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マジック2013:おかえり、フレイバー

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マジック2013:おかえり、フレイバー

Doug Beyer / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori

2012年6月25日

原文はこちら


 マジックが持つ最も素晴らしい長所の一つは弾力性だ。我々はゲームを異なる方向に押し広げ、釣り合いが取れるように組み込ませて複雑に展開させ、どこか未踏の、発展の可能性のあるのスペースの隅々に至るまでさまよい歩くよう促す。だがそれから、ブロックの長さに渡る放浪生活の後、ゲームは再びその中央へと弾き戻ることができる。マジックは帰り道を見つけ、それこそがマジックであると人々が理解し見極める、クラシックなゲームプレイと朗々としたファンタジーの大黒柱へと立ち戻る。


〈火翼のフェニックス〉 アート:James Paick

 この弾力性があるためにマジックは、曲がりくねったメカニズムと入り組んだゲームプレイで暴れ回ることができる。それによってゲームは定期的に見事で壮麗な爆発をする。だがそしてまた毎年真新しく生まれ変わる、まるで不死鳥のように。基本セット2013はその生まれ変わった赤ちゃんフェニックスだ。古い生命の形跡は見られず、灰の中で鳴きわめき、羽根はまだ生えたてだ。基本セットはマジックにとっての帰郷であり、マジックが一年にわたって放浪し、探検し、夢中に走り続けることを可能にしてくれるものだ。

 今はそんな時だ。そう遠くない未来、マジックは我々の薪の巣を作って生まれ変わる時が来る。基本セット2013の首席デザイナーとして、私は君達におかえりを言いたいと思う。

基本セット2013 デザインチーム

 君達の多くがSavor the Flavorの中の人として私を知っていると思う。Savor the Flavorとはマジックのアート、フレイバー、そしてDailyMTG.comにおけるヴォーソス関連すべてのためのコラムだ。現在は終了しているが。そしてR&Dでの私の主要な役割は引き続きクリエイティブ・チームで働き、必要なものを書き、あらゆる世界、セット、カードへと強烈なフレイバーのきらめきを与えてやることだ(そして我々には現在進行中のすごいものが沢山あるよ。やっほう!)。あらゆるセットが我々のチームを通過する。そして我々はこれら大切な子供達全てを愛している――だが基本セット2013は我が心臓器官の中でも特別な居場所を持っている。何故なら私はそのセットの首席デザイナーで、そして我が素晴らしいチームは君達のために、本当に未だかつてない最高のセットを作ってきた。だからそれを君達へと公開させてくれ。

 毎回デザインチームを君達へと紹介するのはマーク・ローズウォーターの流儀だが、私にも同じようにこのカードセットデザイン馬鹿の集団について少し語らせて欲しい。

アーロン・フォーサイス
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 マジックR&Dのディレクターとして、アーロンは2010以来、全ての基本セットデザインに身を置いてきた。基本セット2013へと引き継がれて流れるモデルを打ち出したのはアーロンのビジョンで、彼はファンタジーのフレイバーが響き渡る、シンプルで綺麗なトップダウンデザインを導く光だ。私は今回初めてのデザインリーダーを務めたので、経験のあるアーロンがいることと彼がチームを監督してくれることに私はぞくぞくさせられた。私もだが、アーロンは基本セットデザインが大好きで、そのセットは大いに彼の洞察力の恩恵を受けている。

グレアム・ホプキンス
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 私はグレート・デザイナー・サーチ出身のグレアム・ホプキンスとゼンディカーのデザインチームで共に働いた。そして彼をデジタルゲームのグループから借りて基本セット2013のチームに入れることに興奮した。グレアムはルールテキストのシンプルな行でフレイバーに満ちた物語を伝える、パワフルな眼識を持っている。それを一言で言うのは難しい。グレアムはただマジックのクールなカードだけでなく、基本セットの形を明確にしてくれるようなカードの集合体を作り出す能力で、何度も何度も私を喜ばせてくれた。

ライアン・ミラー
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 ライアン・ミラーは新たなトレーディングカードゲーム、Kaijudo(訳注:「デュエル・マスターズ」の海外版)の首席デザイナーとして最近まで忙しかった。だが彼はまた、素晴らしいマジックのセットを作ることに貢献してきた。ライアンのスーパーパワーは、「おもしろいように見える(だけどプレイすると悲惨な)」カードとメカニズムから、楽しいゲームを生み出すカードとメカニズムを識別する能力だ。ライアンの、そのセットの多くのクールなカードへの貢献と同様に、彼の直観によって我々は、嗅ぎわけるには数週間のプレイテストを必要としたであろうデザインの袋小路に向かうのを避けることができた。

