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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
黒単ハンデスデッキ特集!捨てさせればどうということはない(スタンダード&パイオニア)
ハンデス。この独特の語感は日本ならではのマジック用語。ハンド・デストラクション/Hand Destructionを縮めたもので、これは日本語に訳せば手札破壊。マジックのルールでいうところの破壊ではなく、要するに手札を捨てさせること。黒がこれの代表色で、ニュアンスで言えば記憶を取り除いたり精神を崩壊させたりするさまをカード化しているわけだ。実際に捨てさせるアクションや呪文自体をハンデスと表現するが、デッキのアーキタイプ名としても用いられる。
今回はこのハンデスをデッキの主成分としたデッキについてのお話。
4《魂の洞窟》 4《ミシュラの鋳造所》 2《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 15《沼》 -土地(25)- 4《腐食の荒馬》 4《大洞窟のコウモリ》 4《墓地の侵入者》 2《懲罰者、ケアヴェク》 1《ヨーグモスの法務官、ギックス》 2《ドロスの魔神》 1《黙示録、シェオルドレッド》 2《厄介者、ギサ》 -クリーチャー(20)- |
3《強迫》 3《切り崩し》 4《喉首狙い》 1《長い別れ》 4《ヴェールのリリアナ》 -呪文(15)- |
1《強迫》 3《敵意ある調査員》 4《危難の道》 1《ぎらつく氾濫》 2《ギックスの残虐》 4《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
まずはスタンダードのリストから。メインから《強迫》が入っているのが特徴的な黒単だ。土地でもクリーチャーでもないカードを捨てさせられる《強迫》。サイドボードでの採用率が高いため、サイド専用カードと思われがちではあるが、これが空振りするデッキが少ない環境であれば、メインからでも採用されるものだ。現スタンはまさしくそれに該当するってことだ。アグレッシブなデッキでも「ボロス召集」のように非クリーチャー呪文が多く採用されているものね。同じような黒いミッドレンジを相手にしても、《喉首狙い》のような除去を抜けるだけでゲームの流れを大きく変える可能性がある。1マナで脅威を未然に防げて、何より相手の手札が確認できるのが大きい。メインであれば相手のデッキが不明な状況下で、その正体を暴き、様々な情報をもたらして優位をもたらしてくれる。特に変形ハンデスである《大洞窟のコウモリ》との組み合わせ、これぞ醍醐味。軽い除去を《強迫》で抜いておいて、コウモリで追放したカードを取り返されにくくすることで序盤のイニシアチブを握ろうという算段だ。
メインデッキではこれらのハンデスで相手のプランを崩しつつ、クリーチャー除去で盤面を掌握。あとは中マナ域のクリーチャーで殴り勝つ……という典型的な黒いミッドレンジの動きを追求している。この動きの中で《懲罰者、ケアヴェク》を絡めれば、ハンデスなどで悪事を働きつつ対戦相手の顔を苦痛に歪める極悪ラッシュを刻める。ケアヴェクからの《強迫》と除去の連打は何もかもを奪い去ってしまうだろう。
このリストは《ヴェールのリリアナ》を4枚採用しているのも特徴的だ。彼女も手札を捨てさせ、またクリーチャー除去も兼ねている、このデッキの象徴的な1枚だ。ガンガンとリソース(資源)を削ぎ落とし、弱り切った相手を、後は煮るなり焼くなりご自由に。
サイドの《敵意ある調査員》は現在のスタンダードにおけるハンデスという戦術を大きく肯定する1枚。シンプルに手札を捨てさせつつ、相手が手札を捨てれば調査を行う。手掛かりというストック式のドローを得ることで、ハンデスがただの等価交換ではなくこちらの方がカードの枚数が有利になる、アドバンテージ差を生みだす危険な兵器となる!4/3とこの手のシステムクリーチャーにしては戦闘向きのガタイなのも嬉しい。この調査員でミッドレンジ同型やコントロール等の相手に勝負を挑む。そして調査員はスタンダードのみならず、パイオニアでも活躍中だ。
3《ロークスワイン城》 2《目玉の暴君の住処》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2《沈んだ城塞》 4《廃墟の地》 3《ガイアー岬の療養所》 10《沼》 -土地(26)- 1《懲罰者、ケアヴェク》 4《敵意ある調査員》 2《黙示録、シェオルドレッド》 1《最深の裏切り、アクロゾズ》 -クリーチャー(8)- |
4《致命的な一押し》 1《喉首狙い》 3《シェオルドレッドの勅令》 1《リリアナの勝利》 4《思考囲い》 1《強迫》 4《真っ白》 4《無駄省き》 4《ヴェールのリリアナ》 -呪文(25)- |
2《切り崩し》 2《覆い隠し》 2《危難の道》 1《絶滅の契機》 2《強迫》 2《絶望招来》 1《墓地の侵入者》 1《夢を引き裂く者、アショク》 1《はぐれ影魔道士、ダブリエル》 1《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
パイオニアのハンデスと言えば《無駄省き》デッキ!相手が手札を捨てることで誘発する《無駄省き》。ここから得られるもので優位を確立し、相手が思った通りのゲームが出来なくなっているところを一方的に勝つ……性格の良いデッキだ。非クリーチャー呪文を捨てた際にはカードを引ける《無駄省き》、これに《敵意ある調査員》が絡めば……余り想像したくないくらいには手札の枚数差がつくな。
《真っ白》などさすがパイオニアという手札破壊の品質の高さには唸らされるばかり。中でもこのデッキを象徴するのは《ガイアー岬の療養所》。お互いにカードを引いて捨てる、この起動型能力で相手の手札が空っぽになっても強引に《無駄省き》と調査員を誘発させる!クセの強いカードがハンデスというテーマで一つになり、完成度の高いデッキにまとまっている。
どんな強力なカードも、唱えられる前に手札が抜き去ってしまえば良い。それだけのことだ。何も遠慮することはない、レッツハンデス!ただ捨てさせるだけでなく何かを引き起こすカードとセットで使って勝利を手中に収めよう。
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