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適者生存
Dave Humpherys / Tr.Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2013年2月22日
ギルド門侵犯はその色の組み合わせの中の一つに、ある独特な挑戦をもたらしました。青緑、この組み合わせはともに伝統的にクリーチャー除去の量が少ない色です。シミックはいくつかの非常に攻撃的な対戦相手に対して勢力を維持するという試練に直面し、そして多くの場合、最初に戦場に出るクリーチャーはそれを任せるには少々頼りないのです。私達は最近の、アヴァシンの帰還のリミテッドのような、除去が弱くクリーチャーの強い、青緑が輝くリミテッド環境を見てきました。私達は自らの経験から学び、そして除去をこのセットでは極めて強力にすることを求めました。従って、他の方法でシミックの戦闘準備を整える必要があります。
《シミックの変転魔道士》 アート:Karl Kopinski |
私達は、この挑戦が長い時間をかけてクリーチャーを進化させようとするシミックにとって悪条件になることを理解していました。5つのうち3つのギルドのメカニズムが攻撃を有利にするものですし、残るメカニズムである強請も立ち上がりの遅いシミックのデッキを簡単に打ち破るかもしれません。
ほとんどのゲームや競技において、相手より一歩遅いというのは良いことではありません。ゴールに向かって突進しているのでも、最初のパンチを振り下ろそうとしているのであっても、たとえ非常にわずかでも、速いことはあなたにとって強い利益になります。幸運にもマジックではしばしば対戦相手よりも少し遅いほうが良いことがあります。もしあなたがクリーチャーデッキでコンボデッキと競争している場合、もしくはコンボデッキ対コンボデッキの場合、遅いことは恐ろしいことです。しかし、あなたが呪文や戦闘でやり取りをすると仮定するならば、あなたが生き残れる前提なら一歩遅いことはより良いかたちでゲームを終わらせられることを意味します。構築においてミッドレンジ・デッキが速攻デッキを食い物にする傾向や、ミッドレンジに対してコントロールが成功を収める理由もそれです。もしあなたが遅すぎるなら、面倒なことになるでしょう。例えばコントロール・デッキでは、多くの速攻デッキの序盤に対してやり取りできるよう、しっかりプレイしなければ悲惨な結果になるでしょう。マジックのデッキ作成においては、さらにいくつかの対戦を互角にするカードを選択するのに十分な選択肢が常に存在しますが、しかしそれは大抵同じような速度のデッキとの対戦を犠牲にすることになります。
もしこの間のプロツアーを見て明らかになったことがあるとすれば、それは序盤に向けてしっかり準備しておかなければならないということでしょう。私はいくつかのリミテッドのデッキにおいて3?5枚の《鋳造所通りの住人》を見かけました。そのプロ達は、それが門から出てきた時にいい加減に扱ったりはしませんでした。それは想定外のことではなかったのです。確かに、シミックも同じように早くなることができます。例えば、今回のプロツアーのズヴィ・モーショウィッツ/Zvi Mowshowitzのドラフトデッキを見てみましょう。この記事で、私はギルドが生き残るのに何を準備するべきかを見てほしいと思います。
《侵入専門家》 アート: Svetlin Velinov |
いくつかのクリーチャーから行ってみましょう。プレイテストをすればするほど、私達は序盤のタフネス3クリーチャーを増やすべきだと実感しました。他のギルド、特にボロスに対して、出足を遅くさせられるクリーチャーをシミックが確実に手に入れることができるのは重要であると発見しました。《エリマキ眼魔》は長い間3マナで唱えられてきていましたが、私達はそれを2マナに下げました。《賢者街の住人》と《侵入専門家》はテスト中に追加のタフネスを与えられました。《両生鰐》は実に強力で、その数字を守ろうとして私は多くの議論に顔を突っ込み、そしてそれは最初から最後まで安定して変わらないままでした。《キヅタ小径の住人》はやはり追加の鍵としてタフネス3を獲得しました。マナカーブの他の部分でも、《サファイアのドレイク》《不毛の地のバイパー》《神出鬼没の混成体》といったクリーチャー全てにタフネスの追加を行いました。またレアの《円環の賢者》と《先端生物学者》にさえも追加は行われました。この話を聞いてもそう興奮しないかも知れませんが、しかし重要なのはこれと同じ期間にいくつかのクリーチャーがパワーを得たことです。私達はそれらをより手ごろで安全にブロックに参加できるよう、多くの追加の変更を行いました。
面白いことに、シミックのカードの変更は必ずしも他のセットのように単純ではありませんでした。随分前のことですが、パワーやタフネスを減らすことでカードを強くするとか、カードを弱くするためにパワーやタフネスを増やすとか、もしくは少なくともそれについて長い議論をする、ということがありました。参考までに、最後に私達が弱体化させるためにタフネスを増やしたのは《苦心の魔女》だったと思いますが、これは構築における《心なき召喚》とのコンボを恐れてのものでした。進化クリーチャーの場合、それはもっとよくあることでした。例えば、《シュラバザメ》は2/2から2/1になりました。これは強化か弱化かどちらでしょう? あなたは素早く3/3を作り出すことができ、それはリミテッドでは特に強力ですが、3/3に進化させるのは3/2にするよりも難しく、同じように4/4に進化させるのは4/3にするよりも難しいでしょう。その一方で、2/2のクリーチャーはあなたのデッキの他のクリーチャーをより簡単に進化させます。この場合、《シュラバザメ》は恐らくより良いパワーとタフネスを持ったカードであるかのように強力な2/2ですが、しかしとにかく、このような議論ができること自体が少しおかしな話です。
