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基本根本:デザインの骨格を埋めよう

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基本根本:デザインの骨格を埋めよう

Mark Rosewater / Translated by YONEMURA, Kaoru.

2011年2月28日


 年に一度、私は「基本根本」と呼んでいるシリーズものの記事を書いている。このシリーズの背景にある考え方は、マジックのデザインには多くの技法があり、また多くの手業がある。私はほとんどの場合、意識的な跳躍や創造的な洞察によってセットが作られてきていることについて語っている。しかし、その裏には、多くの細かなことがあってこそデザインが成り立っているのだ。この基本根本のコラムでは、その部分について語ろう。

 まず、2010年に向けての基本根本(リンク先は英語)ではカードのコードについて語った。2011年に向けての基本根本(リンク先は英語)では、それらのコードをどう使ってデザインの骨格を作るかについて語った。今回は、その骨格に肉付けする方法についてだ。ここでは、去年の基本根本で仕上げたデザイン骨格から始めよう(小型中間セットのコモンについてだけなのに留意して欲しい)。

CW01 - クリーチャー, 小型
CW02 - クリーチャー, 小型, 飛行, "墓地関連能力"
CW03 - クリーチャー, 小型, 先制攻撃
CW04 - クリーチャー, 小型, 瞬速, 入場 - ライフ回復
CW05 - クリーチャー, 中型, 警戒
CW06 - クリーチャー, 中型, 飛行
CW07 - ソーサリー - トークン生成, 飛行
CW08 - インスタント, パワー強化
CW09 - インスタント, エンチャント除去
CW10 - エンチャント, クリーチャー除去
CU01 - クリーチャー, 小型, 飛行
CU02 - クリーチャー, 小型, 被覆
CU03 - クリーチャー, 中型, 飛行
CU04 - クリーチャー, 大型
CU05 - インスタント, 確定打ち消し, "墓地関連能力"
CU06 - インスタント, 不確定打ち消し
CU07 - インスタント, "バウンス"
CU08 - ソーサリー, カードを引く
CU09 - ソーサリー
CU10 - エンチャント, オーラ, クリーチャー除去
CB01 - クリーチャー, 小型
CB02 - クリーチャー, 小型, 飛行
CB03 - クリーチャー, 小型, 接死, "墓地関連能力"
CB04 - クリーチャー, 中型, 威嚇
CB05 - クリーチャー, 中型, 入場 - 死者再生
CB06 - クリーチャー, 中型
CB07 - インスタント, クリーチャー除去, "墓地関連能力"
CB08 - ソーサリー, 手札破壊
CB09 - ソーサリー, クリーチャーからの吸収
CB10 - エンチャント, オーラ, 有利になる効果, "墓地関連能力"
CR01 - クリーチャー, 小型, 入場 - プレイヤーへの直接火力
CR02 - クリーチャー, 小型, 先制攻撃
CR03 - クリーチャー, 小型
CR04 - クリーチャー, 中型, 速攻
CR05 - クリーチャー, 中型, トランプル
CR06 - インスタント - クリーチャーへの直接火力
CR07 - インスタント - 好きな方への直接火力
CR08 - インスタント - パワーのパンプ
CR09 - ソーサリー - 恐慌, "墓地関連能力"
CR10 - エンチャント, オーラ, 有利になる効果
CG01 - クリーチャー, 小型, "墓地関連能力", 入場 - アーティファクト/エンチャント除去
CG02 - クリーチャー, 小型, 再生
CG03 - クリーチャー, 小型, 接死
CG04 - クリーチャー, 中型, 到達, "墓地関連能力"
CG05 - クリーチャー, 中型
CG06 - クリーチャー, 中型
CG07 - クリーチャー, 大型, トランプル
CG08 - インスタント, パワー/タフネス強化
CG09 - ソーサリー, ライフ回復
CG10 - エンチャント, オーラ, 有利になる効果
CA01 - クリーチャー, 中型
CA02 - 生け贄系効果, マナ関連
CA03 - タップ能力, マナ関連
CA04 - 装備品, パワー/タフネスのパンプ
CA05 - 装備品, 回避
CL01 - {W}を出す
CL02 - {U}を出す
CL03 - {B}を出す
CL04 - {R}を出す
CL05 - {G}を出す

