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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ソプター・ブレード:最新の刃をその手に(ヒストリック)

岩SHOW

 デッキ名やアーキタイプ名、そこには伝統が込められている。アグロやコントロール等、ざっくりとしたジャンル名だけで表記されることもあるが……もっと具体的に何のデッキか記されていることもあるよね。

 今日はそんなデッキを表す名前の中から一つ、「ブレード」についてお伝えしよう。ブレード/Bladeはナイフや刀など刃物の総称であり、マジックではカード名で刃と訳される形で目にするものである。ならばブレードという名のカードを持ったカードを主役としたデッキなのかというと、そうではない。英単語の意味そのままに、ブレードデッキは刀剣が主役!マジックにおける象徴的な剣といえば……《火と氷の剣》などに代表される剣サイクルだ!

 『ダークスティール』が初出のこの剣、いずれもマジックの各色をイメージされる2つの何かをカード名に冠している。装備しているクリーチャーを+2/+2と大きく強化するだけでなく、それらの色のプロテクションを与える。これを携えたクリーチャーはブロックや除去が難しくなるわけで、しかも攻撃を対戦相手に通すと能力が誘発し、2つの何かが得られる。やり過ぎだって!と思わずツッコみたくなるすごいアーティファクト群なのだ。

 これらの剣はマジックの2色の組み合わせで10本デザインすることが可能なわけだが、今現在9種類(+α)が世に送り出されている。最新のものは、『ファイレクシア:完全なる統一』で登場した《鉱炉と前線の剣》。

 赤と緑に対するプロテクションをもたらすので、特にアグロデッキのクリーチャー同士のぶつかり合いにおいて効果を発揮することが期待される一振りだ。

 またこの剣がもたらすボーナスは、ライブラリーの上から2枚を追放して唱えられるようにする衝動的ドロー。そのターンの間しか唱えられないという制限付きではあるが、2枚というのが嬉しいね。これで土地が捲れてしまうと使いきれないことがあるものだが、そこはこの剣が自己完結で解決。土地の追加プレイ権利も得られるので、無駄なくしっかり資源をとことん味わい尽くせる。

 今回紹介するのはこの通称“赤緑剣”を用いたブレードデッキの新モデルだ。装備品と相性の良いカードで構成される白を中心としたアグロデッキがこのブレードと呼ばれることになるが……今回もその例に漏れない作りだ。ヒストリック環境のボロス(白赤)カラーのブレードデッキをご覧あれ!

AlthMTG - 「ソプター・ブレード」
ヒストリック (2023年2月15日)[MO] [ARENA]
4 《聖なる鋳造所
4 《戦場の鍛冶場
4 《感動的な眺望所
4 《針縁の小道
4 《マイコシンスの庭
1 《皇国の地、永岩城
2 《ダークスティールの城塞
1 《平地
-土地(24)-

3 《羽ばたき飛行機械
4 《エスパーの歩哨
4 《熱烈な勇者
4 《巧妙な鍛冶
4 《イーオスのレインジャー長
-クリーチャー(19)-
4 《ポータブル・ホール
4 《改良式鋳造所
1 《影槍
4 《鉱炉と前線の剣
4 《鏡割りの寓話
-呪文(17)-
4 《ガラスの棺
1 《巨人落とし
2 《力ずく
2 《真髄の針
2 《魂標ランタン
1 《未認可霊柩車
3 《慈悲無き者、ナヒリ
-サイドボード(15)-
Twitter より引用)

 

 白と赤は様々なセットで装備品を扱うカラーリングとしての役目を担っている。神聖なる騎士の武具、勇猛な戦士の振るう凶器、繊細かつ荒々しく武具を鍛造するイメージにこの2色はしっくりくるからね。このデッキで見られる装備品とシナジー(相互作用)を形成するカードとなると……。

 最も分かりやすいのは《巧妙な鍛冶》。装備品を探して手札に加えられる、さながら《石鍛冶の神秘家》のようなポジションだ。剣を得て、剣を出せばサイズが上がる。装備させて殴るにはもってこいだ。

 同じく装備するなら《熱烈な勇者》も頼もしい。装備コストを{3}下げられるので剣を出してそのまま切れ目なく担いで攻撃に行ける。剣は唱えて、かつ装備するとなると計5マナ必要なのが弱点と言えば弱点。その穴を埋めてくれる上に速攻を持つ勇者、先制攻撃もあるのでプロテクションと関係ないクリーチャーでもブロックは躊躇われることになりそうだ。

 また《エスパーの歩哨》もパワーが上昇すればするほど対戦相手に要求するマナの量が増えて、除去することすら億劫になる。いやらしいヤツだよ、この歩哨もアーティファクトなので鍛冶と相性◎なのが良いね。

 上記の剣の良さを引き出すスタッフに加え、このデッキではもう一つのアーティファクト軸が設けられてデッキの戦術に厚みを持たせている。《改良式鋳造所》だ。

 レガシーにおいて忍者と組み合わせるデッキが有名だが、ヒストリックでも存在感を発揮している玄人好みの1枚だな。霊気装置を生成、それをコストに飛行機械、さらにそこから構築物とトークンの質を段階的に高めていくアーティファクトだ。無からトークンを生成できるので、とりあえず剣とこれさせあれば何度でもデンジャラスな攻撃役を用意できる。この2枚さえあれば戦える!そんな熱いコンビがデッキにあるだけで安心感が段違いだ。

 この鋳造所の効力をより高めるため《羽ばたき飛行機械》も採用。開幕ターンでいきなり4/4を用意して強烈なプレッシャーをかけていけるぞ。飛行持ちなのでシンプルに剣を持たせる役目を任せられるのもセールスポイントだな。

 この《改良式鋳造所》や《鉱炉と前線の剣》とアーティファクト要素が強いデッキなので《マイコシンスの庭》が採用されているってのも面白い。

 状況に応じて様々なアーティファクトのコピーになれるのがこの土地の素晴らしいところ。鋳造所のコピーになった場合、2枚で霊気装置→飛行機械や飛行機械→構築物と、スムーズにより質の高い装備役を用意できるように。あるいは剣をコピーして二刀流となれば、打点と大量の衝動的ドローとで対戦相手がもう成すすべのない状況に!あるいは単純にクリーチャーのコピーとなって圧をかけるのも狙えて、この手のアグロデッキにおけるマナフラッド(土地を引きすぎる展開)の解決役として申し分のない1枚だ。

 剣サイクルの最新作、《鉱炉と前線の剣》をメインウェポンに取り上げた最新のブレードデッキ。他にもスタンダードやパイオニア、あるいはブレードの象徴《石鍛冶の神秘家》がいるフォーマットで、今後どのような一閃を見せてくれるか楽しみだね。さあ、君もブレードデッキを組んでみよう!

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