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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:サイコロは持ったか? その名はダイス・フォージ(レガシー)
さあ今週も紹介するぞクールなデッキ。クールなキャラクターって、あんまり自分の色を出すことがないように思わないかい? 感情にあふれたキャラクター、たとえばチャンドラは真っ赤で色彩的にも爆発しているよね。対して感情を表に出さない、クールに振舞うキャラクターというのはあまりその独自色というのを出さないように思う。
色を出さないことは個性がないってわけでもない。感情を抑えた機械的なキャラクターが感情を表に出す瞬間、それもまたクールだ。
今日のクールなデッキは無色デッキを紹介……というのはバレバレか。では引っ張らずに、早速レガシーのクールあふれるリストを見ていただこう!
4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 2 《発明博覧会》 1 《爆発域》 4 《ウルザの物語》 -土地(15)- 4 《地核搾り》 4 《磁石のゴーレム》 1 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(9)- |
2 《オパールのモックス》 4 《永遠溢れの杯》 4 《霊体のヤギ角》 2 《厳かなモノリス》 4 《うねりの結節》 2 《多用途の鍵》 1 《通電式キー》 1 《探検の地図》 1 《市長の笏》 1 《ブライトハースの指輪》 4 《神秘の炉》 1 《パラドックス装置》 4 《大いなる創造者、カーン》 3 《ウルザの後継、カーン》 2 《人知を超えるもの、ウギン》 -呪文(36)- |
1 《歩行バリスタ》 1 《トーモッドの墓所》 1 《真髄の針》 2 《次元の歪曲》 1 《液鋼の塗膜》 1 《罠の橋》 4 《虚空の力線》 1 《パラドックス装置》 1 《マイコシンスの格子》 1 《影槍》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
見てわかる通り、サイドの《虚空の力線》以外に色を持つカードは存在しない、ほぼ完全なる無色デッキだ。
まあ、それ自体はレガシーにおいて特別珍しいことではない。《古えの墳墓》《裏切り者の都》と無色マナ2つを供給する強力な2マナ土地が存在し、そしてレガシーにおいてゲームの展開を強烈に支配してしまう《虚空の杯》がある。
2マナ土地から1ターン目にX=1の《虚空の杯》を置いて対戦相手の行動を大きく阻害するデッキは「○○ストンピィ」や「プリズン」などと呼ばれ一般的なデッキである。
しかしながら……このリストには杯の姿が見当たらない。それはこのデッキが1~2マナの呪文を用いるということを意味している。他の無色デッキとは異質なこのデッキ、その名は「ダイス・フォージ」。
ダイスってのはそう、サイコロのこと。カード名や色や戦略などがデッキ名に含まれることはあっても、ゲームで用いる道具をその名に冠するデッキはこれぐらいのものだ。この時点でもうクール!
では、その秘密を探ってよりクールな気持ちになろうじゃないか。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:とにかくダイスを用意しろ
「ダイス・フォージ」、このダイスの意味するところはd20を振るようなタイプのダイスを用いるというわけではない。
紙のマジックをプレイする際にダイスが必需品になっているのは、クリーチャーの上に置いた+1/+1カウンターやプレインズウォーカーの忠誠度を示すなど、各種カウンターをダイスを用いて管理するからだ。
このデッキはカウンターをとにかく多用するもので、その種類は蓄積カウンター。アーティファクトの多くが参照するもので、これが多く置かれていればいるほど効果が高まるようなデザインが施されている。
たとえばこのリストにも収録されている《永遠溢れの杯》。
これは置かれている蓄積カウンターの数だけマナを供給する。ならできる限り多く蓄積カウンターを置いてやりたいものだが、それにはマナが大量に必要になるという矛盾。
この問題を解決するには、とりあえず戦場に出しておいたところにあとからカウンターを置いてやればよい。これはズルでもなんでもなくクールな創意工夫だ。
