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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:ダンシング・ノーム(過去のフォーマット)
『兄弟戦争』のクールなアートがちらほら公開されだしているね。
歴代でも最高クラスの工匠、ウルザとミシュラの兄弟の戦いだけあって機械の兵隊たちの姿が多く描かれている。それらはクールで、同時にユーモラスでキュートでもある。かわいいんだよなぁ。
昔から機械の兵士、すなわちアーティファクト・クリーチャーのイラストはかわいくて味わい深いものが多い。コロッとプリッとしたキュートマシーンたち……僕の心を最初に掴んだのは《ボトルのノーム》だった。
初出である『テンペスト』のイラストは、得も言われぬ味わいを放っていた……真ん丸なお腹がたまらんのよ。青く輝く液体も神秘的でクールだ。
『ミラディン』にて再録された時にはより丸っこいデザインになっており、いそいそとお仕事に向かう姿のこちらも負けず劣らずかわいい。
カードとしても3マナで1/3、攻撃には向かず2マナパワー2を優しくキャッチする壁役としての仕事がメイン。
そのタフネスで止めきれないものをブロックした際には、生け贄に捧げてボトルの中身をグイッと一飲み。3点回復でライフを保つ、時間稼ぎのスペシャリストだ。
一見ひ弱なカードだが、これがなかなかどうしてスタンダード現役時にはかなり強かったのだよ。エクステンデッドや、最初期のレガシーなんかでも姿を目にしたくらいには、イカすクールなカードだ。
今回のデッキは、そんなかわいくて強いクールなノームが主役のデッキ!
4 《島》 4 《沼》 3 《ルートウォーターの深淵》 4 《サラカスの低地》 4 《塩の干潟》 4 《反射池》 -土地(23)- 4 《マナキン人形》 4 《ボトルのノーム》 4 《貿易風ライダー》 2 《ダウスィーの精神ドリッパー》 1 《雲を追う鷲》 1 《ケザードリックス》 3 《堅牢な防衛隊》 1 《大口獣》 -クリーチャー(20)- |
3 《解呪》 4 《直観》 2 《死体のダンス》 4 《ロボトミー》 4 《生ける屍》 -呪文(17)- |
3 《ラースのネズミ》 2 《雲を追う鷲》 1 《ケザードリックス》 4 《夜の戦慄》 4 《寒け》 1 《解呪》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
「ダンシング・ノーム」! このリスト、見ているだけで白飯が進むどころか勝手に腹が膨れるクールなものだ。
時は古く、1998年5月。ロサンゼルスで開催されたプロツアーにて準優勝したものである。生まれてないよって読者も多いだろうね……僕もこの時にはまだマジックをプレイしてないもんなぁ(同年10月の『ウルザズ・サーガ』発売がきっかけ)。
24年前のこのトーナメントのフォーマットは……『テンペスト』ブロック構築。かつては同じ次元や時間軸をで展開される物語を3つのセットで表現し、それらで1つのブロックを形成していた。能力やテーマが共通する3つのセット、その限られていながらもそれなりに豊富なカードプールからデッキを構築するのは、スタンダードなどとはまた違った楽しさがある。
選択肢が少ないからこそ、他のフォーマットではお声のかからないようなカードにもスポットが当たり、意外な大活躍を見せるのがこのフォーマットの醍醐味。
このデッキも『テンペスト』ブロックの個性的なカードをひとつにまとめ上げた逸品だ。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:ノームと踊れ
「ダンシング・ノーム」の名前の由来、そりゃあもちろんノームは《ボトルのノーム》。そしてダンシングは……《死体のダンス》!
懐かしの名カードの登場だ。このリアニメイト呪文はたった3マナで墓地から戦場にクリーチャーを戻し、速攻を与える。
ただ軽いというだけではなくクセがあり、釣り上げたクリーチャーはターン終了時に追放されてしまう。時間制限に加えて対象も制限されており、戦場に戻るのはなんと墓地のクリーチャー・カードの中で一番上に置かれているもの。
今では墓地の順番を参照するカードはなくなったが、当時はこのようなカードがあったため、今でもエターナル環境に限り「墓地のカードの順番を変更してはならない」というクールなルールがある。
《死体のダンス》は「バイバック」という能力も備えており、追加コスト{2}を支払えばこれを唱えて解決された後に手札に戻ってくる。5マナで毎ターンクリーチャーを戻せるということだな。
《ボトルのノーム》は生け贄に捧げて3点回復できる。つまりダンスで戻してから追放されるその前に生け贄に捧げることで、再び墓地のトップに戻すことが可能だ。これを利用すれば5マナで毎ターン相手のクリーチャーをブロックしつつ3点回復を繰り返す防衛システムが組める!
このちょっとしたコンボが、赤単や白単といったアグロデッキが組まれたブロック構築においては無視できない大きな武器になったのである。
他にダンスと好相性の1枚としては《ダウスィーの精神ドリッパー》が採用されている。
シャドー持ちで、攻撃が対戦相手に通れば生け贄に捧げて対戦相手の手札を3枚捨てさせる。速攻を与えるダンスと組み合わせれば毎ターン相手の手札をかすめ取ることが可能ってわけだ。
なかなか強烈な組み合わせだが、日本語版の訳が精神ドリッパーなる激ヤバなコーヒーでも淹れてくれそうな名前になっているのがクールポイント非常に高し。
クールポイントその2:貿易風に乗れ
ノームとダンス以外には『テンペスト』ブロックを代表するパワーカードの姿も。
《貿易風ライダー》はこの時代を象徴する最高にクールなヤツ。へんてこな見た目に騙されると、マジで痛い目を見る。何せ土地さえも手札に戻してしまう、万能バウンスだ。
クリーチャーたちと並んで機能しだすと、それはもう無茶苦茶なことができてしまう。除去されてしまってもダンスで戻して自分をバウンスしてしまう荒業でまた出し直せる。あるいは《生ける屍》でまとめて帰還させても良い。
この黒の大量リアニメイトは同時に全体除去の役割も兼ねており、環境を定義する1枚だった。《貿易風ライダー》も《生ける屍》、これらと相性の良い《雲を追う鷲》や《堅牢な防衛隊》といったクリーチャー陣が、なんともクールで味わい深いね。
クールなデッキは進化する
後の世界選手権1999では、この「ダンシング・ノーム」の黒単バージョンが登場。《ファイレクシアの疫病王》などスタンダード環境でダンスと相性の良いカードが揃い、より強固なデッキとなって活躍した。僕が先に目にしたのはこちらの後継型だったな。
当時から黒が好きな身としては、それはそれはクールに見えて心底憧れたものよ。このデッキについて詳しくは、好きなデッキを取り上げる配信で熱く語らせていただいた。興味があればYouTubeで黒単とか僕の名前で検索して探してみてね(ただめっちゃ長くダラダラ話してるだけなので相当暇じゃない限り観ない方が良い)。
クールなまとめ
《ボトルのノーム》のようにかわいさと強さを兼ね備えたクールなアーティファクト・クリーチャー……『兄弟戦争』で出逢うことができるだろうか?
きっと皆の心に響く、キュートなロボがいると信じて……それじゃ今週はここまで。Stay cool! Dance with the bottle!
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