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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ラクドス・カーンスペシャル(スタンダード)

岩SHOW

 前回から続けていくぞッッ!今日は金曜日、クールという観点を重視してデッキを紹介するCool Deckのコーナーだ。前回でも述べたように、これが書かれたのは5月29日以前ということを把握したうえで読んでくれると助かるぜ(切実)

 スタンダードのデッキの紹介になるが、もしかしたらもう過去の環境のデッキになってしまっているかもしれない。その場合でも変化がもたらされた環境でのデッキ案の元にしてもらえれば、これぞクールな至上の喜びだ。それじゃあ勿体ぶらずにリストを見てもらおう!

岩SHOW - 「ラクドス・カーンスペシャル」
スタンダード (2023年5月25日)[MO] [ARENA]
4 《黒割れの崖
4 《憑依された峰
4 《硫黄泉
2 《ミレックス
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《道路脇の聖遺
2 《
4 《
-土地(23)-

4 《ヴォルダーレンの美食家
4 《税血の収穫者
2 《剃刀鞭の人体改造機
2 《再鍛されたレガシー、カーン
1 《街並みの地ならし屋
2 《瞬足光線の大隊
-クリーチャー(15)-
3 《電圧のうねり
3 《喉首狙い
4 《鬼流の金床
3 《実験統合機
2 《勢団の銀行破り
2 《マイトストーンとウィークストーン
4 《鏡割りの寓話
1 《生けるレガシー、カーン
-呪文(22)-
3 《強迫
2 《削剥
1 《兄弟仲の終焉
2 《石術の連射
1 《ぎらつく氾濫
1 《家の焼き払い
1 《喉首狙い
1 《剃刀鞭の人体改造機
2 《未認可霊柩車
1 《過去と未来の剣
-サイドボード(15)-

 一目瞭然、ラクドス(黒赤)カラーのデッキだ。《税血の収穫者》に《鏡割りの寓話》と、強烈なカードパワーを誇る低マナ域で序盤から圧をかけ、優位な盤面をひっくり返させないまま走り切る強さをもった「ラクドス・ミッドレンジ」はプロツアーでも活躍し、競技マジックでもラダー(MTGアリーナのランク戦)でも一大勢力を築き支配的な存在となっているデッキである。《絶望招来》《希望の標、チャンドラ》《ギックスの残虐》《多元宇宙の突破》などなどデッキのホールの違いでいくつかの亜種に分類可能なアーキタイプだが……。

 このデッキはそういったものとは異なり、《再鍛されたレガシー、カーン》を採用したデッキを作りたい!という願望からスタートしたものだ。プレインズウォーカーでなくなったカーンの姿をカード化したものである。そもそもカーンが最初にカード化されたのは《銀のゴーレム、カーン》、今回と同じく5マナの伝説のアーティファクト・クリーチャーとしてデビューしたのだ。その後の背景ストーリーでプレインズウォーカーとなり、新ファイレクシアの魔の手に堕ちそうになりながらも復活し……様々な戦いを経て、彼は完成化したプレインズウォーカーらを救うために自力で次元を渡る術を失い、1体のゴーレムへと戻った。初のカード化から25年という長い旅を経てまたクリーチャー・カードに戻ってきたその歴史はクールすぎるぜ。

 新たなカーンの能力はこれまでのカーンの例に漏れずというところか、お約束のアーティファクトに関するものだ。デカいアーティファクトをコントロールしていればいるほどカーンもデカくなるサイズ参照能力。そしてコントロールしているアーティファクトの数だけの無色マナを加える疑似パワーストーン的マナ加速!アーティファクトの質も数も両方求める欲張りセットであるが、とりあえずはカーン当人で5/5の最低サイズが約束されているので戦闘という面でも活躍が見込めるデザインなのがクールだな。

 この新たなカーンを活かすためのスタンダードのアーティファクトに関するカードを集めていった結果、このラクドスが完成したというわけだ。

 《税血の収穫者》や《ヴォルダーレンの美食家》などの軽いアーティファクト・カウントを伸ばせるカードでカーンのマナ加速能力を後押し。そしてカーンから得たマナでアーティファクト呪文を唱えたり各種能力を起動したりと狙っていくわけだが……ここは遠慮せずに最強クラスを選ぶのがクールというもの。《街並みの地ならし屋》!パーマネント破壊ができる大型クリーチャーで、唱えてもよし寓話や血・トークンで捨てて蘇生能力を起動してよし。カーンなどのマナ加速から早めのターンに叩きつければ盤面を支配してくれること間違いなし。それから《瞬足光線の大隊》!1枚で3体分のアーティファクトであり、速攻とトランプルにより一気に相手のライフやプレインズウォーカーの忠誠度をもぎ取るクールすぎるマシン軍団だ。こいつは試作でとりあえず5マナでブロック役3体、みたいな使い方ができる器用さもクールである。

 これらの巨大な兵器たちはカーンのマナ加速によって唱えられ、そしてそのマナ総量はカーンのサイズアップをもたらすと、戦場に並べば一気にゲームが終わる最高のフィニッシャーだ。

 そして赤を中心に黒を使うことにした最大の決め手はやはり《鬼流の金床》!アーティファクトを生け贄に捧げてジワジワとライフ差を詰めつつ構築物を生成して攻めも守りも一手に担う、このクールすぎる大好物な1枚!トークンを並べることでカーンが大量にマナを生成するようになるし、何より粘り強い。複数枚並んだときなどは対戦相手の攻撃をことごとく構築物で食い止め、ライフを吸い取ることで逆転までの時間を大いに稼いでくれる。特に《実験統合機》を生け贄に捧げることでアドバンテージを稼ぎ、劣勢を捲るのは現スタンダードにおけるクールかつホットなファンタ~イム!

 金床との相性で言えば、毎ターン生け贄に用のアーティファクトを供給可能な《ミレックス》と《剃刀鞭の人体改造機》も忘れちゃいけない。《ミレックス》が生成するダニも改造機も、どちらもブロックに参加できないクリーチャーではあるが、金床に放り込めばあら不思議。真面目にブロックしてくれる構築物に早変わり。改造機は対戦相手のデッキ次第ではコストがかさむが、3色以上のデッキなど基本土地の比率が低い相手には2マナで墓地から戻せるすげーやつ。パワー4で攻撃させるにも最適で、遅い相手にはサイド後にこれを増量してのガン攻めプランがよくハマった。

 デッキとしては一見普通のラクドスに見えつつも、勝つためのカードが金床やヘビー級のアーティファクトなど、軸が異なるので対戦相手の裏をかくことができる。相手の想定しているようでそうでないデッキというのはそれだけでほんのりとアドバンテージを得ているようなもの。何が出てくるか戸惑っている相手に対してクールに立ち回り、冷静沈着に毎ターンベストを心がけて(なんて言いつつ深夜のテンションで適当にやりつつ)いれば勝利は舞い込むものである。色々なデッキを使って苦戦したスタンダードのラダーであったが、カーンや金床のポテンシャルを発揮させてなんとか連勝を重ねてミシックに到達することができた。

 ただミシックになるだけではただの自己満足にすぎないものだが……なんだかんだ言って嬉しいもの、こういうちょっとした喜びこそクールなものですな。カーンという大好きなキャラクターの最新カードで勝てるとあらば、その喜びもマシマシ。

 これからスタンダードは更に一歩進んだ構築やカードの素質を見抜く目が要求される環境になっていくかもしれない。そんな中でも皆には、好きなカード、自分がクールと感じたカードでデッキを組んで遊ぶというマジックの初心を大事にしてほしいと、そう切に願うね。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Reforge your legacy!

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