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『サンダー・ジャンクションの無法者』注目のストーリー・カード

Natalie Kreider
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2024年3月29日

 

(訳注:原文記事は『サンダー・ジャンクションの無法者』プレビュー期間内に掲載されたものです)

 やあ皆さん! 信頼できる馬を選んでください。何故ならこれから最新セット『サンダー・ジャンクションの無法者』に飛び込んで、注目のストーリー・カードをじっくり眺めるのですから――そして2枚の新カードをプレビューするのですからね!

 帽子をかぶって、あぶみを締めて、私たちと一緒に多元宇宙へ向かいましょう!

第1話 復讐の誘い

 サンダー・ジャンクションに厄介事がやって来て、とある一線を退いた無法者に最後の仕事が持ちかけられます。この回に注目のストーリー・カードはありませんが、The Magic Story Podcastの最新シーズンでストーリー全体と要約を音声で聞くことができます(英語のみ)。

第2話 脱獄作戦

 第1話でオーコから最初の接触があった時点では、アニー・フラッシュはアクルに復讐するつもりはなく、自分の過去を、まあ、過去のままにしておこうと思っていました。ですがオーコの申し出がアニーを悩ませているのは明らかです。望んでいたような平穏を得られないかもしれません。それに、もしアクルがアニーを追うと決めたなら、彼女が気にかけているサドルブラシの町の人々をどうやって守ればいいのでしょう?

 だからこそ第2話にて、アニーは触ることのないように長い間埋めていた自らの武器、サンダーライフルを掘り出しました――そしてそれとともに、明らかに避けていた過去も。

 この注目のストーリー・カード《最後の仕事》には、アニーが久しぶりにサンダーライフルを手にし、たとえそれがどれほど不愉快なものであったとしても、目の前の仕事に心を集中させる様子が描かれています。彼女は信頼する乗騎フォーチュンを呼んで出発します、邪なアクルからサドルブラシの人々を守るために……そしてもしかしたら、その途中で復讐の機会を得るためにでしょうか?

 このカードで私が気に入っているのは、この「放題」能力が、アニーが自身の過去を掘り起こすという物語の重要な場面すべてを語っているところです。そしてその「過去を掘り起こす」を表現するには、墓地から何かを回収するというのが一番でしょう。

第3話 プロスペリティ行き列車にて

 オーコの略奪隊は宝物庫へと至る最後の手がかりを手に入れるため、厳重な警備のもとに列車で護送されているノーランを確保します。そして予想通り、作戦はオーコが望んでいたほどスムーズには進みません。

 ケランは『エルドレインの森』で出会った頃からかなり成長したかもしれませんが、その心はまだ純粋で、罪なき人々が死ぬのを決してよしとはしません。ノーランを列車から降ろし、混乱の中で暴走する列車は崩落した橋へと突き進むのですが、オーコは罪なき民間人の命を救う気はほとんどありませんでした。この瞬間、ケランは自身が父親とはいかに違うかを示し、その優しい心が黄金のように輝きます。

 このカード《神秘の縛め》で、私たちはケランの力が増大する様を目撃します。列車に乗って死へと向かう罪なき人々を救おうという彼の決意が金色の投げ縄となって列車に絡みつき、ケランはその意志をもって、乗客が逃げられるだけの短い時間でしたが列車を引き留めることができたのです。

 それもすべて彼ひとりで、と付け加えてもいいかもしれません。オーコは全く力を貸そうとはしませんでした。

第4話 ターネイション発見

 最後の鍵とターネイションへの地図を手に、オーコの寄せ集め部隊は酒場へと戻ってきます。残っているのは、サンダー・ジャンクション最大の強奪作戦――宝物庫へ侵入する方法を話し合うこと。あの列車での出来事にもかかわらず、ケランの内では素朴な楽観主義が勝利を収めます。彼は父親に、もう一度チャンスを与えたいと思っています。もしかしたら、あれはただの誤解だったのかもしれませんし……(ああ、ケラン。あなたを抱きしめたい。何て健気な子なんでしょう)

 《強奪の計画》では、オーコが自身の計画をグループに伝える場面が見られます。地獄拍車団に変装してターネイションに忍び込み、彼らに溶け込んで宝物庫の扉へと辿り着く。オーコは同行者としてヴラスカとアニー、そしてケランを選びました。息子と絆を深めたいからではありません――いやいや、そんなのはオーコのやり方ではありません。彼はケランの揺るぎない忠誠心を自分のために利用しているのです。

 列車での事件の後、アニーはオーコを信用せず、彼がケランを駒としてしか見ていないのではないかと疑っています。オーコの策略を見破るために魔法の目を使う必要すらありません。少なくとも、誰かがケランに気を配ってやるべきではありませんか?

