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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
節目を飾るのは大好きなアートで(特別フォーマット)
1500回。気になって調べてみたが、ラジオ番組とか国民的アニメなんかがヒットした。
そんなわけで当コラム「岩SHOWのデイリー・デッキ」は今回で……おそらく連載1500回です。「おそらく」と記したのは、連載期間中に僕自身が置かれている環境の変化や、連載スケジュールの急な変更などもあって、少々ズレている可能性もあるということ。自分自身で記録している限りではこれが1500回に当たるので、まあ細かいことは良いんじゃないかと。
どうあれ節目の回である。365回(デイリーなので丸ごと1年やった記念だ)、500回、1000回と、自身のルーツをなぞりながら思い入れのあるデッキを紹介したり構築したりさせてもらった。
正直このコラムはゆるいというか、普段から割と好き勝手やらせてもらっている。最近はマジック初心者も増えたこともあってそこに向けて比較的まともなことを書いているつもりだが、ネタが枯れているような時期などは好きなコントの台詞をデッキ説明に置き換えただけの無茶苦茶な回なんかやって、それでもNGが出ないからありがてぇなぁとか思いながらやってたね。
マジックプレイヤーとして、実績と呼べるものは何ひとつないが……こうして公式サイトでコラムを担当させてもらい、大きな数字と言えるところまで続けられたことは自分の実績だと胸を張って言えるのかなとか、最近そんなことを考えないわけでもない。
まあ実績とかそんなことは、他の人が判断してくれたらええわなぁ。僕自身、これまで通り楽しんでやってくだけ! That's all!!
というわけで挨拶はここまで。せっかくの記念回だ、今回はどんなデッキとそれにまつわるエピソードを語ろうか。1400回を超えたぐらいから意識してはいたものの……いざ迎えてみれば難しい回である。こういう時はやっぱり「好き」という感情に従うことが大事になってくるかな。というわけで好きなカードをひたすらに書き出してみよう。
- 《肉裂き怪物》
- 《ファイレクシアの疫病王》
- 《日々を食うもの》
- 《陰謀団式療法》
- 《Juzam Djinn》
- 《骨砕き》
- 《カーノファージ》
- 《Chaos Orb》
- 《ラクドスの地獄ドラゴン》
- 《変異種》
- 《漂うジン》
- 《集めるもの、ウモーリ》
- 《ヴィーアシーノの殺し屋》
- 《引き裂かれし永劫、エムラクール》
- 《スリヴァーの女王》
- 《ファイレクシアの巨像》
- 《恵みのスターリックス》
- 《キマイラ像》
- 《Guardian Beast》
- 《梅澤の十手》
- 《黒き剣のダッコン》
- 《野生語りのガラク》
- 《ファイレクシアの処理装置》
- 《走り回るスカージ》
- 《ゴブリンの放火砲》
- 《筋肉スリヴァー》
- 《アスフォデルの灰色商人》
- 《食肉鉤虐殺事件》
- 《ヨーグモスの意志》
……キリがないなこんなもん(笑)。しかしながらこうやって書き出していけば、己の好きなカードの特徴が再確認できる。やっぱりマジックはアートありきだよなと。特に古いカードが多いのは、いずれも若い頃に目にして強烈な印象を脳裏に焼き付けられているからだろうな。
Pete Venters、Mark Tedin、Ron Spencer、Kev Walker、Christopher Moeller、Richard Kane Ferguson……このあたりの主に旧枠時代に活躍したアーティストの方々が最高に好きだなぁ。
最近は開催されていないので知らないというプレイヤーも多くなっていることかと思うが、グランプリやマジックフェストという巨大イベントでは、マジックのカードイラストを手掛けたアーティストがゲストとして来場し、その場でカードにサインしてくれたり、アーティストの特製グッズを購入したりといったことができたものである。あの日々が懐かしい……
僕個人の思い出として、マーク・テディン/Mark Tedin先生とのエピソードを書かせていただこう。マジックにハマったのは彼のイラストがあったからこそと言える。厚く塗られた絵の具によって描かれる、イキイキとした生物や機械の姿にハートを鷲掴みされたものだ。
そんなテディン先生は日本好きらしく、家に侍の鎧兜が飾ってあるとか。たびたび来日もしており、《ネクロポーテンス》にサインしてもらった際には、イラストの中核を担う髑髏を侍にしたり、《ネビニラルの円盤》をその手に持たせたりとさまざまなものに描きかえてくれるサービス精神で楽しませてくれたものだ。
《Juzam Djinn》の複製原画を購入した際に、ボードの裏面にサインとともに何か描いてくれるとのことだったので「クレイジーなクリーチャーを描いてほしい」と伝えたところ、これは僕の聞き間違いかあるいは先生の天然なのかはわからないが「CRAZY CREATURE!」というメッセージを書いてくれたことは一生ネタにできる体験だ。たしかに《Juzam Djinn》はクレイジーだし何も間違ってない。
思い出話を語るうちに、マジックの魅力であるアートを取り上げたいという気持ちが高まってきた。今回はアーティスト縛りでデッキを構築してみよう! お題はもちろん、Tedin先生の作品でやってみよう!
