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Making Magic -マジック開発秘話-
さらにさらなる大戦のゲーム
2019年5月6日
警告:この記事には物語に関する大量のネタバレが含まれている。ネタバレを嫌う諸君には、グレッグ・ワイズマン/Greg Weisman著の小説(英語)を読んでからこの記事を読むことをお勧めしておこう。
先週と先々週、『灯争大戦』のカード個別の話を続けてきた。今日は、最後の話をして、その締めくくりとしたい。それでは話を始めよう。
《ケイヤの誓い》
ケイヤは最初敵として物語に登場したかもしれないが、最後にはヒーローの1人となった。彼女は物語上の出来事の最後にゲートウォッチの一員となることを受け入れたので、もちろん、彼女の誓いカードが作られることになる。このカードは、他の誓い同様、カードのコストのほとんどにあたる、戦場に出たときの効果を持っている。ケイヤの場合、誓いはプレイヤーかクリーチャーかプレインズウォーカーを対象として、3点吸収する。その後、自軍のプレインズウォーカーが攻撃されたら、誓いは攻撃してきた対戦相手から2点吸収するのだ。これは2つの能力をテーマ的につなぐものであり、リミテッドでは非常に簡単な、プレインズウォーカーを入れてプレイすることを推奨する助けとなるものであり、これを「戦場に出たとき」の能力のためだけに限らずにメインデッキに入れるようにするものである。
《憎悪に歪む者、オブ・ニクシリス》
このカードの最初の版は、確か、クリーチャーを対象として-2/-2の修整を与える、すなわち小型クリーチャーや傷ついているクリーチャーを破壊するものだった。セットデザインはこのカードを調整し、どんなクリーチャーでも殺せるようにして、そのクリーチャーのコントローラーがカードを引くという代償を与えた。これによって、代価を払って対戦相手のクリーチャーに対策することも、自分のクリーチャーを生け贄に捧げてカードを得ることもできるようになったのだ。誘発型能力で対戦相手にダメージを与えることができるが、これは忠誠度能力と関係している形になっているのでカード全体にまとまりがあるようになっている。私の記憶が正しければ、このカードはかなり早期からオブ・ニクシリスだったと思う。
ラヴニカの各種機体
『灯争大戦』のデザインを始めたとき、私は「常々ラヴニカで作りたいと思っていたカードで、ギルド構造の上では難しかったものはあるか」という問いを投げかけた。答えは、ある、だった。そして最初に挙げられたのが機体である。ラヴニカにはもちろん機体が存在するが、それをギルドのセットで作ろうとするとサイクルにせねばならず、そしてすべてのギルドに機体があるとは言えなかったのだ。『灯争大戦』では、作りたい機体をギルド間のバランスにとらわれることなく作ることができた。
また、『カラデシュ』ブロックを踏まえて、開発部は有色アーティファクトを積極的に活用していくことを決めている。『灯争大戦』は、それが制定されたことを諸君が目にする最初のセットなのだ。したがって、この3種の機体はどれも有色である。
《パルヘリオンⅡ》は、物語上ではすでに登場しているボロスの機体である。巨大な飛行船なのはわかっていたので、当然飛行を持っている。白単色なので、白の能力に限らなければならなかった。最終的に、先制攻撃と警戒を選ぶことにした。《パルヘリオンⅡ》は天使が操船しているので、これで攻撃するたびに2体の天使を生成するのだ。そして、巨大な船なので、搭乗4とした。(便利なことに、天使1体で搭乗が可能になる。)
《静かな潜水艇》は、隠密型の青単色の潜水艦であり(多分ディミーア製)、「好奇心」を与えるのが適切だと思われた。ただし、プレインズウォーカーにダメージを与えたときにもカードを引けるので、好奇心そのままではない。これは、このセットでプレインズウォーカーの重要性を増やすという目的のための数多い調整の1つである。
《ミジウムの戦車》は、イゼットの製品である。トランプルと、搭乗せずにクリーチャーになることができる果敢のような能力を持つ。セットデザイン・チームはさらなる機体を増やそうとしたが、最終的に、もっともうまく成立するのが3枚だったので、この3種だけが作られることになったのだった。
《次元を挙げた祝賀》
