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再録の理由と手法
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再録の理由と手法
Zac Hill / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年7月20日
ああ、今週はテーマがない!
私はこの一月間何かのカードをプレビューしてきた気がする。それはよい息抜きになった。私は発売中のマジック2013をみんながプレイする機会を得て、そしてそれがよい経験になることを望んでいる。私は皆がスタンダードにどんな種類のデッキを引き起こすかを見たくてたまらないし、リミテッドにおいて蒔こうとしたイースターエッグが最後には発掘されることを祈っている。
《アクローマの記念碑》 アート:Dan Scott |
私はマジック2013について多くの質問をいただいたが、それはほとんど、そう、どうやって我々は再録カードを選んでいるかについてだった。基本セットでは当然ながらセットの60%が再録カードで構成されていて、それらはより多くの注目を集める。最近は全てのセットに再録カードを入れようとしており、そして今までに12500種類ものデザインを誇るマジックのカードからふさわしいものを選ぶのは簡単な仕事ではない。
そう、ここで当然こんな質問が出てくる。「我々はどのようにしてそれを行うのか?」
リサイクル、リデュース、リユース
我々がどうやって再録カードを選ぶかの前に考慮するべきより広い疑問として、まず第一に何故我々は再版を望むのかということがある。あるいはもっと率直に、新しい何かをデザインできるときに代わりに既存のカードを使うことに何か利益があるのか?
まあ、そのことについて書いているのだから、その答えは「Yes」だと直感できることだろう。
皆はスマート・クッキー(頭の切れる人のこと)だ。
んー、クッキー...
そう、簡単に私のアパートの最良の特徴を言うと毎朝ロビーに焼きたてのオーティス・スパンクマイヤーのクッキーがトレイの上に置かれる。私は隣の部屋で自分のコラムを書いていて、クランベリーをのせたホワイトチョコレート・マカダミアナッツの匂い幽霊のようにが上ってきて、そして頭から離れない。私は、文字通りに私がこれらの言葉をタイプするとともに、私の口の中で個々に溶けるセミスイート・チョコレートを想像しており、それはここで見ている種類の余談を促進する、また、それはまるで拷問のようだ。私は今空腹を満たしに行くつもりだ。すぐ戻ります。
私が一つだけしか食べないと思ったかい? |
カードのデザインについて話してたんだっけ?
え、ああ、はい。
マジックに取り組む上で独特なのは、それがすでに20年近く存在しているという事実のおかげで、常に長期的視野を強いられるということだ。すなわち、ゲームの長期的成長と展望について考えることは抽象的ではない。君は奈落を見て回り、10、15、20年とマジックに取り組んでいる人々に出会い、その息の長さをはっきりと実感している。それは今後直面するある種の仮定的ではない問題だ。そのため、全ての決定は「何故今それをするのか?」という文脈で行われた。
《風のドレイク》 アート:Steve Prescott |
君にこのアイデアの巨大な意味を与えるために、我々は最近はほぼ7年前にブロックの構造を構想する。そこで、我々は将来特定の環境が必要とするであろうものを検討し、特定のカードやメカニズムやテーマが現在の環境ではなく将来の環境にふさわしいかどうかを考えるのだ。もちろんそれらは全て変更されうるものだが、重要なのは、マジックの進化の地平が明白に示されている状況で現在の環境に慌てて対処する理由はないということだ。
これは再録と何の関係があるか?
