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鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
第28回:アメリカ選手権優勝・Ali Aintraziの「青黒コントロール」をリプレイ!
読み物
鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
2011.08.09
第28回:アメリカ選手権優勝・Ali Aintraziの「青黒コントロール」をリプレイ!
こんにちは、鍛冶です。
今週は、世界で最も注目されているであろう、アメリカ選手権の結果をひも解いてみたいと思います。(リンク先は英語カバレージです。)
「第26回:フランス選手権優勝・Armel Primotの新「Caw-Blade」をリプレイ!」や、津村の週刊連載でも紹介した「Caw-Blade」がこの大会では活躍されることが予想されていたのですが、実際にTop8中6人ものプレイヤーがこのアーキタイプを選択していました。
その中でも特に興味深いのが、ChannelFireball勢が構築してきた《エメリアの天使》型のCaw-Bladeで、これはSCGオープン・トーナメントのスタンダード部門、レガシー部門を同時優勝したGerry Thompsonのものを昇華させたデッキです。
サイドボードに潜む《蒼穹の魔道士》は、《ジェイス・ベレレン》キラーであり、かつ《饗宴と飢餓の剣》を持たせられ、さらに単体でもマナを注げばドローエンジンになるという、まさにソリューションでした。
これについては、明日の記事で津村が解説してくれるとのことなので、もうしばらくお待ちください。
しかしながら、予想とは裏腹に、優勝したのは青黒コントロール。
さらにメタゲームが進んだというか、一つ前に戻ったというべきなのでしょうか。
M12直前に、中国選手権でも青黒コントロールが活躍したわけですが、そこからどう変化したのでしょうか?
5 《沼》 4 《島》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 4 《地盤の際》 1 《惑いの迷路》 -土地(26)- 3 《真面目な身代わり》 2 《聖別されたスフィンクス》 2 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(7)- |
4 《定業》 4 《コジレックの審問》 1 《蔑み》 4 《マナ漏出》 3 《破滅の刃》 1 《喉首狙い》 1 《乱動への突入》 1 《四肢切断》 1 《弱者の消耗》 1 《黒の太陽の頂点》 4 《ジェイス・ベレレン》 1 《リリアナ・ヴェス》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(27)- |
1 《平和の徘徊者》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《外科的摘出》 2 《見栄え損ない》 2 《強迫》 1 《蔑み》 3 《瞬間凍結》 1 《法務官の掌握》 1 《記憶殺し》 1 《決断の手綱》 1 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
大きな変化は、M12から加わった《真面目な身代わり》でしょう。
日本選手権開催当時では採用されていないリストも見かけましたが、Top8に唯一青黒コントロールで残った高尾さんのリストには、今回の優勝者と同じく3枚使われていました。
このカードは4マナと若干重いのですが、「土地を伸ばすことができ」「自身が2/2クリーチャーで」「失っても引き換えにドロー」と1枚で3役こなす器用さが売りで、特に、最近活躍している各種プレインズウォーカー達を攻撃するにはベストな選択ですね。
更に、赤緑ヴァラクート同様、6マナ圏にはエンドカードの《墓所のタイタン》と《聖別されたスフィンクス》、さらにサイドボードには《ワームとぐろエンジン》があり、マナを伸ばす意味も明確です。
個人的には旧ミラディン環境から大好きなカードだったので、今後の活躍にも期待大です。
それでは、そのゲームの実際を見ていただきましょう!
vs. Caw-Blade(サイドボード後)
早速、アメリカ選手権の決勝と同じマッチアップです!
http://www.youtube.com/watch?v=0JKbiox7TZA
0:00
サイドボード後らしく、《蔑み》に《コジレックの審問》と、手札破壊が光る7枚をキープ。
即座に手札を公開させようと試みるも、相手もサイドボードからの《精神的つまづき》が!
0:25
手札破壊とカウンター呪文の応酬の合間に、《墨蛾の生息地》+《饗宴と飢餓の剣》を揃えられてしまい、除去のない無防備な状況に大ピンチ!
しかし、《定業》から《乱動への突入》を引当て、最悪のシチュエーションだけは避けられた。
ところで、落ち着いてよく相手の土地を見ると、白マナがないぞ?
0:30
《定業》で積んでおいた《地盤の際》を使い、《墨蛾の生息地》を破壊して一安心。
これで《ジェイス・ベレレン》を通しに行こうかと考える余裕ができた。
1:10
《地盤の際》、そして《ジェイス・ベレレン》の相殺と、青いコントロールらしいリソースの削りあいが続く。
だが《ジェイス・ベレレン》を先にキャストできた分の1枚と、無駄になっている《饗宴と飢餓の剣》の分で、少しづつだがこちらのペースでゲームを進められている。
そして、《コジレックの審問》を引けたことで攻撃開始。エンド時の《乱動への突入》で対戦相手へ揺さぶりをかける!
1:14
《聖別されたスフィンクス》を通したいこちらとしては、ここでインスタントのカードを捨てさせたい。
そして公開されたのは、《ジェイス・ベレレン》に《乱動への突入》、そして今戻したばかりの《饗宴と飢餓の剣》。
ここから《乱動への突入》を抜き取り、相手にソーサリータイミングでしか動けなくさせると、仕方なく再キャストされた《饗宴と飢餓の剣》へ《マナ漏出》を唱え、念願の《聖別されたスフィンクス》!