 今回の目標は、プレイテストできるカードのつまったセットにすることだ。過去の基本根本のコラムを読んでいないなら(特にデザイン骨格に関する去年の物を)、このコラムを読み進める前に読んでくることを強くお勧めする。前回の基本根本を読んでいるものとして話をするのでね。

 デザイン骨格をどう埋めるのかを語り始める前に、デザイン骨格が何のための物なのかを強調しておきたい。

デザイン骨格はスケッチであり、カラー印刷された本のページではない。

 デザイン骨格は各スロットに必要な物を掻き出しているので、単に埋めるだけで終わりにしたいなら非常に簡単なことだ。だが、それはデザイン骨格の正しい使い方ではない。デザイン骨格は、デザイナーがセット全体がどうあるべきか、全体的な感覚を得るために用いる道具なのだ。私がこれをスケッチと比較しているのは、画家がスケッチを用いるのと同じように使われているからである。

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 例えば、マジックの必要なカードごとに、アーティストにスケッチを送ってもらう。なぜなら、アーティストのもつイメージの全体的な方向を知りたいからだ。スケッチはアーティストが全体のイメージを掴む上でも助けになるし、実際に描き始める前に考える手がかりになる多くの情報を作り出してくれるからである。スケッチは最終の絵を小さく縮小した物ではない。スケッチをコピーする必要はないのだ。

 スケッチは、アーティストが描き方について決定を下す助けになる。どこから始めるかを決める助けになる。アーティストは、実際に作っていくうちに、前もっては想像も付かなかった何かを実感することがよくあるものだ。あるいは、スケッチからそれ以外の何か、予想外のものが浮かんでくることもある。アーティストは実際の絵を描いている時に修整することを恐れてはならない。スケッチは重大な物だ。アーティストは、その全体の様子を掴むことなく始めることは出来ないからである。

 デザイン骨格も同じような物である。完成されたデザイン・ファイルを見てからデザイン骨格に遡っていけば、どのようにして骨格から完成版ができていったのかがわかるだろうが、デザイン・ファイルが一人歩きしていることもわかるだろう。デザイン骨格に肉付けし始める前に、この原理を理解することは非常に重要である。

 デザイン骨格の使い方を理解したら、いよいよ汗をかく時間だ。

ステップ1?コモンから始めよう

 私がデザインするとき、どのセットでも最初に触るのはコモンである。なぜなら、デザインの初期にやることは「コンセプトの証明」というアイデアに基づくことだからだ。何度も話してきたとおり、人々はアイデアというものを過大評価している。本当に優れたアイデアにはいくばくかの価値はあるが、デザイナーにとって最大の価値がある物はそれではない。もっとも価値があるのは、優れたアイデアをきちんと実行に移すことなのである。

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 デザインの初期にするのは、諸君のアイデアをどう実行に移すかを見つけることである。私と私のデザイン・チームが何をしているかを見つけ出すために開発部は2?3ヶ月の時間を割り振っているが、そのどこかの時点で私は(私がデザイン・リーダーなら)「コンセプトの証明」と呼ばれるものを提示しなければならない。つまり、私の「狂ったアイデア」を実際のマジックのカードに落とし込まなければならない。より重要なことに、落とし込む先はコモン・カードである。なぜなら、セットの核心はコモンにこそ宿るからである。ほとんどのカードはコモンなのだ。しばしば言っている通り「諸君のセットのテーマがコモンになければ、それは諸君のテーマではない」のである。

 我々は最初にコモンを作る。それは、コモン・カードがテーマの担い手になりうることを証明しなければならないからだ。それができるまで、我々のやろうとしていることが可能だと証明できたことにはならない。私はどのデザイン・チームにおいても、まずコモンの完全なセットを作ることから始める。それは、そのテーマがコモンで使えるほど充分単純で、そして充分柔軟であることを示す必要があるからなのだ。

