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細菌の戦い:生体武器のフレーバー
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細菌の戦い:生体武器のフレーバー
Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki
2011年3月9日
なぜ次元中に広がった君達の文明の運命を自然に支配されるがままにしているのか? 進化の気まぐれを放置した結果、君達の帝国は混乱した生半可な進化の行き止まりにいる。真に支配的な世界文明となるために、君達には手仕事が必要だ。君達という種を発展させ、最大限の《捕食者の優位》を得るために。君達が必要としているのは、生物的な発生段階の者達を大規模に徴用し、粗末な蛹から恐ろしい生物化学的戦士達を作り出すシステムだ。ライフサイクルだ。
もし我々が、注意深く制御されたライフサイクルしか持たないような、ある極端な文明の例しか持ち合わせていなかったら......ふーむ......
なんてこった、手だ
わかったよ、やれやれ。今週は生体武器ウィークだ。このメカニズムを世界の内側から、背景設定の見方で取り上げる時間だ。
改造されたライフサイクル
生体武器メカニズムを持つアーティファクトは、正規の進路から独特に逸脱して成長したファイレクシア人だ。通常、彼らは成長の進路を極めて厳密に決められ、慎重にいじられている。それが円熟した槽の司祭であろうと、残忍な魔女エンジンであろうと、もしくは何か他の冷酷なファイレクシアの文化拡散機械であろうと、這いまわる小さな胚から最終形態になるまで。生体武器はそれらを越えた新機軸だ。
生体武器は装備品の一部で、それ自身に融合している。もしくはファイレクシア人が必要に応じて追加の能力を提供する。だがこの融通性が彼らの新機軸ではない。ファイレクシア人達は組み立て武器や身体のパーツを生きたままで永遠に交換し続けることができる。
その新機軸とは、これら融合可能な者達は主人を待たなくてもよいということだ。生体武器はファイレクシア人の自主的に動く身体部品だ。彼ら、珍しい装備品達はそれ自身だけで動き回ることができる。主人から離されても。
例として《皮剥ぎの鞘》は、ファイレクシア人の拳に繋がれていない時は自身の鋭い鉤爪の手であたりを引っかき回している。《縒り糸歩き》は関節のある、蜘蛛のような屍機械の脚の一組で、真の身体や指示を出す脳が無くともよじ登り動き回る。《皮羽根》は他のファイレクシア人達に飛行能力を与えるために設計されたのだが、油で汚れ錆びた金属の骨組みとぼろぼろの皮でできた翼は、自身で雑な空中行動をとることもできる。《骨溜め》は靭帯や骨や金属の奇怪な構造物で、筋骨たくましい力を求める主生物の身体に加わるまではミラディンの金属の風景をうろつき回り、その身体を強化するためにカルシウムを摂取する。《迫撃鞘》は沸き立つ炉の球体に取り付けられた歩き回る金属チューブで、生きた主の発射装置部分となるよう設計された。走り回って自主的に持ち場につくことができ、ファイレクシア軍に大砲に似た生体武器の一群を提供する。
生体武器はファイレクシア軍の武器庫へと新たな決定的アドバンテージを与えた。これら注目すべき武器の全ての鍵はその自主性にある。これらアーティファクト達がいかにして自身で動き戦うのかを理解するためには、我々は何がそれらを動かしているのかを取り調べる必要がある。ファイレクシアの細菌だ。
細菌
(ここで述べる)細菌とは、槽で育てられた未成熟のファイレクシア生物で、幼生段階を脱する前に生誕槽から集められた者達だ。ファイレクシアの背景ストーリーをいくらか知っている者達には、現実世界のイモリと同じと言えばわかるだろう。普通、ファイレクシア生物の胚は槽の中で確実に成熟した段階まで成長し、取り出されて最終的に様々な生物化学的強化を受け、「完成させられ」て一人前のファイレクシア人となる。細菌はそうではなく、幼生段階の早いうちに槽から収穫され、直ちに他の目的へとあてがわれた者達だ。
未熟な細菌は、槽の環境の保護ジェルと血管ケーブルの外で生き延びることはできない。彼らの外皮は柔らかく、寄生的な内臓はまだファイレクシアの油と適応性のある体液との正しいバランスを保っていない。だが特定の種類のファイレクシア人の生物化学的身体部位と共生的関係を得たなら、彼らは自律動力を持つ生体武器となる。それぞれは互いに利益を得る。アーティファクトはやや知的な「操縦者」を得て、その肢や筋肉を操縦することが可能になり、細菌は流体臍帯さえ無しに長時間生き延びることのできる、周囲から遮断された住処を得る!
