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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

新環境スタート!リアニメイト・ヴァンパイア(スタンダード)

岩SHOW

 前回はプロツアー殿堂顕彰者であるガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifによる『イクサラン:失われた洞窟』環境の新デッキを紹介させていただいた。これに続けて今回も殿堂プレイヤーの新環境デッキを取り上げようじゃないか。

 その方は……フランク・カーステン/Frank Karsten。全てのカードに点数をつけてそれに従って構築するという技法でリミテッドのプロツアーで活躍し、一躍トッププレイヤーに。その後も圧倒的な回数のプロツアー参加を重ねて殿堂入り。またプレイヤーとしてだけでなくライターとしても大御所!大型トーナメントの度に参加者の使用デッキ数とそこから得られる情報をまとめたメタゲーム・ブレイクダウンや、このターンどうやって勝つのか?といったパズル的なコラムまで、彼の記事によりマジックをより深く楽しんでいるファンが数えきれない。そんなカーステンが組み上げたデッキとは……

フランク・カーステン - 「リアニメイト・ヴァンパイア」
スタンダード (2023年11月10日)[MO] [ARENA]
4 《魂の洞窟
4 《閑静な中庭
1 《ヴォルダーレンの居城
4 《黒割れの崖
1 《闇滑りの岸
1 《金属海の沿岸
2 《コイロスの洞窟
2 《砕かれた聖域
2 《不穏な火道
1 《皇国の地、永岩城
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《
-土地(25)-

4 《ヴォルダーレンの美食家
4 《税血の収穫者
2 《バルトロメ・デル・プレシディオ
1 《ヴォルダーレンの投血士
4 《分派の説教者
4 《死体鑑定士
1 《血滾りの福音者
2 《魅せられた花婿、エドガー
1 《アクロゾズの狂信者、ヴィト
4 《女王湾の聖騎士
2 《真紅の花嫁、オリヴィア
2 《ガルタとマーブレン
-クリーチャー(31)-
4 《苦々しい勝利
-呪文(4)-

-サイドボード(0)-
X より引用)

 

回転

 吸血鬼デッキ!しかも……5色!そう、吸血鬼は黒と赤のイメージが強いが、実は5色全てに存在する。なかなかにマルチタレントな種族なのだ。スタンダードにおける吸血鬼デッキといえば《魅せられた花婿、エドガー》がいるので組みやすいものに思える。シンプルに吸血鬼全員強化!部族デッキに最も欲しいエッセンスだ。が、エドガー自身単独で使っても十分に強いカード。そのため白黒絡みのデッキで単独で用いられることが主流。《税血の収穫者》《死体鑑定士》と同様に強い吸血鬼カードはありそれぞれで活躍はしてきたのだが……部族デッキと呼べるようなリストは目立っていなかった。

 イクサランではかつて中南米にやってきた宣教師や新大陸調査隊のようなポジションを吸血鬼が担っている。新キャラが加入することが予見されていたが、案の定立派な吸血鬼デッキが組めるだけの戦力が一斉に参入してきたというわけだ。

 吸血鬼ニューフェイスの中でもこのデッキがフィーチャーしているのが《女王湾の聖騎士》!吸血鬼限定で墓地から戦場に出す、つまりリアニメイト能力の持ち主だ。その条件は困難なものではなく、戦場に出るか攻撃することで誘発する。つまりこれ1枚で2体以上の吸血鬼を蘇らせることも可能!展開し続けた吸血鬼が破壊されたり打ち消されたりしまくっても、この聖騎士1枚で立て直しが図れるということだ。ただ、何のリスクもなく吸血鬼を釣り上げられるわけではなく、戻した吸血鬼のマナ総量分のライフを失うというデメリットはついてくる。デカい吸血鬼を出すにはそれなりの苦痛が伴うってことだ。

 まあ、ライフの損失をビビっていては何も始まらない。要は失ったライフを補って余りある強い吸血鬼を蘇らせれば良いのである。その点、《ガルタとマーブレン》はうってつけ。イクサランの恐竜王にまたがった吸血鬼の司祭、ロマンあふれる1枚!様々なコンボと絡めることが画策されてきたカードだが、スタンダードにて吸血鬼というタイプを活かした運用法がついに見つかったか?《ガルタとマーブレン》は12/12トランプルと圧倒的な戦闘力を誇り、これだけでも7点のライフに見合うもの。さらに攻撃のよりトークンも生成可能だ。このトークンで吸血鬼を選べば、絆魂持ちのトークンらによってライフ回復もできる。これらのトークンをさらに各種吸血鬼で強化したりそのコストにしたり……といったシナジー(相互作用)も見込めて、嬉しいことしか書いていない!

 この超ド級吸血鬼をリアニメイトするには《真紅の花嫁、オリヴィア》も動員。墓地に落とすためには《ヴォルダーレンの美食家》《税血の収穫者》らがもたらす血を使って捨てるという、シンプルな手段を用いる。

 血や《ガルタとマーブレン》のトークンなどと組み合わせて輝く新吸血鬼《バルトロメ・デル・プレシディオ》も個人的に超注目カード!マナ不要でパーマネントを生け贄に捧げられる、この手のクリーチャーは久しぶり。純粋に+1/+1カウンターが乗っていく永続的な強化で、何が素敵かって生け贄に捧げるタイミングが「ソーサリーを唱えられるときのみ」のように限定されていないという点。これによりブロック後だったり除去の対象になった際に、それらの吸血鬼をペロッといただいて無駄なく最後まで味わえる。最近は追放するタイプの除去も多いため、生け贄という形でそれらを回避して墓地に送り、後からリアニメイトという手段に繋げられるのも頼もしい。

 またバルトロメの生け贄により《アクロゾズの狂信者、ヴィト》の能力も誘発。ライフの差を拡げ、最終的には4/3飛行と大きなトークンを生成する吸血鬼のリーダー格!彼を主役とした生け贄系吸血鬼を極めるというアプローチ、これもアリだな。

 リアニメイトと生け贄、バリエーションに富んだ戦術を内包する吸血鬼デッキ。これまでにトライしてきたプレイヤーには、イクサランの洞窟に挑み、その力が完全開放された吸血鬼らを迎えた部族デッキにもチャレンジしてほしいね!どんなカード、どんな構築が強いのかはまだまだ誰にもわからないが……部族デッキはいつだって楽しい、これは間違いない!《魂の洞窟》をはじめとする部族デッキを後押しする土地も用いて、血を求めて思いのままに暴れよ!

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