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石の賢者、ダミーア

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石の賢者、ダミーア

Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki

2011年6月8日


 統率者戦! それはイカして強烈で行きすぎた伝説的な奴らのドリームチームが、それぞれに表現豊かな唯一無二のデッキで人事不省に陥るフォーマットだ。その多様性たるや、まるで雪の結晶がコピーデッキに見えるほどに。パンチを食らった統率者達が、おかしい音程で鬨の声の騒音を上げて一人また一人とやりすぎなくらいに何度も何度も立ち上がるフォーマットだ。

 これを? 皆やっているって? 私も......私もそこに加わりたい。

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 6月17日、「マジック:ザ・ギャザリング 統率者」デッキが発売される。それらは統率者戦のフォーマットにリーガルな5つのデッキで、ジューシーな再録カードと、頭が爆発しそうな途方もないフォーマットを念頭に置いた完全に新しいカードの一式が揃えられている。もし君がこの夢中になるフォーマットの深みに爪先を浸そうと考えているなら、今こそ君は砲弾となり、ただ飛び出すその時だ。

 だけど君は自身を投げ込む前に、準備をしたいと願うだろう。

統率者

 君は一体の伝説のクリーチャーを統率者として選び出す必要がある。都合のいいことに、もしくは細心の注意とともにわざと言わせてもらうが、前述のデッキには伝説のドラゴン、大魔導師、菌類の怪物、そしてエランド(訳注:南アフリカに生息する大型の牛)にも似たミノタウルスといった風変わりな面々がそっくり含まれていて、しかも彼らは仕事をしたくてうずうずしている。今日のプレビューカードはその中の一人だ。

武器

 君は逃げようのないどつき合い祭りで君を生き残らせてくれるような、インパクト抜群のカードを必要とするだろう。このフォーマットにおどおどしてかしこまった奴らの居場所はない。君が引く全てのカードは大怪我を負わせるか、それから身を守ってくれるものである必要がある。理想を言えば、君が引く全てのカードはさまざまな方向に役に立つ必要がある。他二人から受けた出血を止めている間、戦いを優位に進めるのを助けてくれるような。今日のプレビューカードはまさにそれだ。

テーマ

 君はデッキにテーマか方向性を必要とするだろう。このフォーマットの99+1枚のカードからなるデッキは、とても多様で選択が過積載されている。Gathererからの手短な検索結果からさえも君は麻痺してしまう危険性がある。幸いにも、統率者を選ぶことは自然に色の選択を制限し、選択肢のジャングルの中でテーマとなる道を切り開いてくれる。もし君が明白で強いテーマを持った統率者を選ぶなら、それは君がデッキに入れる全てのカードを教えてくれる。デッキ構築を至福の時間にしてくれる。今日のプレビューカードはこの至福をくれるだろう。

アート

 加えて、私に言わせてもらえば、君はタフなアートで描かれた統率者を選ぶ必要がある。それは君が骨身を惜しまずに集め、積み重ねたぐらつく山の象徴だ。ゆえにそれはクールであるべきだ。加えて、君が選択した伝説は統率領域から戦場へと何度も登場し、君はそれをしばしばしっかりと見ることになる。君はその作品を何度も目にするに値することを望むだろう。今日のプレビューカードには大いにその資格がある。

 まずアートだ。ドーン!


石の賢者、ダミーア》 イラストレーション:Steve Argyle

 石の賢者、ダミーアは伝説のゴルゴン・ウィザードであり、彼女はいささか謎の人物だ。彼女は伝承の霊堂に隠れ住んでいるが、彼女は巻物や秘本は僅かしか所持していない。彼女は秘密の図書館を利用できるが、瓶や壺、粉末といったものに囲まれている。彼女は物好きな旅人の質問に答えることで知られているが、石化した犠牲者の彫像でもまた知られている。

 石の賢者、ダミーアとは何者なのか? 彼女のヴェールを取り去る時が来た

 ダミーア、戦闘開始! 接死のダミーア! ダミーアはこのフォーマットでのデッキ構築ルールにのっとって3色デッキを可能にしてくれる! そして最も重要なのは、ダミーアは君に最も楽しい決まり文句を何度も何度も言わせてくれるということだ。

「アンタップ、7枚までドローします...」

 統率者戦においてはどんな事でも起こりうる。もし君がマジックの長い歴史から集められた神話的オールスターの軍勢に襲いかかられているとしても、君が毎ターンその言葉を口にすれば、事態はそれほど厳しいものとは思えなくなる。

「アンタップ、7枚までドローします...」

 何が起こっているかは関係なく、ダミーアには彼女の流儀がある。彼女は永遠に尽きない弾薬のようなものだ。彼女はただ薬室に別の弾丸を込め続ける。《有象無象の大砲》に別の従兄を入れ続ける。果物カタパルトに別のパパイアを乗せ続ける。

「アンタップ、7枚までドローします...」

 何てわがままな。何て強欲な。何ていたずら好きで自分勝手な。まるで君の脳だけに接続された《吠えたける鉱山》的存在の一団の嘆きのようだ。思うに、ある種のラッパ型補聴器?

