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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
8+ Rack(モダン)
ストリクスヘイヴンには、多元宇宙からあらゆる呪文の知識が納められた大図書棟があるという。そこに納められた呪文書という形で、時代を超えて収録されたインスタントとソーサリーが「ミスティカルアーカイブ」だ。
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のパックを剥く際の目玉の1つで、各種ブースターパックにはこのミスティカルアーカイブのためのスロットが設定されており、アンコモン・レア・神話レアとレアリティもある上に、グローバル版に日本画のもの、フォイルにエッチングフォイルとバリエーションも豊富。
何よりも魔法の大学が誇る所蔵品だけあって、呪文はいずれも一時代を築いたカードたち。各フォーマットで今なお活躍しているカードもあるため、これからスタンダード以外に挑戦したいと考えているプレイヤーにとってはありがたい収録なのだ。
個人的に気になる1枚を選べと言われたら……《コジレックの審問》かな。
イラストにはコジレックを模した邪神像的なイラストは迫力があってカッコイイし、日本画のものは大入道やぬっぺふほふといった妖怪を思わせるコジレックの姿が印象的で、コレクションにぜひとも加えたい。
何よりカードとしても強力で、1マナの手札破壊呪文の中では《思考囲い》と争うオールタイムベストに名を連ねる1枚でもある。
何でも捨てさせられる《思考囲い》と比べると3マナ以下という制限はあるが、ライフの損失がないという点で、コントロール寄りのデッキではこちらの方を優先することも多々ある。
ミスティカルアーカイブは各フォーマットで使用可能でない限りはデッキに採用できない扱いなので、スタンダードで《コジレックの審問》が1ターン目に飛んでくる心配はない。しかしヒストリックではこれらのカードが一部を除き使用可能になる。1ターン目に囲い or 審問、これはパイオニアを飛び越えモダンレベル、ヒストリックの黒いデッキは大きく強化されると言えるね。
つまりモダンのデッキを見れば今後のヒストリックのデッキのヒントがあるかも、ということで今日はモダンの黒単デッキを紹介だ!
16 《沼》 4 《ロークスワイン城》 3 《総動員地区》 -土地(23)- -クリーチャー(0)- |
4 《拷問台》 4 《金切り声の苦悶》 4 《致命的な一押し》 4 《コジレックの審問》 2 《カラスの罪》 4 《小悪疫》 4 《精神ねじ切り》 2 《四肢切断》 3 《はぐれ影魔道士、ダブリエル》 3 《ヴェールのリリアナ》 3 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》 -呪文(37)- |
1 《塵へのしがみつき》 4 《減衰球》 2 《リリアナの勝利》 2 《漸増爆弾》 2 《バントゥ最後の算段》 4 《夢を引き裂く者、アショク》 -サイドボード(15)- |
「8+ Rack」だ。RackとはThe Rack、すなわち《拷問台》のこと。
対戦相手の手札が2枚以下だったらダメージを与えるアーティファクトだ。手札を捨てさせ続けることがダメージにつながり、やがては勝利にたどり着く。
この《拷問台》4枚だけでは枚数は少ないが、手札1枚以下の時にライフを3点失わせる《金切り声の苦悶》の登場で8枚体制が確立され「8 Rack」が誕生した。
さらに近年、《はぐれ影魔道士、ダブリエル》も加入。
8枚以上のRack系カードが使われている「8+ Rack」というのがより正しい表現ってことだな。
Rack系のデッキはコントロールであり、往々にしてクリーチャーは0枚に近い構成になる。手札破壊とクリーチャー除去で相手の行動を抑えこみ、拷問台系パーマネントを設置しゴリゴリと削っていく長期戦狙いのデッキだ。
相手のプランを崩すために、手札だけでなくクリーチャーと土地も潰せる《小悪疫》も採用。これは自分も巻き込むのでクリーチャーを0枚にしているというわけ。
とはいえプレインズウォーカーを攻めたり、残りライフ数点の相手にとどめを刺すためにクリーチャーがいれば良いという場面はあるので《総動員地区》がその枠を担う。
ダブリエル以外にも2種類の手札を捨てさせるリリアナを採用しているので、この土地の起動型能力のコストはだいぶ軽減できることだろう。
このリストはコントロールで、長期戦を生き延びるためにもライフは大事にしたい。ということで《思考囲い》よりも《コジレックの審問》を優先している。《小悪疫》《精神ねじ切り》《カラスの罪》そして《ヴェールのリリアナ》とモダン特有の手札破壊が多数揃っているので、囲いレスでも問題なく機能するというわけだ。
ただしヒストリックにはこれらのカードはないので、ダブリエルを使った同様のデッキを組む場合は囲い&審問のコンビ体制で臨まなければならないかも。その場合、1~2ターン目に唱えるならまずは《コジレックの審問》から、ということを意識しよう。
4マナ以上のカードが早いターンに唱えられることはかなり限られた条件でしか起こらないし、それを引き起こしそうなカードを審問で捨てさせれば問題は未然に防げる。賞味期限の短い審問から入ることで、捨てさせるカードのマナ総量に縛りのない囲いの威力をより高められるし、相手がアグロデッキだったら2点のライフが惜しいので唱えないって選択肢も浮上してくる。
問題はどちらを何枚採用するかってことだが、それは仮想敵次第。ライフを温存する方が良い結果に繋がるのであれば審問、《出現の根本原理》などを対策したいのであれば囲いを優先するって形で良いんじゃないかな。もちろん、8枚体制でグズグズにするプランが強ければそれが最高! 《小物泥棒、チビボネ》と組み合わせたデッキに仕上げたいね。
ミスティカルアーカイブの参入で大きく変化することが予想……というか確定しているヒストリック。そのヒントは、収録されるカードが使われているフォーマット・使われていた時代に隠されている。古代の呪文書を読み解くように、特別収録された呪文たちの真価を引き出してやろう。
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