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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ハツカネズミだけじゃない、危険な黒いネズミが大増殖!(スタンダード)
2024年も終わるまであと少し。今年はこんなニュースをよく目にしたものだ──「東京都を中心にネズミが増殖」──と。ネズミが?大昔ならいざ知らず、技術の進歩と共に衛生環境も良くなっているはずの現代において、このような話を耳にするなんて……東京と言うのがポイントなんだろうか。首都圏の人口はやっぱり、明らかに過密だよなぁ。人の営みがあるところにネズミが現れるのであれば、東京で増えるのは自然なことかもしれない。人が増えた分だけどうしても生ごみなどネズミの餌が増え、隠れるところも沢山ある。それにコロナ禍が落ち着いて、観光客も増えた。首都圏でどれだけの数の人々が夜を過ごしているのか、想像もつかないな。
マジック的にも2024年はネズミが増殖した年だった。『ブルームバロウ』にて小さな生き物たちが主役に取り上げられ、ネズミの仲間達も大集結。特に赤いカードとして登場したハツカネズミ/Mouseは、《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》と軽くて打点に優れたカードが揃っており、それらをバックアップする《多様な鼠》がこの種族のデッキを大肯定。おかげで赤いハツカネズミはスタンダードでも一気に主役に躍り出たのだが……ネズミ/Ratはどうか。
歴史という点で見れば、マウスことハツカネズミは浅く、どちらかといえばラットのネズミの方が長くカード化されてきている。新参ハツカネズミの優秀さに押されて、スタンダード的には大きく差がついた両者に思えるが……ラットの群れも、負けず劣らず危険なデッキを生み出すぞ!ネズミのヤバさを見せてやるぜ。
3 《魂の洞窟》 3 《泥干潟村》 2 《ミレックス》 14 《沼》 -土地(22)- 4 《かじりつく害獣》 4 《泥棒ネズミ》 4 《大洞窟のコウモリ》 4 《しつこい湿地忍び》 3 《鼠の密通者》 4 《ネズミの王、カルモニクス》 4 《下水王、駆け抜け侯》 -クリーチャー(27)- |
2 《突き刺し》 3 《苦痛ある選定》 3 《苦々しい勝利》 3 《強迫》 -呪文(11)- |
2 《切り崩し》 2 《ヴェールのリリアナ》 3 《萎縮させる責め苦》 2 《鋼と油の夢》 1 《強迫》 3 《除霊用掃除機》 2 《喉首狙い》 -サイドボード(15)- |
スタンダード、黒単ネズミデッキ!この同種族でガッチリ固めた構成が最高だ。と言いつつ《大洞窟のコウモリ》が採用されているのはご愛敬ということで。そんだけコウモリが信頼できる2マナ域ってことだね。
それはさておき、ネズミだらけのデッキなので最も力を発揮するのは《ネズミの王、カルモニクス》!すべてのネズミが毒性1を持つ……これにより、ネズミの攻撃が10回通れば残りライフに関係なく勝ちとなる。ライフを0にするのと別の勝ち筋をデッキの提供してくれる。その上でライブラリーの上から5枚にあるネズミ・カードをすべて手札に加えるという、豪快なアドバンテージをもたらしてくれる。ネズミが23枚、デッキの約40%。これだけあれば2枚くらいは手に入りそうな……まあ1枚でも手に入った時点で得しているんだけどな。カルモニクスから2枚目に繋がればもうお祭りだ。手札も盤面も、ネズミ塗れ!かつてペストを媒介してヨーロッパに暗黒時代をもたらしたネズミが、マジックでは新ファイレクシアの毒を対戦相手に向けてまき散らす!
ネズミデッキのもう一つの醍醐味が《しつこい湿地忍び》!これはネズミの数だけパワーが上昇する。これ単体でもパワーは3あるので、パワー5以上、なんだったら二桁も狙える武闘派だ。タフネスは1だが、2マナなので贅沢は言えない。自身よりずっとコストが上のクリーチャーとも相討ちに持ち込めるので気にはならないレベルだ。そしてこの湿地忍びは、墓地が7枚以上ある状態でネズミで攻撃、という条件を満たした上でマナを払えば墓地から戦場に戻せる。なので相討ち上等!ガンガン殴って道連れにして、ゲーム終盤で復活、攻撃している状態で戻ってくるのでそのままフィニッシュに持ち込もう。また、そもそもこのスレッショルド能力で戻す前提で動くことも可能だ。
《かじりつく害獣》はプレイヤーのライブラリーを切削する。これで自身を対象に取ることで、湿地忍びが落ちるのを狙いに行く。地味ながらこれもこのリストにおいては重要なプレイだ。たった2枚なので可能性はそう高くないが、もし落ちた時のリターンは大きい。それに湿地忍びがすでに墓地にある場合は、この2枚がスレッショルド達成=墓地7枚への切符となってくれるはずだ。
墓地とネズミと言えば『ファウンデーションズ』の《ネズミの逆襲》もちょっと気になる。これは墓地のクリーチャー・カード1枚につきネズミを1体生成する。湿地忍びのパワーを上昇、カルモニクスで大量の毒、どっちで勝つ場合でも噛み合う可能性を秘めている。墓地にクリーチャーが多ければ多いほど効果は上昇し、またこれ自身にフラッシュバックがついているので墓地から唱えられるため、切削など能動的に墓地にカードを落とす手段をデッキに盛り込んで、トークンによるネズミ軍団で戦うデッキを目指しても面白そうだ。
また同セットの《魂石の聖域》もこの手のデッキには採用しておきたい。この土地は永続的にクリーチャー化し、しかもすべてのクリーチャー・タイプを持つ。ネズミでもあるので各種カードとの相互作用を引き起こし、これ自身は警戒持ちで攻撃しながらマナも出せるとなかなかに器用な1枚だ。
マジックのネズミはマウスだけじゃない。ハツカネズミだけでなく、ラットことネズミだって楽しいデッキが組めるのだ。実物のネズミに増えられると大変なことになるので、もし見かけたらしかるべきところに連絡を……でもテーブルの上や手札にネズミが溢れかえるのは大歓迎。群れの力で対戦相手を押しつぶし、大都会の真の支配者は人間ではないということを教えてあげよう。
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