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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:白単ペインター~バルダーズ・ゲートからの使者~(レガシー)

岩SHOW

 金曜日はなぜクールなのか? それは……

 お仕事や学校によっては土日がお休み、その前夜だから!
 フライデー・ナイト・マジックが開催されているから!
 そして……マジックの新セットが発売される曜日だから!

 ということで今週もはじまったよ、クールなデッキを紹介する当コラム。今回は先日リリースされた最新セット『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』のカードを使ったデッキを紹介しよう。

 同セットは6月17日、いつも通り金曜日に封切られた。金曜、なんてクールな曜日なことか。『統率者レジェンズ』の続編であり、『フォーゴトン・レルム探訪』に続く「ダンジョンズ&ドラゴンズ」とのコラボセットだ。

 『統率者レジェンズ』と同じく、統率者ドラフトという独自のリミテッドを遊ぶためにデザインされたセットであり、またこれに収録されているカードはもちろん統率者戦でも使用することが可能だ。リミテッドで遊んで、その後自分のデッキに新しい要素を取り入れて……コテコテに統率者戦ライフを楽しむためにはバルダーズ・ゲートを訪れるっきゃないね!

 そしてこのセットのカードは、統率者戦のみならずエターナル環境でも使用することが可能だ。つまりはレガシーのデッキに採用できるってこと。

 クールな金曜が送り出した新カードを採用したレガシーのデッキはないか? 探してみると……

ahg113 - 「白単ペインター」
Paper Legacy Discord Saturday tournament - 6/18/22 / レガシー (2022年6月18日)[MO] [ARENA]
3 《平地
3 《冠雪の平地
4 《古えの居住地
2 《カラカス
4 《不毛の大地
2 《古えの墳墓
4 《ウルザの物語
-土地(22)-

3 《エスパーの歩哨
3 《ルーンの母
1 《ギラプールの希望
3 《エーテル宣誓会の法学者
3 《巧妙な鍛冶
3 《オズワルド・フィドルベンダー
3 《絵描きの召使い
2 《オグマの文書管理人
1 《獅子の飾緒
1 《ファイレクシアの破棄者
-クリーチャー(23)-
1 《ライオンの瞳のダイアモンド
1 《オパールのモックス
2 《霊気の薬瓶
3 《丸砥石
1 《呪われた巻物
1 《真髄の針
1 《ポータブル・ホール
1 《悟りの教示者
1 《改良式鋳造所
1 《魂標ランタン
1 《世界のるつぼ
1 《影槍
-呪文(15)-
1 《呪詛の寄生虫
3 《迷宮の霊魂
2 《高名な弁護士、トミク
2 《剣を鍬に
1 《ポータブル・ホール
2 《安らかなる眠り
1 《倦怠の宝珠
2 《冥途灯りの行進
1 《未認可霊柩車
-サイドボード(15)-
Melee より)

 

このクールなデッキは?

 『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』のリリース翌日、オンラインでのレガシー大会にて使用されたリストだ。

 レガシーは古くからのカードが使える、懐かしさや伝統に満ちたフォーマットである。それと同時に、多人数戦セットなども使用可能ということもあって、スタンダードなどと比べても新しいカードの加入ペースが早いフォーマットであるという側面も持っている。

 そこには、新セットがリリースされると早速そこから新しいカードを取り入れる、クールなプレイヤー、デッキビルダーがいるものだ。

 ウェブカメラを用いたオンライン大会だと、カードショップに行って新セットを手に入れて帰宅して、ホッと一息ついてから早速使うぞ!みたいなクールなムーブで楽しめるのが素晴らしいね。

 では早速、その中身を見ていこう。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:その文書管理人は己の名を残せるか?

 まずは新セットの話題から地続きで、新カードの紹介から始めよう。《オグマの文書管理人》!

