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週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
「あなたにとってマジックとは?」第9回:千葉出店ショップ編 その2
週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」第9回:千葉出店ショップ編 その2
by 瀬尾亜沙子
世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』。この記事では、5月末開催の記念すべき「モダンマスターズ・ウィークエンド」から、8月末開催の「世界選手権2015」まで、「あなたにとってマジックとは?」というインタビューをまとめた記事を毎週連載していきます。
『マジック・オリジン』、この夏発売の新セットでは、5人のプレインズウォーカーが何故プレインズウォーカーになったのかという理由が明かされます。プレイヤーの象徴でもあるプレインズウォーカーにも、それぞれ違った人生背景が隠されているのです。では、「マジックプレイヤーは何故マジックプレイヤーになったのか?」そこにはどんなストーリーが隠されているのでしょう......この連載記事でその謎を明らかにしてみます。
さまざまな方に「あなたにとってマジックとは?」という質問を投げかけているこの企画。グランプリ・千葉2015の会場に出店していたショップ店員の皆さんに、「その1」に引き続きお話をうかがってまいります。
金子駿(フルコンプ 新宿南口店)
――あなたにとってマジックとは?
金子:やっぱり、「人生」ですかね(笑)。かけがえのないものです。
マジック始めて10年近くになりますが、コミュニティとか仲間もマジックでつながってますし、仕事もマジックで始めたので。
――マジックのプレイヤーだったのが、お店で働くようになったんですか?
金子:そうです。小学生のころにはちょっと『コロコロコミック』で見て知っていたんですが、おこづかいもなかったので、たまに1パックだけ買っては「かっこいいな」って眺めるくらいでした。本格的にやり始めたのは高校生で『ローウィン』のころ、友達に誘われて懐かしいなと思って。それからはずっと続けています。
――友達にすでにマジックをやってる人がいたんですか?
金子:そうでもないですね。ほかのカードゲームをやってたりした学校の仲間で、今度はマジックもやってみようかという感じでした。コストの概念とかが初めてだったので、戦略的というか、ちょっと難しいけど面白かったです。それで仲間で集まってたまに大会に出たりしてました。
――そのころはどういうデッキを使ってましたか?
金子:「ブライトニング」というデッキがあって、赤黒の《荒廃稲妻》がメインで《運命の大立者》とかを並べて殴ってくというものなんですけど。ただ重要な《運命の大立者》が当時手に入らなくて、《荒廃稲妻》が入った赤黒のデッキという感じでした。全然勝てなかったですね。
――あまり勝てなくても、それを持って大会にも行っていたんですか?
金子:そうですね。身内でやってるだけじゃ身内メタで終わってしまうので、ほかの人とも対戦していろいろ知りたかった感じですかね。
そういえば、『ゼンディカー』と『ミラディンの傷跡』くらいの時ですけど、「みんなで赤単で大会に出よう! 今日は赤単大会にしてやるんだ」って言い出した友達がいて。結局赤単で出たのは仲間うちの3人だけだったんですけど。自分も赤単で出て、その発案者と大会で当たったら、そいつがプロテクション(赤)を持ってる《ヴァルショクの難民》を入れてたんですよ。おいおいと(笑)
――その人だけ抜け駆けしてたんですね(笑) 赤単どうしだったら無双ですもんね。
金子:自分と発案者のほかにもう1人いた赤単の友達は《戦争と平和の剣》を入れてて、それもプロテクション(赤)があるからちょっとはメタってますけど、そこまで露骨じゃないですし。それでその時は《ヴァルショクの難民》にやられた、というのがちょっといい思い出話ですね。
――よくある「友達メタ」というやつですね。ところでお店で働くようになったのはどういう理由で?
金子:最初は、「パックがいっぱいむけるかなぁ」と思って(笑)
――なるほど、確かに(笑)
金子:いっぱいパックをむきたかったから、店員になりました。むくのが好きなので。
――それは天職ですね。パックを開けてて、どんな瞬間が特にうれしいですか?
金子:やっぱり、フォイルが出るとうれしいですね。
――そのほかのお店の仕事はどんなことをするんですか?
金子:大会の運営とかですね。フライデー・ナイト・マジックの進行とか。
――ショップ店員としてお客さんと対戦することもあるんですか?
金子:自分が休みの日にうちで大会があったら、出ることはあります。運営しつつ戦うみたいな。
――お休みでも半分仕事みたいなんですね。では、マジックは「人生」ということで、今後もずっと付き合っていくだろうという感じですか。
金子:そうですね。
――どうもありがとうございました。
出口貴大(SPORTS&CARD GAME BAR MINT SHIBUYA 店長)
――あなたにとってマジックとは?
出口:「生活の一部」ですね。仕事でマジックを扱って、家に帰ったら帰ったでデッキを考えて一人回しするとか、仕事と遊びのどっちもマジックをやってる感じなので、ほんとに生活の一部としてなじんじゃってる感じですね。
――マジック自体はいつから?