この物語はハッピーエンドだ。これまで、我々はポジティブな雰囲気で終わっていることを描くことに失敗していた。そこで今回は、映画の1シーンを取り上げ、ラヴニカ全体が祝っていることを見せることで最終的に正義が勝ったのだと示すことにしたのだ。このカードのデザインは、組み合わせを選べるポジティブな効果を詰め込んだものになっている。
《牢獄領域》
物語の終わりに、ボーラスは灯を奪われ、彼の瞑想領域に(看守としてのウギンとともに)囚われた。それを表すカードが欲しかったので、このセットの《忘却の輪》にその役割を与えることにした。このカードでプレインズウォーカーを追放できるようにしたので、物語の流れにも合っている。
《嵐の伝導者、ラル》
この物語の最終盤でラルは重要な役割を果たすので、一貫して、彼をレアにするつもりでいた。(ダクかサヒーリをアンコモンの青赤混成プレインズウォーカーにして。)プレインズウォーカーが大量にいるので、それぞれのプレインズウォーカーが扱うニッチな空間を探していた。そして、ラルにまさにふさわしいのがインスタントとソーサリーだった。確か、誘発型能力と[-2]の忠誠度能力は、一緒に作られたものだった。そして、[+2]能力が最後に作られた。これをインスタントやソーサリーを手札に入れる助けになるものにしたいと考えた。このカードはいくらか赤に寄っていたので、プラスの忠誠度能力として占術を採用したのだった。
《崇高な工匠、サヒーリ》
アーティファクトをテーマとしないセットにいる、アーティファクトをテーマとしたプレインズウォーカーであるサヒーリのデザインは難しいものだった。[-2]能力は彼女の人物像にまさにふさわしかったので気に入っていたが、そのためには2種類のアーティファクトが戦場になければならず、これは『灯争大戦』におけるアーティファクトの開封比の低さを考えると少しばかり難しいことだった。この問題への解決策は、彼女にアーティファクト・クリーチャーを生成する誘発型能力を持たせることだった。(アーティファクトを霊気装置にすることで)彼女と彼女の出身次元であるカラデシュにつながりを持たせ、同時に、プレイ的には彼女の[-2]能力を使いやすくした。ただし、そのせいでドビンに1/1の飛行機械を作る能力を与えることはできなくなったのだった。
《暴君潰し、サムト》
一見してそうは思わないかもしれないが、このプレインズウォーカー・カードはこのセットのプレインズウォーカーの中で、開発部内で一番議論を呼んだカードだったと言えるかもしれない。このカードは最初、[-1]能力だけを持っていて、当時は+2/+1を与えるだけだった。(いくらか赤らしく見せるよう、パワーをタフネスよりも大きく強化していた。)カードが超スピードを特徴とするサムトだと決まって、速攻が忠誠度能力に追加された。その後、セットデザインはアンコモンのプレインズウォーカー全員に常在型能力か誘発型能力を持たせることに決めた。このカードと一番うまく働いたのは、自軍のクリーチャーすべてに速攻を与えることだった。問題は、赤は速攻の1種色だが、当時緑は3種色であり、3種色であるということはその能力を与えることはほとんどないということを意味していた。
黒赤混成のプレインズウォーカーに速攻を与えさせることはできたのか。あれはアングラスであり、威迫と違って速攻を与えことは筋が通らない。そして、この問題は、色の協議会にかけられることになった。このカードを例外とすることは許されるのか。協議会の結論は問題ないというものだったが、その議論の間に緑を3種色から2種色にするということについての話し合いがなされた。色の協議会はそれについて深く話し合い、その後この問題はカード技術(デザイナーたちがマジックに関する歯ごたえのある詳細について議論する開発部の週例会議)の会議中に提起されることになり、そして公式に変更がされることになって、サムトは問題のあるカードではなくなったのだった。
《主無き者、サルカン》
初期に、これまでに白以外のすべての色だったことがあるサルカンを混成プレインズウォーカーにできるかどうかを検討したが、このセットでは赤単色のプレインズウォーカーにするのが一番うまくいくということが明らかになった。彼が早期にレアになったのは、(彼の専門である)ドラゴン中心にするのがアンコモンでは難しかったからだと思う。
