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モダン禁止リストの変遷
モダン禁止リストの変遷
Blake Rasmussen
2015年2月3日
この週末、プロツアー『運命再編』にてモダン・フォーマットが採用されます。モダンのプロツアーへの採用は、2011年8月の誕生以来4度目のことです(世界選手権でも数回採用されていますね)。モダンというフォーマットにはローテーションがありませんが、今大会でもきっと強烈な新鮮さを見せてくれることでしょう。なんといっても、このフォーマットの根幹を揺るがすような禁止改定が行われたのですから。
とはいえ、モダンにおいて大きな変動は珍しいものではありません。このフォーマットは創設から3年半が経っており、研究はかなり進みました。それでも毎年大きな影響を与える新カードが登場し、それが組み込まれることでモダンはその短い歴史の中で幾度と無く生まれ変わっているのです。ここでは、創設から続くモダンの変化を、禁止カードリストのお知らせを通して見てみましょう。
《出産の殻》 アート:Daarken |
2011年8月
禁止:《祖先の幻視》、《苦花》、《戦慄の復活》、《垣間見る自然》、《ゴルガリの墓トロール》、《超起源》、《精神を刻む者、ジェイス》、《精神的つまづき》、《石鍛冶の神秘家》、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、《師範の占い独楽》
プロツアー・フィラデルフィア2011の直前に創設されたモダンでは、レガシーやかつてのエクステンデッド、そしてその年のコミュニティ・カップ(リンク先は英語)で使用されたデッキをもとに最初の禁止リストが制定されました。当時の告知によると、その理由は以下の通りです。
「どのカードを禁止するかの策定にあたり、私たちは2つの分類を定めました。まず、レガシーにおいて2ターン目確定のコンボ・デッキは認めませんが、3ターン目ならOK、という指針が存在します。これをモダンにあわせて修正しました。つまり、4ターン目のコンボ・デッキは許容しますが、3ターン目確定で勝負を決めるようなデッキは認めません」
2011年9月
禁止:《猛火の群れ》、《雲上の座》、《緑の太陽の頂点》、《思案》、《定業》、《炎の儀式》
2度目の禁止改定は、プロツアー・フィラデルフィアの結果に沿ったものでした。《猛火の群れ》は「感染」クリーチャーと共に使うことで、早ければ2ターンで勝負を決めることのできるとんでもない隠し玉でした。《思案》と《定業》と《炎の儀式》は、莫大なマナ加速やコンボの安定性を高めることで、環境のスピードを上げ過ぎました。《雲上の座》を用いたデッキは4ターン目くらいに15マナを生み出し、《緑の太陽の頂点》は緑のデッキから多様性のほとんどを奪ってしまいました。
プロツアーの舞台でのストレス・テストを終えたことで、モダン・フォーマットの本当の始まりはここからだと考える人が多いことでしょう。コンボ・デッキは大幅に速度を落とし、このフォーマットから明らかに逸脱したデッキには圧力がかけられました。そしてこれにより、アグロ・デッキやミッドレンジ・デッキが隆盛することになります。
2011年12月
禁止:《罰する火》、《野生のナカティル》
エリック・ラウアー/Erik Lauerによる声明は以下の通りです。
もう一つの方針として、多様性のあるフォーマットを保つというものがあります。アグロ・デッキやコントロール・デッキ、コンボ・デッキが存在できていたのはいいことですが、完全に多様性があるとは言えません。特に、アグロ・デッキの大多数は「ズー」デッキです。私たちは、なぜ他のアグロ・デッキがプレイされていないのかに焦点を当て、そして分析の結果2枚のカードを禁止することに決定しました。
とんでもないコンボ・デッキや大量のマナを生み出すデッキへ釘を刺した後に行われたのは、環境のアグレッシブなデッキに多様性を持たせる手助けでした。とりわけ《罰する火》は、そう、《野生のナカティル》のように3以上のタフネスを持たなければ、それを「罰して」いたのです。
2012年9月
禁止解除:《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
再び、エリック・ラウアーの言葉を見てみましょう。