ステップ2?デザインしにくいところから始めよう

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 周知の通り、第2回グレート・デザイナー・サーチはまもなく完了する。(イーサン・フライシャー、ショーン・メイン、スコット・ファン・エッセンが最終審査のためにウィザーズに来る。3月7日に行なわれる最終審査では、リアルタイムのデザイン・チャレンジと、ガントレットとして知られる一連のインタビューが行なわれる。私のツイッターで実況する予定だ。

 GDS2や数年前に行なわれた第1回グレート・デザイナー・サーチを追っていた諸君は、私が彼らに非常に厳しい制限を課したデザインを求めることがあることに気づいているだろう。それは、デザイン技術の中でもっとも重要なものの一つに、存在する穴に合うようなデザインをする能力があるからである。

 なぜ重要なのかという理由を要約すると、デザイン骨格に行き当たる。諸君がカードを作るたびに、セットに存在する他の全てのカードに制限を課しているのだ。例えば、私が、戦場に出た時にライフを得させる白のクリーチャーを作ったとしたら、白のコモンにはそれ以上のライフ回復呪文を作らないことにするだろう(セットのテーマやサブテーマがライフ回復だというのでなければ)。選択は、諸君の他の選択に制限を加える。従って、諸君はデザイン骨格の中で一番埋めにくいところから始める必要があるのだ。

 この規定はコモンから始めることのまた別の理由である。コモンにはほとんどのデザイン上の制約があり、私の考えるところでは、コモン・カードはもっともデザインしにくいカードである。さて、デザインする上で一番難しい部分をどう決定するか? いい質問だ。気をつけるべき点をこれから紹介しよう。

焦点は何か?

 セットを輝かせるためには、諸君が顧客に見せたい、そしてプレイヤーを引きつけるような、そのセットの特徴をはっきり打ち出すことが大切である。そうするためのもっとも有効な手段の一つに、セットで最高の、つまりデザイン的にも(デベロップの手に委ねる部分も大きいが)カードパワー全体を見ても最高の呪文をそのテーマのものにするという手がある。この需要は非常に重要なので、それらのカードを最高の位置に置きたい。つまり、そこは始めるのに良い場所だということだ。

新しいのは何か?

 もっとも達成が難しいことの一つに、デザインしたことのないものをデザインするということがある。新しいデザインにはしばしば実際にデザインしてみるまで判らないような制約が課せられているものだ。これはつまり、新しいデザイン、特に新しいメカニズムは始めるのに良い場所だということだ。

もっとも厳しいのは何か?

 全てのデザインが同等に作られるわけではない。例えば、多色カードは単色カードにない、1色でなく2色であると感じられるようにしなければならないという制約が課せられている。山のような制限が課せられる前にデザインしにくいカードをデザインすることには大きな利益がある。

サイクルに含まれるのは何か?

 このカテゴリーは上のカテゴリーの一部とも考えられるが、独立した項目を立ててもいいほどにありふれたデザイン上の問題である。カードを作るときは他の全てのカードに制約を課すことになると言ったが、サイクルではなおのことだ。サイクルの1枚目のカードが係数を定め、カードを増やすたびに制約は厳しくなっていく。先の見通しがなければ、簡単に行き詰まってしまい、5つめのスロットに入れることの出来るカードがなくなることだろう。

 私は、諸君のセットのどこが一番デザインしにくいかを言うことは出来ないが、早いうちにやっておかなければ解決不可能な問題を生み出してしまうことになるだろう、と言うことは出来る。デザイン骨格を作ることの理由は、先の見通しが利くようにして、セットを作る上での全体の流れを策定することができるようにするためである。きちんと数歩先を見続けていれば、袋小路に迷い込まないように出来るだろう。

ステップ3?好きなカードを作ったら、ファイルに入れよう

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 これはわかりきった手順のようにも思えるが、私は、多くの初心者デザイナーがカードをデザインし続けてデザインの穴にぴったりはまる日を待ち望んでいるのを見てきたのだ。そんなことをするな。カードが充分気に入るような出来になったら、それを骨格に埋め込むのだ。「自分の手でカードを入れ替えられる」ということを忘れてはならない。あるスロットに入れるのにより良いものが出来たら、交換すればいい。デザイン骨格を埋めることの大半は、カードを向上させることなのだ。

