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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アグロも白単で組んじゃおう。伝統的な白ウィニー!(スタンダード)

岩SHOW

 前回はスタンダードにおける主要デッキ、強固な柱であるアーキタイプを紹介した。白単色のゲームスピードがゆったりめのデッキ、ミッドレンジやコントロールだね。4マナ以上のカードを主役としたデッキであり、ここ最近のスタンダードではこれが定番となっている。

 しかしながら、キャリアの長いマジックプレイヤーであれば……白単と言えばもっとゲームスピードの速いデッキ、いわゆるアグロをイメージするのではないだろうか。軽いコストのクリーチャーを主体とし、最序盤から複数体展開してガンガン攻撃する……アグレッシブなデッキこそ白単、そんな印象が強く根付いている。

 いつだって白には1・2マナの優秀なクリーチャーが揃っている。アグロにおける優秀さとは、第一に単純なサイズ。パワー2以上あれば文句なし、他のクリーチャーを強化する能力を持ったものも採用すれば、低コストとは思えない打点を叩き出せる。また、第二に回避能力も重要視したい。どれだけクリーチャーを展開しても、相手のブロック役に阻まれては意味がない。飛行などのブロックを避ける、あるいは先制攻撃や破壊不能などのブロックをためらわせる能力はアグロにおいて大変に価値が高いものである。低コストで回避能力を持っていたり与えられるカードは何よりも優先して用いられる。

 と、このような伝統的な低コストの優秀なクリーチャーを集めた「白ウィニー」と呼ばれるタイプのアグロデッキ。今日のスタンダードでもしっかりと組むことが可能だぞ。《平地》からゲームが始まれば「ああミッドレンジね」と考えがちな対戦相手の予想を裏切る怒涛のラッシュ。ハマれば対戦相手が何も出来ないうちに殴り倒してしまう、スピード重視のデッキを紹介しよう!サンプルリストを眺めながら各マナ域のカードチョイスについて、その理由を考察してみよう。

Malestar - 「白単アグロ」
Torneio BlackManaMtg da Madrugada 28 2位 / スタンダード (2023年3月25日)[MO] [ARENA]
2 《皇国の地、永岩城
22 《平地
-土地(24)-

4 《離反ダニ、スクレルヴ
4 《有望な信徒
4 《スレイベンの守護者、サリア
4 《新ベナリアの守護者
2 《剛胆な敵対者
3 《包囲の古参兵
2 《選定された平和の番人
2 《粗暴な聖戦士
4 《ファイレクシアの立証者
4 《鋼の熾天使
-クリーチャー(33)-
1 《軍備放棄
2 《骨化
-呪文(3)-
3 《セラの模範
3 《日金の歩哨
2 《選定された平和の番人
2 《粗暴な聖戦士
2 《邪悪を打ち砕く
2 《骨化
1 《軍備放棄
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

1マナ域

 このリストに採用されている1マナのクリーチャーは2種8枚。兵士などのタイプに寄せれば他にも1マナ圏の選択肢は増えるが、このデッキではそれほど部族的要素を重視していないのでこの枚数に落ち着いているというところ。

 その中でも《離反ダニ、スクレルヴ》は理想的な1ターン目を演出する。本人は戦闘面では頼りないものの、他のクリーチャーに特定の色への呪禁と、その色のクリーチャーにブロックされないという、限りなくプロテクションに近い能力を付与する。回避能力としてはこの上ないものであり、対戦相手の攻撃をすり抜けて本体にダメージを叩き込めるし、まずこのスクレルヴを除去しなければ後続の除去がままならないというゲーム展開の押し付けを強いるメチャ強能力なのである!

 このスクレルヴと並んで採用されている《有望な信徒》も、後続のクリーチャー次第では1マナでパワー2以上に簡単に成長する。育てるためのきっかけが攻撃するだけというのも手間がかからなくて良いね。+1/+1カウンターが乗るタイプの成長であり、これ自身や他のクリーチャーに乗っているカウンターとの組み合わせて取り除くことにより、アーティファクトかエンチャントを破壊できるのもこの一番槍の持つ強み。積極的に展開し、パワー2以上の後続クリーチャーと共に攻撃してまとめて強化してやろう。

2マナ域

 たっぷり10枚採用された2マナ域はこのアグロの要とも言える。スクレルヴの庇護を受けられる状態で出てくる《スレイベンの守護者、サリア》は必殺コース。こちらよりも遅く、非クリーチャー呪文を主体としたデッキは2ターン目にしてたまったもんじゃない状況へ。先制攻撃を持っているため、攻めの面においても積極的に用いることが可能なクリーチャーだ。

 そして守護者繋がりで《新ベナリアの守護者》。2/2と平均的なサイズながら、攻撃時に後援でパワーが上げられる。手札を捨てれば破壊不能を持つため、かなり強引な攻撃をねじ込める。信徒と共に攻撃し続けるのはかなりプレッシャーになり、また攻撃時に占術2を行うことでアグロデッキにとって避けたい無駄なドローが続く事態を避ける保険にもなる。

 《剛胆な敵対者》はタフネスが低く相討ちになりやすいがパワー3と打点は優れ、絆魂でアグロ同士の殴り合い上等。そしてマナが余った終盤で引いてきた場合、能力にそのマナを注いで全体強化と、どのターンに引いてきても無駄になりにくいアグロデッキの良い隠し味だ。

3マナ以上

回転

 3マナ以上ともなれば、白のクリーチャーはただ殴れるだけでなく痒い所に手が届く色んな事ができちゃうスタッフが揃い踏み。定番の《粗暴な聖戦士》をはじめ、対戦相手にとって実にいやらしい面々が、有利な状況に蓋をする。

 ミッドレンジ/コントロールの回でも紹介した《鋼の熾天使》はこのアグロなリストでも大活躍。基本は3マナ3/3飛行として繰り出して、1・2マナ域を飛ばして殴る動きはシンプルながら強力。警戒や絆魂も状況に合わせて使い分けるべし。ゲームが長引いてしまったら試作ではなく6マナで唱えてこれ単体のサイズでも押していこう。

 5/5飛行となると、《ファイレクシアの立証者》がこのデッキの象徴と言えるね。シンボルが4つも並んだ単色専用カードだけあって、4マナでサイズも回避も併せ持った打線の中心・4番バッターだ。ダメージを受ける際にそれを全て軽減するという、非常に高い除去耐性・ブロックを恐れずに殴りに行ける硬さを誇る。ただそれだけでなく、軽減したダメージ分を任意の対象に与えるので、対戦相手のライフ本体に飛ばせるというのが大いにプレッシャーをかける。ダメージでクリーチャーを除去する、特に赤にとっては悪夢のような存在。適当にブロックしてしのいだり相討ちしようにも……という詰みの状況に持っていく、高いカードパワーでゴリ押しする1枚だ。

 デッキの大半が2マナ以下のカードであり、序盤からマナを使い切って最大減の展開を行い、ライフを狙って真っすぐに突き進んでいく。そんなアグロデッキが好きなら、この白単も是非とも試して欲しい逸品。スタンダードの白は低速のみにあらず、短いゲームプランで走り切る白いアグロもオススメだ。

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 4月21日発売の新セット『機械兵団の進軍』より《大天使エルズペス》が加われば、このデッキは彼女のポテンシャルを大いに発揮できるフィールドになりそうな予感。今のうちから研究しとくのもアリだぜ!

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