《地核搾り》と《うねりの結節》は、アーティファクトに蓄積カウンターを置くことができる。
これらで後置きすれば《永遠溢れの杯》と《霊体のヤギ角》はX=0で唱えてもマナを生み出すアーティファクトとして機能するのである。
そして置けば置くほど供給されるマナの量は爆発的に増える。カウンター置き役は《多用途の鍵》《通電式キー》でアンタップしてやることで1ターンに複数個カウンターをばら撒ける。
ダイスが1個2個あったところで絶対に足りない、クールな量を用意して臨めというのが、この「ダイス・フォージ」だ。
クールポイントその2:勝つためのフォージもろもろ
ではフォージの部分は何を指すのか。これは《神秘の炉》のこと。
デッキ内に有色のカードが存在しないため、このアーティファクトを置いておけばかなりの確率でアドバンテージが得られる。土地が上に来たとしても起動型能力でどかすことができるし、そもそも土地15枚デッキなのでその確率は低いだろう。ダイス要素で得た大量のマナをフォージから大量展開に繋げる。これがこのクールなデッキの目指すところである。
実際にどのように勝つのかというと……無色のプレインズウォーカーらによる圧殺。《大いなる創造者、カーン》によるアーティファクトサーチ、《人知を超えるもの、ウギン》による破壊と展開。
そして《ウルザの後継、カーン》の構築物・トークン! アーティファクトぎっしりデッキなのでかなりのサイズが期待できる。
《ウルザの物語》からも同じトークンが生成されるので、これらマッチョでクールなウルザ印の構築物による盤面完全制圧というゴールを目指そう。
《ウルザの物語》は1マナのアーティファクトを持ってこれるので、《うねりの結節》へのアクセス手段となるのもエライ。
そしてこのデッキにはダイスともう1つ、「アンタップ」もテーマに含まれている。先述のキー2種に加えて《パラドックス装置》。
このクールなアーティファクトが大暴れする光景こそこのデッキの真骨頂。呪文を唱えれば土地以外をアンタップ、ダイスマシンを起こしてマナを得る。フォージを起こしてライブラリーの上を何度も調整。《ウルザの物語》を起こして構築物ドカドカ量産……パラドックスのアンタップ誘発のためには0マナで唱えられるダイスマシンが大活躍。
そしてこのアンタップループはさらなるループを呼び込む。《市長の笏》、追加ターンを得られるこれを何度も起動してやるのだ。
マナ大量生産が確立されていればこの笏の激重コストも問題なく払えるだろうし、そもそもこのカードも蓄積カウンターを参照するのでダイス乗せ班が大喜びでフル稼働。
キーやパラドックスでの鬼のアンタップで湧き出るマナをクールに勝利へと変換する。このゲーム体験はなかなか他では味わえない特別なものだ。
クールテクニック!
《大いなる創造者、カーン》を用いるデッキの常として、サイドボードには《液鋼の塗膜》《マイコシンスの格子》が。
クリーチャーやプレインズウォーカーをアーティファクト化させて能力を起動できなくするのもいやらしい妨害だが、なんてったって土地をアーティファクト化させてマナをロックしてしまうというのが大きい。すべての土地を機能不全に陥らせるマイコシンスももちろんだが、レガシーのようなあまり土地が並ばないフォーマットであれば《液鋼の塗膜》でも十分効果的。
何より塗膜はカーンの[+1]能力と組み合わせることで、対戦相手の土地を0/0のアーティファクト・クリーチャーにして物理的に潰していくことが可能だ。
このカーンのクリーチャー化させる能力と組み合わせることでクールに機能するのが《領事の旗艦、スカイソブリン》。
本来は搭乗しなければクリーチャー化しないが、カーンで強引に5/5飛行として運用可能だ。クリーチャーが多くないこのデッキでも問題なく攻撃させて、その制圧力を発揮できるってわけだね。スカイソヴリンの3点ダメージを、無理やりクリーチャー化させたマナ総量3以下のパーマネントに撃ち込んで破壊するという細かすぎるテクニックも。無色とアーティファクトしか持たないデッキだが、クールな技の数々を隠し持っているのだね。
クールなまとめ
色がないということは中身がないというわけではない。カラフルもクールなら、カラーレスもまた別のクールさがある。無色の中に潜む、真のカラーを見出してこそクールデッカーの道は歩めるのだ。それでは今週はここまで。Stay cool! Charge the counters!!
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