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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ディミーア・ミッドレンジ:去る名カード、残る強カード(スタンダード)

岩SHOW

 スタンダードのローテーションがやってくる。新セットの販売を迎える直前に先に古いセットが期限切れを迎えるという、ちょっと変則的な形だ。なので新しいカードをどう迎えるか?ということと同じくらいに既存のデッキがどれほど残るか?というところに注目するのが、新環境を迎える事前準備として大事じゃないかなと思う。

回転

 

 『サンダー・ジャンクションの無法者』環境のスタンダードにおいて、黒という色の存在感は他に勝るものがある。黒のクリーチャーはとても優秀なものが揃っており、殴り合いや戦闘以外の面でも役に立つスタッフが揃っている。そこに加えてクリーチャー除去も優秀だ。クリーチャーを展開し、相手のそれは除去して攻撃する。アグロからミッドレンジ、あるいはコントロールまで……黒という色をメイン或いはサブカラーにした様々なデッキが存在している。それらが失うカードで注目すべきもの……クリーチャーなら《墓地の侵入者》。これは3マナ域の名作だったなぁ~除去耐性が高く、墓地対策にもなる上にライフを失わせるので攻めに良し、同時に1点だけとはいえライフが得られるので守りにも良し。これが攻撃する度に誘発し、夜になればサイズも効果もアップして……うーん名カード中の名カードと断言してしまえるね。スタンダードを落ちてもパイオニアなどで活躍は続くだろう。

 クリーチャー除去を見れば《危難の道》が落ちるのは大きい。2マナ以下のクリーチャーを根こそぎ破壊、これが3マナというコスパの良さで使えたのだから黒が強かったわけだよな。対アグロにおいてこれがサイドにあれば安心できるものだったし、そもそもメインから採用しているリストも多かったものだ。

 

 去っていくカードはあるが、しかし残るカードもまた強いのが黒。『団結のドミナリア』以降のセットが残るので《黙示録、シェオルドレッド》などの骨太クリーチャーらが残留!さらにとてつもない数のクリーチャーを葬り去ってきた《喉首狙い》でまだまだ喉を掻っ切れる。そんなわけでローテーション後も黒いカードを使ったデッキ、特にクリーチャーと除去を備えた中速系のデッキはまだまだ戦える。というよりもほとんど元のリストのままデッキを組むことができるだろう。

Kellen Ropson - 「ディミーア・ミッドレンジ」
Standard Cup - MagicCon: Amsterdam 5-2-1 / スタンダード (2024年6月29日)[MO] [ARENA]
4 《地底の大河
4 《闇滑りの岸
3 《難破船の湿地
4 《不穏な浅瀬
1 《天上都市、大田原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
3 《ミレックス
2 《
3 《
-土地(25)-

4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《大洞窟のコウモリ
4 《フェアリーの黒幕
2 《しつこい負け犬
3 《ティシャーナの潮縛り
2 《ヨーグモスの法務官、ギックス
1 《復活したアーテイ
2 《最深の裏切り、アクロゾズ
-クリーチャー(22)-
3 《切り崩し
3 《喉首狙い
2 《かき消し
1 《呪文貫き
2 《アモンケットへの侵攻
2 《ヴェールのリリアナ
-呪文(13)-
3 《未認可霊柩車
1 《墓地の侵入者
1 《切り崩し
1 《喉首狙い
3 《危難の道
2 《苦難の収穫者
2 《否認
1 《軽蔑的な一撃
1 《ギックスの命令
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 たとえばこのディミーア(青黒)カラーのミッドレンジ、同様のリストが昨年からスタンダードの第一線で活躍を続けているが、これなどはデッキパーツの大部分がローテーションを受けても残る。《大洞窟のコウモリ》や《フェアリーの黒幕》などの軽くて飛行と+αの能力を持った……平たく言うといやらしい能力を持った軽量クリーチャーらを主体とし、それらの攻撃を除去や打ち消しのインスタントで押し進めていく。剛腕で一発かますようなデッキの対極、カツカツコツコツと確実に刻み、蝕み、相手の反撃はいなし続ける。テクニックで勝負するマジックを愛するプレイヤーに好まれる、スタンダードの定番デッキだね。

 

 このデッキは基本的に構えて戦う。自身のターンでクリーチャーを展開することもあるが、インスタントや瞬速持ちのクリーチャーを構えながら、相手が動いてきてから何をするかを決める。《ティシャーナの潮縛り》《復活したアーテイ》などを使いたいがゆえにこのデッキを選ぶというモチベーション……これ、あるはず。そういったカードで相手の出鼻をくじき続けることができれば理想的だが、手札を消費しながら行っていくため、何らかの手段で手札を補充しなければならない。序盤だけしっかり捌いたけども相手のトップデッキで逆転、なんて悔しいもんな。《ヨーグモスの法務官、ギックス》がもたらすドローはこのデッキの生命線のようなもの。これのおかげで《遠眼鏡のセイレーン》のようなちっぽけなクリーチャーも脅威となるのだ。

 

 デッキの大部分はローテ後も残るため、安心してプレイできるディミーア。しかし冒頭で触れた《墓地の侵入者》《危難の道》はこのリストのサイドボードに採用されているので、ローテ後に何か代わりのカードを考えねばならない。全体除去は《悪意ある覆い隠し》、墓地対策クリーチャーは《アーボーグの掃除屋》《下水王、駆け抜け候》などがその役目を担えるんじゃないかな。そしてメインデッキの《しつこい負け犬》や《かき消し》などの代わりも探さないとね。《剃刀鞭の人体改造機》や《幻影の干渉》《三歩先》……色々と試してみて、しっくりくるものを新環境のお供にしよう。それじゃあ、このディミーアのようにローテーション後も存続し得るデッキで、現行スタンダードを遊びつくしながら新環境を予習しようじゃないか。

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