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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
緑単ストンピィ:狼を喰らう犬(パウパー)
養殖物と天然物。どっちが良さそう?
ものにもよるが、天然と答える人が多そうだ。人の手で作ったものよりも野生を生き抜いたものの方が良いものになる、というイメージはあるね。お魚とか。実際に人工的な餌で育てられた養殖ものよりも、多種多様なものを食べて日々動き回っている魚の方が風味に優れて肉も締まっているというイメージはある。
ただ、天然の方が絶対に美味しいかというと、すべてがすべてそうだと言い切れない。脂のノリは養殖物の方が勝り、魚種によってはそれが美味しさの差に繋がってくるだろう。
食べもの以外でも、たとえば動物。荒々しい野生で育った猛獣は人工的に飼育された家畜よりも強いイメージがあるが、必ずしもそうではない。百獣の王ライオンは確かに多くの家畜を圧倒するだろうが、訓練された大型犬の方が戦闘力では勝るという意見も散見される。特に闘犬や、虎などから主人を護る番犬として品種改良されたものは、原種である狼をも圧倒する強さを手に入れることもある。
犬が狼に勝る、今日はそんなデッキの紹介だ。
15 《森》 2 《カルニの庭》 -土地(17)- 4 《イラクサの歩哨》 4 《若き狼》 3 《クウィリーオン・レインジャー》 3 《スカルガンの穴潜み》 4 《湿地帯のグロフ》 4 《炎樹族の使者》 4 《巣の侵略者》 2 《大霊堂のスカージ》 -クリーチャー(28)- |
4 《怨恨》 4 《吠え群れの飢え》 4 《凶暴な一振り》 3 《巨森の蔦》 -呪文(15)- |
3 《リバー・ボア》 3 《はらわた撃ち》 4 《上機嫌の破壊》 3 《嵐の乗り切り》 2 《ヴィリジアンの長弓》 -サイドボード(15)- |
コモン限定構築であるパウパーの「緑単ストンピィ」の最新型だ。
このフォーマットでは歴史のあるデッキだが、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リリースにより新戦力を得てデッキがよりマッチョに、マッシブになった。そのカードが品種改良された犬にあたる《湿地帯のグロフ》。
僕は最初、そのあまりにも荒々しい巨体が描かれたイラストから勝手に熊と思い込んでいたが、まさかの犬! しかも植物も併せ持っている!
明らかに普通じゃないこのモンスターは、そのサイズも異常。なんと2マナで5/4、デカすぎるゥ! 追加コストで{3}を支払うか、あるいはクリーチャーを生け贄に捧げるかを選ばなければならない。
どうせならコストの軽さを活かしたいので、生け贄を選びたいところ。ただ、クリーチャーを生け贄に捧げるということはカードを2枚消費してしまうことになる。その上でグロフに除去を撃たれてしまうと……グロフ自身と生け贄に捧げたクリーチャーと、カード2枚と交換されたことになるので大きく損してしまう。
なので、この生け贄に捧げるクリーチャーが重要になってくる。損しないクリーチャーなら良いってことだ。ちょうどパウパーの緑単にはもともと、そういうのにおあつらえ向きなカードがいくつかある。その代表格が、人の手によって飼われた犬の祖先になる《若き狼》だ。
1マナ1/1、死亡しても不死能力でむしろデカくなって墓地から戻ってくる、使いやすいクリーチャーだ。1ターン目にこの狼、2ターン目に狼を生け贄にグロフを唱えて……なんと2ターン目に2/2と5/4が並ぶという強烈な構図に。犬が狼を喰らって出てくるってのも、なんだかメッセージ性があって良いよね。もともと強かったストンピィが、より破壊力を増して再登場だ。
「緑単ストンピィ」はシンプルなデッキだ。1・2マナの軽量クリーチャーを展開し、《怨恨》でパワーを上げトランプルを付けて殴る、殴る、殴る。
基本的にクリーチャーで攻撃するしか勝つ方法はなく、単純な構成になっているからこその高い攻撃性を武器としている。1マナ2/2《イラクサの歩哨》、森を手札に戻すことで少ない土地でも複数のアクションを実現する《クウィリーオン・レインジャー》、2マナ2/2で実質コストは0とブン回りを支える《炎樹族の使者》などなど、優秀なクリーチャーを展開。
それらを《怨恨》《巨森の蔦》《吠え群れの飢え》で強化し、ゴツゴツとダメージを刻んでいく。
対戦相手に干渉するカードは《凶暴な一振り》のみ。これもクリーチャーを強化する役目も兼用しており、ほぼ殴ることしか考えていないデッキに仕上がっている。
クリーチャーでの攻撃こそが対戦相手にとっても最も強力な妨害という風に考えているということだね。攻撃は最大の防御、対戦相手から自由を奪うくらいに前のめりに攻めるべし!
グロフを使うのであれば、狼以外にも生け贄に捧げて損をしないクリーチャーを用意しておくと万全だ。《巣の侵略者》は2マナ2/2と戦闘が最低限出来るスペックで、生成する0/1の落とし子はマナ加速としても使える。
1ターン目に《カルニの庭》を出して植物を生成するという手もある。
これらのトークンは《若き狼》同様、対戦相手の生け贄を要求するタイプの除去を空振りさせる役目も担う。パウパーの名除去《チェイナーの布告》を封じ込めるのだ。
またどちらのトークンも0/1ではあるが攻撃には参加できるので、《怨恨》などでこれを強化して殴るという道もないわけではない。最後の一発で勝負が決まれば、少々不格好でも気にしないッ!(笑)
パウパーのデッキ紹介のたびに言っていることだが、コモン限定というハードルの低さは実に魅力的だ。マジックを始めてまだ時間が経っていないプレイヤーは《湿地帯のグロフ》のようなスタンダードのカードから始める、そもそもスタンダードに限定したパウパーを遊んでみるという手もある。長くマジックをやっている人は「青春のあのコモンがまだ活躍できる場があるんだ!」とノスタルジーにも浸れる。
普段と違うことやってみたいって気分になったら、パウパーを遊んでみよう!
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