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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エスパー・パラゴン:メタゲーム解析をチェックするべし(スタンダード)
デッキ名を目にした時に「えっ、どんな感じのデッキ?」と思わず前にのめってしまうような、そんなデッキを追い求めて我々のようなマニアはリスト集を漁り続ける。プロツアーやそれに繋がる予選などの嬉しいところは、公式の方で全体のデッキ分布を示してくれるところ。
メタゲームブレイクダウンというコラムがアップされているのを知っているだろうか。メタゲームとは実際にプレイするゲームよりも手前の段階で行われているゲーム、つまりデッキ選択及び調整のこと。今大会では参加者が持ち込んだデッキの割合はこのようになっており、メタゲームの段階で優位になっているデッキは……と解析するのがメタゲームブレイクダウン。これを読めばトーナメントの雰囲気がおおよそ掴めるので、感染が好きな人にはこういった活字にも目を通してより深く知りもっと楽しい時間を過ごして欲しい。
プレイヤーはこの解析を足掛かりに、今後のメタの行く末を読み解く。そして冒頭で触れたように、マニアは主流のデッキ以外の名前を確認してワクワク感を膨らませる。その他にジャンル分けされそうなデッキもすべて細かく表示されている解析記事は大変にありがたく、プロツアーではこれが楽しみの一つになっている。
プロツアー『霊気走破』のメタゲームブレイクダウンを見て「こりゃあ……」と気になってしまったのは「Esper Paragon」。Esperはエスパー、白青黒の3色のこと。Paragonがキーカードや重要なアクションを示すわけだが、この単語はマジックでは「模範」と訳されている。スタンダードにおける模範と名のつくカード、思いついたものは一つあったが全貌を見るまでは焦んなよ……そう落ち着きながら、デッキリスト公開のタイミングを待っていた。そしていざ閲覧可能となった全プレイヤーデッキリスト一覧、そこにあった「エスパー・パラゴン」の姿は……
1 《コイロスの洞窟》 2 《ブリーチボーンの境界》 1 《薄暗い裏通り》 1 《闇滑りの岸》 4 《秘密の中庭》 2 《沼》 2 《島》 2 《フラッドファームの境界》 4 《寓話の小道》 2 《平地》 3 《不穏な投錨地》 1 《地底の大河》 -土地(25)- 3 《ベイルマークの大主》 4 《セラの模範》 1 《跳ねる春、ベーザ》 1 《第三の道のロラン》 3 《お手伝いする狩人》 4 《養育するピクシー》 -クリーチャー(16)- |
2 《完成化した精神、ジェイス》 2 《審判の日》 1 《軍勢を灰に》 2 《この町は狭すぎる》 2 《巻物変容》 1 《シェオルドレッドの勅令》 1 《失せろ》 2 《不気味なガラクタ》 1 《一時的封鎖》 2 《逃げ場なし》 3 《勢い挫き》 -呪文(19)- |
1 《完成化した精神、ジェイス》 1 《跳ねる春、ベーザ》 1 《第三の道のロラン》 3 《害獣駆除》 2 《強迫》 1 《苦痛ある選定》 1 《失せろ》 1 《ウルザの酒杯》 2 《除霊用掃除機》 1 《不気味なガラクタ》 1 《一時的封鎖》 -サイドボード(15)- |
予想していた通り《セラの模範》がこのデッキの主役!この天使は本人のスペックも悪くなく、戦闘面での活躍はもとより、その能力は現スタンダードでも他に類を見ない類のものとなっている。墓地から土地をプレイするか3マナ以下の呪文を唱えるかというアクションを自分のターンに一度行える。そのパーマネントが戦場を離れることがあればそれを追放するため、同じものを延々使いまわすということはできないが……しかし一度でも拾えれば十分であろう。ライフ2点のお土産も残していくので何も文句はない。この模範はパーマネントの種類を問わないため、スタンダードに絞ってもかなりのカードをこの天使で再利用可能だ。
そんな模範を採用したこのデッキ、ベースになっているのは《養育するピクシー》などを擁する「エスパー・ピクシー」だ。ピクシーや《この町は狭すぎる》など自分のパーマネントを手札に戻す手段を用いて、戦場に出た時に何かするパーマネントを使いまわすテクニカルデッキの代表格。今大会でもメタゲームブレイクダウンでは使用率約17%、全アーキタイプ中でも2位と主流派を占めているものだ。このピクシーデッキのエッセンスをそのままに、手札に戻すだけでなく墓地利用の要素も絡めたのがこの「エスパー・パラゴン」だ!
ピクシーデッキそのままでは墓地にパーマネントを送る要素が薄いため、このリストにはパラゴン・アドバンテージを得られる確率を上げるために《ベイルマークの大主》を採用。これでライブラリーを削ってパーマネントを落とし、クリーチャーやプレインズウォーカーを回収しながら一緒に墓地に落ちたカードはパラゴンしていこうぜと、能動的に墓地を肥やすのが一般的なピクシーとの違いだ。この大主は他の大主採用デッキと同じく、兆候コストで唱えて戦場に出しておいてから無理やりクリーチャー化させることでタイムラグなく攻撃に移れるようになっている。《巻物変容》は追放して戻すという形でパーマネントを別のオブジェクトとし、エンチャントとして出されたベイルマークをクリーチャーにする。同時にドローも出来るので万歳、デッキ内のピクシーや模範で使いまわすカードらとももちろん相性◎。
《逃げ場なし》や《一時的封鎖》といったカードをピクシーや模範でぐりぐり回すことで対戦相手を圧倒していくわけだが、そんな除去を行うパーマネントの枠には『霊気走破』の新顔が。《不気味なガラクタ》は赤系のアグロに対して効果的な1マナ除去。これを使いまわして序盤を耐えて、アドバンテージ勝負を挑めるターンまで引きずり込もう。このガラクタは自身の能力で生け贄に捧げ、諜報2を行うことで墓地を最大3枚増やすことが可能だ。模範が戦場に留まることが出来れば、ガラクタから次の一手に繋げよう。《勢い挫き》も生け贄という形で破壊不能持ちにも対処可能で、これをガンガン使いまわしてクリーチャーデッキに絶望を味わわせたい。これもまた自身で生け贄となり、その際にはライフを回復できる。盤石な体制へと逃げ切るための重要な役目を担っている。
メタゲームブレイクダウンで期待を高め、参加者デッキリスト公開と同時にすかさずチェック。これぞプロツアーの楽しみ方だ。「エスパー・パラゴン」のようにビビッとくるデッキとの出会いを求めて、今日もデッキリストを探索だ!
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