(細菌トークンは0/0で、ゆえに彼らを守る生体武器装備品をつけられていない時は死んでしまう、もちろん。しかしながら何か注意深い魔法的小細工をもって、君は裸の細菌をどうにか生きながらえさせることができるかもしれない。もし装備品が外れる前に君がそのタフネスを増加させる何かをすれば。私はこれら不快で小さなファイレクシア生物の胚がその生誕槽の外で、不自然な魔法によって生き延びているというフレーバーが大好きだ)
ほとんどの生体武器のアートには細菌が描かれている。最小の生体武器《皮剥ぎの鞘》は明らかに「操縦者」を持ち、ひっかき回る鉤爪を手首部分から操縦しているのを見てとれる。《縒り糸歩き》を操縦する細菌は、その蜘蛛に似た肢の中心で逆さまにぶら下がっている。《皮羽根》は細菌が翼の据え付けられた「肩」の間に正しく差し込まれている。《骨溜め》はその放射状の身体の中心に、細菌の身の毛もよだつような顔が前向きに入れられている。そして《迫撃鞘》の細菌はわかるだろうか? メカニズムを確認しよう。細菌は弾薬であり、迫撃砲の鉢に入れられて、発射(される)命令を待っている。
生体武器の時代
生体武器アーティファクトは、ファイレクシア・ミラディン戦争における独創的な新開発武器だ。ファイレクシア人達は新たに得たこの道具を、屍技術の怪物達を改造してミラディン征服のために能力を最大限に発揮させるべく使用している。そしてミラディン人達は新たな戦略を軸に戦争へと挑まなくてはいけない。彼らはファイレクシア製武器を振り回すクリーチャー達だけではなく、武器そのものにも注意しなければいけない(そして武器に繋がれた胚の細菌も)。たぶん最も身の毛もよだつシナリオは、多くの生体武器が同じ一つの細菌に装備されているという事態だろう(ミラディン包囲戦を含むゲームプレイで、君はやってのけたかもしれない)。鉤爪、肢の骨、迫撃砲、皮の伸びた羽根の不浄の寄せ集めが全て一つの、ファイレクシアの幼い胚によって振るわれ、切り裂き、駆動している。
ファイレクシアはその有機ライフサイクルの全ての段階をいじくり回し改造を行う。槽で育つのろのろ動く種のような状態から、金属に適合し機械化された油散布機に至るまで。ミラディン人達が未だかつてない程にファイレクシアの最も偉大な計画と手腕を理解すると同時に、最小のファイレクシア人でさえ今や彼らとの戦いに加わっているのだと知る。それは間違いなく、良い知らせではない。
今週のお手紙
近頃私が受け取るメールの多くは「次のセットでは何が起こるんですか、ミラディンとファイレクシア、勝つのはどちらなんですか?」の類だ。もしくは同じものの色々とより微妙で巧妙なバージョンで、どれも愛想よく私から清純なるミラディン/新たなるファイレクシアの情報を引き出そうと試みている。君達の元気のいい悪賢さは以前から有名だ。感謝していないわけじゃない、ああ、君達は私が愛するヴォーソスなのだ。私が同じ立場だったら同じ質問をするだろう。だけど私は君達に言わなければいけない、私は「Action」が明かされる間もなくになるまで、それら多くの質問に答えることを許されてはいないと。しかしながら私は今週、その答えについて少なくとも身振りくらいはすることができる二通の短いメールを受け取った。
親愛なるダグ・ベイアーへ、「ファイレクシア、強くそして分かたれたもの」を読ませて頂きました。