[-3]能力が最初に出来た。もちろん、彼はドラゴンを生成するのだ。次に出来たのは、フレイバーに富んでいて[-3]能力とも関連がある、誘発型能力だった。[+1]能力は、[+1]能力でありながらドラゴンと関わりのあるものにしたかったので。作るのが一番難しかった。これまでサルカンが共通して持っていたものの1つは、ドラゴンになることだった。これにちょっとしたひねりを加えて、自軍のプレインズウォーカーをすべてドラゴンにするというのはどうだろうか。これは自分にも使えるが、濃いプレインズウォーカー・テーマを持つこのセットに組み込むべきプレインズウォーカーのシナジーを持たせることにもつながるのだ。
《復讐に燃えた血王、ソリン》
ケイヤは、アンコモンの白黒混成プレインズウォーカーで、彼女は暗殺者なので殺す能力を持たせる必要があった。つまり、ソリンには別の方向性を取り入れなければならないということである。彼はレアなので、常在型/誘発型能力が1つ、プラスの忠誠度能力1つ、大きなマイナスの奥義1つを持つ。白も黒も墓地からカードを戻すことができ、吸血鬼として戻すのはソリンの吸血鬼のフレイバーにふさわしいので、奥義が最初にできたはずだ。プラスの忠誠度能力に関しては、ちょっとした効果で[+2]にすることで、奥義の準備を進めて大型クリーチャーを戻せるようにするという発想を面白いと思った。
いろいろと検討した後、プレイヤーかプレインズウォーカーに1点のダメージを与えるというところに落ち着いた。我々は、プレインズウォーカー同士の相互作用を増やすことができるところを試していたのだ。絆魂は白と黒の共通部分なので、白黒のプレインズウォーカーの1人は絆魂を与えるということは決まっていた。吸血鬼というフレイバーを踏まえて、ソリンのほうがケイヤよりもふさわしいと考えられたのだ。
《灯の分身》
何年もに渡って、プレイヤーはプレインズウォーカーのクローンを求め続けていた。ほとんどのセットでは筋が通らなかったが、『灯争大戦』はついに筋が通るセットだったので、我々はそれを作ったのだ。このカードの最初のバージョンではプレインズウォーカーをコピーするだけだったが、少しばかり狭かったので、クリーチャーかプレインズウォーカーをコピーするように広げたのだった。
《伝承の収集者、タミヨウ》
我々はタミヨウを『灯争大戦』にどうしても登場させたかったが、3色のプレインズウォーカーはボーラスだけにしたかった。つまり、タミヨウを2色に減らす必要があったのだ。彼女は基本的に青なので、2色のうち1色は青でなければならない。このセットにはドビンとテフェリーの両方が必要なので、白青は既に埋まっていた。そうなるとタミヨウに使える残りは緑青である。最終的にキオーラをアンコモンの混成プレインズウォーカーにしたので、タミヨウは必然的にレアになった。一方で、我々はタミヨウを青単色のアンコモンにすることも計画していたが、彼女を2色にしたかったのだ。
タミヨウの才能は、物語魔法を使う研究者だということである。彼女は青なので、彼女の[+1]能力はライブラリーに作用し、カードを引く可能性があるものにできた。最終的に、[-3]能力を墓地からカードを得るものにし、[+1]能力とつながりを持たせると同時に緑らしさをカードに付け加えたのだ。常在型能力が最後だった。あまり作用することがない防御的な能力にした代わり、それが意味を持つときには有用になるようにした。彼女の防御的な性質を表していると思う。
《時を解す者、テフェリー》
テフェリーはゲートウォッチの一員なので、彼がレア・カードになること(そしてドビンはアンコモンの白青混成プレインズウォーカーになること)は決まっていた。テフェリーの能力は時間操作である。確か、常在型能力と[+1]能力は、一緒にデザインされたと思う。彼は時間を操って相手の呪文を遅くし、味方の呪文を速くする。相手のインスタントはソーサリーのように、味方のソーサリーはインスタントのように振る舞うのだ。[-3]能力の奥義について、彼には準備する必要のないマイナスの忠誠度能力を持たせるということが決定された。テフェリーをプレイしたらすぐに、忠誠カウンターを残してその能力を使うことができるのだ。バウンスしてカードを引くことは、このカードが白青の好きなコントロールデッキでうまく作用するようにする助けになる。ここで、このカードは白というよりも青寄りであるが、我々はカード全体としての動きが気に入っていて、テフェリーを白青にしたかったのだということを言っておこう。
《盾魔道士、テヨ》
