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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:オルゾフ・ブリンクと追放の神(モダン)

岩SHOW

 マジックのカードやデッキのクールさを語る、今週のCool Deckのコーナー。今回のお題はもちろん最新セット『霊気走破』より……このセットはかつてない、3つの次元を移動するというクールな形でストーリーが進む。そんな背景ストーリーだからこそカード化されたものたちを紹介しよう。それは……

 

 アモンケットの神々。もともとこの次元には少なくとも8体の神々が確認されていた。それらはニコル・ボーラスの計画によって命を落とし、蘇生されて手ごまとなった。度重なる戦いを生き延びた古い神々は、不屈の神であるハゾレトのみ。彼女がアモンケットの人々の精神を支える神として健在だったことは明かされていたが……ここにきて新たにサブ=スネンとケトラモーズという新たな神々がその姿を現した。現在のアモンケットはこの新たな二柱を崇める人々が主流となっているそうだ。新たに生まれたこれらの神は、この次元に住まう者にとっての未来への希望を体現している。ハゾレトは砂漠を旅しながらこれら二柱の顕現を助けたのだという。

 

 《ルクサの体現、サブ=スネン》はリミテッドにおいてまさしく神と呼ぶにふさわしい強さを誇り、彼女を獲得したプレイヤーに勝利をもたらす女神だ。一方、構築シーンでの活躍が期待されているのが《新たな夜明け、ケトラモーズ》。この白黒の神は追放領域を参照する。そこに7枚以上のカードがなければ戦闘には参加できないという、なかなかに厳しい制限が設けられている。3マナで4/4、威迫・絆魂・破壊不能といざ戦闘可能になるとクールすぎる強さを発揮するのでそれも当然か。この参照する追放領域は、自分も対戦相手も関係がない。そのため対戦相手のパーマネントや手札を追放させたり、自分のクリーチャーを一時的に追放するアクションを行ったりすることで満たすことが可能になっている。

 また自ターンのみ誘発する能力は、墓地や戦場からカードが追放される度に1枚ドローをもたらす。これも自他問わずなので、自分の墓地を追放したり相手への強烈な嫌がらせをしつつ、手札をモリモリと増やしていける。アモンケットの明日への希望の象徴だけあって、なかなかにパワフルなカードにデザインされている。今回はこのクールな神ケトラモーズを用いたデッキをご紹介!

appiemonkey - 「オルゾフ・ブリンク」
Magic Online Standard League 5-0 / モダン (2025年2月18日)[MO] [ARENA]
4 《溢れかえる岸辺
4 《湿地の干潟
3 《神無き祭殿
3 《薄暗い裏通り
4 《平地
1 《
-土地(19)-

4 《溌剌の牧羊犬、フィリア
3 《骨の皇帝
4 《新たな夜明け、ケトラモーズ
2 《ちらつき鬼火
2 《ボガートの獲物さらい
1 《スカイクレイブの亡霊
2 《魔女の結界師
4 《孤独
4 《ベイルマークの大主
-クリーチャー(26)-
4 《致命的な一押し
3 《思考囲い
4 《儚い存在
4 《大祖始の遺産
-呪文(15)-
3 《エイヴンの阻む者
1 《耳の痛い静寂
2 《ドラニスの判事
1 《機械の母、エリシュ・ノーン
2 《石のような静寂
3 《白蘭の幻影
3 《空の怒り
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 モダンの「デス&タックス」!白の妨害能力を持ったクリーチャーを中心としたデッキの最新モデルだ。このアーキタイプは先のチャンピオンズカップファイナルでも大躍進、現モダン環境を語る上で外せないデッキの一つとして存在感を大きく示した。リストを眺めるのと実際に動いているところを見るのとでは、その印象が大きく変わるという点もクールである。現在のこのデッキは「オルゾフ(白黒)ブリンク」とも呼ばれる。ブリンクは自身のクリーチャーなどを一時的に追放し、戦場に戻すというアクションとそれを用いるデッキのこと。戦場に出た時に能力を誘発させるものを《溌剌の牧羊犬、フィリア》《儚い存在》《ちらつき鬼火》などで使いまわしてアドバンテージを稼ぐという寸法だ。ケトラモーズはこれらのブリンクでも能力が誘発するため、今まで以上にブリンクデッキは完成度が上がったというわけである。

 

 このアーキタイプを支えているのは《孤独》。マナを払わず手札を追放する形で唱えられ、その場合はそのまま生け贄に捧げられる。ただ対戦相手のクリーチャーを追放できるので、マナなしで除去できるのは序盤に重宝する。そしてこれの生け贄が解決される前に《儚い存在》でブリンクすれば、追放されてもう一度出てくる。その《孤独》は先のものとは別物扱いとなるので、もう1体クリーチャー追放をしつつそのまま戦場に居座る。これがブリンクデッキの基本戦術だったが、最近は《孤独》を残さずに墓地に落ちてOKというスタイルも確立している。それが《ベイルマークの大主》との組み合わせだ。

 ベイルマークは戦場に出るか攻撃することで、墓地のクリーチャーを手札に回収出来る。これは兆候コストで軽く唱えて、エンチャントとして戦場に出すことも可能。ターンを重ねてクリーチャー化するのを待っても良いが、フィリアや《ちらつき鬼火》でブリンクすると……クリーチャーとなって戻ってきて、攻撃までのラグが抑えられる。このベイルマークで攻撃しては《孤独》を拾って投げつける、という動きが対クリーチャーデッキにおいてはまさしく天下無敵。そしてこのえげつないムーブにケトラモーズが絡めば、《孤独》のコストのための手札もしっかり補充できて一部の隙もなくなると。クールすぎてゾッとするレベル、クリーチャーで戦うデッキはなんとかして対策を用意するべし!

 《新たな夜明け、ケトラモーズ》はコストが現実的で、プレイヤーが最も求めるドローをもたらす。対戦相手が墓地利用デッキであれば《大祖始の遺産》《ボガートの獲物さらい》などで妨害しながらアドバンテージ獲得、クリーチャーでのド突き合いを挑んでくるのであれば上述の《孤独》などの連打で、とにかく滅茶苦茶に嫌がらせしながら手札を稼ぎ、神が顕現したらそのハイスペックっぷりですぐさまゲームを終わらせる。「オルゾフ・ブリンク」以外のデッキでもケトラモーズは採用されだしているので、様々なデッキでこの追放領域の化身のクールさを堪能しよう。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Exlie them all!!

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