「最近のモダンのイベントには多様性があり、どのデッキもメタゲームを支配してはいない。モダンはローテーションのないフォーマットなので、禁止カードはローテーションによって消えることはない。DCIは、カードを解禁することがフォーマットにどんな影響を及ぼすのか見るために解禁する。プロツアー・フィラデルフィアに向けて定められた最初の禁止リストに記されていたカードを確認し、既存の上位デッキに簡単に刺さることのないようなカードで、現在の上位デッキと異なるプレイ・パターンのデッキを存在させたいと思った。選択肢を検討した結果、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が解禁されるカードとして選ばれることになった。」
これによる影響は、極めて望ましいものでした。「《風景の変容》」がモダンのメタゲームにおける主要デッキの一角になりましたが、それは決して支配的でも他を圧倒するものでもありません。
2013年1月
禁止:《血編み髪のエルフ》、《煮えたぎる歌》
支配的、という話をするなら、「ジャンド」の時代でしょう。このミッドレンジ・デッキの王とも言うべきデッキが環境最強である、と多くのプレイヤーが認めていた時代であり、環境内の他のデッキで挑むのは茨の道であった時代です。これについても、エリック・ラウアーが告知の中でうまく言い表しています。
「それ以来、モダンのグランプリを4回開催してきました。ジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezaniはグランプリ・リヨンをジャンドで制しました。ヤコブ・ウィルソン/Jacob Wilsonがジョシュ・ウター=レイトン/Josh Utter-Leytonをグランプリ・シカゴの決勝で下しましたが、この決勝はジャンド対ジャンドでした。グランプリ・トロントで優勝したウィリー・エデル/Willy Edelが使っていたのも、ジャンドでした。そして、ルーカス・ヤクロフスキー/Lukas Jaklovskyはグランプリ・ビルバオでジャンドを使って準優勝したのです。それだけでなく、ジャンドはビルバオの上位16位のうち6つを占めていました。」
ジャンド、ジャンド、ジャンド、ジャンド、ジャンドばっかり。こうして《血編み髪のエルフ》が退場しましたが、まだこれで終わりではありませんでした。
2013年5月
禁止:《第二の日の出》
スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaと30分にもおよぶ一方的なターンに感謝してもいいですよ。彼の使用した「エッグ/Egg」(訳注:「サニーサイドアップ」とも呼ばれました)は、決して異常な強さを持っていたわけではありません。ただ、あまりに退屈だったのです。
2014年2月
禁止:《死儀礼のシャーマン》
禁止解除:《苦花》、《野生のナカティル》
このフォーマットの多様性を高めるため、2度目となる禁止解除が行われました。同時に、2度目となるジャンド関連のカードの禁止が行われています。《苦花》と《野生のナカティル》はその後、モダンのメタゲームにそれぞれ居場所を見つけました。それでもまだ、かつての大活躍は見せていません。果たして、《出産の殻》なきプロツアー『運命再編』に活躍の場はあるのでしょうか?
2015年1月
禁止:《時を越えた探索》、《宝船の巡航》、《出産の殻》
禁止解除:《ゴルガリの墓トロール》
最新のブロックから登場したこの青いやつらは、かつてないほどにモダン全体をひっくり返しました。デッキの構成そのものを変え、メタゲームの多様性を損なったのです。そう、多様性。そこには、《出産の殻》と新登場の《包囲サイ》もまた、影を投げかけていました。数年にわたり頂点の座にあった「《出産の殻》」がいなくなることにより、そして同時に悪い影響を与えた最新のカードを退場させることにより、モダンは来たる週末に向けて大きく扉を開いたと思われます。さらに、またひとつ面白いものが禁止解除されました。今回のプロツアー参加者たちはきっと、あらゆる可能性に備えるために多くの練習をこなしていることでしょう。
この週末は、プロツアー『運命再編』にて世界中のプレイヤーが新たな変化を迎えたモダンへと立ち向かう姿から、目が離せませんね。
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