 加えて、ダミーアは青黒緑の「貪食と増強」デッキにおけるただの楽しい新カードというだけではない。そのようなデッキはタンクを満たすダミーアの能力よりも、《擬態の原形質》と呼ばれる墓地を食らう伝説の力により多くの焦点が当てられている。だが賢いデッキ構築をするなら、彼女は素晴らしい統率者として選択される権利がある

 石の賢者を戦場に出すと宣言しよう。彼女は自身と、助言の詰まった東屋を立ち上げて(彼女とその4/4の身体)、秘密を供給する準備をする(手に一杯のカード)、敬意に満ちた質問者(君)のために。どんな効果を与えてあげれば、彼女の能力を最大限に引き出してくれるだろうか?

マナ加速

 ターン開始時の枚数に関係なく、君は手札が7枚になるまでカードを引く。もし君の手札が6枚だったら1枚。ダミーアが場にいない時と何ら変わらない。もしターン開始時に君の手札が2枚だったら、ダミーアは5枚カードを引かせてくれる。これは目に見える違いだと言えるだろう。ゆえに君はそのターンに多くのことをしたいと望むことになる。それは多くのマナを君は望むであろうということを意味する。君にとって幸運なことに、ダミーアは既に緑を含んでいる。つまり君はマナを伸ばし、土地を様々に変化させる最良の色を既に使用しているということだ。また、ダミーアは7マナクリーチャーであり、身悶える彼女にできる限り早く謁見するために、あらゆる方法で君はマナ加速を望むだろう。最後に、統率者というフォーマットはひそやかなものではなく華々しいものであり、「ともかくも7枚にする」戦略にどのようにせよとても良く合ったものとなるだろう。

 「果物カタパルトに別のパパイアを乗せ続ける」ってフレーズは実際のところ前に使ったっけ?

 先へ進もう。

軽い呪文

 君の加速にもかかわらず、君はダミーアを安価で融通のきく呪文の武器庫で囲みたいと望むかもしれない。ダミーアからカードの塊をただ得ただけのふりをする。いい感じだ。そのいい感じを再び得るために、君は次のターンまでに手札からできるだけ多くの呪文を唱えたいと望む。君は確実に土地を一枚プレイするだろう。ゆえに少なくともダミーアは次のターン、君に何かをくれる。だけどもし君がそのターンにタップアウトしてコストのかかる怪物を唱えたなら、君はたった一つか二つの秘密をこの強欲なゴルゴンから引き出すだけになるだろう。一方、君が自身のターンに一人また一人と《恐怖》させ《帰化》し《喉首狙い》し、各種マナアーティファクトや《不屈の自然》を戦場のそこかしこに放れば、君は対戦相手達を蜂の巣にしてしまうだろう、新たな弾倉をそっくり君に提供する用意のあるダミーアを残して。これには多目的の融通のきく呪文を使うように。約6年前、プリズマティック(訳注:Magic Online認定フォーマット。各色最低20枚ずつ、最低250枚でデッキを組む)でのコントロールデッキについて書いたこの紳士の助言を受け入れるように(ごほん、私も年をとった、ごほん)。そしてドローした時に決して悲しむことがないような、万能ツールにも似たカードを選ぶように。君がダミーアに望む最後のことは、君の手札で立ち往生する、限られた対象を持つ気難しいカードだ。

危険なディスカード

 安全装置を外す準備はいいかい? 危険に飛び込む準備はいいかい? ダミーアの効果を最大限に引き出す究極の方法は、ある種の利益のためにカードを捨てることだ。ダミーアが君の手札を同時にずっしりと幸せにしてくれるのと同時に、《野生の雑種犬》に君の余分な土地を食べさせよう。《吸血鬼の貴族》に《精神を刻むもの》を与えて、ダミーアが君に7枚の手札をくれる間皆が0でのたうち回るその浮かれ騒ぎを観察しよう。しかしながらこれは危険な領域だ。もし皆がどんな方法にせよそれぞれの手札を失うのであれば、ダミーアは除去呪文を食べがちになるだろう。彼女を呼び直すには9マナもしくは11マナと高くつくゆえ、もし君が空(の)手(札の)道を志しているのなら、ダミーアの憎悪に心構えをしておくこと。

死の凝視とその他の策略

 ダミーアは君の統率者候補として、他の巧みな力を持っている。彼女は只の賢者ではなく「石の賢者」であり、つまり彼女の接死能力でも君は優位に立つことができる。彼女に《大石弓》、《棘噛みの杖》、もしくは《ヴィリジアンの長弓》を装備させて石化ダメージで優位に立つ。色の役割を破る従兄達、《錬金術の研究》と《霊力》はダミーアに《戦慄をなす者ヴィザラ》にも似た力を叶えてくれる。君は彼女と《印形なぞり》とを組み合わせて呪文をコピーしてもいいし、彼女に《預言者の杖》を装備させて彼女を本当にパワーアップさせることさえもできる。彼女の持つ珍しいウィザードのクリーチャータイプで優位に立つとは!