新しいデザインはスペースを食う。新世界秩序から導かれるのは、コモンに作ることのできる効果はそれほど多くの種類はないということであり、そして「新しさ」が消費しすぎないようにしなければならない。もちろんデザインを今すぐ使い切ってしまうというようなことではないし、実際にその壁に突き当たるようなことはまずあり得ないと思われる。しかし、意識することがなければ、壁がないとでも思っているかのように壁に突き進んでいくことになるだろう。
これが意味するのは、異なる目的のために何か異なることをする傾向を削減しなければならないということだ。カードに単語を置くのにはコストがかかり、そして単に数を弄るためだけに「《帰化》、3点のライフを得る」でなく「《帰化》、6点のライフを得る」とすることにもコストがかかる。新しいスペースを使っていくのは、管理された適正なペースでなければならず、それはそのセットが新しいものだと感じられる(そして実際にそうである)のに必要な量以上に食いつぶすべきではないのだ。
それは全て何故カードを再録するのかという角度から責任を構成し、そしてそれは紛れも無い事実で、純正主義者の感覚では崇高なものだ。しかし、責任は私の長所ではなかった。そして、その答えは本当に私を最も共鳴させるものではなかった。
結局のところ、私はゲームデザイナーであり、できる限りで最高のゲームを作ることを求めている。そしてそれは絶えず挑戦し経験則を改定することを私に要求する。時にはそれは私が個人的にゲームに本当に良いと感じているものを覆すことも求められる。時には、セットに必要なのが《風のドレイク》であり、飛行と「戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とし、それをタップする」を持つ{2}{U}2/1でもなく、飛行を持つ{1}{U}{U}2/3でもなく、飛行と「戦場に出たとき、土地1つを対象とし、それをアンタップする」を持つ{3}{U}2/2でもない。求められているのはまさに《風のドレイク》なのだ。そしてセットがそれを求める時、それは利口さ、または革新的であること、もしくは我々にできることの境界に挑むことを求めていない。それは私が自分自身を後押しすることを求めていない。代わりに、セットは要求するのは何か地味で、簡単な、そしてほんとうにつまらない規律だ。
マジックが美しいのは、それに取り組む人々が複雑さのスパイラルの組み合わせ的問題を解決することで新しいカードを作るからではなく、ゲームが見事に展開するからだと信じているなら、時には保守的であることを受け入れなければならない。既に持っているものが働くのなら、その既に持っているものを使用しなくてはならないのだ。
製品の配置
さて、何故我々はカードを再録するかについては(ある程度の)答えを出したが、しかし、我々はまだファイルの中に入れるべき10枚、20枚、あるいは150枚のカードをどのように選ぶかについて話していない。さて、我々のプロセスに情報を与えるする多くの要因があるが、しかし最初に一つとんでもないものから始めたい。「リード・デザイナーかリード・デベロッパーの考えていることは何らかの理由でクールだ。」
《クウィリーオンのドライアド》 アート:Todd Lockwood |
君は絶対に、積極的に、単に君が良いとかすごいとかウケるとか思うものを選んでセットに否応なしに入れることはできない。それは悪い悪い悪いビジネスのやり方だ。もちろん、我々が以前話していたことで我慢しなければならない。我々は多くのマジックのセットを作るのだ。単に自分が最高だと思うカードを再録しているだけでは、次に再録するときにインパクトが薄れてしまう。3回も4回も見かけるとクールさが無くなるのだ(そしてその不幸な光景の一つは《氷河の城砦》のサイクルがまたしてもマジック2013に再録されたことだ)。もし《墓への呼び声》を戻したなら、君は恐らく(実際にそうだったように!)ゾンビの多い環境で使いたくなる。もし《クウィリーオンのドライアド》を戻したなら君は恐らく多くのパワフルなキャントリップや多色の呪文に挟まれた環境で使いたくなる(そうだ!)。君は「昔から俺のすごい《合同勝利》デッキが好きだったんだ!」と言ってそれを色をテーマとしたブロックをデビューさせる2年前のセットに投げ入れる――というようなことはしたくない。
この全ての議論は再録の選択を強く暗示しているはずだ。つまるところ――文脈、文脈、文脈!
どんな種類の文脈、正確には?