 もう一つの良い方法は、2枚のカードがあってどちらがより良いかがハッキリしなければ、両方を同じスロットに放り込んでしまうのだ。同じカード番号を持つ2枚のカードを見たら、チームのメンバーはどちらにするか悩んでいるのだと判り、どちらのカードが好きかという情報をくれるだろう。また、両方を入れておけば、プレイテストを通してより良いカードを選ぶことができるようになる。

閑話:デザインを一人でなくチームでやるなら、途中状態のデザインをチームの全員が見れるようにしておくのは重要だ。ここウィザーズでは、多元宇宙と名付けられたデータベースを使っている。私がセットを埋めていくと、チームメンバーは何が加えられたかを見れるだけでなく、そこにメモを残すことも出来るのだ。

 私が、出来た物をすぐに出すべきだと強調している理由は、それによって正しいものが何なのか把握する助けを得られるかもしれないからである。何であれ、それについてチーム内での会話が出来る。物によってはプレイテストできるだろうし、物によってはデザインを成長させてくれるだろう。利益にならない物などないのだ。カードが完成版であれ完成とは認めたくない物であれ、関係ない。デザイン・ファイルは完成体ではなく、まだ発展途上の物なのだ。何かをスロットに入れるということは、より良くするための一里塚なのである。

 ライターへのアドバイスによくあるのは、とにかく書けということだ。私は、同じことをカード・デザインにも言えると思っている。カード・デザインが巧くなりたければ、大量のカードをデザインせよ。これは、個人的な成長のためにセットを作ることに関しては言えることだ。セットがより良くなるには、そのセットのためにデザインされたカードがより多く必要になる。巧く行かなかったことでさえ、正解へ諸君を導いてくれる道を示してくれることがあるのだ。

ステップ4?諸君の好きなカードで似合わなかった物を記録せよ

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 しばしば、単に似合わないカード群があることに気づくかもしれない。それらはファイルに入れてはならない。あるカードがピタリとはまる場所を見つけられなかったなら、そのまま置いておきたまえ。それをなんとかして似合うように作り直すべきではない、と言っているわけではないが、デザイン骨格がある理由の一つは必要な物を思い出させるためである。カード単体で見たら大傑作に見えたカード1枚によって気を散らされることは非常によくあることだ。あるカードを納めるにいい場所を見つけられなかったなら、それはデザイン骨格が、今作っているセットにはそのカードは相応しくないと伝えてくれているのだ。私はよくデザイナーたちに「よいカードはいずれ居場所を見つける。単に完成品を見たいというだけの理由でカードをセットに押し込んではならない」と言っている。

 セットに入れるなと言ってはいるが、気にいったカードでセットに相応しくなかったものを記録しておくのは賢明な手段だ。その理由は、デザインの進行中にセットには波瀾万丈が訪れる。気にいったカードで相応しくないと思われたもののリストを保存してあれば、時に応じてチェックし、セットの変化によってそのカードが入る場所が出来たかどうかを見ることが出来る。開発部では、そういったカードを"99"のスロットに入れることがある。ファイルには入っていないが、見ることが出来る場所にある、という意味だ。99カードはプレイテストには回されないが記録されており、デザインが変化を必要としたときに持ってくることが出来るようになっているのだ。

 私の今日の全てのアドバイスは、多くのデザイナーにとってついて来れないようなことだと思う。なぜいいカードのデザインをセットに入れないのか? そうしたら何が悪くなるのか? 答えは、私が常々言って来ている「テーマ」だ。カード・セットをデザインするのだから、重要なのはどの1枚のカードでもなく、カード・セットなのだ。カードがセットを向上させないなら、良い以上にそのセットを傷つけることになる。セットのデザインを脱線させる第一の要因は、カード1枚、カード一群、メカニズム1つを偏愛して、思い入れの余りに正しくない判断をするデザイナーなのだ。愛する物をセットから切り捨てるのは非常に苦しい、だが、良いデザイナーになるためには苦しい選択も下せなければならないのである。

