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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:旅人テフェリー、クールデッキにも到来(スタンダード)

岩SHOW

 これを書いているのは『兄弟戦争』リリースから10日ほど。いや~このセット、イメージしていたよりも何倍もクールだな。クールすぎて、笑いが出てしまうくらいだ。

 とにかく毎日マジックが楽しい、仕事も兼ねてゲームを始めると止め時がなかなか見つからない。熱中させてくれるクールなセット、心より感謝ッ!

 何がクールかって、どのカードも実際にデッキを組んで使ってみると印象が大きく変わるんだよね。プレビューではあんまり気にならなかったカードだったのに、あれめっちゃ強いなこれ?みたいな。

 その最たるものが前回で紹介した《時間の旅人、テフェリー》。

 プレビューで見た時は「ドローに関する能力ね~テフェリーらしいなぁ」くらいで流して、他のアーティファクトに目を奪われがちだった。まさかここまで強く、僕好みなクールなカードだったとはね。

 このテフェリーの良いところはとにかく硬いこと。[-2]能力でスピリットを呼び出して、続くターンの通常ドローで忠誠度が増えるのでもう1回[-2]しても戦場に残ってくれる。

 2体のスピリットに護られながら、ドロー呪文などでそれらを強化。ガチガチの盤面を作り、さらにスピリットは警戒も持っているのでガードを崩さずに攻撃も仕掛けられる。

 警戒ということは《放浪皇》で追放されることもないので、プレインズウォーカー同士の攻防でも有利に立ち回れるんだよな。

 とりあえずカードを引き続けることもできるし、クール、いやクーラー、否、クーレストなプレインズウォーカーだ。

 今回はこのクールすぎる青のエース候補を用いて、自作したデッキを紹介させていただこう。クールと思ってもらえることを願って……

岩SHOW - 「5色黒単」
スタンダード(BO1) (2022年11月)[MO] [ARENA]
12 《
4 《ラフィーンの塔
4 《ザンダーの居室
4 《ジアトラの試練場
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
-土地(25)-
 
-クリーチャー(0)-
2 《切り崩し
4 《喉首狙い
2 《冥府の掌握
1 《感電の反復
1 《窃取
2 《影の予言
1 《魂転移
4 《底への引き込み
4 《絶望招来
4 《堕落
2 《不憫な悲哀の行進
3 《ヴェールのリリアナ
1 《不笑のソリン
4 《時間の旅人、テフェリー
-呪文(35)-

 まずは……黒単?

 このリストはMTGアリーナで『兄弟戦争』が封切られたタイミングで、SNSで見かけたアイディアを元に組んだもの。

 その案とは《ジアトラの試練場》など沼とその他のタイプを持った多色土地を採用、これにより黒単でありながら《底への引き込み》の価値を最大に引き出し、タフネス6までのクリーチャーをまとめて葬り去れるというアプローチだ。

 前回紹介した「ディミーア・コントロール」も同様のギミックを仕込んでいたね。

 このリストの原案は黒単で同様のコントロール力の高さを武器にしつつ、《堕落》を用いるというもの。

 懐かしの「5色黒単」というデッキ名を思い出すような発想に敬意を表しつつ、青マナが出るんだったら《時間の旅人、テフェリー》も使っちゃえばいいんじゃないのか?という貪欲さから組んでみたものだ。

 ちょうどドロー要素が欲しかったんだよ。真っ黒な構成の中に降臨するテフェリー、クールだろう? トークン並べて殴りつつ《堕落》でフィニッシュ!