出口:自分の場合は、もともと一切カードゲームをやってなかったんです。スポーツ関係のトレーディングカードが好きで、MINT渋谷店に勤務する前に池袋店にいたんですけども、渋谷店がオープンしたときにお祝いがてら遊びに来て、マジックをやってみたらハマったという感じです。2年半か3年前くらい、『ミラディンの傷跡』とかがスタンダードにあったころです。
――カードゲームをやったことがなかったのに、マジックのどこに興味を持ったんですか?
出口:以前から芸術系にちょっと興味があって、マジックのイラストがきれいだなと思って気になってたんですよね。
――実際ゲームとしてやってみて、どうでしたか?
出口:1回目ですぐにハマってしまった感じですね。その場で《出産の殻》が入ってるイベントデッキを2つ購入して、どっぷりハマっちゃいましたね。
――そして今では店長にまでなられていると。渋谷店の店長に抜擢されたのは、マジックが好きだからというのもあるんですか?
出口:渋谷店はスポーツカードと、バーを併設したデュエルテーブルがあるスタイルなんですけども、自分はスポーツのトレーティングカードや海外のスポーツも好きで、お店にマッチしてるということで配属してくれた感じですね。
――店長というのはどういう仕事なんですか?
出口:お店に並んでる商品の発注から、接客をしたり、もちろんバーカウンターでカクテルも作りますし、お店の統括というか責任者です。全体を見る感じですね。
――幅広いですね。遊びでやるのと仕事でやるマジックって違いはありますか?
出口:自分で使ってるデッキのカードをお勧めするようなこともあるんですが、何か質問されたときに、自分が好きなカードを推すのではなくて、その人に合った物を客観的に探してお勧めできるかどうか、というのはあります。
――一歩引いて、商品としてマジックを見ていると。
出口:そうですね。自分も楽しむ一方で、皆さんにも楽しんでもらえるようにしたいので、仕事モードと自分のマジックモードを分けている感じですね。
――なるほど。そのほか仕事上でやりがいを感じる部分ってなんですか?
出口:新規のお客さんを取りこめているのがうれしいですね。マジック人口の増加の一部に貢献できてるかなと。
――マジックを始めようかなという人がよくお店に来られるんですか?
出口:かなりいらっしゃいます。「調べてみたら雰囲気がよかったから来ました。マジックを始めてみたいんですけど、どれを買えばいいですか? 店員さんとゲームできますか?」とか、「10年ぶりに復帰したいけど、今ってどんな感じですか?」というパターンが多いですね。それに対して、「マジックはいまこんなふうで、おもしろいですよ」とちゃんと説明する役目が自分たちにはあると思います。
――なるほど。
出口:そうやって新しいお客さんがマジックにハマっていってくれるとやはりうれしいです。
――どうもありがとうございました。
横山一善(ホビーステーション町田店)
――あなたにとってマジックとは?
横山:「子どものころからの友達」ですかね。
僕、中学生くらいから15年以上マジックやってるんですけど、学生の時はずっと一緒に遊んでる友達みたいなもので、大人になると関わり方がちょっとしっかりしてきて、今は仕事仲間になったので、幼なじみと一緒に仕事してるみたいな感じですね。
――中学のときに始めたんですか。
横山:中1、2くらいの時に友達に教わって始めて、そのころから大会を開いたり、いろいろしてました。
――いきなり大会を開いたんですか?
横山:遊べるところが電車で少し先まで行かないとなかったし、大人ばっかりだったので、自分たちの行ける範囲で遊べる場所を作りたいなって思ったので。友達を集めて、そのころは雑誌媒体しかなかったので、『RPGマガジン』で大会を告知したり、チラシを作って近所のおもちゃ屋に貼りに行ったり、賞品もらいに行ったりもしました。
――すごいですね。その流れでジャッジ資格をとったんですか?
横山:専門学校の時にまた大会を開こうってなって、せっかくやるんだからジャッジ資格があったほうが......「ハクがつく」じゃないですけど、お客さんも安心だよねって思って、グランプリ・横浜で鈴置(了)さんに試験を受けさせてもらって、ジャッジになりました。
――ホビーステーションさんで働くようになったのはいつごろですか?
横山:ゲームの専門学校を卒業してゲーム会社に入ったんですけど、お客さんの顔がダイレクトに見れないのがつらくて。商品が完成して世に出るまで、レスポンスがないのが苦痛だったんです。直接レスポンスが帰ってくる対面接客をしたくなって、マジックを扱うカードショップで働くために会社を辞めました。
――直接お客さんとやりとりをするのが好きなんですね。
横山:好きですね。レスポンスがすぐに帰ってくる速度感が好きです。自分が接客して、ありがとうと言われたり、あるいは怒ってくれてもいいんです。怒ってるお客さんが来たら、気持ちよくなって帰ってもらうのが好きです。
――それは接客業に向いてますね! 子どものころからマジックと付き合ってきて、今では仕事仲間なんですね。
横山:彼がいないと僕の仕事は回らないですから。今では嫁さんよりマジックのほうが付き合い長いくらいです。
――そうなんですか。
横山:嫁さんはマジックやらないですけど、子どもが3人いて一番上の子が来年小学生なので、そろそろカードゲームもわかる年頃で、興味持ってくれてるので、いずれチーム戦とかしたいですね。かみさんには怒られそうですけど(笑)
――そういう風景が大会で見られたらいいですね、楽しみです。
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