いずれにせよ、私達は後半になって《シュラバザメ》に変更を加えました。デベロップの後期にこれに瞬速を与え、相打ちすることを意識していないであろう相手をブロックでき、 もしくは《強盗》《宮廷通りの住人》《火拳の打撃者》《爆弾部隊》の行動を軽減できるかもしれません。シミックにゲーム序盤の予期せぬブロッカーを提供することで、ボロスのプレイヤーの大隊を防ぐ多くのコントロール手段を与えました。
《力線の幻影》は私がデベロップの前にシミックを安定させようとデザインしたカードです。5マナ5/5のコモンを得るのに、青のクリーチャーは普通欠点が必要です。大型クリーチャーを何度もプレイしてそのギルドのクリーチャーの進化を許可する、シミックにとって利点に変えることができる欠点の作成はこのセットにうってつけだと感じました。私はまた、《賢者街の住人》と組み合わせても楽しみました。
呪文に関して言うと、ドラフトの時にシミックが《闘技》によって格闘できるとわかっているのはよい出発点です。そのグルールのカードに加えて、私達は他に何か出血の軽減の助けになるものを探しました。より強力な青のコモンの除去は、しばしば《麻痺の掌握》のような形になります。しかしながら、それはラヴニカへの回帰で使われ、そして可能であればギルド門侵犯とその前任者の間で独自性を示すカードを作ることに関心を寄せました。私は初期に《束縛の手》を提案しましたが、それがラヴニカへの回帰のメカニズム、留置とあまりにもよく似ているという大きな不安がありました。最終的には、青のゲームのプレイと暗号カードの良い例の両方の役に立つので、これがここに必要だと決めました。私は最終的にどのように《束縛の手》が圧迫しすぎない形での時間稼ぎができようになったことに満足しています。これはまた攻撃的な戦略でもうまく使えます。
もう1枚、序盤の時間稼ぎのために作ったカードが《外出恐怖症》です。このカードはシンプルなバージョンに加えて、手札に戻る能力を与え、プレイヤーが自身のクリーチャーを進化させるためにこれをつけたいと思うような稀な状況で、進化を簡単にした後で必要に応じて相手のクリーチャーにつけるようにしました。私は潤滑な進化を助けるためにそれをつけたのを思い出したので、放射能っぽいプレイテスト名を与えました。《シミックの干渉者》をドラフトしたときはいつでもこのカードをピックしましょう。
私達の新しいお気に入りで楽しいフブルスプを取り上げた《道迷い》は、ここで取り上げてきたようなカードよりも一歩遅いですが、何か恐ろしく間違ったものからの圧力を緩和する助けになるカードです。これは《向こう見ずな技術》、進化しきったクリーチャー、不用意に湧血してくるプレイヤーをさばく助けとなります。さらに、《賢者街の住人》と組み合わせて、シミックが使える本物の除去にもなります。
私が青を安定させる助けになる他のカードをブレインストーミングしていたときに偶然出くわしたのが《霊気化》のデザインでした。私はこの比較的単純なデザインが存在していないことに少し驚きました。実際のところ、4マナではあなたが難局から保釈されるのを想像するのは難しいでしょうが、しかしこれは私が見たいくつかのゲームで偉大な物語を作り出したのです。少なくとも、これがデッキに入っているかもしれないと気付いた対戦相手を恐怖のどん底に陥れることはできます。
緑の呪文では、《新緑の安息所》がライフを得ることと、多くのドラフトする人が遅すぎると考えている強力なカードへ向かって加速することを助けてくれます。またこれは、他のギルドに助けてもらってもいいと思うなら、他の色の除去をタッチする助けにもなります。もし時間稼ぎを期待しているならば、《心見のドレイク》や《力線の幻影》のようなカードへ加速する素晴らしい方法です。また、ギルド門と《緑側の見張り》をいっしょに引いて大変なことになったところも見ました。将来、これが構築で何かしでかしても私は驚かないでしょう。
《塔の防衛》は私がこのセットでプレイテスト名をつけた中で唯一そのままであるカードとして注目すべき存在で、たいていがギリギリ使用に値する程度ですが、2マナ余らせる余裕があるならば湧血や大隊に対して安全にブロックできるようにと思って作ったカードでもあります。あなた自身の攻撃に使える一方で、それを《強打》《霊気化》《猛然たる抵抗》のような、ブロックに役立ち、ゲームの序盤に攻撃よりもブロックにより関心があるプレイヤーがうまくいけばドラフトの後半に手に入れられるカードに含めました。
《遮り蔦》はこの方向でシミックのために特に最適化された別の手段です。しかしながら、結局このカードはスタンダードに低コストの《濃霧》効果が多すぎるという懸念から3マナに引き上げられました。その結果、これはこの手の効果としては少々割高ですが、しかし状況によってはとてもエキサイティングなものになりえます。
一般的にライフ獲得は特にリミテッドにおいてプレイ水準に至らない傾向にありますが、《捕食者の関係》の場合はその上を行きます。つまり、このカードは多くのライフを得ることができます。デベロップの後期に、私はリミテッドのデッキの最後のカードとして試す、もしくは少なくとも、安定化さえできれば勝てるかもしれないデッキ、特に強請を多く備えた非常に攻撃的なデッキに対するサイドボーディングを考える価値があるように、このカードのコストを3マナに下げました。
それでは、このセットがかなり積極的にリミテッドの準備をしている中で、私はこの記事が、進化した動物園をゆっくりと作り上げたいプレイヤーに多くの選択肢を提供するためにデザインとデベロップのときに加えられた多くのカードを垣間見せられればと願っています。
読んで下さったあなたに格別の感謝をこめて。
デイブ・ハンフリー
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