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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
シミック砂漠ランプ:新アーキタイプの芽生え(パイオニア)
マジックをやっていてワクワクするのは、新アーキタイプの誕生を目の当たりにすることだ。デッキというものはそれこそ、無限に等しいほど存在している。プレイヤーの数だけデッキがあると言っても過言ではない。そうやって作られたデッキたちが、トーナメントなどで使用されて一目に触れる。ネットで拡散したデッキリストを、他の誰かがコピーし一部調整する。そうやって独創的なリストが改良を繰り返されるうちに、いつしかそのフォーマットでお馴染みの存在へと昇華していく……アーキタイプ成立の瞬間だ。
デッキの卵が立派に育って、環境の一員として一人前に躍動している姿を目にすることは、僕のようなマジックマニアにとっては至福の瞬間なのだ。つい最近もパイオニアでそのような例に遭遇したのでここで紹介させていただこう。
4 《繁殖池》 2 《植物の聖域》 2 《夢根の滝》 4 《樹皮路の小道》 2 《瑞々しいオアシス》 4 《導路の塔門》 4 《乾燥地帯のアーチ道》 2 《イプヌの細流》 2 《ハイドラの巣》 2 《天上都市、大田原》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《島》 3 《森》 -土地(34)- 4 《樹上の草食獣》 4 《腹黒茸》 4 《荒野無頼団の緑刃》 4 《断崖の見張り》 4 《玻璃池のミミック》 4 《夢露の幻惑者》 4 《肥えた緑甲羅》 4 《棘林のアルマジロ》 -クリーチャー(32)- |
4 《洪水の大口へ》 4 《脚当ての陣形》 4 《青の太陽の黄昏》 2 《ドッペルギャング》 -呪文(14)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒) 4 《霊気の疾風》 4 《神秘の論争》 4 《除霊用掃除機》 2 《石の脳》 -サイドボード(15)- |
土地の総数34……多い!と思ったら相棒に《空を放浪するもの、ヨーリオン》を据えた80枚デッキだ。それでも《玻璃池のミミック》を含めればデッキの半分近くが土地、そしてリストを見れば《樹上の草食獣》《腹黒茸》《断崖の見張り》のような土地を並べるカードもたっぷり……そうこれはランプデッキだ。増加を意味するRamp upに基づくランプは、その名の通りマナを増やして戦う。使い捨てのものではなく、多くの場合は土地を戦場に並べて継続的にマナを確保し、相手よりもマナ総量の大きい呪文を唱えることでカードパワーで圧殺するアーキタイプ全般がランプと呼ばれる。マナが増えれば相棒を手札に加える{3}を払ったうえでヨーリオンを唱えることも簡単に。そのヨーリオンで《断崖の見張り》らを出し入れすることでさらにマナ=土地が増える。
土地が増えると勝利が近づく。10枚以上になると《肥えた緑甲羅》が本領発揮、すべてのクリーチャーに+2/+2修正を与える。これでマナ加速要員であるちっぽけなクリーチャーらも戦闘で打ち負けないサイズに。緑甲羅自身とその後続になるクリーチャーらも土地を戦場に出せる可能性を得るので、ランプデッキには非常に噛み合った1枚だ。これを複数体並べることで一気に強固な盤面を作れる。そのために《玻璃池のミミック》などのコピーカードが採用されている。
《青の太陽の黄昏》もそんなコピーカードの一つで、X=5で唱えて自身の緑甲羅をコピーしてフィニッシュ……という動きも狙える、本業は対戦相手のクリーチャーのコントロールを奪うもので、これで厄介な攻撃役やコンボパーツを掻っ攫う。相手のクリーチャーを対象にした場合も、X=5以上でそれのコピーを生成できる。相手の最も強いクリーチャーを奪いながらこちらはそれを2体並べる。こんなに気分の良いこともないだろう。
コピーと言えば《ドッペルギャング》!マナはかかるが、支払えれば最強クラスのコピー呪文だ。X個の対象をX回コピー、パーマネントの種類は問わないので土地をコピーしてマナ加速したり、緑甲羅などを大量に並べてフィニッシュにも持っていける。このマナを食うソーサリーに注ぐためのマナは《乾燥地帯のアーチ道》で捻出しよう。土地1枚で2マナ加える、その代わりに手札に土地を戻すことを要求する砂漠だ。戻した土地は《樹上の草食獣》と《腹黒茸》で出し直せばよいので、このリストでは見た目よりもずっと使いやすい砂漠だ。
そして砂漠ということで《荒野無頼団の緑刃》から探すことが可能。緑刃自身も砂漠の数を参照してサイズアップする、戦闘もどんとこいな1枚。これと砂漠を《ドッペルギャング》することでもとんでもないダメージを叩き出すことができる。《瑞々しいオアシス》を増やして本体にダメージ、《イプヌの細流》から大量切削でライブラリーアウト、砂漠とギャングで夢が拡がる!
他にも個性的なカードチョイスが光る、シミック(緑青)カラーの砂漠ランプ。今回取り上げた以外にも独創的なカードチョイスが見受けられるので、実際にプレイしてみて何故このカードが選ばれているのか?考察を楽しんでみよう。現行スタンダードのカードがかなり多くとられているので、パイオニアへのデビューを狙うデッキにも良いかもね。さあ、このデッキが今後アーキタイプとして定着するのか?今後のパイオニアでの行く末が気になるところ!
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