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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アグロデッキで「白黒」つける!?(スタンダード&ヒストリック)
「白黒つける」「白黒はっきりさせようや」日常会話でも出てくるこの2色。どちらが優れているのか証明するということだが、その語源は囲碁にあるらしい。確かに碁石は白と黒で、どちらが盤面を覆い尽くすのか決着付けようぜってことだな。
囲碁と同じくマジックも知力を絞って競う対戦ゲーム。地元でよくプレイする仲間と白黒つけようぜ~なんて言い合うのもよくあるコミュニティの光景だと思うが、そもそもマジックには白と黒という色が存在しているね。
この2色はシルバークイル大学やオルゾフ組みたいに仲良く共存することもあるが、《白騎士》《黒騎士》に見られるように、マジック創成期から互いに対策しあうライバル的立ち位置だ。1~2マナのクリーチャーを最序盤から展開して押せ押せなアグロデッキ「白ウィニー」と「黒ウィニー」は長きに渡って競い続けてきた二大巨塔であった。
この2つは最近ではMTGアリーナにおいてぶつかり合っているようだ。どういうことかというと……Twitterにて「この白単でミシックランクに到達したぞ!」「今回ミシックに到達した黒単のリストがこちら!」というつぶやきを同日に見ることがあった。しかも運命のいたずらのように、両者は114位と115位と並んでいたので。これは面白いなと、このたびセットで取り上げてみることにした。
単色のアグロデッキ、白黒で迷ったらどっちにしようか? これらのリストを見比べて考えてみよう!
19 《冠雪の平地》 4 《不詳の安息地》 -土地(23)- 4 《命の恵みのアルセイド》 4 《巨人落とし》 4 《無私の救助犬》 4 《光輝王の野心家》 4 《歴戦の神聖刃》 2 《ドラニスの判事》 4 《精鋭呪文縛り》 4 《傑士の神、レーデイン》 4 《スカイクレイブの亡霊》 2 《光明の繁殖蛾》 1 《軍団の天使》 -クリーチャー(37)- |
-呪文(0)- |
2 《ドラニスの判事》 2 《栄光の守護者》 2 《軍団の天使》 1 《悪斬の天使》 4 《ガラスの棺》 1 《払拭の光》 1 《忍耐の偶像》 1 《学期の終わり》 1 《影槍》 -サイドボード(15)- |
まずは白単から。この114位にランクインしたスタンダードのデッキリストのすごいところは、メインデッキの土地以外のカードはすべてクリーチャーであるという点。
1マナ域12枚体制により、1ターン目から流れるように淀みなくクリーチャーを展開。その数で押し切ることを狙っているが、個々の質が低いかというと決してそんなことはない。
打点を伸ばす《光輝王の野心家》、《命の恵みのアルセイド》《無私の救助犬》《歴戦の神聖刃》といった面々で単体除去への耐性も高い。
《ドラニスの判事》《精鋭呪文縛り》《スカイクレイブの亡霊》《傑士の神、レーデイン》など妨害組を用いて、クリーチャーを展開すると同時に対戦相手の円滑なゲームプランの進行を阻止するのもこのデッキの強みである。
スタンダードの白単でも採用するか否かで派閥が分かれる《軍団の天使》。
サイドボードから同名のクリーチャーを手札に加えることで、対コントロールにおいて切れ目のない戦場形成を後押しする、ロングゲームに突入する際への保険的な1枚だ。このリストではメインに1枚、サイドに2枚の採用に留まっている。短期決戦を狙えそうな時にはお荷物になってしまうというリスクがあるし、長期決戦を見越していてもサイドボードの枠を3枚も潰してしまうのはやりすぎだろうとの判断で、このような形になったのだろう。
その代わりというか、4マナ域に採用された《光明の繁殖蛾》には要注目。
《空の粉砕》などへの除去耐性を高めるだけでなく、《命の恵みのアルセイド》《無私の救助犬》ら能動的に生け贄に捧げるクリーチャーとの相性がすこぶる良い。繁殖蛾自身をこれらで守りながら崩れることのない不死身の戦線を作り上げよう。
17 《冠雪の沼》 4 《不詳の安息地》 2 《ロークスワイン城》 -土地(23)- 4 《戦慄の放浪者》 4 《どぶ骨》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《黒槍の模範》 1 《死より選ばれしティマレット》 2 《残忍な騎士》 4 《騒乱の落とし子》 2 《悪ふざけの名人、ランクル》 -クリーチャー(27)- |
4 《思考囲い》 2 《コジレックの審問》 2 《無情な行動》 2 《血の署名》 -呪文(10)- |
2 《ファイレクシアの抹消者》 2 《塵へのしがみつき》 1 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《軍団の最期》 2 《真っ白》 1 《バントゥ最後の算段》 1 《魔女の復讐》 2 《悪意の熟達》 -サイドボード(15)- |
お次は115位にランクインした黒単。こちらはヒストリックのデッキだ。
この環境には各種コンボが名を連ねているが、そういった相手に効果的なのが《思考囲い》《コジレックの審問》での手札破壊と、それを行いつつ軽量クリーチャーを展開してライフを攻めるという黒単色のアグロデッキの伝統的な攻めな方。
パンチ力のある《漆黒軍の騎士》を筆頭に、こちらも1マナ域12枚体制。《戦慄の放浪者》《どぶ骨》《屑鉄場のたかり屋》と、除去されようが墓地から戻るクリーチャーの群れで《神の怒り》などにも臆さずに攻めていける。
手札破壊で対戦相手のデッキを把握し、プランを読んだ上で展開できるのが黒単の強みである。また、コンボやコントロール以外、すなわちクリーチャーを主体としたデッキに対しても除去を多く備えているので、こちらだけ一方的に攻撃し続けるという状況へ持っていける。
《騒乱の落とし子》というコストに対して優れたダメージ源となる決め手も備えており、見た目以上にゲームを終わらせるスピードは速い。
最近加わった新戦力は《血の署名》。
地味ではあるが、痒い所に手が届く的なナイスソーサリー。手札を得ることでアグロ特有の息切れに備えるのはもちろんのこと、この呪文は対戦相手を対象にすることも可能な点を忘れずに。最後のライフ2点をこれで削り切ってやるとかなり気分が良いのでオススメだね。デッキコンセプト的にも、できることが限られるカードばかりになりがちなアグロにとって、このような選択肢があることは嬉しいものだ。
フォーマットも色も異なるこれらのデッキ、共通点としては《不詳の安息地》を採用しているところを忘れちゃいけない。
やはり土地がパワー4となって攻撃してくるというのは脅威も脅威、大脅威。クリーチャー対策を多く用意しても最後には土地が殴りかかってくるのだから、受ける側はインスタントのクリーチャー除去や、基本でない土地への対策も求められる。全体除去撃ってそれで終わりってわけじゃないのだ。
この安息地が4枚あれば、これらのリストのようにスタンダードとヒストリックの両方で活用可能なので、レア・ワイルドカードの使い道に悩んでいるプレイヤーにはこの土地を作成してアグロデッキに挑戦してみるのもオススメ!
白黒つけるというよりは、白も黒も一緒に使って楽しむというのがマジックにおいては有意義なことかもしれないね!
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