一般的に、我々が概してカードを再録して興奮するのはそれがリミテッド環境という文脈において特に適切になった時や、構築において特定の戦術を可能もしくは不可能にしたり、特定のカードかカードの類と特に機能したりする場合だ。
しばしば、リミテッドを意図した再録カードはセットで最も重要な人気のあるカードにはならないだろう。しかしそれらは他の文脈には現れないゲームプレイの可能性を開く。私にとってマジック2013のカードで最もその方針を体現しているのは恐らく《武器商人》だ。無名のメルカディアン・マスクスのアンコモンだが最もよく知られているのは《逢魔が辻》との組み合わせでのロックだ。そのカードはマジック2013のリミテッドでは、完全で現実的でないぶっとばすようなものだ。確かに最初に来たときよりも不快ではない、しかし《群衆の親分、クレンコ》とその手下共と協力した働きは特にクールだ。他のゴブリンは基本セットのリミテッドという文脈において赤のコントロールデッキが稀にドラフトできるよう意図的に選ばれた。これらはこのような他の多くの材料もあり――《濃霧の層》と《不死の霊薬》が賛美やライブラリーアウト戦略を邪魔するように、《エルフの幻想家》と《貪欲なるネズミ》を《咆哮するプリマドックス》で使いまわす黒緑のデッキや、《苛まれし魂》が狂喜の達成要員から賛美のアタッカーへと変わったように、他の多くの材料から皆が発見する楽しみを得ることを望んでいる。ポイントはこれら全てのカードが全てのセットに入れることができたと言う点だ。しかしマジック2013の文脈の中で特に良いプレイをされる。カードが周りのカードと相互作用において意味をなさない場合、それは戻ってくることを望まれないだろう。
構築では明確に、《墓への呼び声》のような明確に環境の他のカードに求められてプレイされるカードについて既に述べた、しかしさらに大まかに言うと我々は再録カードで既存のアーキタイプを少し強化しようとする。《怨恨》はマジック2013でのもっとも明白な例だ。実際には《ぎらつかせのエルフ》に叩かれて謝るのは氷山の一角だ。《前兆の時計》とミラディンの傷跡ブロックの何かというのも常識外れに相性が良い。《金粉の水蓮》は全てのラヴニカへの回帰ブロックの多色呪文への道を舗装する。無害に見える《血の座の吸血鬼》が、これら全てのゾンビを食うことでアドバンテージを得る――我々は、魅力的な方法でスタンダードの環境を微調整するために慎重に再録カードを展開しようとしている。しばしば、我々はフォーマットに新しい風を吹き込もうとする。我々は《トーモッドの墓所》を墓地テーマのブロックの後に戻してきた。君はツールを得たわけだ!
しかしながら、それは単に環境で利用可能なアーキタイプについてだけではない。再録カードは単にテーマに相互影響するだけではないのだ。時にそれらは特定のカードとの組み合わせで非常に良く機能する。マジック2012では、《真面目な身代わり》がタイタン達へとマナを加速し、《渋面の溶岩使い》が《乾燥台地》と《沸騰する小湖》からプレイされて能力をすぐに起動できたりした。マジック2013では、君が《もぎとり》、《遥か見》、そして《東屋のエルフ》がどういう方向を示しているかを想像できると確信しており、そして《ぬいぐるみ人形》と《冒涜の行動》が同時に使用可能なのは偶然ではない。我々は君が見つけるために多くの宝石を埋めておいた。そして我々が夢にも見なかったことが起こると確信している。目的は継続的に異なった、新しく、興奮する光をマジックの最も確固たる中心部に投げかけることだ。それはマジックの核の一つで、質の定義、そしてこの20年間爽快なゲームを作り出している何か――それは常に変化している。常に。
余談ですが
悲しいことにいくつかのカードは、初登場からパワーレベルが変化しているため戻ってくることができなかった。興味深いことに、ちょうどいい強さだと記憶していたカードが、プレイテストしてみると現在の文脈では話にならないほど弱いということがしばしばあった(例えば《未来予知》、奇跡と相性は悪くなかった......)。時には、君は君の最愛のものを殺さなければならない。時には、君は材料を捨てなければならない。しかしながら、一般的にゲームの価値や寿命を減らすのではなく、第2第3第4の歓呼のために古いお気に入りと安定して役目を果たしてくれるカードを戻す。それはマジックが一過性の流行ではなく時を超えて存在するゲームであることを強調している。新しい物を作るために過去の記憶を使用しているのだ。
そしてそれは素晴らしいことだ。
いかがだったかな? マジック2013、もしくは他の最近のセットで君のお気に入りの再録カードは何だろう? 戻ってきてほしかったけど戻ってこなかったものは? 戻ってきたけど意味の無いものは? どんどん質問を!
Zac (@zdch)
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