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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
赤単で学ぼう! アグロにおける履修の価値(スタンダード)
若いマジックプレイヤーに伝えておきたいことがある。
「あの時もっと勉強しておけば良かったなぁ」と思う時がやってくる。現在進行形でむちゃくちゃ勉強してます!という人はそのまま頑張ってくれれば問題ないが、勉強しなくちゃいけないのはわかってるけども、他にやりたいことがいっぱいあって……という人には、時間が経ってからあの時迷わずに勉強してれば……と後悔してしまうタイミングが往々にしてやってくるものだ。
僕が学生だった頃よりも今は娯楽が多いし、誘惑も段違いなのかな。僕はマジックがしたくてしょうがなくて、勉強机に向かって教科書や問題集を広げて……時間が経てばその上にカードが並んでいたものだ。今日はMTGアリーナをスマホで気軽に遊べるのもあって、気が付けばというパターンもあることだろう。
あの時我慢していればという思いもあれば、同時に今からでも間に合うよなという気持ちもある。進学や就職の際にマジックから離れていたプレイヤーが、落ち着いたタイミングで復帰してみるみるうちに最新のマジックを学び取り込んでいく姿を見ると、勉強だって同じだよなと。生涯、何でも学び続ける。その姿勢こそが大事なんだなぁ。マジックも勉強も、頑張っていこうぜ!
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』では勉学に励む姿をカード化した、「履修を行う」および「講義・カード」が収録されている。このセットのリリースからもう1か月以上が経過した。プレイヤーたちはこの講義と履修について学び、自分たちの武器として扱っている。
一見、重めのマナ総量でリミテッド向けに見える講義・カードだが、サイドボードから手札に加えるというアドバンテージの取り方は構築フォーマットでも無視できるものではない。それは相棒カードが証明してくれていることでもある。どちらかといえば、土地を多めに引いて戦力が足りないという状況を打開してくれる選択肢としての価値が高いね。
土地ばかり引く、いわゆるマナフラッドという状況でその存分にあるマナの使い道としての受け皿として、履修から講義に繋げる、今日はそんなスタンダードのデッキをご紹介!
19 《冠雪の山》 4 《不詳の安息地》 2 《エンバレス城》 -土地(25)- 4 《熱烈な勇者》 3 《火刃の突撃者》 2 《講堂の監視者》 4 《義賊》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 2 《回収するフェニックス》 2 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(25)- |
4 《霜噛み》 2 《熱心な研究》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(10)- |
1 《スピリット召喚学》 1 《精霊召喚学》 1 《殲滅学入門》 1 《灰のフェニックス》 2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《乱動する渦》 2 《焦熱の竜火》 1 《魂焦がし》 2 《アクロス戦争》 -サイドボード(15)- |
マナフラッドに弱いデッキの代名詞と言えば、赤単色のアグロデッキ。コストの軽いクリーチャーと呪文を用いて手数で押すことを狙ったデッキにおいて、6枚目以降の土地というものの価値は低いケースの方が多い。
土地の大部分を《冠雪の山》にして《不詳の安息地》を用いたり、《エンバレス城》も採用するなど土地がダメージに繋がるという工夫はすでになされているが、そこにさらなる選択肢として履修&講義を!という考えで組まれたリストだ。
レガシーやモダンなどのフォーマットでは、それこそ土地の枚数を20枚以下に抑えてマナフラッドを回避するものだが、現スタンダードの赤単は1ターン目から4ターン目まではノンストップで土地を置き、マナを使い切ってクリーチャーを展開しつつ《エンバレスの宝剣》というゴールを目指すために、土地は24枚以上採用されていることが多い。つまりはマナフラッドになり得る可能性も高いのだが、そのプロブレムを解決する策があれば、ないよりも断然安心ってわけなのだ。
履修を行うカードは2種類。《熱心な研究》はインスタントなのが使いやすいクリーチャー強化だ。
隙だらけの相手にはこれで打点を上げるだけで致命傷を与えられるという点もナイス。サイズ修整に加えてトランプルも与えるので、予想外のダメージを弾き出すイカした1枚となる。
もう1つは《回収するフェニックス》。
自身で履修を行うのはもちろん、他のカードで履修を行えば、その代わりに墓地から戦場に戻るという能力でしぶとく戦える。4マナと重めではあるが飛行&速攻で残り少ないライフを攻める役にはピッタリ。打点の低さは《朱地洞の族長、トーブラン》で補ってやれば完璧だ。
これらの履修から持ってくる講義・カードは《スピリット召喚学》と《精霊召喚学》。
赤いトークン生成ソーサリーを用意しておいて、戦場にクリーチャーが途切れないように継続して展開することをサポート。
あるいは、ブロック役が出てきても詰んでいるという状況を演出する《殲滅学入門》という選択肢も。
カードを引かれようが、そのターンに勝ってしまえば関係ないってね。積極的にこれらのカードに頼らずとも勝てるのが理想で、これらはあくまで保険。カード1枚としてもパワーは低めなので、フラッド時やゲームが長引いた際の保険であると割り切ることで、重いコストも気にならないはずだ。
赤単がこの履修戦略を取れる理由として、サイドボードに余裕があるというのも注目ポイントだ。デッキの基本的な動きはシンプルで、それゆえにサイド後それをガラリと変えて戦うということも重視されていない。サイドボーディングで入れ替えるカードが少ないのであれば、仮想敵を絞ることでスロットを開けて講義に充てられるということだ。
クリーチャーデッキへの除去と《アクロス戦争》、切削デッキ相手の《アゴナスの雄牛》、《出現の根本原理》キラーでありコントロールにも有効な《乱動する渦》といった最低限のカードで抑えることで、メインデッキの柔軟性を上昇させている。
逆に考えれば、仮想敵が多くてサイドボードを15枚しっかり組まなければならない場合には、講義は用いない方が得策だ。この判断はやはり経験と学習に裏打ちされるもの。スタンダードにおいて、赤単を手に何とどう戦うのかというビジョンが明確になっているからこそ許されたリストなのだ。
赤い履修持ちカードであれば《炎血の発想》も選択肢になる。直接プレイヤー本体に3点ダメージも与えられることが評価されるのであれば《熱心な研究》と入れ替えても良いね。
赤単は頭に血が上っているデッキに見えるが、その実はクレバーさが求められる奥深いジャンルである。シンプルなデッキだからこそ学べることをしっかりと身に着けて、マジックの腕を磨いていこう。
勉強の合間に赤単でサクッと気分転換、マジックとの付き合い方としてはすごく素敵な形だと提唱させていただきますッ!
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