マーク・パーヴィス
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 マジックのブランドマネージャー、マーク・パーヴィスは典型的なベテランプレイヤーで、コレクターとテーブルゲームプレイヤーの精神への大いなる洞察力を持つ。彼はまた私の最も古い友人の一人で、我々はミドルスクール(訳注:米国で4-4-4年制教育を採用している地域での中間の4年の学校を指す)以来の友人だ(それはとても昔のことで、具体的な数字は挙げないことにしよう。うむ、お互いを知ってからの年月は1年より長い、いいかな?)。マークは1990年代に私にマジックを教えてくれた。どちらもウィザーズで働く遥か昔だ。だから共にこのチームでマジックのセットを作って生計を立てるというのは、率直に言ってシュールだ。マークは優れたカードデザインに貢献してくれ、そして長いことマジックに投資してきたベテランプレイヤーへのセット全体のアピールと悪戦苦闘してくれた。

ダグ・ベイアー(リーダー)
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 私こそがここに立ち、我がチームのハードワークから称賛を吸い取る男だ。そして私はフレイバーを大いに愛している。私がここで主張する名声は本当のところ、過去の基本セットデザインチームの経験、簡単だがフレイバーに満ちたカードへの不断の熱望、そして我々が基本セット2010以来作り上げてきた基本セットの道への投資が組み合わさったものだ。その強烈なファンタジーのフレイバーはただ楽しいだけではなく、君達がカードを学び、理解する助けになってくれると私は信じている。ドラゴンはドラゴンらしく、エルフはエルフのように振舞う――それは君をルール脳モードから追い出して、軍勢をぶつけ合って楽しむモードにしてくれる。基本セット2012のデザインが上がった後にアーロンが言ったんだ、「君にはこれができた。もし望むならM13の首席にならないか」 そういうわけだ。

 では、我々は実際に何をデザインしたのか? 基本セット2013では何が君を待っているのだろうか?

基本セット2013のテーマと特色

 今日、マジックの基本セットには共通する特色が少しだけある。それらの中には新規カードの意義深い比率が含まれている。新規カードは新規のプレイヤーが理解しやすいような、マジックの本質的なゲームプレイをもたらしてくれる。また馴染み深いファンタジーの象徴と、シンプルで綺麗なトップダウンデザインによって、新規カードは自由奔放な観客が期待するフレイバーと繋がる。


〈熟練の戦術家、オドリック〉 アート:Michael Komarck

(もしこの基本セット哲学についてもっと読みたいのなら、私はSavor the Flavorでそれについてべらべらと沢山喋っていた。私は基本セット2011のデザインチームでクリエイティブの担当者として、そして基本セット2012では創造の話をした。私は何故こんなにも「プレインズウォーカーの名前入り呪文」を好むのかについて、また君の「平均的基本セット」の一兵卒が作り出す、フレイバーの小さな勝利について喋ってきた。)

 基本セット哲学の初歩を越えて、あらゆる基本セットにそれ自身の適所がある。我々は物事を改める。今年、我々は実際、マジックに息づくキャラクター達に注目した。

基本セット2013の伝説のクリーチャー

 基本セット2013はレア5枚からなる伝説のクリーチャーのサイクルを誇示している。それぞれがマジックの多元宇宙のどこかからの、比類のないキャラクターだ――彼らはイニストラード、シャンダラー、アラーラ、そしてラヴニカからやって来た。

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 伝説のクリーチャーが基本セットに入っていたのは基本セット2010以前のことだ。その理由の一部は、彼らは少々ルール的に複雑であるというものだが、また我々はプレインズウォーカー達をゲームのスターとして輝かせたかったからだ。だが今年我々はマジックの名簿と陳列棚に少々深く入り込み、多元宇宙のより多くの顔を披露したかった。このことは我々に、何か本当にクールなことをさせてくれた。デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013の「中ボス」を創造するというものだ。

 デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013では(只今発売中! そこには基本セット2013のカードが詰まっている! 信じられないくらい楽しいよ! 今すぐ入手しよう!)、ゲーム中の対戦相手として5体の伝説のクリーチャーに出会うだろう。彼らは君が究極の目標に向かうのを妨害してくる。彼らは君というプレインズウォーカーが多元宇宙をくまなく旅する中で衝突する、非プレインズウォーカーのキャラクターの何人かを意味している。さらに、5体の伝説のクリーチャーのうち3体は、彼ら自身を軸に据えるメカニズム的テーマを持っている。彼らはそれ自身もクールだが、彼らを軸に組み立てられるデッキの道を指し示してもいる。また、それらの伝説をテーマとし、自動的に彼らと上手く機能するようデザインされた、より低いレアリティーのサポートカードのサイクルがある。そのように、それぞれの伝説にそれぞれの雰囲気があり、それぞれ自身の色が持つ力の表現方法があり、デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013で用いられるデッキと、各伝説を特色としている基本セット2013のエントリーセットの両方で表現されているそれぞれのメカニズム的テーマがある。

 白に列するオドリック、イニストラードからやって来た怪物殺しの聖戦士職である彼は、大規模な軍隊と共に攻撃するのを好む。よって彼の最良の戦略は、場をクリーチャーで一杯にすることだ。ターランド、シャンダラーからやって来た青に列するマーフォークの召喚士は、インスタントとソーサリーのパワーを解き放つ。よって彼は少なめのクリーチャーと多くの一対一交換の呪文で動く、青を基本としたデッキでアドバンテージを作り出す。ネファロックスはアラーラ、グリクシス出身の黒に列する悪名高いデーモン・ロードだ。彼の賛美メカニズムは、マナカーブに沿って賛美クリーチャーを配置した黒白のクリーチャーデッキを指し示す。クレンコは赤に列するラヴニカのゴブリンの群れのボスで、ゴブリンのうすのろ共の群れまた群れを募った時に一番よく働いてくれる。最後に、ラヴニカの緑に列するエルフ・シャーマンのイェヴァ、彼女は緑のクリーチャーへと瞬速を与え、「戦場に出たとき」能力を持ったクリーチャー達のトリッキーなデッキで対戦相手の計画をくじいてくれる。

 これら5体の伝説のクリーチャーたちはセットデザインの中で多くの働きをしてくれた。彼らは両方のゲームで焦点となるキャラクターとして登場することによって、デュエルズ2013と基本セット2013を一つに結んでくれた。彼らは他のカードとのメカニズム的繋がりを提示する、クールで目を引く支柱として新規プレイヤーの(もしくは長いことマジックから離れていたプレイヤーの。おかえり!)デッキ構築を助けてくれる。彼らは自分達のフレイバーとセットの他のカードとの繋がりを通してマジックのメカニズム的レシピを強調し、プレイヤーが自分自身のデッキを構築する道を示すことさえしてくれる。

賛美

 全ての基本セットには、あらゆるマジックのセットに共通する「常駐の」メカニズムが通常含まれている。飛行、先制攻撃、トランプル――通常は。なおその上で最近の基本セットには過去からの、フレイバーに満ちた選ばれしメカニズムがある。それは基本セット2013も同じことだ。我々はアラーラの断片ブロックのバントのメカニズム、賛美を呼び戻すことを選んだ。何故ならそれは上手くプレイされ、構築するのが楽しく、クールでフレイバーに満ちたカードになってくれるからだ。賛美はバントの色である白・青・緑を中心とするが、我々は基本セット2013においてそのメカニズムを白と黒に集中させることを選んだ。黒は賛美の新色だが、我々は白とその仲間達以上に、黒は賛美によって強い力を得るというフレイバーを最も持つ色だと感じた。白が侍祭と従者を従えた聖騎士と天使を称える一方で、黒は狂信者と暗黒司祭を従えた悪魔的君主たちへと忠誠を捧げる。

 君達は強力な賛美土地、〈戦の大聖堂〉さえも見たかもしれない。その大聖堂は君の賛美軍団へと与えてやれる強力な場所だ――そして君のお気に入りの攻撃クリーチャーへと追加の+1/+1修整をくれる。

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新しきものの記憶

 我々のゴールはそのセットを新たな、それにもかかわらずクラシックなマジックのカードだと感じさせるようなもので満たすことだった。基本セットは帰郷、心地よい本拠地への回帰であるべきだ。実際には全く新しいそのセットが、君に何かを思い出させてくれるような感じにするために、我々は何度も何度もフレイバーを頼りにした。

