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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット・ステイシス(レガシー)

岩SHOW

 マジックのカードパワーというものは年々変化していっている。

 近年でもオールタイムで見てかなり上位にランクしそうな強力なカードが生み出されているが、それらはマジック黎明期のものに比べると複雑な形のカードパワーを持っていることが多い。

 どういうことかというと、昔のカードはシンプルでヤバいパワーを持っているものがたくさんあったということが言いたい。《Black Lotus》とか《Ancestral Recall》とか、テキストが短く単純でなおかつ書いてることがヤバいカードに対して、《夢の巣のルールス》とか《王冠泥棒、オーコ》とか近年のパワーカードは随分複雑なテキストと言えるよね。

 どうしてもシンプルなデザインはマジックの長い歴史においてたびたび使用されてしまっているので、最近のカードはちょっと複雑な強さを持つようになっという歴史のお話でありました。

 本当に古いカードはさらっととんでもないことが書かれていて、当時は普通に感じてたけれども、改めてみるとヤバいよなぁと何とも言えない気持ちになれるものだ。

 たとえば、《停滞》。

 1行目のテキスト、読んでみてよ。「プレイヤーは自分のアンタップ・ステップを飛ばす。」ときたぜ? アンタップが来ないって……クリーチャーは1回攻撃したりタップ能力使ったらお役御免、土地も1回マナ出したらそれっきり沈黙。何度読んでもヤバすぎて汗が出てくるレベルだ。

 ただし毎ターン青マナを支払わなければならないという維持コストを抱えている。《》などの土地からこれを支払っていればどんどんとタップ状態のままの土地に埋め尽くされ、いずれは維持できなくなってしまうことだろう。

 そこで昔の人は《吠えたける鉱山》でとにかく土地を引いてきたり、《極楽鳥》に《賦活》をつけて毎ターン起こしたりという地道な努力を用いていた。対戦相手が行動不能になる、いわゆる「ロック状態」に持っていくロックデッキというやつだ。

 このようなカードは最近では作られることはなくなってきたが、瞬間的にごく少数のパーマネントのアンタップを防ぐようなカードはたまに見られるね。それらの元祖である《停滞》はシンプルにして今なお最強のロック・エンチャントだ。

 というわけで今日はこの《停滞》を使ったデッキを紹介しよう。フォーマットはレガシー、紙のカードを使ったリモート対戦大会にて用いられたリストだ!

plbrahdaro - 「イゼット・ステイシス」
Paper Legacy Discord Saturday tournament (2021年8月14日)[MO] [ARENA]
5 《
1 《
4 《Volcanic Island
4 《沸騰する小湖
3 《霧深い雨林
1 《溢れかえる岸辺
1 《焦熱島嶼域
1 《見捨てられた都市
-土地(20)-

3 《敏捷なこそ泥、ラガバン
2 《船殻破り
2 《天上の餌あさり
-クリーチャー(7)-
4 《渦まく知識
4 《稲妻
4 《思案
2 《改良式鋳造所
1 《呪文貫き
3 《目くらまし
3 《停滞
2 《表現の反復
1 《否定の力
4 《意志の力
1 《火+氷
3 《ラル・ザレック
1 《精神を刻む者、ジェイス
-呪文(33)-
1 《造物の学者、ヴェンセール
1 《トーモッドの墓所
2 《外科的摘出
2 《赤霊破
1 《水流破
2 《もみ消し
1 《墓掘りの檻
1 《真髄の針
1 《削剥
1 《無のロッド
1 《紅蓮地獄
1 《罠の橋
-サイドボード(15)-
MTG Melee より引用)

 

 青に赤を足した「イゼット・ステイシス(停滞)」だ。

 《停滞》により対戦相手を足止めしている間に勝負を決めるわけだが、ではどうやって《停滞》を維持するか。これのために赤が足されており、その答えは《ラル・ザレック》!

 彼は[+1]能力でパーマネントを1つタップし、そして別のもう1つをアンタップする。そう、この能力で自分の土地をアンタップし、毎ターン青マナを得ることで安定したマナ供給から《停滞》を維持しようという魂胆だ。

 さらに同時に対戦相手の土地などをタップできるので、これで相手をより苦しめようという、《停滞》と組むために作られたと言っても過言ではないデザインとなっている。

 ロック状態を維持しながら余裕のあるターンでは3点ダメージを刻んだり、[-7]能力が起動できるまでズルズル引っ張って追加ターンをゴリッと得てしまうのも最高に気分が良いんじゃないのか?

 ラルでアンタップするのは土地だけではない。クリーチャーという選択肢もある。《敏捷なこそ泥、ラガバン》だ。

 このおサルは攻撃することで対戦相手のカードを奪うわけだが、同時に宝物・トークンを生成する。そう、この宝物から得られるマナで《停滞》を維持するってのもアリなのだ。ラガバンも攻撃を通すために対戦相手のクリーチャーをタップしつつ、アンタップさせたラガバンで攻撃。これを毎ターン続けることで対戦相手の息の根を止めることができるだろう。

 レガシーでは主に「忍者」や「ペインター」などのデッキで活躍する《改良式鋳造所》が採用されているのも特徴的な部分だ。

 一見デッキには合っていなさそうである。能力起動にマナとタップが必要で《停滞》影響下では働きを見込めない。では何が良いかというと、これまたラルとの相性だ。霊気装置→飛行機械→構築物と生成したトークンをより強くしていく速度を、ラルのアンタップにより大幅に縮めようという狙いである。

 そういう意味で考えると、このデッキはステイシスというよりもラルデッキと考えた方が良いのかもしれない。ハッキリと言えることは1つ、プレイしていて楽しいに違いないということ、それだけだ。

 旧き良きシンプルなパワーカード時代を象徴する1枚、《停滞》。その強烈なロックは今後リリースされるカードでは味わえそうにもないものだが、だったらレガシーのような古いカードが使用可能なフォーマットで味わうまでよ。最近の複雑になったカードと組み合わせることで、今だからこそ体験できるゲーム展開というものもあるはずだ。

 新旧織り交ぜて遊べる、マジックとは底なしのコンテンツであると改めて思い知らされる素敵なデッキリストに感謝を。

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