1:39
だが、相手も《ギデオン・ジュラ》をトップデックし、スフィンクスを破壊できる体制になってしまう。
しかし、ここで引けた追加の4枚のカードの中には、あの《真面目な身代わり》が含まれていた。
相手が《ギデオン・ジュラ》の《復讐》効果を使えば、スフィンクスの攻撃と合わせて忠誠度は2へと下がるので、都合よく攻撃で破壊できる。
後続の《ジェイス・ベレレン》へも継続してダメージを与えられるので、まさに冒頭で解説した通りのシチュエーションと言えるだろう。
3:22
カードアドバンテージの面だけで言えば、完全にこちらが相手を上回っているのだが、いかんせん1枚あたりのカードパワーに違いが見える。
ここで、《エメリアの天使》を出されてしまったので、《リリアナ・ヴェス》で助っ人の《解放された者、カーン》を呼び出す。
ダメージクロックよりも、忠誠度の上昇で盤面をコントロールしようと試みるが、《戦隊の鷹》とフェッチランドで予想以上のパーマネント展開をされてしまった。
《惑いの迷路》でトークンを処理するも、解決策が見当たらない・・・。
4:22
しかし粘った甲斐あり、トドメの《破滅の刃》をトップデック!
vs. 赤単ゴブリン(サイドボード前)
お次は先日のプロツアー予選でも通過者を出した赤単ゴブリンとの対戦。
http://www.youtube.com/watch?v=zR5K38PRbks
0:00
カウンターに《定業》と、色マナもある安心できる初手でゲームスタート。
0:17
軽いインスタント除去こそ引けていないが、相手の出すクリーチャーのタフネスが1なのが救いだ。
《黒の太陽の頂点》で巻き込めない《燃えさし運び》は《マナ漏出》で処理し、一旦戦場をきれいにする。
0:39
残りライフは14と、自分の感覚では余裕があると思っていたのだが、《ゴブリンの手投げ弾》で5点のダメージを受け、考えを改めた。
焦って余計なダメージを食らわぬよう、《マナ漏出》を構えながら《ジェイス・ベレレン》を投入する。
1:14
ゆっくりマナを伸ばし、相手の唯一のハンドを《オキシド峠の英雄》と確認しながら、《真面目な身代わり》を唱え、《解放された者、カーン》への道を作る。
これで《稲妻》を2連続で引かない限り、ゲームには負けることはないだろう。
vs. 赤緑ヴァラクート(サイドボード後)
http://www.youtube.com/watch?v=Bgat0CKE7t4
0:00
ちょっと重めのカードが多いのが気になるが、《蔑み》に《マナ漏出》と、動けないわけでもない。
土地が1枚引ければ《ジェイス・ベレレン》にも繋がるわけだが、その1枚が引けるかだけが心配だ。
0:23
やはり、嫌な予感は的中するもので、3枚目の土地に恵まれなかった。
しかし、《蔑み》で確認した相手の残りのハンドは土地ばかりだったので、猶予はあるだろう。
《瞬間凍結》もあるので、焦る必要はまだない。
0:42
《怒り狂う山峡》で《ジェイス・ベレレン》を失うが、追加の1ドローでさらなる土地が引けただけで十分だ。
実は、このハンドの場合、このまま土地で攻撃され続けることが最もキツイのだが、青黒相手にそんなプレイを選択するには相当の技量が必要だ。
0:53
手札がだぶつきはじめ、《マナ漏出》の消費期限が近づく中、キャストされた呪文は《探検》。普通はわざわざ打ち消すまでもないカードだ。
だが、最初に確認した手札や、相手の行動、そして自分の2枚ある《マナ漏出》に加え、土地がないという要素から、あえてこれを《瞬間凍結》した。
1:12
さきほどのカウンターが効いているのか、いまいち攻めるカードが足りていない印象を受ける対戦相手の行動。
そして、《ジェイス・ベレレン》で都合よく引いた《喉首狙い》を《怒り狂う山峡》へ。
さらに《地盤の際》も置けたことで、心もとなかった《マナ漏出》を活用できそうなシチュエーションがうまく作れた。
リスクを負った《瞬間凍結》の投資は成功したように見える。
1:55
様子を伺って《召喚の罠》を確認したばかりに、かえって動きにくくなってしまい時間をかけすぎてしまった。
さすがに攻めないとカードパワーに負けてしまうので、ここで《聖別されたスフィンクス》を送りこむ。
2:11
仕方なく《召喚の罠》を通すプレイになったが、ここで公開されたのは《ガイアの復讐者》。
《原始のタイタン》以外なら心配無用、あとはこちらのパワーカードで押す番だ。
2:22
《ジェイス・ベレレン》の忠誠度+1の能力と、《聖別されたスフィンクス》で3枚のカードを引き増し、ハンドを溢れかえらせながらの《墓所のタイタン》!
カードアドバンテージという概念を壊すカードに、盤面にクリーチャーを大量に投入するカードで対戦相手を圧倒した。
たった1種のカードでここまでデッキが変わるのか、と思わせてくれた《真面目な身代わり》。
デッキ構築の段階でも、6マナのカードが使いやすくなりますし、苦手なデッキとの相性も若干変わってくるのではないでしょうか。
日本選手権当時のリストと見比べても、カードの選択からメタゲームの推移が見えてくるので、よかったらこちらもどうぞ!
「対クリーチャー」や「対ヴァラクート」から、時が進むにつれて「対コントロール」へとシフトしてきているのは明らかですね。
それではまた来週!
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