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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:サヒーリコンボ、最新の装い(モダン)

岩SHOW

 今週もやってきました金曜日。マジックという最高にクールなコンテンツ、そのデッキもものすごくクールだ。デッキが得たタイトルやメタゲームに与えた影響、所謂実績よりも、どうクールなのか?そこに重きを置いて紹介するのが当コラムの金曜日企画、Cool Deck。新年度を迎えて、気持ちも新たにクールを探求していこうと決意した次第だ。クール1年生、クールデッキ100個組めるかな?いざスタート!

 クールデッキ……その概念はあらゆるデッキに当てはめることができるが、とりわけクールに感じられるものが、やはりコンボデッキ。コンボが完成すれば即座に勝利する、瞬殺タイプのコンボというものは実にクールだ。コンボ完成のために必要なカードが少なければ少ないほど、そのクールさは際立つ。

 《欠片の双子》や《鏡割りのキキジキ》などのタップすることでコピーを生成するカードと、《詐欺師の総督》や《やっかい児》のようなクリーチャーをアンタップするカードを組み合わせることで、2枚のカードで速攻を持ったトークンが無限に並べられる。この手の瞬殺コンボを”双子”と形容するようになり、後世の2枚で勝てるコンボも「最新の双子見つけた!」というように表現されるようになった。今回はそんな双子的なコンボの中でも……ちょっと懐かしいリストを見つけたんだよな。2024年のモダンでこのコンボと出会えるとはね。

NAMELESSYU - 「フェリダーコンボ」
Magic Online Modern Challenge 32 トップ8 / モダン (2024年4月12日)[MO] [ARENA]
4《吹きさらしの荒野
3《霧深い雨林
2《溢れかえる岸辺
1《樹木茂る山麓
1《ラウグリンのトライオーム
1《インダサのトライオーム
1《神聖なる泉
1《踏み鳴らされる地
1《寺院の庭
1《蒸気孔
1《聖なる鋳造所
1《繁殖池
1《行き届いた書庫
1《耐え抜くもの、母聖樹
1《平地
1《
1《
-土地(23)-

4《喜ぶハーフリング
4《創造の座、オムナス
3《守護フェリダー
4《孤独
-クリーチャー(15)-
4《力線の束縛
3《虹色の終焉
1《至高の評決
2《ニッサの誓い
4《一つの指輪
1《レンと六番
4《時を解す者、テフェリー
3《サヒーリ・ライ
-呪文(22)-
2《ドビンの拒否権
1《耐え抜くもの、母聖樹
1《活性の力
1《毒を選べ
1《摩耗 // 損耗
2《安らかなる眠り
1《忍耐
1《外科的摘出
2《黒曜石の焦がし口
1《機械の母、エリシュ・ノーン
1《一時の猶予
1《至高の評決
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 《サヒーリ・ライ》は[-2]能力でクリーチャーやアーティファクトのコピーであるトークンを生成する。そのコピーは追加でアーティファクトのタイプと速攻を持つ。これで対象にするのが《守護フェリダー》。このフェリダーは戦場に出た時に自身のパーマネントを追放し、その後戦場に戻す。この手の自身のパーマネントを追放してから戻す処理はブリンクと呼ばれる。ブリンクの中でも追放したパーマネントを戻すタイミングはカードにより様々。このフェリダーは即座に戻すタイプのもので、その能力でサヒーリを対象に取ると……一旦戦場を離れ、忠誠度が3に戻った状態にリフレッシュされて戦場へ。これは先ほど能力を起動したサヒーリとは別物にカウントされるので、また能力を起動できる。これでフェリダーを対象に取って、そのコピーがサヒーリを再ブリンクして……無限に速攻持ちのフェリダーが増えて、これらで攻撃することでゲームに勝利する。2枚で決まる双子の系譜に名を連ねるコンボであり、一時期は猛威を振るったものだ。

 その後コンボへの対策手段も増え、3マナと4マナのパーマネントを揃えるコンボよりも安全な勝ち手段を備えたデッキが台頭し、サヒーリ×フェリダーコンボは表舞台から一歩引いた存在に。落ち着いてからどれほどの月日が経ったか、2024年にMagic Onlineのイベント上位入賞デッキを眺めていると、このコンボの姿が。懐かしいなぁと、郷愁的なクールさを感じてたまらずここで取り上げることを決意したのだった。

 サヒーリ全盛期から時が過ぎ、後進デッキが隆盛していく。その光景をこのデッキもただ指をくわえてみているわけでは……なかったんだね。他のデッキを大きく後押ししたカード達を、サヒーリ側も新戦力として迎え入れている。

 その筆頭は《喜ぶハーフリング》。伝説の呪文を唱えるために払える5色のマナを供給する、便利なマナクリーチャー。サヒーリは伝説のプレインズウォーカーなので、このハーフリングの恩恵を受けることができる。少なくともサヒーリとフェリダーで3色は確定、モダン環境であれば3色デッキを組むならついでに4色にするのも無理なことではない。というわけでサヒーリコンボは黒以外の4色デッキで組まれるのが定番だ。《ニッサの誓い》というサヒーリを唱えやすくする要素を備えていたが、そこにマナ加速してコンボの成立ターンも早めてくれるハーフリングが加わったことは非常に大きい。《創造の座、オムナス》を組み込んで、これで勝つという別ルートも確保しやすくなるしね。フェリダーの能力は土地もブリンクできるので、このオムナスの上陸を誘発させることも容易い。それぞれのコンボパーツと噛み合うカードを得て、ミッドレンジとして立ち回りつつコンボで瞬殺も出来る……そんなデッキに仕上げられている。

 フェリダーと相性が良い現在のモダンを代表するカードたちは他にも。4色デッキ(実質5色デッキ)であれば強く運用できる《力線の束縛》を使いまわすことで、目先の脅威を立て続けに潰すことも狙える。力線はブリンクすると最初に捕まえたパーマネントを返してしまうが、それでもより危険なものに切り替えられるのは勝敗に大きく関わってくることだ。《孤独》であれば追放できるのはクリーチャーに限られるが、これをブリンクすれば追放したものは戻ってこないのでやり得というやつだな。《孤独》をサヒーリでコピーし続けるだけでも対戦相手のクリーチャーを根絶やしにできるのでクールだろうな。

 また《一つの指輪》はターンを重ねれば引けるカードが増えるが与えてくるダメージも上昇する。このデメリットの部分をフェリダーのブリンクで帳消しにしてしまおう、というのもかなりクールな考えだね。プレイヤーにプロテクションを付ける動きもおかわりできるので、大ピンチな状況をこれでしのいで、サヒーリをトップデッキするのにかける!というような胸が熱くなるシーンも演出できるな。

 しばらく見なかったサヒーリコンボがクールな装いで最新のリストを見せてくれる。これは他のコンボにも見られる現象だ。今第一線で活躍しているデッキも、時を重ねれば「あ~あのデッキ見なくなったな」という立ち位置になる日がいつかやってくる。でもマジック、それで終わりじゃないっていうのがクールだよなぁ。

 どんなデッキでもそのデッキを愛するプレイヤーたちがよりクールな仕様にアップデートして、持ち込んでくるはずだ。さあ、君の好きなデッキも君の手で復活させようじゃないか。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Revive decks by yourself!!

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