 オグマというのは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の世界における上級神で、アイディアと発明の審判を務める知識の神だという。フレイバーテキストからも知識が最も大事なものであるというそのモットーがうかがえる。このハーフリングの文書管理人はそのオグマを信奉し、その知識を秘めた書庫を護っているのだろう。

 能力としては2マナ2/2で瞬速持ち、対戦相手がライブラリーからカードを探すたび1点回復&1枚ドローという恩恵をもたらす。

 何もないところから2つもリソースを得られるのはかなり強力、問題の対戦相手がサーチするという条件は……レガシーであれば毎ターンのように行われる日常茶飯事。まず土地の大半が《汚染された三角州》のようなフェッチランドで構成されているというデッキが大多数を占めているからね。

 《緑の太陽の頂点》《石鍛冶の神秘家》《納墓》などなどレガシーには他にもライブラリーをサーチするカードが多く、それらが解決される前に瞬速を活かしてシュシュッと飛び出し、とりあえずドローとライフをいただきというのはクールでスマートな動きだ。もともと統率者セットの出身である《封じ込める僧侶》の初登場を思い出すなぁ。

 白にはその僧侶のように、対戦相手の何かを禁止するという類の能力を持ったクリーチャーが多く存在する。それらとは異なり、この《オグマの文書管理人》はサーチを禁止することはない。こちらが得するという形でその動きにペナルティをかけてくる。《エスパーの歩哨》と似ているね。

 その歩哨や、《エーテル宣誓会の法学者》など、軽いコストのクリーチャーで相手の動きに牽制をかけながら展開していく……レガシーを代表する白単「Death & Taxes」の新たなメンバーとしてクールに迎え入れられるか?

クールポイントその2:真っ白なキャンパス

 ただこのリストは「Death & Taxes」と共通するクリーチャーも見受けられるが、根本は大きく異なるものになっている。《スレイベンの守護者、サリア》の姿はなく、非クリーチャーのアーティファクトが多く採用されている。

 このデッキの名は「白単ペインター」。ペインターは《絵描きの召使い》のこと。

 これで対戦相手のライブラリーのカードをすべて同じ色にすることで、《丸砥石》の起動一発ですべて切削してしまおうという、レガシーでもお馴染みの歴史あるコンボだ。

 多くの場合このペインターは赤単で組まれる。召使いで青を指定し、すべての呪文やパーマネントに《紅蓮破》で対処するというコントロール要素でコンボをサポートするのだ。

 しかしながらこのデッキは白単。赤いコントロール呪文の代わりに白が提供するのは……上記の文書管理人など、対戦相手に妨害を仕掛けるクリーチャー。

 そしてコンボの成立を促す《オズワルド・フィドルベンダー》!

 ライブラリーからアーティファクトをサーチする能力を持った、クールな伝説のノームだ。《オグマの文書管理人》でサーチにペナルティをかけつつ自分はサーチする気満々な構築、貪欲でクールだね。

 アーティファクトを生け贄に捧げてそのマナ総量+1に該当するものをサーチする能力なので、これで《古えの居住地》などをコストに《丸砥石》、《霊気の薬瓶》などを餌に《絵描きの召使い》を戦場に出すことで、コンボパーツを揃えてフィニッシュ!

 このオズワルドや召使いを《ルーンの母》で護ったり、上記の面々で対戦相手の自由なゲーム展開に制限をかけて、じわりじわりと戦う……コンボを無理に狙いにいかなくとも《ウルザの物語》で勝てるってのもクールだな。

 新セットの恩恵を受けたオリジナリティあふれる構成に拍手ゥ!

クールなまとめ

 新セットのリリースはいつだってテンションが上がるものだ。この夏にもまだまだ新しいカードや再録されたカードが登場し、僕らに刺激を与えてくれることだろう。

 『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』はその先陣というところかな。《オグマの文書管理人》以外にも構築で存在感を発揮するカードは出てくるかな? そこも楽しみだね。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Battle for Baldur's Gate!!

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