テヨは、アンコモンの白単色プレインズウォーカー枠を埋めるためにデザインされた。その枠を埋める人物を見つけるのは難しかった。アジャニは緑白にしたく、ドビンは白青にしたく、エルズペスは今テーロスの死の国に囚われていて、ギデオンは物語の主要人物なので神話レアで、ファートリは緑白にしたくて、ケイヤは白黒、ナヒリは赤白、ソリンは白黒で、タミヨウを白単色にするのは意味が通らず、テフェリーは白青で、ヴェンセールは死んでいた。(アミナトゥとエストリッドは白を含む3色だったが、どちらもここに来るのはふさわしくなく、そもそも時系列的に生きている時期ですらない。)つまり、全く新しい人物を作る必要があったのだ。そこで我々は、純粋にメカニズム的に、白単色アンコモンのプレインズウォーカーを作ることにした。
このプレインズウォーカーは、0/3の壁を作り、プレイヤーに呪禁を与えるのだ。我々は彼に、ほとんどの魔法が防御的な、盾魔道士というフレイバーをつけた。白は濃い防御のフレイバーがあり、その空間をきちんと埋めているプレインズウォーカーはそれまで作っていなかったのだ。それから、その人物に背景を与えて具体化した。『灯争大戦』の小説版を書いたグレッグ・ワイズマンは視点となる(あらゆる説明を受ける人物で、その存在によって読者は話についていくことができるようになる)人物を探していた。そして、彼はテヨがその役割をうまく果たせると感じたのだ。グレッグはこの人物をもう少し若くすることはできないかと尋ねてきて、クリエイティブ・チームはその変更に同意したのだった。
《無頼な扇動者、ティボルト》
すべてのプレインズウォーカーの中で、再登場を求める声が一番多く届いていたのはティボルトだった。弱さで名高い2マナのプレインズウォーカーであり、マジック・コミュニティでは一種のミームになっていた。チャンドラはゲートウォッチであり、レアになる。サルカンは、その能力のせいでレアになる。そして各色に3人以上のレアの単色プレインズウォーカーは入れたくないので、ティボルトはアンコモンに決まった。人物像が非常に黒赤なので黒赤混成枠に入れることも考えたが、最終的にその枠はアングラスが入ることになり、ティボルトは赤単色に残った。最初に、彼の出身次元であるイニストラードにしか存在しないトークンのデビルを作る[-2]能力から始めた。セットデザインが常在型能力を追加するとき、意味を持つことは多くないが有効になったときには重要になる、彼の人物像に合ったもの、つまりライフを得られなくすること、を採用した。ティボルトのファン諸君が、これをプレイすることを楽しんでくれれば幸いである。
《狼の友、トルシミール》
『灯争大戦』は、それまでカード化できていなかった人物たちを伝説のクリーチャーにする機会だっただけでなく、すでにカード化されたことがある人物を作り直す機会でもあった。『ラヴニカ:ギルドの都』で、トルシミールは、緑や白のクリーチャーを強化し、狼を呼ぶセレズニアのエルフの戦士だった。新しいトルシミールはもう少し焦点を絞っている。自軍で狼が戦場に出るごとにライフを得て何かと格闘させるという、狼デッキの基柱となるメカニズムを持っている。また、新しく強化されたヴォジャを出すことで、少なくとも1回は格闘できることを保証しているのだ。
《人知を超えるもの、ウギン》
ウギンはカーン同様、無色であってどんなデッキにも入れられるので、その能力をどの程度汎用的にするかに注意が必要であり、デザインが難しい。最初に出来たのは常在型能力だった。無色のカードを唱えることを扱うのは人物像としてふさわしく、どんなデッキにも入れるようなものではない程度に特定分野向けカードにする助けになった。次に決まったのは、確か、[-3]能力だった。この常在型能力のテーマを引き継いで、多色対策の能力にした。これも、ふさわしい状況において強力になりうる、狭い能力だった。ウギンを唱えたらすぐに奥義を使うことができるようにデザインされている。[+1]能力は、有用だけれどもウギンらしいフレイバーになるようにデザインされた。ライブラリーの一番上のカードをクリーチャー・トークンにすることで、そのスピリットが死んだ時にそのカードを得ることで少しだけカード・アドバンテージを得ることができる。この能力は、ウギンに関連している、『タルキール』ブロックと予示能力を思い出させるものになっているのだ。
《野獣の擁護者、ビビアン》