 赤マナも出るなら《感電の反復》も1枚仕込んで、《堕落》やら《絶望招来》やらコピーしてハチャメチャなマジックやらないかい?と、とことん瞬間最大クールだけを追求してみた。

 正直言って、このリストは「理想的な展開で1回勝てれば満足」という意思で構築している。つまりは安定して勝てるものは目指していない。

 デッキはどういう思いで組んでも良い、というのが僕のポリシーだ。世の中には連勝したい、高みに登りたいという思いから組まれるデッキもあれば、一瞬だけでも極上の気持ち良さを味わうために組まれるデッキもある。その自由度こそがマジックがクールなゲームであり続けている理由なのである。

 ランク戦やトーナメントだけでなく、友人同士の対戦やフライデー・ナイト・マジックのような気軽に遊べる場ではクールを追求してみても良いんじゃないかな。

岩SHOW - 「ディミーア・ミッドレンジ」
スタンダード (2022年11月)[MO] [ARENA]
10 《
2 《
2 《ザンダーの居室
4 《地底の大河
4 《難破船の湿地
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《天上都市、大田原
-土地(24)-

4 《進化した潜伏工作員
4 《帳簿裂き
4 《しつこい負け犬
2 《苦難の影
3 《ヨーグモスの法務官、ギックス
2 《ギックスのくぐつ師
2 《黙示録、シェオルドレッド
-クリーチャー(21)-
4 《喉首狙い
1 《冥府の掌握
1 《否認
2 《人体改造機の冠
2 《ヴェールのリリアナ
1 《漆月魁渡
4 《時間の旅人、テフェリー
-呪文(15)-
2 《沈黙の蜘蛛、琴瀬
2 《強迫
2 《軽蔑的な一撃
2 《否認
1 《鞭打
3 《剃刀鞭の人体改造機
2 《未認可霊柩車
1 《ヴェールのリリアナ
-サイドボード(15)-

 カジュアルに全振りした先ほどのリストに比べると、こちらは結構ガチで組んだものだ。自分で1から組んだデッキで勝ちたいという思いを込めて構築したものだね。

 テフェリーはコントロールだけでなく、クリーチャーで攻めるデッキで使っても強いはず!という考えから黒いクリーチャーと組み合わせる形で。

 テフェリーはドローに反応するので、黒の各種ドローと併せれば良いデッキになるんじゃないかと。スタンダードの中心的1枚である《黙示録、シェオルドレッド》もあるしな。

 というわけでクールなドローできるクリーチャーたちをリストアップ……《進化した潜伏工作員》《しつこい負け犬》と前環境から黒いアグロデッキを構成する低マナ域は外せない。

 そして、それらで攻撃することでさらなるドローを供給するのが《ヨーグモスの法務官、ギックス》!

 個人的にも思い入れの強いキャラクターで、ギックスを戦場に出してスタンダードで戦える日が来るとは感慨深すぎてクール。《人体改造機の冠》という理想的な装備品も手に入ったので、相討ち上等でガンガン攻撃してドローしてテフェリーに繋げよう。

 ドローと言えば最も得意とするのは青、《帳簿裂き》《漆月魁渡》という軽くて継続してドローできるカードも忘れちゃいけないぜ。

 これらのドロー源兼攻撃役を展開して、カードを引いては展開してを繰り返し《黙示録、シェオルドレッド》やテフェリーのスピリット強化につなげるわけだが、そこにもうひとつドローに付加価値をもたらす要素を……というわけで《ギックスのくぐつ師》を採用だ。

 各ターンの2枚目のドローに2点分のライフドレインをオマケしてくれる。2点失わせて2点回復、ライフの開きを加速させて一方的なゲーム展開をひっくり返させない蓋的な役目だ。

 ギックスなどのクリーチャーが墓地にいれば、これが除去されても戦場にクリーチャーを保持できるのもクールだ。シェオルドレッドは伝説なので並べることはできないが、だったらその脇はくぐつ師で固めれば良いじゃないと。これだけドローとそれに付随するシナジーを盛り込んでいるので、ロングゲームの耐性は高い。攻め手を途切れさせないデッキを目指して今後もブラッシュアップさせていく予定だ。

 《時間の旅人、テフェリー》のようなクールなカードに出会えたことは大きな、そして嬉しい誤算だった。ウルザとミシュラの物語だけでなく、他にもたっぷりとエッセンスが潜んでいる『兄弟戦争』。このセットに秘められたクールなカード、日々マジックを楽しみながら発掘していきたいね。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Draw cards everyday!!

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