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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ズルゴとオジュタイ、そのデザインの完成度に酔う(スタンダード)
このマジックというゲームをプレイし続けて早25年。数字にすると四半世紀か、長い付き合いになったもんだ。ここまで一つの趣味を続けられたのは……素晴らしいデザインのカードと出会えた時の喜びというか、感動あってこそかな。最近だと「おお、これはすごいな」と思ったのが……。
《ズルゴとオジュタイ》!久しぶりの登場となったタルキール次元の主要キャラ2名の共演を描いた1枚だ。サルカンのタイムトラベルによる歴史改変で、絶滅を免れ龍王として君臨するオジュタイ。ドラゴンという存在に苦悩させられ続けるズルゴは、ファイレクシアの襲来という緊急事態においてこのオジュタイに協力を要請し、ドラゴンが減少していく様を見ていたオジュタイもこれに同意。まさかのタッグ結成に胸が熱くなるな。
ストーリー的な意味合いももちろんのこと……このカード、《鐘突きのズルゴ》と《龍王オジュタイ》という過去のカード2枚を合体させて今のゲームに合うように絶妙に調整された珠玉の逸品なのであるッ。条件付きで呪禁を持つオジュタイの除去耐性に関しては、本家と異なり戦場に出たターンの間持続するものに。攻撃を通すと《予期》相当の手札補充能力が誘発するのも龍王と同様ではあるが、ダメージを与える先がプレイヤーだけでなくバトルも含まれているのが最新モデル感あるね。ズルゴの要素は速攻として再現されている。《鐘突きのズルゴ》が持つ疾駆という能力が元ネタであり、手札補充後にドラゴンを手札に戻して良いというのが疾駆の効果で手札に戻ることを表現しているというわけだな。こんな美しく、2枚のカードを合体させたものが作られるなんて!初見から今日にいたるまで、感動しっぱなしだよ。
この《ズルゴとオジュタイ》、そのデザインの美しさは=強さでもある点が嬉しい。これを主役とした通称「ジェスカイ(白青赤)ドラゴン」というデッキは、アリーナ・チャンピオンシップという招待制のイベントにて突如その姿を現し、トップ8に2名のプレイヤーを送り出したことで注目を集めた。今回はこの《ズルゴとオジュタイ》デッキの最新スタンダード対応型のリストを1つ取り上げさせていただこう。
4 《金属海の沿岸》 2 《さびれた浜》 4 《日没の道》 3 《嵐削りの海岸》 1 《アダーカー荒原》 2 《シヴの浅瀬》 4 《戦場の鍛冶場》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《平地》 1 《山》 -土地(25)- 4 《第三の道の偶像破壊者》 1 《金属の徒党の種子鮫》 1 《栄光のドミヌス、モンドラク》 4 《ズルゴとオジュタイ》 -クリーチャー(10)- |
3 《火遊び》 2 《邪悪を打ち砕く》 4 《かき消し》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《婚礼の発表》 4 《ゴバカーンへの侵攻》 2 《セゴビアへの侵攻》 1 《新ファイレクシアへの侵攻》 3 《放浪皇》 -呪文(25)- |
4 《石術の連射》 2 《第三の道のロラン》 1 《金属の徒党の種子鮫》 2 《怒りの大天使》 2 《機械の母、エリシュ・ノーン》 2 《告別》 1 《邪悪を打ち砕く》 1 《軽蔑的な一撃》 -サイドボード(15)- |
デッキ解説に入るタイミングでいきなり言うことではないかもしれないが……《ズルゴとオジュタイ》デッキに特にこれといった決まり事というか、型はないんだよな。当コラム的にはドラゴンデッキと表現するには他にもドラゴンや《タルキールへの侵攻》なんかを採用したドラゴンタイプに意味を持たせたデッキを特にそう分類したいところ。なので、このリストのようなデッキは……とりあえずは「ジェスカイ・ミッドレンジ(中速)」と分類しておこうか。《ズルゴとオジュタイ》(以下縮めてズルタイ)はこの手のミッドレンジを大きく後押しする1枚になるため、今後のスタンダードではよく見るデッキになりそうだ。
ズルタイ入りミッドレンジは様々な組み方があるが、バトルと組み合わせるのは一つの定石になりそう。ズルタイの手札補充はバトルを攻撃しても誘発させられるし、飛行+速攻でバトルを即座に変身させられるとあっては、組み合わせない手はないって!
その中でも守備値が4以下のものを中心に使えば、タイムラグなく望みの第2面を手に入れられる。特に《ゴバカーンへの侵攻》はあらゆる面で噛み合っている、恋人的な存在。まず5マナと重めのズルタイを出すまでの時間を稼ぐのに、ゴバカーンの手札追放&マナコスト追加要求能力は最適とも言える。折角のズルタイを打ち消しされるのもたまらないので、これで手札確認したり打ち消しのコストを上げさせて構えさせないようにしたりと妨害して、最高に気分の良いズルタイライフへと繋げるべし。守備値が3とワンパンでひっくり返せて、《光盾の陣列》になればこれもまた相性◎。ズルタイは手札に戻すか、あるいは戦場に残すかを選べる。戻すことでまた再出撃させれば呪禁で安全な攻撃を再び狙えるが、再度唱えるのは言うまでもなくマナもかかるし、打ち消しをあわせられるリスクもある。陳列があれば、このズルタイを戦場に残したままにするという選択をとっても、呪禁と破壊不能の盾で一度は脅威から護ってやることができる。さらにターン終了時には+1/+1カウンターが乗ってサイズアップ。こうなるともう止められんな。対戦相手のデッキと、ゲームの状況によってあえて戻したり居座らせたり、2択からベストを選んで勝利に近づいていこう。
《セゴビアへの侵攻》はゴバカーンほどのベストパートナーというわけではないかもしれないが、これはこれで《セゴビアの海暴君、カエトス》でズルタイをアンタップすることで、実質警戒持ちのように運用。攻防一体、最強の座はこちらのもの。
このリストはそれらバトルとも相性の良いクリーチャーをズルタイ以外にも採用しているのが特徴だ。《第三の道の偶像破壊者》《金属の徒党の種子鮫》と非クリーチャー呪文でトークンを生成させる連中により、バトルを展開しつつそれを攻める軍団を同時に準備できるという寸法だ。どちらも放置していると盤面が滅茶苦茶なことになるので、何らかの手段で対処はされるだろう。だがそれもまた良し。後に本命であるオジュタイにまたがったズルゴが機能するための露払いとなるのであれば問題なし!時に「除去/打ち消し、やってみろ!」と言わんばかりに堂々と繰り出し、時に《かき消し》やゴバカーンで安全確保しつつ展開し、この強力なトークン生成要員を運用して主導権を握ろう。
アリーナ・チャンピオンシップでの活躍もあり、カードパワーは折り紙付きの《ズルゴとオジュタイ》。まさかの共闘を見事にカード化した惚れ惚れする1枚で、君もマジックの点火を取りにいかないか!こういうカードがあるから、いつまでもマジックから離れられないよ。
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