ビビアンは緑単色になることが決まっていた。他の緑単色のプレインズウォーカーは、アーリン、ジアン・ヤングー、ニッサがいた。ニッサはゲートウォッチに属していたので、レアになる方向だった。アンコモンの緑のデザインはアーリンとヤングーにふさわしいものだったので、最終的にビビアンをレアにしたのだ。つまり、常在型/誘発型能力1つ、プラスの忠誠度能力1つ、マイナスの忠誠度能力1つを持つことになる。ビビアンはクリーチャー中心のプレインズウォーカーなので、まず最初にクリーチャー・カードをもっと手に入れられるようにする[-2]の能力から始めた。この能力は、複数回使えるように軽いものにした。(そして、増殖を使えばさらに使うことができる。)
次に出来たのは、常在型能力だったと思う。ビビアンという人物は、破壊された彼女の出身次元からスピリット・クリーチャーを召喚することができる弓を持っているので、クリーチャーを(ほぼ)いつでも唱えられるという発想が似合った。最後に追加されたのはプラス能力だった。これほど多くのプレインズウォーカーがいることの問題の1つは、誰がどの常盤木能力を与えるかを差別化することだったかもしれない。ビビアンの射手というフレイバーから到達を与えさせるのがいいと考えたが、到達だけでは不充分だったので、最終的に警戒も与えることにした。アジャニも警戒を与えるが、この2枚のカードは充分違う雰囲気に仕上がっている。
《ビビアンのアーク弓》
ビビアンの弓は、彼女が滅んだ自分の出身次元からスピリット・クリーチャーを呼び出す特別な矢を射つために必要なものだ。これは非常にクールだと考えたので、それを表すアーティファクトを作ったのだ。ビビアンに関係するので、これは緑にした。このカードは、弓を使ってクリーチャーを戦場に出せるようにするものだ。使えるマナが多ければ多いほど、見る枚数も増えるし選択できる点数で見たマナ・コストの幅も広がるので。手に入るクリーチャーの選択肢も多くなる。この能力は最初はカードを捨てる必要はなかったはずだが、プレイテスト中にあまりにも大きなカード・アドバンテージを生じていたので捨てることがコストに追加されたのだった。
《群集の威光、ヴラスカ》
黒緑のプレインズウォーカーには選択肢は2つしかなく、ヴラスカはゴルガリを支配する物語に登場しているので、彼女が黒緑混成プレインズウォーカー枠に入るのは当然だった。(ガラクは近い将来の物語に登場するので、『灯争大戦』には登場させないことにしたのだ。)最初に出来たのは、ヴラスカの[-2]能力だった。最初は、接死を持つ1/1の黒の暗殺者を作るだけだった。セットデザインは、その能力を、プレインズウォーカーの重要性を高めるという探求の一環として、プレインズウォーカーに対しても接死のように働くようにするとクールだと判断した。セットデザインがヴラスカの常在型/誘発型能力を作るのにいくらかの時間をかけていたのを知っている。
しばらくの間、彼女は自軍のクリーチャーすべてに接死を与えていたが、これは暗殺者と相性が悪く、自軍のクリーチャーすべてに接死を与えるのは楽しいゲームプレイには繋がらなかったのだ。最終的に、彼女は接死持ちのクリーチャーに「スリス」能力のような能力を与えることになった。これもまた、プレインズウォーカーにダメージを与えたときにも作用するようにしたのは、プレインズウォーカーの重要性を高めるためである。
《放浪者》
テヨと同様、《放浪者》もまた既存のプレインズウォーカーが当てはまらないアンコモンの白単色プレインズウォーカー枠である。これもメカニズム的にデザインしてからクリエイティブ・チームがふさわしい人物をデザインしている。このカードは、常在型能力が最初に決まった。後にセットデザインが、このセットに必要だと考えられた[-2]能力を加えた。これら2つの能力は奇妙に組み合わさったので、クリエイティブ・チームは両方の能力を持つ神秘的なプレインズウォーカーを作り上げたのだ。放浪者の魅力の一部である彼女(そう、女性だ)の神秘についてはあまり語りたくない。
すべての戦争の終わりへの大戦
ふぅ! さて、3週間をかけた『灯争大戦』のカード個別のデザインの話もこれですべてとなる。楽しんでもらえたなら幸いだ。いつもの通り、この記事や話題にしたカード、あるいは『灯争大戦』について、諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、一問一答記事でお会いしよう。
その日まで、あなたが大勢のプレインズウォーカーと楽しめますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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