがこの《精力の護符》デッキです。《精力の護符》はFFL内でいくつかの効果を(少なくとも『ミラディンの傷跡』の2色土地と組み合わせてぶっ壊れにならないように変更を加えるまでは)内蔵していましたが、これは現実のスタンダードにあまり影響を与えませんでした。これと追加の土地をプレイできるカードだけでなく、旧『ラヴニカ』ブロックのバウンス土地を組み合わせることでとても興味深いデッキが現れました。しかしながらこのデッキはこのコンボだけではなく、加速からの《集団意識》を唱える戦略も持っています――その後『未来予知』の契約サイクルを使って払えないコストの履行を相手に迫り、そしてゲームに敗北させるのです。
これらのデッキがプロツアー『神々の軍勢』で勝利を収めるかどうかは分かりませんが、私はこれらが存在していることにとても満足しています。少し時間がかかりましたが、モダンはかなりの多様性のあるプレイされるカードのタイプと見かけるデッキのタイプ両方を備えたフォーマットへと進化しました。
私はこのプロツアーやこれからの1年でモダンが成長と進化を続けてどのようになるかを見ることをとても楽しみにしています。
ではまた来週お会いしましょう。
サム( @samstod ) より
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