 多くの、とても多くの過去の基本セットから《天使の羽根》のアーティファクト・サイクルを再録する代わりに、基本セット2013では魔法の指輪のサイクルに着替えている。指輪はそれぞれ装備品で、与えられた色のクリーチャーへと装備された時に最も上手く機能する。それらは特に一色にクリーチャーを大量に集中させたデッキにおいて楽しく、パワフルになりうる。我々は基本セット2011から、アーティファクトの指輪サイクルのデザインを試みてきた。そして我々はついにそれを身に着けたと考えている。

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 基本セット2013には2枚の新規プレインズウォーカー・カードが含まれている。基本セット2012をソリンとギデオンが揺るがした後、リリアナとアジャニは二つの新デザインで基本セットのラインナップへと荒れ狂って戻ってきた。〈群れの統率者アジャニ〉は小奇麗な3マナでリングに上がり、仲間を支え鼓舞するという彼の本職を披露する。《闇の領域のリリアナ》はリリィのマナとの繋がりに焦点を当てている。特に屍術の源である沼の力を呼び起こす。この二人が基本セット2012からのジェイス、チャンドラ、ガラクに加わり、基本のプレインズウォーカー5人が仕上がった。

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 そして、古典的ファンタジーとのフレイバーに満ちた繋がりと、楽しいゲームプレイを喚起するために存在する、1回限りのデザインの軍団がある。私は多くの、とても多くのフレイバー記事を焚きつけてくれる、こんなにも多くの小さなヴォーソスのカード兵士を設計してくれた我がチームの奮闘を誇りに思う。

用心深い再録

 あらゆる基本セットのように、主要なテーマと新規カード以上の、豊富な良カードが存在する。基本セット2013にもまた、マジックの過去からのぴりっとした再録の群れが入っている。もし君が《吸血鬼の夜鷲》に《怨恨》をエンチャントしたことが一度もないのなら、言わせてくれ。まず、それは楽しいってこと。次に、君は基本セット2013のシールド戦の中でそれを行うことができるってこと。

 マジックデザインで過小評価されている能力は、過去のマジックから、彼らの新たにデザインされた仲間とともにフレイバーに満ちてメカニズム的に適正という両方が首尾一貫した再録カードを選択するものだ。過去の基本セットとは異なって感じる、それでいて新規プレイヤーのための最初の経験として道理にかなう、そして復帰プレイヤーのための帰郷経験として、再録の艦隊を我々は選ぶと私は考える。

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 来たる週に明かされる沢山の再録カードがある。そして私はそれを全部明かしたくはない......つまり本当は、私は全てを明かしたいってこと。だけどそれよりももっと、君達がプレリリースでブースターパックを開いて見ることを望むよ。

 ああ。そして再録といえば。

 タイタンはいないよ。

 そうだ。そろそろ落ちてもいい頃だ。

 だけどもう一つの巨大な、影のような、基本セット2013のとても堂々とした特色について私は述べたい。

6番目のプレインズウォーカー

 私は既に、基本セット2013ではアジャニ、ジェイス、リリアナ、チャンドラ、ガラクの基本ラインナップが帰ってくると言及した。だが私はもう1人を基本セットに登場させたかった。善玉達が常にスポットライトを浴びるわけじゃないという合図として役立つしかもしれない馴染みの顔を。

 この特別なキャラクターは物議をかもした。基本セット2013に6番目のプレインズウォーカーを加えることを意味するというだけでなく、基本セット初のマルチカラー(金枠)のカードになるであろうという理由で。これは我々のルールを破る――金枠は基本セットを貫くテーマというよりも、拡張セットを動かすテーマであると、そしてマジックをよりいっそう複雑な方向に持って行かせるものであると我々は考えている。だけど私は、もしそのルールを破る奴がいるとしたら、こいつしかないだろうと思った。

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 我々はいくつかの理由から、エルダードラゴンにしてプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスを基本セットに持ち込んだ。トレーディングカードゲームの物語は本や映画やTVドラマに比較してゆっくりと進む。基本我々は新セットを発売する3ヶ月ごとに、新たに一つの話を進める。ボーラス本人はアラーラブロック以来姿を表しておらず、彼が今も舞台裏でその陰謀に精を出していることを「正義の人」たちに思い出させるために時折顔を出すことは重要だと私は感じた。基本セットでの彼の存在は一つのメッセージを送る――こいつは重要で危険だと。ボーラス卿の影は基本セット2013の至る所に大きく、不吉に現れている。事実、君達は基本セット2013のパッケージにボーラスの角を見ることができる。