ステップ5?デザイン骨格に加えることを恐れるな

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 すでに言った通り、デザイン骨格はスケッチのようなものである。実際に絵を描き始めたら、スケッチに間違いがあることに気づくことはしばしばあることだ。カードを作っていくうちに、デザイン骨格に当てはまらないけれども明らかに相応しいカードを作る、ということも非常によくあることなのだ。これは上の節の話とは違う。カードの中には、単に当てはまらないものもある。その一方で、当てはまらなければならないのに当てはまらず、ただ相応しい場所を探している、というものもあるのだ。どう見ても相応しいはずのカードに巡り会ったなら、それをファイルに入れてしまおう。

 場所がない場合にどうすればいいのか? 作ればいい(そのための最善の方法の一つを次の項目で示している)。デザインの手順の一部は、発見の一つだ。今やっていることを強化するような何かを見つけたなら、それのための場所を探したまえ。これが、デザイン骨格をスケッチのような物だと言った理由だ。アーティストが描き始めたら、スケッチになかったものでも描き足すことが出来る。

 デザイン骨格は、諸君が他の物を探すのを妨害するためにあるのではない。むしろ、探索するための道具なのだ。探索を進めていくうちに今作業している領域について学ぶだろうし、新しい物を見つけるだろう。これはデザインの中でも興奮する部分だ。デザイン骨格はそれらのものを拒むためにあるのではない。それでも存在するのは、セットに入れるべきものが何なのかを認識するためなのである。

ステップ6?多目的カードは慎重に

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 私がやってきた全てのデザインで必要だった工程である。デザイン骨格を埋めるカードを作っているうちに、それまで想像していなかったカードを見つけ出した。そのカードは完璧だったが、私は場所を作らなければならなかった。最終的に起こったことは、場所は1枚しかなく、2つの必要なものがあった。小型クリーチャーが必要で、土地を探してくるものが必要だった。解決策として、両方の必要を満たすカードをデザインすることになった。戦場に出た時に土地を探してくる能力を持つ小型クリーチャー、あるいは生け贄に捧げて土地を探してくることができる小型クリーチャー。2つの必要な物を混ぜ合わせて1つのデザインにするにも興味深い方法がいくつもあることが判ってもらえるだろう。

 デザインを何度もしていくと、こういった多目的カードがどれほど重要かを認識し始めることだろう。そうなると、巧く働く組み合わせに巡り会うたびに入れていく。これらの多目的カードはデザイン骨格を現実に動かすための鍵になるが、一方で危険をはらんでいる。注意すべきことを挙げておこう。

忍び寄る複雑さ

 2つのことをするカードは、1つのことをするカードよりも複雑である。多目的カードは問題を解決してくれるが、セットを複雑にしてしまうと言う欠点を併せ持っているのだ(このあと数ヶ月のうちに、忍び寄る複雑さについてのコラムを書いてデザイン上の問題であるということを理解して貰おうと思っている)。

希少度問題

 2つのコモンの効果が組み合わさると、コモンの効果とは言えなくなることがある。効果を組み合わせる時は、今デザインしている希少度に相応しいカードになっているかどうか注意すること。

不格好なデザイン

 綺麗に出来た多目的カードは、美しい。そうでないものは、セットの汚点となってしまう。私の判断基準は、そのカードが1枚のカードだと思えるか、それとも2枚の組み合わせにしか思えないかである。前者であれば残すが、後者であれば何とかして取り除こうと思う。セットには不格好なカードが1枚か2枚あるものだが、「不格好」の枠を使うのは最後の手段だ。理想的には、不格好なカードなどない方がいい。

 カード・デザインを繰り返しているうちに成長していく重要な技術は、2枚と思えないような多目的カードを作ることである。

ああ、基本(根本)

 今回のコラムには大量の内容を詰め込んだ。デザイン骨格を埋めていくことは非常に複雑な作業で、ここで触れたのはほんの上っ面である。私から諸君に贈れるアドバイスは、デザイン骨格を作って飛び込んでみろということだ。綺麗に出来るようになるまでは醜い物になるだろうが、私の今日のアドバイスを忘れずに挑めば、プレイテストできるようなカードの一文を作るための第一歩を踏み出すことは出来るだろうし、いずれはカード・セットと言えるものを得られることだろう。

 それではまた次回、武器が生命を得たことについて話そう。

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