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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ライフ型ラフィーン:事件か、はたまた都市伝説か(スタンダード)
皆さん、都市伝説はお好きですか?私はあくまでエンターテイメントとして、よくこじつけられたなと、信じる信じないはさておき楽しんでおります。都市伝説の中でも好きなものは……
「メアリー・セレスト号乗員失踪事件」
1872年、ポルトガルにて無人の状態で漂流しているのを発見された船、メアリー・セレスト号。発見時、船内を確認した者の証言によると……船内の食卓には食べかけの食事があり、コーヒーは湯気を立てていた。まるで瞬間的に、乗員全員が忽然と姿を消したかのように……という大変に魅力的な都市伝説。
この超常現象を思わせるエピソードは、種を明かすと後世の脚色。人間が瞬間的に消えた痕跡に遭遇したという事実はないようですが、しかし乗員が失踪した船が見つかったことは当時の記録にもしっかりと残っています。創作であっても、今まさに食事を始めようと準備されたテーブルがそのままになっている、そんな事件には人を惹きつける怪しい魅力があると感じます。そして、マジックの多元宇宙ではあの都市伝説のような光景が実際に起こっているのです。
ラヴニカで起きたとされる、豪勢な食事会が手つかずのまま、出席者が失踪した事件。この事件の謎を解くカギはライフ。プレイヤーが1ターンの間に5点以上のライフを得た時、この事件は解明されます。その解明条件を満たすためのライフは、この事件エンチャント自身が提供してくれるのです。クリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたびに1点のライフを得られるので、多くのクリーチャーを展開すればそれだけ事件の真相に近づいていく。そしてこの事件が解明完了した時、ある一つの起動型能力が使用可能となるのです。
〔ターン終了時まで、あなたの墓地にあるすべてのクリーチャー・カードは「あなたの墓地からこのカードを唱えてもよい。」を得る。〕
まるで本来この饗宴に参加する予定だった出席者が、墓地から集合するかのような光景が……このミステリアスな事件を使うなら、前環境のこのようなデッキをベースにしてみてはどうでしょう。
1《アダーカー荒原》 1《地底の大河》 4《コイロスの洞窟》 4《金属海の沿岸》 4《闇滑りの岸》 1《砕かれた聖域》 1《不穏な投錨地》 1《不穏な浅瀬》 1《眠らずの城塞》 2《英雄の公有地》 1《皇国の地、永岩城》 1《天上都市、大田原》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《平地》 -土地(24)- 4《遺跡潜みのコウモリ》 4《大洞窟のコウモリ》 4《敬虔な新米、デニック》 4《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》 4《ガムドロップの毒殺者》 4《策謀の予見者、ラフィーン》 4《黙示録、シェオルドレッド》 1《最深の裏切り、アクロゾズ》 -クリーチャー(29)- |
3《失せろ》 4《アモンケットへの侵攻》 -呪文(7)- |
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《策謀の予見者、ラフィーン》。白青黒、エスパーと呼ばれる3色のデッキの中でも、スタンダードであればこのスフィンクスを扱ったものが圧倒的に主流です。ラフィーンを主役にしつつも、カードのチョイスは個々人で全く異なるものになっており、バリエーションは非常に豊富なのがその特徴。このリストはBO1、メインデッキ一本勝負のために作られたもので、それゆえの特徴がしっかりと表れております。それは後に触れるとして、ラフィーンの基本構造から説明しましょう。
クリーチャーで攻撃すると、その数だけカードを引き、同じ枚数分捨てるという手札入れ替えを行う謀議が誘発するラフィーン。その捨てたカードの中の土地以外のカードの数だけ+1/+1カウンターを乗せることも同時に行うため、手札はより状況にフィットしたものに昇華され、そしてクリーチャーも戦闘面で頼れる大型へとパワーアップ。この能力と相性抜群な《黙示録、シェオルドレッド》。カードを引くと2点のライフを得るので、これで超回復を狙うのがラフィーンデッキの必勝パターン。
BO1は勢いのままに押し切って勝ち逃げするのを狙うアグロデッキが大多数を占める傾向にあります。その中で、シェオルドレッド然り、ライフを回復するのが強力なアプローチというのは、当然のこと。先ほども触れた一本勝負仕様というのは、この回復に特化しているという意味。サイドボード込みの三本勝負では見られないほどのライフ回復カードがズラリと並ぶのがこのリストの独自性というわけです。絆魂を持ったクリーチャー、《敬虔な新米、デニック》や《大洞窟のコウモリ》はラフィーンデッキのレギュラー的な存在になっていますが、このリストでは《遺跡潜みのコウモリ》のような他ではお目にかかれないような珍しいカードも選ばれています。これらで相手の攻撃をブロックしたり、謀議を絡めた攻撃を行うなどして、絆魂で回復する……これはアグロデッキにとっての悪夢のような戦術。
《ガムドロップの毒殺者》もまた珍しいチョイスで、これだけ回復する要素が詰まったデッキであれば戦場に出ることで対戦相手のクリーチャーに大きくマイナス修正を与えて除去することが可能でしょう。
そして回復からの除去と言えば、忘れてはならないのが《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》。ライフを回復すると探検を行う、パイオニアでは人気コンボのキーパーツ。このアマリアをスタンダードで使うというアプローチもなかなかに味わい深いもの。探検で+1/+1カウンターを得て、もしパワーが20ちょうどになったら、他の全てのクリーチャーを破壊してしまう、強大な力の持ち主なのです。実際に20まで上げるのは至難の業、でも回復と謀議による強化があればあるいは……というロマンが溢れる1枚。20までいかなくとも回復する度に探検を行う、それだけでも対戦相手からすれば嫌なものです。
謀議により手札から捨て、探検によりライブラリーから墓地に送ったクリーチャー。これらを《手つかずの饗宴の事件》で墓地から唱える。この動きは、やりすぎでしょうか?個人的にはそういったアドバンテージを堪能し尽くすデッキは楽しいものなので、事件型ラフィーンデッキの可能性を感じます。信じるか信じないかは、あなた次第。
このデッキ案を気に入っていただけたなら、是非皆さんも《手つかずの饗宴の事件》デッキを組んで近くのコミュニティに遊びに行ってみてください。もしラウンドが開始されたのに、あなたの対面に座っているはずの対戦相手がそこにいなかったら……すぐにジャッジを呼びましょう、うん。信じるか信じないか以前に、大会中の遅刻はダメだよ。
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