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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
緑単アグロ:コモンの新戦力はあなたの宝石を盗んでいきました(スタンダード)
ここまで来たか……というのが、初見時の心境だ。『ニューカペナの街角』の新カード、《宝石泥棒》のことだ。
このカード、なかなか衝撃的だよね。まず、この2020年代にもなれば常識の範囲内ではあるが、僕のような古き時代を知るプレイヤーにとっては、「色マナを1つしか要求しない」「3マナ」の「3/3」を見るだけで「おっ、強」と思ってしまうね……これはマジックおじいちゃんに片足どころか両膝浸かっている感が拭えないけどもね(笑)。
そこにさらにメリット能力が乗っかれば、今この時代でも強く感じるのは変な話ではない。その数が3つとなれば…‥強いよそりゃ。《宝石泥棒》は警戒とトランプル、2つのキーワード能力を持っている。攻めにも守りにも優れた素晴らしいスペック!
そして、ここにさらに宝物・トークンの生成までッッ!? 実質2マナのクリーチャーというか、マナ加速役も兼ねているというか……いやぁ本当にすごい。能力が強すぎてあまり言われないことだが、猫とならず者というタイプも部族シナジーが多くてイカすな。
で、これらが全部詰まったこのカード、まさかのコモン! パックを剥けばザクザク出てきて簡単に集まる! 誰でもすぐに集められるので、デッキに複数枚採用するハードルが激低! 素晴らしいね。
これだけ揃っていればコモンであっても構築でバリバリに活躍する……かどうかは、ちょっとやってみないとわからないことである。実際、能力てんこ盛りの神話レアがあまり活躍することがなかった、なんてこともマジックの歴史ではザラだ。実際に使ってみないことには、そのカードがどれだけやれるかはわからないのである。
……とはいえ、さすがにここまで良いことづくめだと《宝石泥棒》は活躍しそうだなと、皆もそう思っていたんじゃないかな? ここで答え合わせ、この泥棒……構築でも強いッス!
20 《冠雪の森》 3 《ハイドラの巣》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(24)- 3 《冬を彫る者》 4 《群れ率いの人狼》 3 《宝石泥棒》 1 《カザンドゥのマンモス》 4 《老樹林のトロール》 4 《ウルヴェンワルドの奇異》 2 《作業場の戦長》 -クリーチャー(21)- |
4 《吹雪の乱闘》 3 《レンジャー・クラス》 1 《豊穣の碑文》 2 《古霊招来》 1 《不自然な成長》 4 《エシカの戦車》 -呪文(15)- |
3 《辺境地の罠外し》 2 《フロギーモス》 2 《蛇皮のヴェール》 2 《タミヨウの保管》 1 《豊穣の碑文》 1 《レンジャー・クラス》 1 《不自然な成長》 1 《勢団の銀行破り》 2 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの「緑単アグロ」。ここ1年以上、長いスパンで人気を保っているアーキタイプだ。
《群れ率いの人狼》《老樹林のトロール》とマナシンボルが濃い、単色デッキでこそ扱える超優秀なクリーチャーを中心に、立派な体躯のクリーチャーで押しに押していく。
力に物を言わせる! そんな実生活では実行しづらいことをゲーム上で体感したいプレイヤーには持ってこいな、パワフルなデッキである。
わかりやすい攻め方をするのでマジック初心者にも扱えて、同時に小さなテクニックや戦闘の組み立てなど通向けな要素も持つため、幅広い層からの支持を獲得している。
前セット『神河:輝ける世界』では《古霊招来》を獲得。
警戒やトランプルを持った巨大なトークンを2体展開、それらで殴るだけでも十分だがそれに加えて緑単の王道《エシカの戦車》でのコピーで圧倒的な盤面を作りだせる。
《耐え抜くもの、母聖樹》でメインからパーマネントへの対応力も高まった。
ここにニューカペナから加わったのが《宝石泥棒》ってわけだ。3/3警戒・トランプルという立派なスペックを持つマナクリーチャーとして白羽の矢が立ったのである。
緑単はこのマナクリーチャーというものも重要視したデッキだ。《古霊招来》のように重めのカードも備えており、3ターン目に戦車や《ウルヴェンワルドの奇異》といったパワフルな4マナ戦力を展開するのはひとつの必勝パターンだ。
マナが大量に出る状況になれば《ハイドラの巣》《レンジャー・クラス》に《ウルヴェンワルドの奇異》の変身と、使い道には困らない。
《冬を彫る者》《水蓮のコブラ》《裕福な亭主》と選択肢はさまざま。どれも一長一短で、各自の好みがここのチョイスに反映される。
上記のリストでは《吹雪の乱闘》を用いる関係で《冬を彫る者》をチョイス。しかしながら戦闘面では2/2、ゲーム中盤以降にドローしても美味しくないカードであるため枚数は3枚に抑えてある。
そこで殴れてマナ加速もできる《宝石泥棒》の出番というわけ。3ターン目に4マナのカードを唱えるサポート、というカードではないのだが、《古霊招来》を唱えたり《レンジャー・クラス》のレベルアップをスムーズに行うための宝物というのは実に頼りになる。後半引いてきてもこのスペックなら追加戦力として盤面で無視できない存在になってくれるという頼もしさがあるね。
他に新カードは《作業場の戦長》が採用されている。
5マナ5/3トランプル、戦場に出れば3点回復! これだけでも目をみはるものがあるが、死亡すると4/4のサイを残していくという除去耐性の高さ! 奇襲コストで唱えた場合、速攻ですかさず殴れるのがゲーム終盤にトップデッキした際には嬉しい。奇襲で出せばターン終了時には生け贄に捧げられてしまうが、死亡しても1枚ドローできて4/4も残るというこの「奇襲し得」な性能がプレイングの迷いを発生させずにアグレッシブに攻める意志を後押ししてくれる。コモンがコモンならレアはレアらしく、無茶苦茶強い! ニューカペナ、恐ろしい街だぜ……。
デッキの方向性が大きく変わるわけではないが、今までにあるようでなかったパーツを得たスタンダードの「緑単アグロ」。コモンである《宝石泥棒》、誰でもすぐに手に入れられるレアリティに新戦力があるのはありがたい話だ。レアや神話レアを集めている最中も、このカードで新セットの要素を感じながら既存のデッキで遊べるのが嬉しいね。
コモンの3マナクリーチャーでも歴代最強の呼び声が名高い《宝石泥棒》。これが今後のコモンの基準になったとしたら……他の色のクリーチャーも含めどんなマジックになっていくのか、見届けていきたい所存だ。
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