アーティスト限定構築はカジュアルなマジックをこよなく愛するプレイヤーなら通ったことがある道だろう。このフォーマットにおいて肝となるのは、土地である。
すべてのアーティストが土地と呪文、両方のアートを担当しているわけではない。中には土地をひとつも描いていなかったり、その逆もまた然り。土地とクリーチャーとその他の呪文、全てを網羅しているアーティストはそう多くはないのだ。
その点、Tedin先生は安心できる。何せ5色すべての基本土地を手掛けている! しかも5色土地《真鍮の都》まで! これは強いね。とりあえずは何色でもデッキは組めるってことだ。
先生の担当しているカードは何と200種類以上に及ぶ。それらは5色全てに存在するため、デッキ構築はなかなかに悩ましい。しかしながら「Tedin先生単」を組むにあたって、非常に頼もしいパッケージが。それはウルザ土地3種とカーンのパッケージだ。
『ダブルマスターズ』の目玉であったボックストッパー。特別なアートでボーダーレス仕様のこのカードの中に《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》《ウルザの塔》と揃えることで大量の無色マナを生産するウルザ土地3種、そして《解放された者、カーン》が収録されている。
これらのアートはTedin先生が手掛けており、そして4種類のカードはもともと1枚の絵、パノラマ作品として描かれているというなんとも胸が熱くなるセットだ。
発表された時にはここ数年でも一番興奮したかもしれないなぁ。独特の淡い色使いに、不気味な樹木やお家芸の複雑なメカ、そして存在感抜群のカーン……たまらないなぁ。個人的な感想として、ここ5年以内にリリースされたカードの中でも間違いなく最もワクワクするアートだ。
ウルザ土地、通称トロンからのカーンという動きはモダンなどでも人気を博した強力なムーブであり、これを狙えるMark Tedin限定構築はかなりパワフルなデッキを組めることだろう。
1500回記念に相応しい、スペシャルなデッキリストを考えてみたぜ!
5 《平地》 1 《島》 4 《真鍮の都》 4 《ウルザの塔》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 2 《ウルザの工廠》 -土地(24)- 1 《剣の壁》 1 《蒸気カタパルト》 1 《テトラバス》 4 《ファイレクシアの巨像》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
1 《魔力の墓所》 4 《剣を鍬に》 2 《太陽の指輪》 1 《魔力の櫃》 2 《Nacre Talisman》 1 《Chaos Orb》 1 《Time Vault》 4 《手の檻》 2 《解体の一撃》 1 《ギックスの指輪》 1 《ネビニラルの円盤》 1 《飛翔艦ウェザーライト》 1 《旗艦プレデター》 1 《Mana Matrix》 1 《次元の門》 4 《解放された者、カーン》 -呪文(28)- |
ウルザ土地からカーンを叩きつける、モダンの「トロン」デッキをベースにしつつ、Tedin先生が担当していることの多い大量のマナ・アーティファクトや堅実に強い軽量呪文、そしてロマンあふれる大技やカッコいい伝説のアーティファクトで固めた「Tedin-Tron」だ!
3ターン目にナチュラルに土地が揃えば、カーンか《ファイレクシアの巨像》での猛攻を仕掛けられる! 圧倒的なカードパワー、サイズの差で押しつぶすパワフルデッキに仕上がった。
カードプール的に、モダンの「トロン」のようにウルザ土地を狙ってかき集めるのは難しい。なのでコントロール的な動きをしながら耐えるか、あるいはマナ・アーティファクトによる加速も狙っていく構成にしてある。
対戦相手のクリーチャーを《剣を鍬に》や《手の檻》《ネビニラルの円盤》で捌きつつ、真面目にカードを引いていき土地が揃うまで待つ。
除去枠には伝説の《Chaos Orb》もあるぞ! カードをフリップする練習をしっかりしておこう。
真面目なカードであれば《ギックスの指輪》もかなり粘れる1枚。クリーチャーをタップして攻撃を防ぎつつ《蒸気カタパルト》でバンバン破壊できれば理想的だな。
これらで時間を稼いでじっくり準備するか、あるいは《魔力の墓所》《魔力の櫃》《太陽の指輪》で猛加速!
土地が揃ってマナも十分に確保できれば、上記フィニッシャーに加えて《引き裂かれし永劫、エムラクール》も待っている。
これらのフィニッシャーを《飛翔艦ウェザーライト》や《次元の門》で手に入れよう。
《解体の一撃》《剣の壁》など白い呪文を採用しているので《Nacre Talisman》を忍ばせてあるのがマニアもニッコリするポイント。
いずれかのプレイヤーが白い呪文を唱えた際に{3}支払うことでパーマネントをアンタップできるというニッチ過ぎる能力! これで《ファイレクシアの巨像》をライフ損失なしでアンタップしようという魂胆だ。あるいは《Time Vault》をアンタップし、ノーリスクで追加ターンという夢のコンボも……。
そんなわけで1500回目は、好きなように書き、好きなようなデッキを考えさせてもらった。マジックのイラスト最高~と思っている皆も、好きなアーティストの作品のみでデッキを作ってみてね。まあいつも通りっちゃいつも通りだな。
これからもこんな感じでやっていこうと思うので、適度に肩の力を抜きつつ楽しんでもらえたら幸いだ。続けることには意味があると信じて、これからも我が友、マジックが世に送り出すデッキたちを見届けていきたいところだね。いつも読んでくれて、サンキューな!
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