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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:5色人間、ノリンが逃げれば何かが起きる(モダン)

岩SHOW

 マジックのデッキをクールという観点から見た時、これは特段クールな逸品ですぜと思わずうなってしまうようなデッキを紹介する「今週のCool Deck」。連日の猛暑により、身体はクールさを求めている。そんなところに公開された『ブルームバロウ』の新カードたち……。

 この新次元を舞台にしたセットは「人間が登場しない」と事前に告知はされていた。過去には『ローウィン』がそのような次元であり、個人的に好みの世界観だったので『ブルームバロウ』にも期待を寄せていた。そしてこのセットには……人間はおろか、エルフやゴブリン、マーフォークなどの既存の人型の種族は一切登場せず、動物たちのみがカード化されていることが判明した。鳥やネズミなど強いカードが存在しているタイプから、アライグマやハツカネズミなど初めて本格的なプッシュを受けるものまで、10種類の動物たちが主役となってそのビジュアルで我々を癒し、卓上では激闘を繰り広げてくれるようだ。かなりのクール分の補給が期待できる。

 しかしまあ、振り返れば人間が登場しないセットはごくごくわずかだ。あらゆる環境に適応して生き延び繁栄する、人間という種族の強さはそこにある。多元宇宙のどんな危険や困難も、人間は何とかしようとする逞しさと貪欲さを持っている。『ブルームバロウ』のシーズンが本格的に始まる前に、この人間を主役としたデッキを紹介しておくのがクールな行いかもしれない。では今週はモダンより、「5色人間」の登場だ!

Daniel Paolo David - 「5色人間」
League Season 2 Finals @ Contemporary Nook トップ8 / モダン (2024年7月7日)[MO] [ARENA]
4 《魂の洞窟
4 《閑静な中庭
4 《手付かずの領土
3 《無声開拓地
2 《平地
1 《
-土地(18)-

4 《教区の勇者
4 《魂の導き手
3 《二の足踏みのノリン
2 《森を護る者
4 《サリアの副官
4 《翻弄する魔道士
4 《潜入者、悟
3 《選定された平和の番人
2 《過酷な指導者
2 《不屈の将軍、ジリーナ
2 《救出専門家
1 《魔女の結界師
4 《孤独
-クリーチャー(39)-
4 《霊気の薬瓶
-呪文(4)-
2 《苛立たしいガラクタ
2 《攪乱のフルート
2 《ドラニスの判事
1 《過酷な指導者
2 《月の大魔術師
1 《辺境地の罠外し
3 《ヴェクの聖別者
2 《陽光浄化者
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 モダンにおける「5色人間」はそれなりに歴史あるクールなアーキタイプ。2017年にはこのアグロデッキのひな型が世にその姿を現している。あらゆる次元に居住し、全ての色に存在する人間。そのいいところを凝縮して組み上げられたの、人類の集大成的デッキだ。

 5色ではあるがベースは白。団結の色だけあって人間というタイプを後押しするカードは白に集まりがちだ。人間が戦場に出るとサイズアップする《教区の勇者》と《サリアの副官》が主力で、これらと軽量の人間クリーチャーで怒涛のラッシュを仕掛ける。副官は戦場に居る他の人間を強化する手段も兼ねており、人が集まれば集まるほど勝利が目前に迫ってくる、そんな夏フェスのような盤面を作っていくデッキだ。《魂の洞窟》をはじめとする、特定のクリーチャーに対する5色土地を備えていることで、白主体でありつつ各色の人間を足すことが可能となっているのはクールだ。

 

 この人間デッキは『モダンホライゾン3』で1マナ域の新カードを得た。《森を護る者》は土地をコストにしてクリーチャーに高い除去耐性を与える。《霊気の薬瓶》からの展開を狙っていくデッキにとって、土地は不要な展開も生まれるのでそこに使い道を与えてくれる存在はウェルカムだ。

 そしてエネルギーデッキを一気にモダンの最前線に引き上げた《魂の導き手》も採用。クリーチャーが39枚も入ったデッキなので、ノンストップでライフとエネルギーを供給し続けてくれるだろう。貯まったエネルギーはガンガン消費して人間を天使へと昇華させて殴り勝とう。また、この導き手と相性の良い人間がここにきて再注目の存在に?

 

 そのカードは《二の足踏みのノリン》。クリーチャーが戦場に出たり、攻撃するとターン終了時まで追放されてしまう。臆病すぎるこの人間は、戦場に出た時に何かを誘発させるカードと好相性。過去にもモダンでこれを出し入れしてライフを回復するデッキが存在したが、その回復役を《魂の導き手》が担うというわけだ。他の人々が戦場に殺到する中、おっかなびっくり裏口から出たり入ったりを繰り返すノリン……彼の敏感過ぎる危機察知能力のおかげで、人は天使になり空を舞うのだ。わけがわからなくて最高にクールだぜ。勇者や副官などのサイズアップも図れるのでノリンを毎ターン出し入れしてやりたい。

 この男の出入りを歓迎するのがもう一人、《潜入者、悟》だ。サンダー・ジャンクションにて楽しく悪さしているこの忍者は、唱えられていなかったり唱えるのにマナを払っていないクリーチャーが戦場に出るとカードを1枚ドローできる。ノリンが毎ターン出入りすることで手札が自動的に補填される!このシステムが揃えばクールすぎてたまらないぜ。悟は薬瓶から出てくる人間や、想起で唱えられた《孤独》にも反応してドローを提供してくれるクールガイ。人間デッキにおいてこの手札補充要員は必須であるが、繰り返し使えるものとして悟は最もクールな選択肢であると言える。

 ノリンが出入りすることで人間たちが団結力を高める、絵面も面白くしっかり強いモダンの「5色人間」。次期セットに人間がいないからこそ、このタイミングであえて人間デッキで遊んでおくのがクールな振舞いというものかもしれない。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Stay human!!

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