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 我々がマジックで多くを見てきていないものの一つに、ボーラスの下僕達がある。彼は必要に応じて多元宇宙のあちこちに個人的に現れ、自分に仕える者へと要求し、そうでない者の精神を気さくに破壊すると我々は知っている。ボーラスの傍らで働くようになった二人のプレインズウォーカー、《狂乱のサルカン》と《ボーラスの工作員、テゼレット》さえも我々は見てきた。だが彼の汚れ仕事を行い、その巨大ドラゴンから進軍命令を受け、ボーラスの基本計画を分刻みの、地に足のついたレベルの細かさで遂行するような、控えめな忠僕クリーチャー達を見ることは滅多にない。

 基本セット2013で、我々はやる。

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〈ボーラスの占い師〉 アート:Slawomir Maniak

〈心爪のシャーマン〉 アート:Slawomir Maniak

 青と赤にボーラスの汚れ仕事人が合わせて二人いる。それぞれがそれぞれのやり方で、これらのクリーチャーは魔法を探し求め、数万年を生きたドラゴンのために、かつてないほどの力を竜の主へと集めている。これらのクリーチャーは両方とも君が長期戦を行うのを助ける。ゲーム序盤では回答を捜して交換し掘り進め、中盤ではカードアドバンテージを構築する。〈ボーラスの占い師〉は君のライブラリーから知識を捜し、〈心爪のシャーマン〉は真のボーラス的スタイルで君の対戦相手の精神へと直接手を伸ばす。だがボーラスのメインカラーは黒であり、ボーラスはその色に特に強力な下僕を従えている。

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〈ボーラスの信奉者〉 アート:Slawomir Maniak

 生存と力。ボーラスが特に好む二つの物事だ。この三番目にして最後の下僕は、ボーラス卿がエンドゲームを支配できるほど長く生存するべく支えながら、主が魔法を築き上げる手助けをする。君の戦場に既に《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》がいる時には、君はボーラスの能力で対戦相手のクリーチャー1体を奪い取ることができるために《ボーラスの信奉者》はとりわけタチが悪い存在となりうる。〈ボーラスの信奉者〉をひとたび君の新たな下僕として唱え、そして奪ったクリーチャーの精神を致命的に強奪して知識を得る。

 最後に、この暗黒のドラゴンを主題としたもう1枚のカードを紹介しよう。

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〈適合の宝石〉 アート:Jack Wang

 もしボーラスが必要とするものがあるとしたら、それはマナだ。〈適合の宝石〉はボーラスが無数に持つマナとの繋がりを管理する、マナアーティファクトの一つだ。そのカード名は彼の個人的な瞑想次元にある《Pools of Becoming》を思い起こさせる(プレインチェイスで既に見ている場所だよ)。

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 これら適合の宝石達を集めて、君の竜的な3色マナのジレンマを解決するべく役立てるんだ――もう一度言うが、ボーラスは生存と力が全てだ。もし君が最も長く生き延びて、最も多くの魔法を学んで、最も多くのマナとの繋がりを鍛え上げたなら、君は無敵となるだろう。

プレリリースへ行こう

 君達が基本セット2013を目にして、そしてプレイすることに私はこれ以上ないほど興奮している――これまでのように、父親として誇りに思う。もし君がスタンダードやイニストラードブロックに繋がれていたのなら、パレットを綺麗にしていくつかの古き良きエルフやゴブリンやドレイクやドラゴンをそれぞれぶつけ合う絶好の機会だ。もし君が新規プレイヤーか復帰プレイヤーなら、基本的な楽しみとゲームの核となる強みに我々が再び焦点を当てたマジックへと入り込むにはファンタスティックなタイミングだ。

 マジックは熱と光のスペクタクルの後に生まれ変わるため、温かい灰でできた巣を作っている。マジックは若返るための準備をしている。次元を渡り歩く魔術師達が互いを殺し合うために召喚したファンタスティックな軍隊の、穏やかな日々へと戻るために。君がプレリリースでいくつものパックを開けて、ゲームに飛び込むことを私は願うよ。

基本セット2013

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