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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・バーン:レム・カロラスとともに駆けろ(スタンダード)

岩SHOW

 イニストラードのカードの中には聖戦士というフレーズが度々見受けられる。

 これはなんなのか、平たく言えば人間のために怪物と戦う人々だ。アヴァシン教というイニストラードの主たる宗教の神学校で学び、鍛えた後にイニストラード各地に派遣される。彼らに加護を与えていたアヴァシンが獄庫に囚われて行方をくらましたことで、聖戦士たちはそれぞれに自らが生きる道を選ばなければならなかった。

 アヴァシンは帰還したものの、彼女ら天使たちは発狂し人間を襲うようになる。聖戦士たちの中には人々を護るためにかつて崇めていた天使たちとも戦うこととなった者もいた。

 レム・カロラスもそんな1人。彼は聖戦士の中でも審問官という立場だったが、天使に刃を向けたことでその称号を失った。今や彼は愛馬のジェッダとともにイニストラード中を放浪し戦い続けている。

 そんな彼をカード化したのが《確固たる討伐者、レム・カロラス》。

 自身の他のクリーチャーやプレインズウォーカーが呪文から受けるダメージを軽減して0にする。いわゆる火力と呼ばれるインスタントやソーサリーへのアンチカードであり、同時に自身の火力には1点ダメージを上乗せする。ダメージ軽減とダメージ増加の色、白赤らしい伝説のクリーチャーに仕上がっているのだ。

 3マナ2/3飛行というまずまずのスペックに速攻もついているので、殴っていくデッキでは優秀な攻め手として計算できる。使うのであれば火力軽減はもちろんのこと、やっぱり自身の火力のダメージを増やすという点を活かした構築したデッキを用意したいところだ。

Lino Desmidt - 「ボロス・バーン」
Ligue En Melee STD Sept#9 3勝0敗 / スタンダード (2021年9月29日)[MO] [ARENA]
6 《
3 《平地
3 《怒静の交錯
4 《針縁の小道
3 《バグベアの居住地

-土地(19)-

4 《ファルケンラスの闘技士
4 《血に飢えた敵対者
4 《炎の媒介者
4 《確固たる討伐者、レム・カロラス
3 《無謀な嵐探し
2 《月の帳の執政

-クリーチャー(21)-
4 《火遊び
4 《棘平原の危険
4 《乱動の噴火
4 《聖なる火
4 《スカルドの決戦

-呪文(20)-
3 《粗暴な聖戦士
3 《傑士の神、レーデイン
3 《バーニング・ハンズ
3 《引き裂き
3 《乱動する渦

-サイドボード(15)-
MTGMelee より引用)

 

 そんなわけで火力を詰め込んだ白赤、「ボロス・バーン」の登場だ。

 まず何よりも、バーンというからには火力呪文が重要となる。非常に大事なことだが、バーンデッキの火力はプレイヤーを対象にできないものは入れたくない。

 プレイヤーにダメージを撃ち込んで勝つデッキなので当たり前と言えばそうなのだが、最近の火力はプレイヤーを対象にできるものが減っている。除去としても併用はしたいので、プレイヤーとクリーチャー(あとプレイズウォーカー)の両方を対象にできる火力のみでデッキを構築したいところだが……その選択肢は限られるというスタンダード環境が続いていた。

 ただ、ここにきて『イニストラード:真夜中の狩り』はバーン向けの火力が複数収録された。レムを使ってバーンデッキを作れと言わんばかりのセットだ。

 まず1マナの《火遊び》。あの便利カード《ショック》の上位互換だ。

 2点ダメージを刻みつつ、対戦相手本体に打ち込んだ場合はなんと占術1がついてくる。

 バーンデッキは土地ばかり引くと攻め手が無くなる息切れ状態に陥るので、土地の枚数を極力抑えている。そうした構築でも土地を引いてしまったり、あるいは削っているからこそ土地の3枚目などが引けずという状況に陥り、デッキのポテンシャルを発揮できずに負けてしまいがち。そんなデッキにとって占術でライブラリーを操作し、ドローの質をわずかでも向上させられるのは非常に大きいメリットだ。

 《聖なる火》は2マナ2点とダメージの効率は良くはないが、ついでに2点回復が付いている。

 さらにフラッシュバックでおかわりできるので、長期戦にもつれてしまった場合の最後の一押しとなってくれる。ダメージは抑え目でもレムと組み合わせれば《稲妻のらせん》になるから気にするなってな精神だ。

 あとはこのメインデッキでは戦場を夜にするカードが少ないので不採用だが、《月の憤怒獣の切りつけ》も試してほしいカードだ。

 1マナで3点、かの《稲妻》と同スペックを味わいたいなら《粗暴な聖戦士》と組み合わせることを勧めよう。

 こうした新火力と《乱動の噴火》《棘平原の危険》などで時に本体を狙い、時にクリーチャーを除去し、レムによるダメージ増加でゲームを優位に進めていくのだ。

 バーンデッキと言えど火力のみでデッキが組めるわけではない。それらとともにライフを攻めていくクリーチャーのチョイスも重要だ。

 実はこのメインデッキのクリーチャーはすべて『イニストラード:真夜中の狩り』の新カードとなっている。実験的な側面もあるだろうが、それだけ優秀なメンツが揃っているということだね。

 どれも取り上げたいところだが、ここでは火力と相性の良い特にバーン向けのものを紹介しよう。《血に飢えた敵対者》は誘発型能力で墓地からインスタント or ソーサリーを使いまわせる。

 レムがいる状況で火力を再利用し、ダメージを刻みつつ速攻を持った本体でも攻撃してライフを一気に0まで持っていきたいところ。最序盤は2マナ2/2速攻と、最低限のスペックで先制パンチを仕掛けられるのも悪くないね。吸血鬼なので《ファルケンラスの闘技士》で生け贄に捧げられるという点もお忘れなく。

 《炎の媒介者》も面白いチョイス。

回転

 2マナ2/2が火力を撃てば3/3の《炎の具象化》に変身。火力を撃って炎カウンターを貯め、これを消費してアドバンテージを得る。今までにあまり見たことがないタイプのクリーチャーなので、どのような仕事をしてくれるかは実際に使用して確認してみたいところだ。

 これらのカードを《スカルドの決戦》で追放し、一気に畳みかけるのがこのデッキの勝ち筋。

 以前より強力なカードだったが、ローテーション後ではこれを使えるというのがボロスの特権として再認識されていくことだろう。

 そしてこのカードと相性が良いのが《月の帳の執政》。

 手札を捨てるというリスクを背負う能力持ちだが、カードを追放して唱えられるようにするスカルドであればせっかく得たアドバンテージを放棄してしまう心配なく、ガンガンカードを引いて行ける。2色の英雄譚なので執政死亡時に2点ダメージが保証されているというのも素晴らしい。4マナ4/4飛行という高スぺックをバーンデッキで活かすべし!

 《確固たる討伐者、レム・カロラス》など新クリーチャーと、それらとの相性が良い火力呪文を解用いたアグレッシブなバーンデッキ。遅いデッキ、振りの大きいデッキが流行ったらコイツがライフをかすめ取る。得意と不得意がわかりやすいので使うタイミングが問われるデッキではあるが、ハマった時の爽快感はバーンならではオンリーワン!

 さあ、君も聖戦士になって魔物どもを焼き払おうぜ!……過激だって? 真夜中を生き延びるにはこんぐらいの意気込みでいかなきゃな!

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