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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス吸血鬼:2022年上半期最強カードは……(ヒストリック)
2022年も上半期が終わった。早くねぇか? 毎年こんなことを言っているが、実際早いんだからしょうがない。
マジックとしてもすでに通常のセットが2つ、多人数戦のセットが1つ、Secret Lairが複数と、たくさんの新カードが世に放たれた。
現時点で今年を代表する1枚を選べと言われたら……かなり多くのプレイヤーがこのカードを挙げるのではないかな。そう、《鏡割りの寓話》だ。
『神河:輝ける世界』では神河次元にて活躍した伝説の偉大なクリーチャーたちをモチーフにした英雄譚が登場。Ⅲ章の能力でクリーチャーに変身するのも目新しく、衝撃の大きい採用だったな。
これに属しているのが《鏡割りの寓話》。《鏡割りのキキジキ》をモデルにしており、変身後の《キキジキの鏡像》もこれとほぼ同じ能力を所持している。
クリーチャーをコピーするその能力の強さは本家キキジキがマジックの長い歴史の中で証明してくれている。変身後が強いのは一目でわかったが……このカードのⅠ・Ⅱ章の能力は使う前にイメージしていたよりもずっと強かった。攻撃すると宝物・トークンを生成するゴブリンを呼び出し、そして手札の不要なカードを捨ててその枚数分だけ引く入れ替えと、デザインに隙がなさ過ぎる。
このエンチャントは、
- 戦場に出るor死亡すると能力が誘発するクリーチャーを盛り込んだデッキ
- 宝物やアーティファクトそのものとシナジー(相乗効果)を形成することで戦うデッキ
- 生け贄により誘発する能力などを盛り込んだ生け贄デッキ
- 手札から捨てたカードをリアニメイトしたりする墓地利用デッキ
- 英雄譚やエンチャントそのものとシナジーを形成することで戦うデッキ
- 複数体同一クリーチャーが並ぶことでコンボとなるデッキ
ざっと挙げればこんなデッキで役に立つカードだ……うん、要するにクリーチャーが入っているデッキの大多数と噛み合う強力な1枚、いわゆるパワーカードってやつだ。
なんせ、こんなリストもあるくらいだもんな。
3 《沼》 2 《山》 4 《血の墓所》 4 《憑依された峰》 4 《荒廃踏みの小道》 1 《ロークスワイン城》 2 《目玉の暴君の住処》 1 《バグベアの居住地》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(23)- 4 《漆黒軍の騎士》 4 《税血の収穫者》 4 《親切な吸血鬼》 2 《ヴォルダーレンの投血士》 2 《ヴォルダーレンの末裔、フロリアン》 2 《イマースタームの捕食者》 3 《薄暮の勇者》 2 《欲深き者、エヴリン》 -クリーチャー(23)- |
3 《致命的な一押し》 2 《思考囲い》 3 《鏡割りの寓話》 4 《傲慢な血王、ソリン》 -呪文(12)- |
1 《残忍な騎士》 2 《墓掘りの檻》 2 《思考囲い》 1 《致命的な一押し》 2 《軍団の最期》 1 《削剥》 1 《破滅の刃》 2 《真っ白》 2 《魔女の復讐》 1 《激しい恐怖》 -サイドボード(15)- |
ヒストリックにおけるラクドス(黒赤)カラーの吸血鬼デッキだ。
吸血鬼はマジック的にも最古のクリーチャータイプのひとつであり、多くのセットでこのタイプにボーナスをもたらす部族シナジーが織り込まれている。
ヒストリックでは黒絡みのクリーチャーデッキの代表格だ。《漆黒軍の騎士》や《税血の収穫者》など、吸血鬼シナジーがなくとも十分に強い低コストのクリーチャーが揃っているのがこの部族デッキの強みだね。
これらの吸血鬼を《親切な吸血鬼》《傲慢な血王、ソリン》で強化し、打点を高めてパワーで圧倒する。
アグロデッキとしての攻めの戦術のみならず、アドバンテージを稼いで物量勝負もできるのが部族デッキの重要ポイント。吸血鬼デッキには《薄暮の勇者》がある。
吸血鬼の数だけドローして常に尽きない手札で勝負できる。5マナと重めのクリーチャーではあるがソリンがその展開を後押ししてくれる。
赤が混じることで《ヴォルダーレンの末裔、フロリアン》も加わり、攻めながら後続に繋げていく。
さらに2022年上半期が送り出した新吸血鬼、《欲深き者、エヴリン》!
どんな吸血鬼もアドバンテージをもたらすカードへと昇華させる、吸血鬼デッキでこそ輝くテクニカルな頼りになる新入りだ。
で、ここに吸血鬼とは欠片も関係のない《鏡割りの寓話》が加わっている、と。果たしてそれだけの構築をする価値があるのか? どれほど噛み合っているのか見ていこう。
とりあえずはⅠ章で生成されるゴブリン、宝物を供給することでソリンなしでも5マナの吸血鬼たちを唱えることをサポートだ。ソリンの[+1]能力は吸血鬼でなくても対象にできるので、接死を持たせて強気で宝物を作りに行くというのも可能。
ヒストリックにはクリーチャーを用いないデッキも少なくないので、《致命的な一押し》をⅡ章能力で捨てて別の役に立つカードを引き込みに行くオプションがあるのも嬉しい。
そしてやっぱり……《キキジキの鏡像》に変身後。スタンダードでもお馴染み《税血の収穫者》と組み合わせれば対戦相手のクリーチャーを片っ端から潰していきつつ、血・トークンにより手札の入れ替えでゲームが長引くほどドンドン有利に。
ライフの損失は痛いが《薄暮の勇者》との組み合わせも鬼、エヴリンがいればどんな吸血鬼をコピーしても唱えるためのカードを確保と美味しすぎるッ。
またコピーはターン終了時に生け贄に捧げられるので、《親切な吸血鬼》がいればザクザクと全吸血鬼のサイズが上昇。《イマースタームの捕食者》の餌も用意して……と、もう書かなくても良いか。要するに、何と組み合わせても強いってことだよ。
部族デッキに関係のないタイプを持つカードを入れることに抵抗がある人も決して少なくないはず。僕も統一されたリストの美しさをついつい重視して構築してしまうのだが……そういう考えを捨て去ってしまえば《鏡割りの寓話》はさまざまな部族デッキでも輝きを見せてくれることだろう。
この赤いエンチャントは間違いなく2022年上半期ナンバーワン候補。6か月後、トータルで1年を振り返る時にこのカードの評価がどうなっているかも楽しみな要素だね。
それじゃあ、7月も無理しない程度に気合い入れていこうぜ!
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