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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!ドメイン“ノー”ランプを考える(スタンダード)

岩SHOW

雨降りでも……気にしない!

 6月、梅雨の季節がきたきたきたぁ!……しかし2週目現在、毎年の梅雨のように雨が降っている感じではないな。マジックは室内趣味だから、いくらでも雨が降っても遊べるもんなので……水資源や農業のことなどを考えると、梅雨ぐらいは雨降りまくっても良いかなと思うね。こんなことを書いておいて掲載する時期には絶賛梅雨入りしているかもしれないが……雨のない6月、そんな「○○がない」デッキリストを見つけたので、今日はスタンダードをこよなく愛する皆とそのデッキについて考察を深めてみたいと思う。さあ、今日も歩むぞスタンダー道。早速デッキリスト、カモーン!

Arvin Yabut - 「ドメイン・コントロール」
Wednesday Showdown 優勝 / スタンダード (2024年6月5日)[MO] [ARENA]
4《ジアトラの試練場
4《ジェトミアの庭
4《スパーラの本部
4《魂の洞窟
1《耐え抜くもの、母聖樹
3《平地
1《
1《
1《
3《
-土地(26)-

2《温厚な襞背
4《怒りの大天使
3《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(9)-
4《力線の束縛
2《集団失踪
4《太陽降下
4《間の悪い爆発
3《否認
4《豆の木をのぼれ
4《群れの渡り
-呪文(25)-
3《長い別れ
3《一時的封鎖
2《安らかなる眠り
2《石の脳
3《装飾庭園を踏み歩くもの
2《ゼンディカーへの侵攻
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 「ドメイン(版図)ランプ」!スタンダードプレイヤーであればもう星の数ほど見た定番中の定番デッキ、なのだが……このリストをよく見て欲しい。メインデッキを見ると……そこには、土地を戦場に出したりマナを加える類のカードが……一切ない!?《装飾庭園を踏み歩くもの》を筆頭に、《洞窟探検》《ゼンディカーへの侵攻》《古のヤギ角》などなどマナを増やす手段を備えているのがランプデッキだ。相手よりも使えるマナを多くして、《偉大なる統一者、アトラクサ》や《群れの渡り》で勝つ……そんなランプの根っこである戦術をこのリストはメインから排除。マナ加速の取捨選択にはプレイヤーごとの特色が出るものではあるが、これは大胆なスタイルだ。ランプ要素無し、ノーランプ!「ドメイン・コントロール」とでも呼ぼうか。今回はこの構築理由についてとことん!迫ってみるぜ。

  • 無駄ドローの回避
 

 マナ加速を用いて戦うランプにはあるジレンマがつきものだ。それは「もうマナ加速、いらん!」。序盤にしっかりとマナ加速を行えて、マナはたっぷりとある。それらの使い道を引きたい、そんな時にトップからもたらされるのは無情にもマナ加速or土地……こればっかりは運の要素のあるゲームなのでどんな時・どんなデッキでも起こり得るが、ランプを使っているとこの無駄ドローのガッカリ感は他のデッキの比ではない……そんな風に感じられる。事実、これを回避するためにドメインからはマナ加速の総数が減少する傾向にある。とにかくマナ、土地!という構成ではなくなってきたドメインの、一種の到達点としてのマナ加速0枚。

 このリストはフィリピンの店舗大会に持ち込まれたもの。もしかしたらそこではゲーム展開が長引くマッチアップが多発しているのかもしれない。アトラクサや渡りを唱えるための7マナ、そんなものは毎ターン土地を手札から出していれば十分に間に合う。そんな環境で常日頃ゲームをしているのなら、確かにマナ加速は不要に感じられるだろう。マナ加速のあるスロットに《否認》が3枚投入されていることからも、対コントロールなどゆっくり戦うデッキを意識しているのが伝わってくる。同型相手でも先にマナ加速されてしまうが、《否認》や《力線の束縛》などで捌いて《豆の木をのぼれ》でドローしていれば、いずれは追いつけるというものだ。

  • マナ加速のタイミング無し
 

 今度は一転、逆の仮説。ランプデッキのもう一つのジレンマ「マナ加速してる暇、ない!」。これは対戦相手がクリーチャーを展開するなど、こちらのライフを脅かす手段を多投してくる時に起こる。ドメインはランプ系の中でもガードの硬いデッキで、相手が攻めてくるのをボーッと見ているわけではない。《力線の束縛》《太陽降下》などの除去で好き放題させず、しっかりとこちらのデッキは本領発揮できるターンまで引きずり込むことが可能だ。しかしこの除去と、3マナ以上のマナ加速とを手札に両方持っている場合……多くのケースで、ライフを優先するため・あるいは相手がアドバンテージを稼ぐパーマネントを処理するため、除去をプレイすることを優先するだろう。マナ加速をするタイミングがなく、これが後回しになってしまうと……すっかり土地も伸びて、もうマナ加速する旨味がほとんどない、というようなゲーム展開になったり。そんな猛攻に晒されるゲームの方が圧倒的に多いなら、《間の悪い爆発》や《集団失踪》などの全体除去を増やしてマナ加速は不採用。とにかく序盤を耐えて、後半にカードパワーで逆転を図るという戦い方がスマートに思えるね。《怒りの大天使》に加えて《温厚な襞背》とライフ回復できるクリーチャーを搭載していることかもそんな側面が読み取れる……気がする。

  • 好み

 最後に一番ふんわりした説を。「好みの形がこれだから」──説得力も何もあったもんじゃないが、結局はこれに尽きるんじゃないか。環境を代表するデッキを自分好みにカスタマイズしていったら……マナ加速無しの方が好きだな、要らないんじゃね、と。多くのプレイヤー、世論はこういう感覚に反論してくるかもしれない。こうするべきだ、セオリーというものがある、と。しかしながら圧倒的多数の意見があったとしても譲れない、譲る必要のないこともある。目玉焼きに何かけるか議論とかあるけど、他人が何を言ったところで自分の好きな味が変わるわけじゃないもんな(ちなみに私は何もかけない派)。やりたいようにやる、それがマジックの根本原理。自分に一番しっくりくる構築があるなら、それがマイベストデッキ。マナ加速がないドメインがあったって良い、自由とはそういうことだ。

 今回は一つのアプローチをとことん考察してみたが……他にもこのリストはどういう意図が?とか、とことん深淵に迫ってほしいデッキに遭遇したら、是非教えて欲しいものだね。それじゃあそんなスタンダードのデッキと出会うため……今日もひと汗かくとしようか。

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