気がついたのですが、ファイレクシアは赤マナ領域にはほんの数枚のカードしか存在しません。そのうえ、オキシダ山脈はミラディンの他のどの地域よりもミラディン軍に占有されているように思えます。それは何故なのでしょうか? 炎がファイレクシア人達の弱点になりうるようにも見えますが? 説明をお願いします。
前もってお礼を申し上げます。―メイン州オーガスタより、Jon
Jon、君はファイレクシアが不規則に各色へと拡散していった事には気がついていると思う。黒と緑に列する土地やクリーチャー達は比較的素早くファイレクシアの手に落ちた。それら二色の間に見られる感染持ちクリーチャー、生け贄に捧げる効果、そして他のファイレクシア的メカニズムといったものの数の多さが示している。青は同様にすみやかに浸透された。その証拠として増殖メカニズムが行き渡り、毒カウンターが研究熱心なヴィダルケンとニューロックの人々の間に拡散した。ミラディン包囲戦においては、わずかな白のファイレクシア人と白のファイレクシア勢力呪文が登場し、その白マナはまた、ファイレクシアのより進化したシステムに居場所を見つけていた。
だが赤のマナは、抵抗の意思を最も大きく示している。全ての色の中において、赤という色が意味するものはファイレクシアの理想にまさに最も相反するのかもしれない。赤に列するゴブリンかヴァルショクのシャーマンに、「完全の名のもとに機械の階級制度に入るという宇宙的昇華、機械の父祖のただ一つの未来像による統治」をどう思うか聞いてみるといい。そして答えの代わりに、よくて不平と唾吐きを受け、もしくはもっと悪ければ君の侮辱に対して死ぬまで熱い戦いを挑まれることになるだろう。火がファイレクシアの特別な弱点というわけではないかもしれないが、それを取り囲むのは独立性、情熱、自己決定、そして反抗、熱情的な赤という色の役割。このブロックの赤に列する者達の間に何が起こったのかが、ミラディン人とファイレクシア人両方で、この戦争全ての鍵を握っているかもしれない。
もう一通のメールはJayからだ。彼もまた巧みに未来へと手を伸ばそうとしているので、私はどう答えるか気をつけねばならない。だけどとても鋭いので、私は質問に少なくともスポットライトを当てよう。
親愛なるダグ・ベイアーへ、「攻撃性の公共展示」を読ませて頂きました。
とても気になる興味深いことがあります。ミラディンに《メリーラの守り手》がいますが、メリーラがいません。ビジョンズで《クークズの番人》に出会った時は、《クークズ》もいました。アラーラに旅をして《大祖始の守り手》を発見した時は《大祖始》に圧倒されました。マジックにおける全ての番人や守り手は何かその大切な存在を守っていますが、《メリーラの守り手》が守るべき存在はまだ明らかにされていません。彼女は一体何者なのでしょうか、そして何故彼女は守り手を必要としているのでしょうか?
Jay、よく観察しているね。その目を見開き続けていてくれ。メリーラについてはこのブロックのもっと後でより多くを語ることになる。興味深いことに《メリーラの守り手》は緑だ、緑に列する絡み森のクリーチャーの多くが極めてたやすくファイレクシアに堕ちたにもかかわらず。つまり、森からやって来る希望?
一応補足しておくけれど、この記事最下部からメールへのリンクをクリックしてどっちが勝つのかマジックの背景について君の質問を送ることができるよ。
(編訳注:日本公式サイトではメールの機能を提供しておりません。原文ページよりお願いいたします(英語のみ)。)
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