 ダミーアは悪賢い女の子で、「マジック:ザ・ギャザリング 統率者」デッキで登場する新たな伝説の中でも私のお気に入りの一つだ。私の助言によって君はダミーアのような統率者になれるだろう。彼女の周囲に何か楽しいことを組み上げ、この狂ったボリュームの頭突き合い祭りが繰り広げられるフォーマットで遊ぶ。それは途方もない都市への特急券であり、マジック世界のこれら独特の伝説キャラクター達の何人かにスポットライトを当てる偉大な手段だ。もし君ののろまな友人達が君より素早くこのフォーマットで楽しんでしていたとしても、ただこの真言を思い出せ。

「アンタップ、7枚までドローします...」

今週のお便り

 今日のお便りはJustinから。

 一人のプレインズウォーカーに複数のカードバージョンがある場合、例えば《ジェイス・ベレレン》と《精神を刻む者、ジェイス》ですが、古い姿の彼を唱える時はどんな背景的な意味があるのでしょう?

 ジェイスは一人しかいません、ゆえにもし私が彼の助力を求めたなら、私は常に多元宇宙にいる現在の彼を呼び寄せるだろうと貴方は考えるでしょう。ですが代わりに《ジェイス・ベレレン》を呼び出して助力を求めることは可能です。実質的にその人物はもう存在しないにもかかわらず。

 私はただ何か説明的なものを頂ければと思っています。ありがとうございます!

--Justin S.


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 プレインズウォーカーのキャラクター、その二つの姿の間の時間軸的順番が明らかな場合がいくつかある。《復讐のアジャニ》は彼の人生のうち、復讐に燃え赤マナに突き動かされた一定の期間を表していて、《黄金のたてがみのアジャニ》はそれより後の、より秩序と社会に焦点を置いた落ち着いた人生の期間を表している。君は将来、おそらく物語の中でプレインズウォーカーのキャラクターに起こった出来事を積極的に反映しているプレインズウォーカー・カードを見るだろう。

 だけど我々がより多くのプレインズウォーカー・カードを登場させるのと同様に、もう一つの異なる背景設定の方向性で印刷されたプレインズウォーカー・カードを我々は見ることになるだろうと私は考えている。ジェイスは精神魔術師でチャンドラは炎魔術師だ。彼はそれぞれカードとして具現化されるにあたって、その神秘的なプロフィールに適合する機能的な能力を誇示している。それらの場合、私は彼らを同じキャラクターが時間軸的に前後するもの、もしくは同じプレインズウォーカーが異なる魔法的兵器庫を準備していることを示すもの以上のものではないとみなしている。君はカードを効率よく引く準備のできているジェイスを呼び出せるし、クリーチャーをバウンスする呪文で武装したジェイスも、そして君の対戦相手の脳を刻むジェイスも呼び出すことができる。ジェイスはそれぞれのカードに示された以上の呪文を知ってさえいるが、我々はそれらを唱える彼を見ることはできないであろう。彼が新たに与えられたプレインズウォーカー・カードとして印刷され、そのキャラクターの神秘的パワーの小片を満載したショーケースに登場するまでは。

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 プレインズウォーカーのコストは、その個人的な成長を示すということを意図しているわけではない。これには注意する価値がある。次に示すのはフィクションだが現実からそう遠くはない、私と開発部員との間でかつて起こったやり取りだ。

R&Dの人物「じゃあ、次のチャンドラは7マナだね、そうでしょ?」

私「(まばたき)? は? 何で?」

開発部員「彼女はレベルアップしているから」

私「(更にまばたき)?? どういうことだ?」

開発部員「ああ、彼女は最初5マナで、《燃え立つチャンドラ》は6マナで、だから...」

私「待て待て待て。違う違う違う違う。何度でも言うが違う。そういうものじゃないんだ」

開発部員「だってそうじゃないか」

私「(考)ん、確かに......それは合ってる。だけど私達が考えているのはそうじゃない。カードはただ、そのパワーレベルと彼らの能力の特別な一揃いに対するコストがかかるんだ」

開発部員「だけど彼らは新しい呪文を学ぶんじゃないのか?」

私「学ぶよ、たぶんね。だけどほとんどの場合において彼らは同じキャラクターの異なった見え方でしかないんだ」

 私は以前、プレインズウォーカーの点数で見たマナコストは彼らのキャラクターとしてのパワーの度合を示しているものではないと書いた(リンク先は英語)。同様に、そのキャラクターの様々なバージョンは、彼らは時間が経つにつれて能力を得たり失ったりしたということを必ずしも意味するものではない。君は同じキャラクターの違う姿を呼び出すことができる。何故なら君が求める全ては、異なった呪文一式を準備して彼らがやって来るということなのだから。

 Justin、質問をありがとう!

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