第5話 月下の決闘

 ケランは人生最大の決闘に挑み、ターネイションには招かれざる集団がやって来ます。この回に注目のストーリー・カードはありませんが、最新のストーリーを読んで頂けますし、また4月下旬に公開予定のThe Magic Story Podcastでストーリー全体と要約を音声で聞くことができます(英語のみ)。

第6話 盗人と雷撃ちのバラッド

 オーコの作戦ではいつもそうですが、ターネイションに混乱が勃発します。スターリング社が地獄拍車団に攻撃を仕掛け、オーコ一味は巻き込まれてしまいます。彼らは戦いの隙をついて宝物庫へ向かい、複雑な罠をくぐり抜け、ようやく最後の扉に辿り着くと、それを守る魔法をケアヴェクが解除しにかかります。その時でした。地獄拍車団とスターリング社が彼らに追いつき、全面的な銃撃戦が始まりました。

 オーコたちは数で劣っており、オーコもそれを認識しています。ですがヴラスカは彼と同じように物事を捉えていました――代償を払ってでも宝物庫に入らねばなりません。たとえその代償というのが、敵を対処してもらうために味方を置いて先に進むことだとしても。

 そして混乱の中でケランが現れ、オーコが宝物庫の奥へ進もうとするのを阻止します。ラル・ザレックはヴラスカと、ケランは父親と対峙します。これが《宝物庫での裏切り》に描かれている瞬間であり、フレイバーテキストがそれを完璧に物語っていると私は思います。

 この中で、欲ではない理由で戦っているのはケランただひとりでしょう。彼は宝物が欲しいのではありません。ただ、父親のような欲深く信用できない人々がそれを手に入れるのを止めたいだけです。この場面でオーコはケランを厭わしく思っていると言っても過言ではありません。ケランはついに、父親がどのような人物であるかを認めざるを得なくなったのです。

第6話の終盤にて……

 アニーとケランは崩壊する宝物庫から共に脱出を試みますが、その戦略はアクルによって複雑化してしまいます。アニーの命を救うため、ケランは自らの魔法へと呼びかけます――自分自身の天性の、真の魔法へと。ケランはもはや怖れることなく、フェイとしての自身の側面を受け入れたのです。そしてアクルの心へと入り込み、相手を支配します。ケランはそのドラゴンへと、崩れつつある宝物庫に戻るよう命令しました。

 《逃走のまやかし》では、ケランの力がアクルを飲み込み、宝物庫の中に閉じ込めます。ですがこのメカニズムはクリーチャーのコントロール奪取にも対応できるものとなっており、これはケランがこの場面で成し遂げたことを簡潔に表現しています。

 未来の悪人たちへの注意:無実の人々を脅かしたり、ケランの不興を買ったりしないこと。なぜなら彼には由々しい力があるからです。聞いていますか、オーコ? もしかしたらあなたの息子さんは、重大な局面で強いフェイになる方法について、ひとつかふたつ教えてくれるかもしれませんよ……


 『サンダー・ジャンクションの無法者』の物語は、ひとりのキャラクターとしてのケランの成長を確かに描いています。最後には彼はもう純朴な子供ではなく、強大なドラゴンを精神支配してサンダー・ジャンクションを地獄拍車団から救ったのです。

 ケランがフェイとしての側面を受け入れ、彼の長い物語がひとつのマイルストーンに到達するのを見るのは喜ばしいことでした。『エルドレインの森』で冒険が始まった当時、ケランはまだひとりの羊飼いであり、自身が何者であるかについては何の手がかりもありませんでした。ですが多元宇宙を旅し、彼はサンダー・ジャンクションにあるアニーの牧場で平和を見出しましたが、一方で以前よりもはるかに賢明になりました。

 皆さん、ご視聴いただきありがとうございました。ここで初めて公開する《神秘の縛め》と《最後の仕事》と共に、これら注目のストーリー・カードを気に入って頂けましたら幸いです。ああ、そしてもっとストーリーが欲しいのでしたら、各回を深掘りするThe Magic Story Podcastのチェックをどうか忘れないでください。

 この先には更に多くのストーリーが待っています。ですが皆さん、今は……素晴らしい一日をお過ごしください!


 『サンダー・ジャンクションの無法者』はMTG アリーナで4月16日に、製品は4月19日に発売されます。マジックの多元宇宙を舞台にした最新の伝承と冒険を逃したくないのであれば、The Magic Story Podcastのチェックをお忘れなく!


(Tr. Mayuko Wakatsuki)

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