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メカニズムレビュー
鍛冶友浩の「基本セット2012」案内
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メカニズムレビュー
By 鍛冶 友浩
Magicの熱い、熱い季節
夏のMagicといえば基本セット!
そんなイメージも、基本セット2010から数えて今年で3年目となり、みなさんの中にもそろそろ定着してきたのではないだろうか。
最新の基本セット2012の発売が来週に迫ってきており、プレリリースはこの週末に開催される。
この間発売したばかりな気のする「新たなるファイレクシア」は、新メカニズムであるファイレクシア・マナや、ついに揃った5本目の剣、そして復活したばかりのプレインズウォーカーで僕らを興奮させてくれたが、そこから覚める間もなく、だ。
Magicは僕らを飽きさせてくれない。
数えてみたところ、基本セットは今回で13セット目になる。
さすがはトレーディングカードゲームの原点、これだけの歴史を持つカードゲームは他に存在しないだろう。
ところで、最初の基本セットというか、Magicはどうやって始まったのだろうか。
『ベータ版』という言葉をどこかで聞いたことのある方は多いと思うのだが、あの《Black Lotus》や《Ancestral Recall》といった、超のつくほど強力な、そしてその強さに負けないほどの値がつくことでも有名なカード達が収録されていたセットのことだ。
そのベータ版が登場する前に、実は『アルファ版』と呼ばれるセットが発売されていた。それが今から約20年前の夏の1993年8月5日、マジック:ザ・ギャザリング (Magic: The Gathering) の誕生の日である。
そのマジックの誕生以来、ゲームをより面白くするために基本セットにはさまざまな改良が加えられてきたわけだが、常識に囚われない制作チームは、アルファ版からベータ版への移行ではなんと、カード自体の形を変えるという決断!を行ったり、各色の役割の明確化、ルールの整備やシンプルさの追求を止めることなく続けている。
キーワード能力については先行記事があるので、ここからは実際のカードと一緒に「基本セット2012」を紐解いてみよう。
マジックの基本、5色とその関係
初めてマジックをプレイする友達にこのゲームを紹介するとき、どんな風に説明するか考えたことがあるだろうか?
そんな時のお供に最適なセットになるように。そんな気持ちも込めて、基本セットはデザインされている。
たぶん、「土地から生み出したマナで、5色ある呪文を唱えて対戦相手と戦うんだよ。」といった回答が一般的だと思うが、基本セット2012では、その5色を代表する「顔」が存在し、それによって特徴もずいぶんと分かりやすいものになった。
基本セット2011と比べてみて、最も派手な変化がプレインズウォーカーの総入れ替わりだろう。
例えば青の代表が《ジェイス・ベレレン》から《記憶の熟達者、ジェイス》になったことで、その能力の違いから「ライブラリー破壊」の特性がはっきり読み取れるのではないだろうか。
前回は力不足に思えた《ジェイスの消去》も、同セットに《マーフォークの催眠術師》を簡単に見つけ出せるようになった。
セットを順に1色づつ見てみても、《ギデオン・ジュラ》《ギデオンの報復者》《ギデオンの法の番人》の3兄弟は単体でも機能する上で揃えばより強力になるだろう。
正直、初見で《ソリン・マルコフ》と《ソリンの復讐》のコンボを見たときには「そのまんま」過ぎて驚いたが、無限ライフ相手にも1ターンでゲームに勝ててしまうかもしれない。
そして、個人的に最も基本セットらしさを感じさせてくれたのは、友好色と対抗色の関係性だった。
赤を中心に考えてみれば、緑と黒が友好色。第5版から続いたダメージランドの後継者である、基本セット2010からおなじみの《竜髑髏の山頂》や、《根縛りの岩山》が構築の幅を拡げる手助けをしてくれる。
しかしその反面、白と青を相手にすれば、《天界の粛清》や《瞬間凍結》という強力な対策カードを相手にしなければならない。
赤自身も《焼却》を持っていることを考えれば、どの色と仲がいいのかがとても分かりやすい。
再録されたカード、新規のカード
では逆に、古くからマジックをプレイしている、またはしていた人に今回の基本セット2012はどう映るだろうか?
白枠のカードだった頃とは違い、基本セット2010からは新カードの採用にも挑戦しているし、特に今回の再録にはチャレンジ精神すら感じる。
例えば、
「あの《渋面の溶岩使い》と《真面目な身代わり》が基本セットに帰って来るんだぜ!」、
なんて会話にならないワケがないし、昔活躍したデッキリストを古い雑誌やWeb上から探しだす人も多いのではないだろうか。
一方で、基本セットに代々受け継がれているマジックのは欠かせないエッセンスはしっかり残っている。
アルファ版からずっと残り、カードがそのまま再録を続けているのは唯一《大蜘蛛》だけになってしまったが、姿を変えたり、再び戻ってきたりして、デッキを支え続けるカードたちもいる。
《神の怒り》の系譜を継ぐ《審判の日》や、多色化には欠かせない《極楽鳥》に、打ち消し呪文、ドロー呪文、手札破壊に火力といったコンセプトのカードは、構築する上で必須だと考えているプレイヤーも多いだろう。
一時は基本セットから姿を消した《思案》に《忘却の輪》も帰ってきており、確実に構築シーンへ良い刺激を与えそうだし、《火葬》に《ゴブリンの手投げ弾》にいたっては、ちょっとやり過ぎなんじゃないかとヒヤヒヤする。
また、《吸血鬼の夜侯》がゼンディカーの吸血鬼の布石だったように、
《鋼の監視者》もミラディンの傷跡のアーティファクトに先行して登場したように、
《ヴァーズゴスの血王》や《天使の運命》は先のセットのコンセプトを予言しているのかもしれない。
《オーラ術師》に、《メサの女魔術師》がエンチャント時代への呼び水になるのかもしれない。
先のことは誰にも分からないが、確実に言えるのは、未来のデッキはこの基本セット2012のカードを使っているということだ。
来たるプレミアイベント、日本選手権
基本セット2012の発売の翌日である7月16日からは、世界選手権への切符を賭けた戦いである日本選手権が始まる。
このトーナメントで採用されている種目は、スタンダード構築とブースタードラフト。
そして、両種目共に基本セット2012が使用されるのだ。
日本を代表するプレイヤー達は、このイベントにどんなデッキを持ち込み、ドラフトテクを披露してくれるのだろうか。
そして、併催イベントの『バトル・オブ・チャンピオン』も、基本セット2012を使用するスーパー・ダブル・シールドデッキで行われる。
普通のシールド・フォーマットの2倍のカードプールがあることから、サイドボードで40枚のデッキのカードをすべて交換したり、ライブラリー破壊を主軸にしたデッキを見かければ、ライブラリーの枚数自体を増やすプレイヤーも出てくるかもしれず、今までにない新しいリミテッドの試合が予想される。
ちなみに、スーパー・シールドについての特集記事はこれから掲載予定となっている。パック購入の際にただ開封するのではなく、友達と楽しむことをおすすめしたい。
これからが夏本番、基本セット2012でマジックを遊び倒そう!
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